宮下奈都のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「たった、それだけ」ってことはない 「羊と鋼の森」が好きで手に取った宮下さんの本です。本を読んでいる自分を客観的に見る機会を与えてもらいました。作品によって楽しんでいたり、懐かしんでいたり、考え込んだり、場面によっても変わりますが、私は基本的には自分の過去と照らし合わせて懐かしんでいるように思いました。私は二度と同じ人生は繰り返したくありませんが、自分のことは好きです。たった、それだけ。
贈賄の罪に苛まれる様子や、逃避行の様子が描かれているのかと思いましたが、容疑者の周辺の人生にスポットを当てていたのが印象的でした。
「たった、それだけ」、「たった、それだけ -
Posted by ブクログ
ネタバレガーシュウィンの曲を聴きながら感想を書いてみる。
まず手に取ったきっかけは、装丁。このイラストが可愛くて可愛くて、それが中にも挿し込まれていて嬉しかったな。そしてこのイラストを手掛けられた植田真さんの解説も良かった。最後に解説を読みながらもう一度絵を見て、物語を振り返っていく作業が好きだった。
内容としては、佐古さんが丁寧にひとつひとつの物事と向き合いながら生きているのが印象的だった。それは周りから見れば自由であり豊かにも見えるんだけれど、自身はそうは思っていない。卑屈でいるつもりはなくても、自然と自己否定的になっている。でも、わかる気がする。佐古さんの苦しみに共感した。
そこから先生やあの人 -
Posted by ブクログ
七葉との思い出を回想するたびに、何かしら事件というか大きな出来事を予想するのに、特にない。事件になるようなことは何もない。しかし麻子の心の内には深く印象に残っている。現実にそんな思い出って本当にたくさんあるなって。そういうなんでもないんだけど、自分の心の内に刻み込まれていて、誰かと共有することが難しいくらい些細なことを丁寧に回想してくれるのが印象的でした。
人を愛すること、ものを愛すること、が語られるとき、骨董品屋の娘という生い立ちや靴屋への出向がとてもストンときた。「物に執着し過ぎること」と「ものを愛する能力」は広義で同意義なんだなと受け取りました。 -
Posted by ブクログ
最後の話にあった水平思考ゲームの「ウミガメのスープ」が入ったタイトルだったので思わず手に取る。
はじめの方の話は上手くいえないけど少し食に関する宗教っぽさがあって苦手かもしれないと思ったけど、段々読みやすくなってきた。
ハンバーグを作った時の「食べておいしい食パンの内側だけを使いましょう。贅沢ですね。おいしくなるに決まっていますね」がかわいい。
雪国で暮らしてきた作家さんなのと、読んだ時期が冬だったのでスープを作りたくなった。それも、ことことと静かに煮込んで、毛布にくるんで放置しておくやつ。
あと、帆立と大根のサラダ。
どのお話も、冬にスープを飲んだ時みたいな気持ちになった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「博士の愛した数式」が作中に出てくるあたり、作者も、この設定が決して珍しいものではないと思っていると思います。問題なのは、それによってなにを言いたかったのか。
思い出、ではなく「毎日の生活の中での思い」で人はできているのではないか。だから、記憶が刻まれなくとも、主人公との仲が深まり、たい焼きは一層味に深みを増す。
だから、大丈夫。
宮下奈都さんのデビュー作ということですが、今に通じる源泉みたいなものが節々に感じられますね。
「思い」の繋がりみたいのを大切にしているような気がします。特に食事、たい焼きの描写が、ウミガメのスープを読んだ時とリンクしました。 -