宮下奈都のレビュー一覧

  • 静かな雨
    静かな雨 宮下奈都
    典型な恋愛小説かなと思いました。いつ買ったのかが覚えてない。
    物語が進んで行くたび不協和音がどんどん響いてゆき、古い家屋の軋む畳のよう、恐怖が徐々に引き寄せてくる。
    以前「田舎紳士服店のモデルの妻」では壊れかけの家族を妻の視点で再構築してゆく10年を描いてたが、今回の二つの短編は...続きを読む
  • 静かな雨
    宮下奈都さんの小説は、綴られる文章がとても丁寧で、柔らかくて、どんな事件が起きてもどこか静かで、まるで作中に出てくる滋味あふれる豆のスープのようだと思う。
    優しい小説ってあんまり好みじゃないのだけど、宮下作品は、文字を追ってるだけでじんわり幸福感がある。
    それでいて時々「迷ってるうちは進まないほうが...続きを読む
  • 田舎の紳士服店のモデルの妻
    1. 羊と鋼の森が面白かった
    2. ジャケット・タイトルに惹かれた
    そんなわけで読んだ。

    前半は妻 梨々子の葛藤を描いた物語が淡々と続く。ここの部分が割と長く、ずっともどかしさを感じる。全然動いてくれず、妻の気持ちを理解しようとしない夫 達郎に、息子たちに理想像を当てはめようとする梨々子に。ようや...続きを読む
  • スコーレNo.4
    糸が絡めあって刺繍を作るような物語だった。針の運びは丁寧で滑らか。でも絵画みたいに色をしっかり乗せているわけではないから、糸と糸の隙間を想像して形作らないといけない。その感覚が煩わしくも心地よかった。

    家族、恋愛、仕事、結婚。それぞれのスコーレごとで1冊書けそうなのに、別の作家や別の本ではそれらの...続きを読む
  • はじめからその話をすればよかった
    著者の魅力がたっぷり詰まったエッセイ集。家族とのほっこりエピソードにクスりとさせられ、年代が近いこともあって、そうそう! と思わされることも多々あり楽しく読めた。本の紹介や他作家の書評は積ん読が増えること間違いなし!
  • 田舎の紳士服店のモデルの妻
    主人公と一緒に、
    環境に慣れないしんどさを感じたり、
    周りの人にモヤモヤしたり、
    その中で自分に起きる変化を感じたりしてた。

    大人になっても人って変わるよなーと。
    「人間の大まかなところは成人するまでに出来上がってしまうものだと思っていた。でも、そうでもないみたいだ。」ってところ、すごい共感した。...続きを読む
  • スコーレNo.4
    色々な苦しい事を経て、最後は良かったね…とほっとしました。かわいい妹達に押されがちな長女の生き様。分かるような気がします。
  • たった、それだけ
    第5話までの主人公は怖くて、「聞く」ことができない人だったけど、第6話の大橋くんは「聞く」ことができる素直さを手に入れた人。
    最後に円を描くように1話1話が繋がるので、読みやすかった。
  • スコーレNo.4
    就活終えたところで読んでみた。
    自分に自信がない主人公が、仕事に面白さを見つけて、自分を肯定してくれる人と出逢ってハッピーエンド。うまくいきすぎな気もするけど自分についても考えさせられる本だった。
  • ふたつのしるし
    時間の流れを味うおはなし。
    最後の章に向かって、ゆっくりと交差する二人を追う。
    読み終えて、なんともいえない気持ちに。
  • 田舎の紳士服店のモデルの妻
    気づいてしまった。すごく大事なものなんて、ほとんどない。結婚指輪。毎年撮っている家族写真。幼い頃からの子供たちの作文や絵を綴ったもの。アサヒとよく行った喫茶店のマッチ。若い頃に読者モデルとしてわりと大きめに載ったファッション誌。(P253)……最近まさにこのような考えに頭が支配されているので、この行...続きを読む
  • 田舎の紳士服店のモデルの妻
    そのしんどさはよく覚えてる。
    知らない街で子育てをし、頼れる人は思ったよりも頼りない。私は踏ん張らなくちゃ、頑張らなくちゃ。でなきゃ一気に崩れてしまう。この家から私がいなくなったら、きっと一気に崩れてしまうと思った。

    解説の辻村深月さんの「普通の私の話」がよくわかります。少女漫画のような生活はあり...続きを読む
  • たった、それだけ
    ルイが心を病まなくてよかった。
    可南子に対しても、受け入れる感情を持ててよかった。正幸がなぜ贈賄に関わることになったのか、浮気癖は本当にあったのか、可南子への愛情は本当はどうだったのか、は謎のままだけど、ラストでもしかしたらこの親子が再会できるのかも、と思わせて救いがあった。
    続篇があるといいな。
  • スコーレNo.4
    美人の次女と、末っ子三女と比べ、なんの取り柄もないと悩む三姉妹の長女、津川麻子。
    中学生の頃、高校生の頃、大学での就職活動、そして職場での成長。
    4つそれぞれのタイミングで彼女が抱える悩み、葛藤、喪失感、期待感、家族への失望、将来の自分への不安など、感情の機微が丁寧に描かれています。
    世の中を生きて...続きを読む
  • スコーレNo.4
    就活をしている自分にとって、主人公が社会人になってからのストーリーがとても心に響いた。

    例え興味をもてない仕事であろうと、自分なりにやりがいや楽しさを見つけていくことが大切なんだと思った。

    最初は全く興味のない靴の業界に対して、地道に努力していくうちに仕事が楽しくなりどんどん成長していく主人公が...続きを読む
  • スコーレNo.4
    ◯靴を選びながら、なんと気持ちのいい仕事だろうかと何度もため息を漏らしそうになった。(268p)

    ◯奥さんになっても、お母さんになっても、ただの私の人生の一部じゃないか。(306p)

    ◯どうしても忘れられないもの、拘ってしまうもの、深く愛してしまうもの、そういうものこそが扉になる。(311p)
    ...続きを読む
  • つぼみ
    優しい気持ちになれる短編6編。随所にニヤニヤしちゃう表現が散りばめられ、ほっこりします。前半3編が『スコーレNo.4』のスピンオフ作品。後半3編では“なつかしいひと”が好みかな。薦めちゃうんだ重松作品(笑) 特別じゃなくとも生きて行ける。
    「だからさ、こっちが前でいいんだよ、たぶん」
  • ふたつのしるし
    震災に絡めた話は偽善的に感じることもあって、正直なところ少し苦手です。本作も大好きな作家だから買ったのに、裏表紙を見て放置していました。でも5年近く経過して読んでみたら、宮下奈都はやっぱり宮下奈都でした。好き。

    どこにもその言葉は出てこないけれど、いわゆるアスペルガーが疑われそうな少年ハル。同じハ...続きを読む
  • 緑の庭で寝ころんで 完全版
    エッセイはほとんど読まないが、好きな宮下奈都さんの作品なので読んでみました。
    自分ができないことをたくさん知っているお母さんはこんなにも大らかなのかとほんわかした。
    私は親になることをとても怖いと思っていたけれど、このままでも良いのかもしれないと思えた。
    BUMP OF CHICKENが好きという一...続きを読む
  • よろこびの歌
    う〜ん。良き青春小説。
    ちなみに「まなの本棚」で芦田愛菜さんが紹介していた一冊。面白そうだったので読んでみた。

    ザ・ハイロウズの曲聴いてみようかな