宮下奈都のレビュー一覧
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偶然ピアノの調律師である板鳥に出会って、調律に魅せられた青年がピアノと向き合いながら調律師として成長していく物語。
タイトルの羊と鋼の森というのは、ピアノのハンマーに使われる羊毛と鋼でできた弦を指している。ハンマーと弦で奏でられる音階は、山で育った主人公にはまるで森の中を歩いているように聞こえる。
名前や外見の記述もなく淡々とピアノに向き合う主人公の描かれ方は、自分にとっては捉えどころのない人物で想像しにくかった。とはいえ作者が描くピアノから森を連想する描写や、1P目の森から徐々にピアノの実像を浮かべる描写は、自分が森の中を歩いているような感覚になれて気持ちよかった。 -
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静謐で美しい文章で紡がれる、女性の成長物語
自己評価の低い女性の成長の軌跡を描いた物語。中学時代、高校時代、入社後の現場出向、出向終了後の本社勤務。これらの4つの人生のステージがそれぞれ描かれます。
とにかく文章表現の綺麗な物語です。派手な事件などはほとんど起きないものの、鮮やかな心情描写が美しく、目を見張ります。
内容については、おおむね家族・恋愛・仕事という3つの要素を中心に描かれています。それにしても本作は、人を好きになるシーンで「好きだ」などと直接表現しません。巧みな心情描写によって、好きになったのだな、ということを読者に感じさせる点がとても素敵だと思いました。
ただ、個人的な -
Posted by ブクログ
ネタバレ1人の男性が失踪した後の周りの人達に与える影響をそれぞれ別の人物の視点から描かれており、どの話もどうにもならない現実が描かれていて読むのが辛かったけど、なぜか本を閉じた時に心がじんわり温かくなってるような感覚が広がる。逃げるんじゃなくて、停滞から抜け出すっていのはいい言葉だなぁと感じた。
「逃げているように見えても地球は丸いんだ。反対側から見たら追いかけてるかもしれねーし」っていうトータの言葉が響いた。最初望月をめぐるミステリーかと思ったら全然違った。なんて自分勝手な奴だろうと思ったけど、読み進めると、どうやら違う様子。だけどマスコミや世間の吹聴で戻れなくなってしまったんだろうな…。
でも一番 -
Posted by ブクログ
ほんわか面白かった。
そっかぁ、とゆっくりと目から鱗が落ちたのは、”みんなより一日分よごれている”。
筆者は本を読むことが大好きで、本を読むことを中断してお風呂に入ることが煩わしい。子どもが生まれてからもそれは変わらない。バタバタの毎日の中で、みんないつ本を読んでいるんだろう?お風呂に入らない私プラスこどもたち3人で、1週間で、1ヶ月で、のべ何時間分本を読めるだろう。
「きれい好きなたくさんの人たちがお風呂に入っている時間に、私たちは楽しく本を読んだ。いいの、いいの、優先順位の問題だから。つねに一日分、私たちはみんなよりよごれていた。」
そっかぁ、優先順位の問題だったんだ。確かに。
楽しく -
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