宮下奈都のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
やっぱり作家はデビュー作に作風が詰まってる。
何を読んでもスっと心に入ってくる宮下作品。デビューもすごいな、、
「静かな雨」も「日をつなぐ」も一見ありきたりな設定ではあるけど、私たちの生活からそう遠く離れていないところに登場人物たちの暮らしがある、暮らしを感じられるのがいい。
行助はこよみさんのことをとても大切にしている。でもそれはこよみさんの弱みを理解した上で、自分のために利用したり、傷つけたりしているとも捉えられる。だからって一概に行助を責めたりできない。
「日をつなぐ」は、人によって捉え方がかなり違うみたいだけど、私はバットエンドを想像したなぁ。バットエンドになっても立ち直るところま -
Posted by ブクログ
エッセイ「神さまたちの遊ぶ庭」での北海道山村留学を終え、福井に戻った宮下家5人と1匹の3年間の記録。
幸せなきぶん。
まるで親戚のおばちゃんみたいに、子どもたちの成長が嬉しい。
個性的な子どもたちの発言に何度もクスッとなったし、何とも微笑ましい。可愛いくてニンマリしてしまう。
そこに妄想犬だった・ワンさぶ子を実際に家族に迎え、さらに賑やかに!
宮下さん視点とワンさぶ子視点のエッセイ。
なんて賑やかで、和やかで落ち着くのかしら~。
楽しくて幸せな気持ちになるエッセイ。
宮下さんの母としての想いにもたくさん共感し、勝手に親近感を感じています。
著者の、何の変哲もない日常の幸せを噛みしめるよう -
Posted by ブクログ
宮下奈都さんのおいしいものに纏わるエッセイ。
宮下さんのエッセイは柔らかで、あたたかい。
とくに『にこにこ』という表現からは、
ほんとうに可愛らしくにこにこした子供のまーるい顔が思い浮かぶ。
どんな子どもたちかも知らないのに。
栗ごはんの話がとても好き。
そういうことって、あるんだな。
でてくる料理が美味しそうで。
とくに、コトコト煮込んだ系の料理はおいしそう。
素材のおだしが、濃い色に溶け出したのを想像してしまう。
辰巳芳子さんの昆布と椎茸のスープや
竹内冨貴子さんのひじきのマリネを思わずメモってしまった。
おいしい料理と柔らかな人々の情景に、
また頑張ろうと思えました。 -
Posted by ブクログ
読む前はタイトルを見て、どんな作品かいまいち想像できなかったけど、読み終わってからはすごくしっくりくるタイトル。「イナツマ」ね。解説は辻村深月さんでびっくり。好きな作家さんの共演……!
主人公の梨々子は、子供2人と素敵な夫と暮らす、東京のキラキラ奥さんだったが、夫のうつ病をきっかけに田舎へ移住する。
「田舎」「何もない」など、物語の半分以上は雨が降りそうなどんよりした曇り空。
でも、最後には雲の隙間から光がさす。梨々子が「田舎の紳士服店のモデルの妻」と胸を張って名乗れるくらいにはどっしりして、どっこい生きている。
梨々子はなかなかおもしろい「普通」の女だ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ宮下奈都なぜかここにきて宮下奈都デビュー作を読む。
さすがに若々しい宮下小説、こなれていないが今の宮下小説に進化する下地は十分に感じられるし、何も情報なしで読んだら「有望な新人が出てきた」と追いかけるつもりになっていたと思う。
表題作、たい焼き屋のこのみさんと主人公の行助の、あるどうしようもない事情でしっくりこない二人の生活が、それでも日々を積み重ねて積み重なっていく様がとても良い。
「高嶺の花がぽろっと落ちてきた」って表現もスゲーなと思ったし、「博士の愛した数式」パクリやんと思ったら、きっちりそこにも触れているあたりもよい。
併録の「日をつなぐ」。優しくて平和に暮らしていた若い夫婦だが、