宮下奈都のレビュー一覧
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暑い夏の小旅行のお供にと手にした文庫。
台湾多めのアンソロジーで、待ち時間にちょこちょこと読むのに丁度よかった。
台湾には若い頃訪れたことがあるけれど
桜庭一樹さんも角田光代さんも描いていた「月下老人」は聞いたことがなかった。
角田光代さんの猫をモチーフにした輪廻にまつわる短編が、ぼんやりとした結末にも関わらずグッときた。(やっぱり角田さんといえば猫ですね…)
私自身に前世の記憶はないけれど、私の姉もひょんなことから前世の記憶が蘇ったという。
角田光代さんの前世の記憶が気になる…
前世の記憶はないけれど、私も生まれ変わったら出逢うべき人に出逢えるようにいつか月下老人にお参りに行きたい。
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旅にでたーい!アジアー!
この暑い夏、暑い国に旅行したい!旅気分を味わいたくて手に取った。6人の作家の短編集なのでお得♪
○印象的だったもの
「隣に座るという運命について」中島京子
日本で感じる台湾。ちょうど電車の中で読んでいたので、隣に座っている人を意識してしまった。
「チャーチャンテン」大島真寿美
香港迷の奈美子と香港からやってきたケリーのやりとりに、あるあるとニヤニヤしてしまった。
ケリーが香港で活動していたこと、そのことをきっかけに家族と距離ができてしまったこと、香港をでて日本で暮らしていること、こんなふうな気持ちで暮らしている若者が今どこかにいるかとおもうと悲しくなってしまう。彼 -
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特に好きな作品の感想を。
・桜庭一樹「月下老人」
大好きなバディもの。
状況も空気も雑多でごっちゃ混ぜな感じが楽しい。
・島本理生「停止する春」
ぐったり元気が出ないとき、自分で自分を励ます方法を知っているだろうかと考えた。
それでも何ともならないときは思い切って人に寄っかかる思い切りの良さも必要なのだと知れた。
・大島真寿美「チャーチャンテン」
年の離れた友達、文化の違う友達、距離が縮まるには時間がかかりそうだけれどだからこそ深く分かち合えるものがあるのかもしれない。
ふたりの空気感がとても尊いもので壊れないよう遠くでそっと見ていたいと思った。
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私は、わりと長いタイトルの本が気になる。それが、この本を手に取った理由。
理想的な人との結婚、出産からの夫のうつ発覚、辞職、田舎での新しい生活。思ってもみなかったことを受け入れて、頑張る梨々子。なんとか馴染もうと頑張るけれども、夫とは気持ちがすれ違う。子どもの成長で気になることがあっても、相談できる人がいない。隣人は愛想笑いもしない。以前のママ友からは自慢のメールが届く。そんななかで頑張る梨々子の心情が、2年ごとのできごととともに綴られていた。
梨々子は、時がたつにつれ、場所にも慣れ、人にも慣れ、見方が変わって受け入れられることが増えていく。普通ってなに?と思う気持ちは、私もいつも思うこと -
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以前半分くらいまで読んで、読み進められなくなってそのままにしていた本。
また最初から読み直してみた。
主人公の心情が丁寧に描かれていた。
ちょっと独特な感性で。
でも、独特じゃない人なんていないと思う。
みんなちょっとずつ違っていて、感性が近い人と遠い人がいるだけではないか。
少なからずそのことはみんなわかっていると思うのだけれど、他人の気持ちを推し量れない人、うまく伝えられない人に世間は冷たい気がする。
理解できない言動をする人も、色々なことを感じたり、考えたりしているのにね。
そんな世間から気持ちを守るために感情を無意識に押し殺してきた主人公に胸が痛んだ。
最初は読みづらいな、と思って -
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主人公、津川麻子の中学1年生、高校1年生、就職、社会人3年目を描いた作品。
家は古道具屋を営んでいる。
家族、恋愛、仕事、結婚という4つの「スコーレ」があったというのがタイトルの意味だろうと解説の方は書かれていた。
丁寧に丁寧に風景や内面が描写されていて、あっという間に読んだ。
私にとって物足りなかった部分を書く。
・あらすじにある「七葉の自由奔放さ」がよくわからなかった。
七葉との確執、七葉の思いも知りたかった。
何故七葉は古道具屋から遠ざかったのだろう?
・愼ちゃんが従姉妹たちをどう思いながら麻子に接していたのかよくわからなかった。
・幼少期から古道具屋にいて目が肥えていたのだろ -
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「たった、それだけ」ってことはない 「羊と鋼の森」が好きで手に取った宮下さんの本です。本を読んでいる自分を客観的に見る機会を与えてもらいました。作品によって楽しんでいたり、懐かしんでいたり、考え込んだり、場面によっても変わりますが、私は基本的には自分の過去と照らし合わせて懐かしんでいるように思いました。私は二度と同じ人生は繰り返したくありませんが、自分のことは好きです。たった、それだけ。
贈賄の罪に苛まれる様子や、逃避行の様子が描かれているのかと思いましたが、容疑者の周辺の人生にスポットを当てていたのが印象的でした。
「たった、それだけ」、「たった、それだけ -
Posted by ブクログ
七葉との思い出を回想するたびに、何かしら事件というか大きな出来事を予想するのに、特にない。事件になるようなことは何もない。しかし麻子の心の内には深く印象に残っている。現実にそんな思い出って本当にたくさんあるなって。そういうなんでもないんだけど、自分の心の内に刻み込まれていて、誰かと共有することが難しいくらい些細なことを丁寧に回想してくれるのが印象的でした。
人を愛すること、ものを愛すること、が語られるとき、骨董品屋の娘という生い立ちや靴屋への出向がとてもストンときた。「物に執着し過ぎること」と「ものを愛する能力」は広義で同意義なんだなと受け取りました。