宮下奈都のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
『よろこびの歌』の続編。
あれから3年、二十歳になった主人公たち。
それぞれ皆、自分で選んだ進路で日々頑張っている。
しかし、本当に自分が「やりたい」と思っていることは何なのか、私の「やりたい」の根源は何なのか。
夢に向かって努力しているはずが、いつしか迷いの中に突入し、自分の気持ちにさえ疑いを向ける。
そんな不安定な時期に、人との出会いが、その人の生き様が、そして音楽が………
彼女たちの本当の気持ちを揺さぶり、光を当てる。
真の自分の気持ちに目覚めた時の突破力は清々しい。
最終章は著者の手を離れ、主人公たちが想いを爆発させ、勝手に突き進んでいったのではないか。
自分が生きる「意味」を、自 -
Posted by ブクログ
実家にあったアップライトピアノ。もう今は手放してしまったけれど、あのピアノにも調律師さんが来てくれてたなと、その経験を幸せに感じながら読んだ。外村が調律自体には四苦八苦して、でも調律に魅入られ、ひたすらに努力する姿がシンプルにかっこよかった。お話自体は静かに進んでいく。でも、調律師の先輩のそれぞれの人柄や考え方、双子のピアノの音色や決意に徐々に大きく心を揺さぶられていた。端々に出てくるお客さんのピアノの様子も、自分もその内の一人になったような気がして他人事にはならず、なんだか寂しくも温かくもあった。静かで美しい自然に溶け込む感覚を外村が導いてくれて、とても心地よかった。板橋さんの目指す音色につ
-
Posted by ブクログ
羊と鋼の森
2025.10.22
調律師とはどのような役目を担っているのだろうか。
今まで音楽と無縁の生活を送ってきた私にとって、想像しがたい職業だった。
大学の講義で”デザイン思考”というものを少しだけ学んだが調律師が応用できるのではないかと感じた。依頼者の頭の中に描く理想の音をデザインしてもらって、そこに隠れた意図や気持ちを調律師がつくっていく。大学で学んだときは正直、どのようなところで生かせるのか分からなかったけれどこの本で私の中の疑問が洗い出された気持ちになってよかった。
女性の作者にしか出せないような、繊細で引きこまれるような描写が素敵だった。
中高までは盛り上がる曲が大好きだっ -
Posted by ブクログ
「羊と鋼の森」を読む前に先にこちらを読むのがオススメ!と聞いたので手に取ってみた。
タイトルが素敵。
宮下家の行動力、決断力の早さに驚き!
トムラウシにいこう!って決められちゃう身軽さ!!すごい!
トムラウシで触れる人との繋がりの温かさ、自然の豊かさと厳しさ。トムラウシでみる自然と雪と空と山はどんなに綺麗なのだろうか。見てみたいなあ
なにより、宮下家の人たちが面白くて、可愛らしくてファンになってしまったよ。笑
長男も次男も長女もそれぞれいいキャラしてるなぁ。トムラウシでの1年を見届けて、子供たちの成長もみることができて、それも楽しかった。
宮下さんのツッコミも面白かった。
チャンスの神 -
Posted by ブクログ
「羊と鋼の森」の宮下奈津さんのエッセイ。
エッセイのタイトルにしては小説のような物語性を感じるタイトル。
ちょっと大げさでは?と思っていたが、読後はまさに!となった。
北海道の移住先”トムラウシ”は「神々の遊ぶ庭」と呼ばれるくらい、素晴らしい景色に恵まれた土地なのだそう。ただその場所に移住した時の話だから、このタイトルというわけでなく、読み進めていくと、ここで過ごした日々、そのものが物語の中のような日々で、読後はこのタイトルに納得してしまった。
とにかく宮下さんの子どもたちが可愛い!1年間で親も子も本気で遊び生きる姿に、ハッとさせられた。 -
Posted by ブクログ
雑誌Oggiで宇垣美里さんがオススメしてたので読んでみた。仕事もプライベートも順風満帆ではないミドサーとしては、心がじんわり暖かくなる大変な良作。
婚約破棄された失意の中のあすわが、やりたいことリストを書いたり消したり繰り返す中で、頑張らない日常の中に大切なものがあると気付く。
わかる、とってもわかる…とってもリアル…!
やりたいことが他人と比べて薄っぺらいと感じたり(豆)、これだと思って勢いよく飛び込んだのに全然違ったり(料理教室)、せっかくリストを元にして頑張って暮らしてるのに「リストなんて不要」という言葉に動揺したり…
こういうこと、、本当によくある!!!
そうした経験を通して、他