【感想・ネタバレ】終わらない歌のレビュー

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Posted by ブクログ

あなたは、『あきらめ』の感情を知った瞬間を覚えているでしょうか?

人は無限の可能性をもってこの世に生まれてきます。しかし一方で、オギャーと泣いて産まれたあの日から、一日一日が経つにつれ、そんな可能性はどんどん狭まっていきます。遺伝が大きな役割を果たす事ごともこの世にはたくさんあります。また、生まれた環境にも人は大きく左右もされるでしょう。必ずしもやる気ばかりじゃどうにもならない、それが人生とも言えます。そんな人生の中で人はやがて『あきらめ』の感情を知ります。

そして、人はそんな『あきらめ』の感情をさまざまな場面を重ねる中で感じとっていきます。例えば、『歌が好き』で、その道を極めたいと思う人がいたとします。その人は努力の甲斐あって、音楽大学へと進みました。そう、それは『私は入学したときにはすでにある程度歌えていた』という始まりです。しかし、『ここに来る人はみんな耳がいい』という中では、『クラスの二十人がどれくらい歌えるか、それこそ全員がわかってしまっている』という現実がそこに大きく立ちはだかります。そんな中では、『ある程度、というのは七番から十番くらいの間』を言うのかもしれません。しかし、『誰かの歌を聴きたいと思ったとき、たかだか大学のひとクラスの中で七番目の人間の歌をわざわざ聴きに行こうとは思わないだろう』、そう、それは厳しいですが現実なのだと思います。

“青春とは人生のある時期ではなく、心の持ち方を言う”。サミュエル・ウルマンさんの有名な言葉があります。私はそんな言葉の先に、青春をこんな風にイメージします。”無限の可能性を持って産まれた私たちが、『あきらめ』の感情を受け入れてしまうまで、それを青春という”、どうでしょうか?

さて、ここに『歌がうまいってどういうことだろう』と、ふと考える一人の音大生が主人公となる物語があります。そんな女性は、『私は自分が今狭苦しい場所にいることを忘れたくない』という迷いの中を生きています。『何が足りないのか。どうすればいいのか』と、自問を続けるその女性は、『私はどうして歌うんだろう。歌がうまいかどうかは何で決まるのだろう』とも思います。この作品は、そんな女性が、『夢は遠い。希望は儚い。どんなに手を伸ばしてもつかめないかもしれない』と思いながらも『それでも希望を持たないわけにはいかない。夢に向かわずにはいられない』と、前を向く物語。一番になれないという苦悩の中で『もしかしたら、一番になれないことで得られるものがあったのか。一番の人には見えない景色を、私は見る』と、顔を上げる物語。そしてそれは、そんな女性が『ようやくここで歌うことができる。そのよろこびをかみしめることができる』、『わけもなく、歌いたくてしょうがない』という「終わらない歌」を歌う喜びを知る物語です。

『午後の授業を終えてテキストを鞄にしまおうとしたところで、携帯が光っているのに気がついた』のは、主人公の御木元玲(みきもと れい)。『今夜、行っていい?』、『八時に「だいこん屋」。遅れそうだったらまた連絡するね』というそのメール。そんなメールを見ている玲の前を『また明日ね』と篠原が帰っていきました。『クラスで一番点数が高い』という篠原の歌を思い出す玲は、『二号館脇のベンチにすわり』『音のしないヘッドフォンを耳につけて』、『足下を見』ます。『何が足りないのか。どうすればいいのか』と思うも『問いばかりで答はない』とも思う玲は、『私は情熱がほしい。どんな障害をも越えていく情熱』と願います。『大学へ入って一年半になるのに、ほんとうに心の許せる友人などひとりもできな』いという今を過ごす玲。そんな玲は『大学に入ったら一度は家を出るよう』母親から言い渡され一人暮らしをしています。そんな母親から言われた『人生って案外短いんだから。今勉強しないでいつするの』という言葉を折に触れて思い出す玲。そんな母親に『弱気なことはいえない。いいたくない』と思うものの『もしかしたら、私に歌は歌えないのではないか』と迷いの中にいる玲。そんな玲は『改札を出たところで、肩をたたかれ』ました。『今の電車だったの?』と訊くのは千夏。『高校の同級生だった千夏』は、進学せず『バイトを二つ掛け持ち』しながら『小さなミュージカルの劇団にも属してい』ます。進学も就職もしなかったのは『いつか本命で忙しくなって働けなくなるときが来る』という『千夏の誠意』でした。『歌を歌い、踊り、芝居をする。そのために生きている』という千夏。そんな千夏に、『バイトしたいと思ってるんだ』と語る玲は、その理由を『バイトして、今まで見たことのないものを見たいから』と説明します。そんな説明に『結婚式で歌うバイト』を薦める千夏に、『それじゃバイトする意味がない』と思う玲は自分が『歌から離れたい』と感じていることに気づきます。そして、『だいこん屋』に入り腰を下ろすや否や、『玲、あのね、ニュースがあるんだ』と口元から笑みをこぼす千夏は『小さいけど役がついたの!』と『ささやく声で叫』びます。『ひとりで歌うシーンもあるんだ』と続ける千夏に『すごいじゃない。楽しみだよ』と祝福する玲。”校内合唱コンクール”で繋がった二人の絆。そして、高校卒業後、それぞれの道に分かれてそれぞれの道を生きる玲と千夏の今が描かれていきます…という最初の短編〈シオンの娘〉。感動的に幕を下ろした前作「よろこびの歌」の記憶を呼び覚まし、その先に続いていく彼女たちの物語が前作の世界観の延長線上に絶妙に描かれていく好編でした。

“名作「よろこびの歌」の三年後を描き、宮下小説ワールド屈指の熱量を放つ青春群像劇”と内容紹介にうたわれるこの作品。”私たちは交わった。ぶつかって、混じりあって、私たちは変わった”という、人生を前に進んでいくための一つの起点を手にした女子高生たちの感動的な物語が描かれた前作「よろこびの歌」。そんな前作で描かれた”ハッとするような、美しく、それでいて心に沁み渡っていくような絶妙な表現の数々が、読者を物語世界の虜にさせる - さてさて氏レビューより抜粋”という作品世界は宮下奈都さんの魅力を存分に味わうことのできる絶品でした。そして、その続編となるこの作品では、それぞれの戸惑いの中に青春を生きる主人公たちの心の内を美しい比喩表現の中に描いていきます。幾つかご紹介しましょう。

・『才能がほしい。個性がほしい。多くの学生がそう願って、それを隠して、暗い炎を燃やしている。何かの拍子にそれを見るのがつらい。私の炎も誰かに見えてしまうことがあるのかもしれなかった』。
→ 音楽大学に入学後一年半が過ぎた玲は、『何が足りないのか。どうすればいいのか』ともがき苦しむ日々を送っていました。それを他の学生の中にも見る玲。『多くの学生が、きっと自分の資質を疑い、この先の人生に明るい道筋を見出せずにいる』という感情を『暗い炎』という絶妙な表現で描きます。

・『このままどこかへ行ってしまいたい。そう思ったけれど、どこかなんてない。どこかという場所にはちゃんと名前がついていて、私を待っていてくれるどこか、私を受け入れてくれるどこかなど、どこを探してもないのだ』。
→ オーディションに不合格となった千夏。『あなたの弱点は、育ちがいいこと』と言われ困惑する千夏。そんな千夏が抱く思いをこんな風に表現します。『どこかへ行ってしまいたい』といった思いは誰でも一度は胸に抱いたことがあると思いますが、そんな一文の『どこか』にこだわったこれまた絶妙な表現です。

・『歌っても歌っても手応えを得られなくなっていた私の、千夏は最後の砦だった。この子がいてくれるから、私は祠の火を消さずに済んできたのだと思う』。
→ 『自分で自分の力を信じることのできなくなって』しまった玲。そんな玲のことを真摯に想う千夏。『私の歌を信じて聴きたがってくれる人がいる』とそんな千夏の存在に力を得ていく玲の心の内、諦めずに前に進もうとする気持ちの内在を『祠の火を消さずに済んできた』と表現します。

この続編では、玲や千夏のもがき苦しむ内面に、より光が当てられていきますが、いずれもそんな心の内が切々と語り上げられる中にこれらの表現は登場します。極めて宮下さんらしい表現であると共に、この”青春群像劇”の作品世界を絶妙に彩っているように感じました。

そんなこの作品は紛れもない続編です。普段、続編を書きたいと思ったことはないという宮下さんは”「よろこびの歌」に関しては、自分には続編を書く責任があるんじゃないかと感じたんです”と語られます。そして、青春の悩みの中にもがき苦しむ主人公たちが登場する作品世界を、”彼女たちを幸せにしてあげたいとは思うけれど、実際にはあちこちに壁があって、その時にはいいと思ったことが後で違ったりもする。一緒に考えながら書いています”と続けられる宮下さん。青春時代というものは、悩み苦しむ時代であるとも言えます。努力が簡単に形になるようなことはなく、一方で他人はそんな自分の悩み苦しみが嘘のように、どんどん先に進んでいってしまう。追い越すどころか、追いつきたくても追いつけない、その対象が何であれ、そのような苦しみの経験を他人事に語れる人はいないのではないでしょうか?この作品は、前作「よろこびの歌」と同様に六つの短編が連作短編の形式をとります。そして、最初と最後の短編の主人公が玲、サンドイッチになった四つの短編には、前作に登場した玲の友人たちが主に視点の主となる構成をとっています。前作を知る読者は、前作で高校生だった彼女たちのその後の人生を、人生の続きに何があるのかを見ることができます。

『中学のソフトボール部で無理をして肩を壊し』たことで、未来が閉ざされたと感じる中に生きていた早希は、『裏方であるスポーツトレーナー養成用の講義を受ける』納得できない今を生きています。『あの頃以降の人生は影』だとまで思うその苦悩に気が滅入っていく早希。『合唱』で玲と出会ったことで、歌うことに魅せられていった千夏。『小さなミュージカルの劇団に』所属し、『いつか舞台の中央に立つ』ことを夢見ていますが、『あなたの弱点は、育ちがいいこと』と言われオーディションに不合格となる中に苦悩の日々を送る千夏。そして、前作同様に最初と最後の短編で視点の主を務める玲は、音楽大学へと進学はしたものの、『私の歌に私自身が価値を見出せない』という中、『歌がうまいってどういうことだろう』、さらには『私はどうして歌うんだろう。歌がうまいかどうかは何で決まるのだろう』と今の自身に全く自信が持てない不安定な感情の中に毎日を過ごしていました。

鬱屈とした物語、前に進もうとしても進めない、足踏みの感情が続く物語、出口を探しても見つからない、明かりがどこまでも見えない物語は読んでいて息苦しさを覚えます。それが極まるのが次の表現です。

『夢は遠い。希望は儚い。どんなに手を伸ばしてもつかめないかもしれない。夢も希望も、挫折や絶望のすぐそばにある。もしかしたら、欲しがらないほうがいいのではないか、希望など初めからないほうがよかったのではないかと疑いながら、それでも希望を持たないわけにはいかない。夢に向かわずにはいられない』。

まさしく青春の苦しみの中に、前に進むきっかけを得るまでの迷いと戸惑いの感情を絶妙な表現で描いていく物語は、最終章〈終わらない歌〉で内容紹介に書かれたもう一つの側面が顔を出します。それが、”屈指の熱量を放つ”という、結末に向けた信じられないほどの”熱さ”です。最終章に描かれる物語、それは表紙にも描かれる玲と千夏の友情を感じる先に続いていく物語です。この章を読んでいて、自分の心の中で何かが反応し、気持ちが昂ぶり、そして身体がかっかと火照ってくるのを感じました。そう、まさしくこれはすざまじいまでの熱量を感じさせる物語です。

『私たち、2Bで最後に歌ったとき、未来の自分に向けて歌うんだって決めたじゃない。覚えてる?今、あのときの未来だよ。あのときから、ちゃんと今につながってるんだ』。

そんな風に千夏が語る先に描かれる感動の物語。それは、「よろこびの歌」と「終わらない歌」という絶品二作を読み終えた読者に、宮下さんがプレゼントしてくださる”感動”という名の贈り物でした。そこに描かれる人と人との交わりの中に奇跡が起きる瞬間をひとりでも多くの方に是非味わっていただきたい、心を熱く、熱くしていただきたい、そんな感動的な結末がそこにはありました。

『私はただ、今、歌いたい。ここで、終わらない歌を』という瞬間を見るこの作品。そこには、前作「よろこびの歌」で、人との交わりを避け、何にもやる気を見い出せずにいた主人公・玲、千夏、そしてクラスメイトたちの三年後の姿が描かれていました。THE BLUE HEARTSの名曲「終わらない歌」の歌詞を大胆に物語の展開に織り込みながら、青春の苦悩の中に生きる彼女たちのその後を感動的なまでに描きあげるこの作品。

物語世界に常に誠実に向き合い続ける宮下奈都さん。そんな宮下さんの”続編を書く責任がある”という強い想いが生み出した傑作だと思いました。

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2022年10月12日

Posted by ブクログ

宮下さんの魔法にかかる事のできる作品。よろこびの歌からの繋がり、まるで歌のように伸び上がる素晴らしい続編でした。
いろいろなところでマグマを感じました。

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2021年10月14日

Posted by ブクログ

宮下さんとブルーハーツが繋がったとこにビックリ!!

ーあれがなければ、これがあったらと悔やむのではなく、そのままの状況を踏切り板にして、できるだけしなやかに跳ぶー
ー私もそうでありたいー

「よろこびの歌」の三年後。それぞれの成長途中がキラキラじとじとと、でも爽やかに綴られておもしろい。読み終わった後は、何とも言えない幸福感でふぁふぁできました。

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2021年09月09日

Posted by ブクログ

この本が続編であることに気づかず、こちらを最初に読んでしまいました。
そこは素直に反省です。
いつか遠くない先に、まとめて読んでみたいと思います。

宮下さんの本は本当に外れがなく、本書も絶賛に値しますね。
空気感がすごいです。
歌一つの周りを取り巻く空気。
それを支える、創り出す友人、プロデューサー、監督、舞台、観客。

観客から伝わる、得られるものは決して無視できるものではなく、大きいはずです。今はコロナでその機会は減っていますが、一体感はその場にいないと伝わりませんね。

歌い始める第一声から観客をつかみ、観客から返されるものを受けとって一体になっていく様が文から伝わってくるのです。そこでうるうるしてしまうのですよ~
すばらしい。すごい。

娘が異国で音楽で頑張っています。
同じようなものをあちらで感じでいるであろう、と思うと感無量です。
親ながら成功を祈っています。

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2021年01月30日

Posted by ブクログ

それぞれの登場人物が自分の状況に葛藤しながらも音楽から力をもらい、自分の人生を切り開いていく姿に心が揺さぶられました。
特に、音大ではクラスでも二番手だと嘆いていた玲さんが、オペラとミュージカルと分野は違えど、自分が光輝く場所で頑張る姿が印象的でした。

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2020年01月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「よろこびの歌」の彼女らが帰ってきた。よりパワフルに、より人生をしっかり踏みしめて。
大人(成人という意味で)になって帰ってきた。でも決して順風満帆とはいかず、彼女らはそれぞれ、彼女らの境遇に不安や鬱屈を感じて一所懸命生きている。

最初は「元気がなかったり、悩んでたりする彼女らをもう一度読み直すのはイヤだなぁ」と思って、ページも進まなかったのだが…1ページ1ページ進むごとに、違ってくる。エネルギーというか生きる活力というか、(これを言うとホンマジジイを認めてしまうのだが)若さゆえの回復力というか。

読んでるこっちまで元気が与えられる。実家帰ってうどん食ってしっかり寝たら、明日から何とかなりそうな気がしてくる。なんでこの子らこんなに元気なんだろう…。
そうか、歌を信じているから、信じることにした友人を徹底して信じぬくから、がんばれって言葉がお互いを責めたりしないから。だからこそ。

そその根底には、やっぱりヒロトとマーシーがいた。30年前の歌が色あせずに、心を震わせる。宮下奈都の筆によってさらに強力になって…。

外角は、それと隣り合わない内角の和に等しい…。この定理を歌って人の心を震わせることができるのは、ヒロト&マーシーと宮下奈都だけかもしれない。

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2019年10月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『よろこびの歌』から3年、主人公たちが20歳を迎えるその時を切り取った青春物語。宮下奈都が創り出す彼女たちの静かなあがきが、部分部分を紡ぎながらクライマックスに向かっていく流れは、全体が音楽そのものだ。

高校時代でそれぞれの想いに決着をつけた彼女たちは、次のステージでまたそれぞれ悩みを抱えながら生きていく。けれどもそこには区切りをつけたからの悩みや思いが渦巻く。あるメンバーは偶然出会った人物とのつながりに感銘を受け、あるメンバーは友達とのやりとりの中で新たな気付きを得ていく。

「こうじゃなきゃならない」あるいは「どうしてもあそこには行けない」という思い込みが、他人と触れ合ったり、論じたりすることで新たな思いを得て、また相手にも新しい思いを思い起こさせる。そしてそこにはいつも音楽が介在している....

もう一つ、本書を本書たらしめている、あるいは宮下奈都作品の真髄かもしれないのは、やっぱり相手を信用しているということだ。シーン上心ない言葉なども登場はする。しかし、友達同士、あるいは家族親族の間の会話では、冗談でも相手を刺すような会話にはならず、「でもこうなんじゃない?」「きっとこういうことなんじゃない?」といった方向を転換する会話になっていくのだ。だから、心配があってもまた救ってくれる、救ってくれたという安心感や気持ちの開放感を感じることができる。

中間の盛り上がり部分では、3年ぶりの同窓会でその思いがぶつかったりすれ違ったりしながら、彼女たちならではのつながりであらたな渦が生まれ、さらに一段昇華していく。

御木元玲や原千夏が歌うシーンはもう作者の想いが満ち溢れている、というか爆発している。それまでの思い悩んだ姿は一掃され、完全に彼女たちの世界に浸っている。そしてそれがその時々で周囲に評価されるのだ。

特に、玲がオーディションを受け、次々と曲を歌い上げるところ、個人的には一番の山場と思っているのだが、仁科の想像を次々と覆し思わず次の曲を歌ってしまう流れは、転調してもう一段盛がるjoy to the worldそのものの展開で、こちらも涙が止まらない。

そしてそして、やっぱり歌を歌おう!と決意するところで晴れやかに明るい光が差し込み、未来への道が開かれるのだ。

本書は、物語に挿入される楽曲をイメージするとさらに楽しめます。是非時々でYoutubeなどご覧ください。

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2018年09月02日

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よろこびの歌の続編。ちょっと大人になったヒロインたちの今を描く。ラストの章では胸の高鳴りを抑えきれないほどの熱い展開があり、興奮冷めやらないうちに一気に幕が閉じる。ブラボー!

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2018年03月14日

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よろこびの歌の続編。
高校を卒業し、大学の声楽科へ進んだ玲。
ミュージカルの道を目指しバイトをしながらレッスンに励む千夏
そして、あの時のクラスメイトたち。
各々、自分の進んだ道に悩み苦しんでいる。

そんな中、自分なりに次に進もうと「たたらを踏んでいた」足を動かし始める。
ラストに向かい、皆がどんどん飛躍し盛り上がっていく姿がとてもまぶしかった。

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2024年01月31日

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青春ストーリー。「コスモス」の舞台が自分の地元であり、中学時代に歌った曲でもあるので懐かしく感じました。

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2020年04月10日

Posted by ブクログ

『よろこびの歌』の続編。前作とストーリーラインに大差はないが、後半の盛り上がり方(ライブ感)は圧巻。しばらくはブルーハーツの曲が脳内再生を繰り返すことになりそうだ...。
「夢は遠い。希望は儚い。どんなに手を伸ばしてもつかめないかもしれない。夢も希望も、挫折や絶望のすぐそばにある。もしかしたら、欲しがらないほうがいいのではないか、希望など初めからないほうがよかったのではないかと疑いながら、それでも希望を持たないわけにはいかない。夢に向かわずにはいられない。」

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2020年03月22日

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「よろこびの歌」の数年後。彼女達の悩み、足掻きは続いている。各章、音楽が効いている。特にcosmosはgood!
世界にひとつだけの花に通じる願いを合唱曲が歌い上げていて、何度もYouTubeで聞いてしまった。
前作も込みで良い小説だった。

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2020年01月05日

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宮下奈都さん「よろこびの歌」(2009.10)で、有名なヴァイオリニスト御木本響を母に持つ御木本玲、母とは違って声楽を目指しながら音大付属高校に行けなくて私立の女子校に入学、孤立している玲、30人の仲間たち、2年B組の合唱コンクール、そしてマラソン大会での感動でした。今回、その続編「終わらない歌」(2012.11刊行、2015.10文庫化)、みんな20歳、高校を卒業してそれぞれの世界に。御木本玲は、原千夏は、中溝早希は、東条あやは、佐々木ひかりは、・・・、音楽の素養豊かな宮下奈都さんの青春音楽小説です!

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2018年10月09日

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宮下奈都さんの作品はどれも、読みやすい。
こちらの作品は、『よろこびの歌』の3年後を描いた作品ですが、読んでいない私でもすっと作品に入り込むことができました。そして、人物像が私と重なる。
私が過ごしてきた人生と重ねて、自分が抱いてきた気持ちと言葉を客観視しているようで歯がゆくて。
『自分のことをもっと認めてあげて』
と思いながら読み進めました。
私は自分を認めてあげているのかな?と自分に問いかた本。

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2018年08月05日

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シリーズ第2弾。前作は、とある高校の生徒達がそれぞれ将来への悩みなどを抱えつつも、合唱を通して青春をかけぬける爽やかな音楽学園小説。
今作は、彼女たちが高校を卒業し、それぞれ、音楽大学に進学したり、舞台女優目指して奮起したり、見知らぬ土地へ就職したり…とネクストステップを歩み始める。
主人公のクールな玲も好きだし、女優を目指す転身爛漫だけど言葉が暖かい千夏、スポーツトレーナーを志す早希も、みんな好きだな。章によって主人公が変わるので、みんなに思い入れを感じてしまう。最後の章は、疾走感あって良かったな!千夏が強引に玲を舞台に誘って、練習を重ねながらステージで輝く。夢って良いね!青春って良いね!
ミステリーばかり続いたので、こういう爽やかな作品ももっと読んでいきたいな、と思った。

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2018年04月20日

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ネタバレ

よろこびの歌の三年後。
御木元玲は音楽学校に入っているが、クラスで1番ではなく、色々と迷いながら進んでいる。歌が上手くなるために、必死でやろうとするが、何をしたら歌が上手くなるのかがわからず、色々と挑戦してみる。そこに千夏や3年前の同級生が絡んで、より悩みを浮き上がらせている。読んでいて気持ちよくなる作品。

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2018年03月03日

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気に入った本は老後にまた読むつもりで保存版として購入するものの、数年以内に再読する性分ではないため、『よろこびの歌』の続編といわれても、記憶は薄ぼんやりどころか遠い彼方。ま、「女子高でいろいろもめて大団円」ぐらいに覚えていれば大丈夫なお話です。

女子高の校内合唱コンクールの様子が描かれた『よろこびの歌』。本作は、主人公の玲をはじめとする当時の同級生たちの3年後という設定(出版されたのもきっちり3年後)。音大に進学した玲を皮切りに、さまざまな進路を選択した5人それぞれの物語。ミュージカル女優だったり、トレーナーだったり、葛藤しながら目指す夢。当事者目線の物語が占めるなか、短大卒業後に東京を離れて就職することを決意した同級生あやの章は、当事者ではなく、彼女の就職先の先輩の目線。そしてこの章がとてもいい。

「いっしょけんめい」という言葉。由来からして「一所懸命」が正しいということは知識として持っていましたが、なんとなく字面や語呂がいいような気がして「一生懸命」を使っていました。この章を読むと、「一つ所を懸命に」という気持ちを大切にしたいと思えます。お侍さんじゃないけれど(笑)。

合唱曲『COSMOS』が聴きたくなります。

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2017年10月13日

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前編となる「よろこびの歌」未読で、本書を読んだ。
本書だけでも良かったけど、前編本から読んだ方が登場人物の人物像、経験、その背景がより分かって、もっと面白いと思う・・・ので、前編本読んでから再読するかも・・。

20代の青春真っただ中の女子達の、真剣だからこそ悩み、そして成長していく物語。そして、彼女達自身だけでなく、彼女達の発する空気に触発されて変化へのスイッチを押される先輩たち。

20代前半って、未来への不安や希望でいっぱいだった。そして、希望の方が大きかった。
ある程度経験を重ねると、未来が未知でないような感覚がでてくる・・良きにしろ悪きにしろ・・。
だけど、未来ってやっぱり未知で、不安と希望が力になるからこそ開けるものなんだと感じた。
挫折や成功、希望や絶望・・の繰り返しが人生。挫折したときに希望を忘れずにいれるか、絶望したときにどうやってそこから抜け出せるのか・・・。彼女達から、そして20代の頃の自身から、教えてもらったような思い出させてもらったようなん気がする。

青春時代がとっくに昔・・という方にもおすすめの一冊。

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2018年01月16日

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ネタバレ

前作「よろこびの歌」から三年後が舞台。みんな二十歳になり、それぞれの場所で頑張っていた。夢にあと少しで届きそうな人、目の前にして悩んでいる人、悩みごとは変わったかもしれないけれど、あの頃と同じく、ぐるぐる、ぐるぐる。立ち止まったりしても、三年前に未来の私に歌った歌に、今も励まされて、支えられているのかな。御木本怜と原千夏が今も良い関係を築けているのが嬉しかった。

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2017年09月07日

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よかった!前作にさらに厚みが加わって、ズシンと響いた。ずっとブルーハーツの曲が流れる中で読んでるような感じ。宮下さんてものすごく音楽が好きな方なんだというのが伝わってくる。

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2016年09月14日

Posted by ブクログ

今となっては本屋大賞作家となった著者作の中で、読み抜けていた本書。既読の"よろこびの歌"よりも、宮下さんの露骨な熱さを感じる出来映え。解説にもある"青春音楽小説の傑作"…、、納得してしまった♪。

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2016年07月30日

Posted by ブクログ

前作から三年後という設定。
前作は良かったけど物足りないという感じだったけど、本作はそれぞれがさらに生き生きと描かれ、読み手の心も澄んでくような心地よさがあった。
ぐんぐんを風を切って進んでくような高揚感があり、読んでいていて気持ち良かった。

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2015年11月13日

Posted by ブクログ

『よろこびの歌』の続編。前作を読んですぐだったのに、微妙にクラスメイトを忘れていた。残念。題材は凄く好きなんだけど文章がいまいち入ってこない…ハイロウズを知らないせいか?でもラストに向けてワクワクが心地良かった!もっと玲や千夏の成長を見たかった。

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2023年04月02日

Posted by ブクログ

最後のエピソードが一番心に残った。打ち込めるものがあるって素晴らしいと思います。
よろこびの歌未読で読んだのですが、充分楽しめました。

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2021年12月17日

Posted by ブクログ

前作の「よろこびの歌」読んだんですけど全然覚えていなくてびっくりしました。
少女たちが大人になり、何者でもない事に悩みながら、先に進もうともがく物語です。
高校卒業から3年というと21歳くらいでしょうか。若いなあ。
殆どの人は世界の中で特別な何かにはなれない事に、年を経る事に打ちのめされて行きます。そしてそれは特別な事では無いし、日々生きていることに喜びが散りばめられている事に気が付きます。
でもこれくらいの年の頃は一番ままならない時代かもしれません。社会の中では下っ端で、大学にいたとしても、いくばくも無く社会に放り出される現実もある。
歌や演劇を純粋に楽しめていた時代から、それだけで生きている人は本当に一握りであると思い知らされ、自分がやっている事の意味を考えてしまう事。
でも本当は表現をする事自体が目的であり喜びなんですよね。まさに終わらない歌です。

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2021年06月11日

Posted by ブクログ

『よろこびの歌』から3年後、音大生になった玲やミュージカル女優をめざす千夏たちの、二十歳ならではの「ぐるぐる」が描かれています。

前作のように淡々とじわじわと話が進んで行きますが、今作は前作よりもちょっとだけ盛り上がりを見せます!

やっぱり歌っていいよね。読んでいて歌が聞こえてくるようで、胸が熱くなりました。

前作も今作もザ・ブルーハーツやザ・ハイロウズの曲を知っていると、さらに楽しめます。私はYouTubeで検索して聴きました。

ただひとつだけ気になるのは…第一章に出てきた居酒屋のPさん…結局???

私も「うどんのみみ」好きです。

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2020年09月28日

Posted by ブクログ

終わらない歌       宮下奈都

まさかの THE BLUE HEARTs
の歌が織り込まれています。
“多感“と称される頃の仲間、
それぞれのS .ストーリィ。
いいことの全てから遮断されて、
黙々と 延々と 歩く、その “ 時 “ というものは、
全ての人に与えられることになってるんでしょうか、
このいくつかの、S.ストーリィには
ちゃんとその残酷な場面に風穴をあけてくれる、
出会いもあたえられています。
よかった よかった 。

ちなみに私のNo. 1は「love letter」
No.18は「僕の右手」でございます。

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2020年09月02日

Posted by ブクログ

失敗したぁ。
この本読む前に、『よろこびの歌』読むんだった。
久しぶりの宮下作品。
期待は裏切らない。
通勤電車で読んでいて、表紙を隠してました。
オヤジが読むような本じゃないかもね。
でも、好きだからしょうがない。

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2018年08月10日

Posted by ブクログ

ーーー
声楽を志して音大に進学した御木元玲は、自分の歌に価値を見いだせず、もがいている。ミュージカル女優をめざす原千夏は、なかなかオーディションに受からない。惑い悩む二十歳のふたりは、突然訪れた「若手公演」の舞台でどんな歌声を響かせるのか。
名作『よろこびの歌』の三年後を描き、宮下ワールド屈指の熱量を放つ青春群像劇、待望の文庫化!

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2018年01月16日

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