宮下奈都のレビュー一覧
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とあるレストランに纏わるお客さん達の連作短編集
以下、公式のあらすじ
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予約を取ることも難しい、評判のレストラン『ハライ』。
10月31日午後6時に、たまたま店にいた客たちの、それぞれの物語。
認知症の症状が出始めた老婦人、
ビデオを撮っていないと部屋の外に出られない青年、
人の失敗の匂いを感じてしまう女性など、6人の人生と後悔や現状の悩みを描く。
「ハライに行って、美味しいものを食べる」ことをひとつのきっかけにして、
前に進もうとする気持ちを、それぞれ丹念にすくいとっていく。
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様々な人達が、レストラ -
Posted by ブクログ
ネタバレ“宮下さん”ってだけで、購入。宮下さんの言葉のチョイスが好きだ。温かみと鋭い視点で、言葉にならなかったことが言葉として触れることができる。
最近なかなか読書できなかったが、読み始めたら隙間時間を使って読めた。読みたい欲で時間が作れたんだと思う。
これから、“母”になる人に読んでもらいたいな~。
“女”はどうしても出産を経て、“母”という役割を与えられる。仕事というと部長とか課長とか急になる感じだなぁ~と思う。急に責任のある役職にあてられたのに引継ぎがない。あっても役に立たない。なのに、上司はいないし、自分で試行錯誤を繰り返すしかない。最大のパートナーだと思っていた夫は、“父”になるまで時間が -
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温之の小学生時代のエピソード、親になったからか切なくて泣きそうになった。ただ、先生の気持ちもわかる。
温之の凄さって、大人になってからわかる気がする。流されない強さってすごい。それに気づける健太、最高だよ。
遥名のしんどさは、共感どころが多かったな。。
あそこまで型にハマろうとはしなかったけれど、周りからどう思われるか、どうみられるかをすごい気にしていたのしんどかったなと。
失敗するのが怖かったけど、失敗も勘を磨くために必要なことかもって思えた。
いろんな経験して、たくさんぶつかって、考えて、次は準備して…って、失敗恐れていたらできないなと気づけた。
前半の2人のしんどさが読んでて辛かっ -
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ああ〜宮下奈都の本、やさしくてあたたかくて好きだなあ
読む毎にどんどん好きになる
この本は食エッセイなのですが、宮下さんの人柄がよく伝わってくる一冊でもありました
3人の子ども達のお母さんとして優しい眼差しと心意気で書いている宮下さんも素敵だし、1人の人間として宮下奈都個人のエピソードも本来の宮下さんってこんな人なんだろうということを感じられて楽しい
失敗ごはんの話が特に好きでした
学校で勇気を出して挙手→発表するも答えが間違ったために笑われ落ち込んで帰宅した娘に、「なんでも好きなもの作ってあげる」と励ましたエピソード
お兄ちゃんが「僕の時は秋刀魚だった」と会話に加わってくるところも宮下さ -
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宮下奈都の真骨頂と言える素敵な小説だ。平らな地面をゆっくり歩いていたのに、気がついたらさわやかな景色の見える山の頂上にいた。そして、その道のりもまだまだ素敵な景色が続きそうな・・・。ひとりの女性の心の中をとても丁寧に表現していて、中学生から社会人になるまでの成長過程をせつなくも鮮やかに見事に描き切っている。読み始めたときは、何か苦しい感じがして、この小説はハズレなのかと思った。でも、それは間違いだった。主人公の成長に連れて、ストーリーは静かに、読み手を佳境へと誘ってくれた。主人公の女性が、仲良くなる男性と、高校生の頃通った映画館ですれ違っていたり、実家の骨董屋に来てい
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くすっと笑えて心が暖かくなるエッセイでした。
私は北海道が第二の故郷のようなところでもあるので(トムラウシほど僻地ではないですが)、うんうんと頷きながら、ああまた行きたいなあ……と望郷の念にかられました。
トムラウシでの生活は都会とは大きく異なっていました。学校でのカリキュラムがかなり自由であったり、大自然を体いっぱいにあびたり、人と人の繋がりがとても深かったり。それはかけがえのない貴重な経験になったと思います。
宮下さん一家が皆それぞれの成長を遂げていくさまが読んでいてじんわりきました。
でも、時折都会の生活とのギャップに悩んでいる文章もありました。この本を読むとトムラウシ行きたい~!という -
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読んでよかった。いつか梨々子のこの10年をもう一度振り返って自分の人生を肯定したくなる時が来るんだと思う。でも苦しかった、残り50ページくらいまで。
梨々子の気持ちの描写が丁寧な分、やむをえず巻き込まれて誘われた土地で感じる戸惑いや嫌悪感も、都内のママ友への嫉妬や焦燥感も、全部全部形がはっきりとわかるほどに伝わってきて読んでいてかなり苦しい部分もあった。でも、それを苦しいと感じている自分がいることに気づくことができてよかった。まだまだ自分は幼くて他人に知られたくない部分がたくさんあって、わかってはいても目を背けていた事実がこの本を読んで顕になった。しんどいけど改めて自分を見つめ直せる機会をもら -
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「今までの宮下奈都さんとは違う感じだけど、読んでみて。面白いと思うよ。」
そう娘が話してくれたその前日に、この本を買っていた。不思議な偶然にビックリした。
宮下奈都さんは、なぜこうも謎解きをしないんだろう。ミステリーよりもミステリアスな展開に、彼女の拘りと視点と深みを感じ、さらに彼女が好きになる。
逃げろ。逃げるな。諦めろ。諦めるな。
「逃げてるように見えても、地球は丸いんだ。反対側から見たら追いかけてるのかもしれねーし」
こう思えば、一歩が踏み出せるかもしれない。
「自分に正直でいれば、すべては自分で選んだことだと納得することができます。」
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Posted by ブクログ
幼い頃から、人に話を聞いていると、雑音が混じって、聞き取ることができなくなってしまう。相手の話を聞いて、応えようとすると、聞き取りができなくってしまう。そのため、人間関係を築くことがなかなかできない主人公が、ヘルパーの仕事で入った「先生」に家で出会う人々、思い出を切り取り額をつける「額装」を学んでいくことで、今までに人間関係が少しずつ変化していく過程が描かれていく。
自分にとってちょうどいいペースで人と交わり、コミュニケーションをとることで、聞いたり、話すことが不自由なくできることってやはりあるよなあと思った。小説の最初から最後まで、ゆっくりと流れる時間が感じられて、心地よい。
普段の生活 -
Posted by ブクログ
明言はされてないけど、受診を促されることもあり、発達障害の特徴がうかがえる主人公。
他人の言葉が意味のあるものとして聞き取れず、自分自身の感情にも鈍い。
ヘルパーとして派遣された先で、利用者である先生、先生の息子で額装の仕事をしているあのひと、そしてその息子の隼と出会い、先生の生活を見守りながら、額装の仕事に触れ、少しずつ、膜が張ったようだった自分自身の感情に気づいていく。丁寧に掬い取ったものを更に目を凝らして見つめたような心理描写がとても良い。額装を通して、様々なものを発見し、これまで諦めてきた他者や家族との関わりにも一歩踏み出していく。大きく展開が動くわけではないけれど、じんわり伝わってく