宮下奈都のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
優等生で、顔立ちも綺麗なのに、わざと舌足らずにしゃべったり目立たないようして周りから距離をとって生きている遥名。関心がある事だけに集中して周りが見えないマイペースすぎる性格ゆえ学校生活にも馴染めない、勉強もできない劣等生の温之。そんな二人が3・11の大地震の日に出会うまでの軌跡を描いた物語。二人の"ハル"にとってのしるしとは何だったのか?生きずらくても、心が壊れそうでも、誰かの言葉や暖かい眼差しに支えられ、きっと生きていける。こんなふうに、迷える人達が、いつか安らぎの場所を見つけられたなら…。そんな祈りのようなものを感じる温かいストーリーでした。
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Posted by ブクログ
宮下奈都さんのデビュー作。
行助と、たいやき屋のこよみのお話。
2人の距離が縮まっている時に、こよみが交通事故に遭い、高次脳機能障害により記憶が1日しか保てなくなる。
何か大きな出来事が起こるわけではない。
ただ日々が淡々と綴られる。
2人の普通の暮らしや、日々の葛藤などが
ごく自然に、静かに流れる時間と共に描かれる、
この本のそんな空気感がなんだか心地よかった。
読み終わり、この2人が
どうか幸せであってほしいと願った。
一方で、幸せは
他人が人に対して願うことではなくて
自分自身で感じるものというか、
溢れ出てくるものなのだろうと感じました。 -
Posted by ブクログ
初読み作家さん。
何かがおきていても、全体的に静かな淡々とした雰囲気で読みやすかった。
さらっとな読めば良い話。だけどちょっと深読みすると主人公が独りよがりなとこが目について、バッドエンドにもなりそうな気がする。でも、こよみさんが芯が強そうだから大丈夫かな。それで均衡を保ってて、これからも生活が続いていくんだなぁと思わせてくれる。
「諦め方」「自分の世界」「何のために勉強するのか」とてもしっくりくる内容だった。
『日をつなぐ』うーん。不穏な終わり方。土星の話が伏線ならバッドエンドなのかと思うけど、『静かな雨』を読んだ後だと、何が起ころうとも同じように日々は繋がっていくんだなと納得できそうだ。