あらすじ
周囲にうまく馴染めず、欠落感を抱えたまま十九年間を過ごしてきた私は、ヘルパーとして訪れた横江先生の家で、思い出の品に額をつける〈額装家〉の男性と出会う。他人と交わらずひっそりと生きてきた私だったが、「しあわせな景色を切り取る」という彼の言葉に惹かれて、額装の仕事を手伝うようになり――。不器用で素直な女の子が人の温かさに触れ、心を溶かされてゆく成長ものがたり。
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Posted by ブクログ
深読みでしかないけど
読み終わってから改めてタイトルを見ると
こういうことかなと想像が膨らむ。
後半に行くにつれ,主人公の思考回路の理由もどんどん明らかになっていき,
切ないようなやるせないような気持ちになるけど
彼女たちなりのあんころを見つけて行ってて
光が見えて嬉しい。
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人と関わる喜びからも悲しみからも距離をおいていた主人公が少しずつ枠をはみ出していく物語。主人公のモヤモヤした気持ちがきめ細やかに言語化されていてすごかった。一方で、あえてモヤモヤのまま残されている部分もあって面白かった。
人と関わる喜びも悲しみも、全部受け入れる覚悟を持とう。身の回りの人たちにちゃんと焦点を合わせて生かなければと思えた1冊。
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出会えて良かったと思える本。私が絵を描いているというのもあって、「額装」を中心に主人公が少しずつ変化していく描写が繊細で、少し寂しくて、それでも少しあたたかくなった。個人的にですが、先生の描写を読んでいると、自分の祖母に重ねられて、また、自分の親もそうなっていくのかなと、そんな気持ちが湧き上がってきた。同時に、今の時間ひとつひとつを大切にしようと思えた。 何度も読みたいです。
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主人公がつい頭の中で繰り広げてしまう言葉の連想が唯一無二。こういう思考ごできるのは「書く」からこそなのでは。宮下さんはアイデアをちゃんと手書きする方なのかも。などと妄想。
介護問題を押し付けるでもなく、額装の世界にどっぷりというわけでもなく、ひたすら今について語ってくれるやさしい物語。
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心あたたまる、固くなっていた自分の心がやわらかくなっていくようだった。
未熟児で生まれ、両親の経済と無知で保育器に入れられなかった佐古さん。どこか足りないけど、決して歩むことを止めない佐古さん。
「あんたは、大きいな」と佐古さんに言う隼。
佐古さんが自分自身を見る目が少しずつ変わり、
やがて自分を取り巻く人達を見る目も変わる。
保育器に入れられなかった事実を、佐古さんなりに解釈したときは佐古さんの成長を感じた。私では考えられない。物語の核心すぎるので伏せとく。
宮下奈都さんの静かな物語が、お気に入り。、
Posted by ブクログ
幼い頃から、人に話を聞いていると、雑音が混じって、聞き取ることができなくなってしまう。相手の話を聞いて、応えようとすると、聞き取りができなくってしまう。そのため、人間関係を築くことがなかなかできない主人公が、ヘルパーの仕事で入った「先生」に家で出会う人々、思い出を切り取り額をつける「額装」を学んでいくことで、今までに人間関係が少しずつ変化していく過程が描かれていく。
自分にとってちょうどいいペースで人と交わり、コミュニケーションをとることで、聞いたり、話すことが不自由なくできることってやはりあるよなあと思った。小説の最初から最後まで、ゆっくりと流れる時間が感じられて、心地よい。
普段の生活で疲れてしまっている心も癒されるような小説でした。自分のペースでゆっくりと生きていきたい。
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明言はされてないけど、受診を促されることもあり、発達障害の特徴がうかがえる主人公。
他人の言葉が意味のあるものとして聞き取れず、自分自身の感情にも鈍い。
ヘルパーとして派遣された先で、利用者である先生、先生の息子で額装の仕事をしているあのひと、そしてその息子の隼と出会い、先生の生活を見守りながら、額装の仕事に触れ、少しずつ、膜が張ったようだった自分自身の感情に気づいていく。丁寧に掬い取ったものを更に目を凝らして見つめたような心理描写がとても良い。額装を通して、様々なものを発見し、これまで諦めてきた他者や家族との関わりにも一歩踏み出していく。大きく展開が動くわけではないけれど、じんわり伝わってくるものがある、好きなお話。
Posted by ブクログ
理解が難しい表現が何ヶ所かあった。先生が、歯磨きの途中でいったん手を止めて、虫歯菌を油断させるという行動が面白いと思った。未熟児で生まれた人、色弱の人、その人たちにしか無い感性でしか生み出せない作品もあると感じた。
Posted by ブクログ
はじめは独特な主人公が少し苦手で読み続けるか悩んだけど、友人からの勧めだったのでとにかく読んでみることに。
結果、言葉や瞬間をひとつひとつ大事にする主人公から沢山考えさせられた。人間なんとなく生きてる。今は情報が溢れすぎているし自分のこと、自分の周りのことをゆっくり吟味する暇なんてない社会になってるけど、主人公みたいに噛み締めて歩みたい。今はわからないことでも、きっとこの先、今の瞬間の意味を見出せるはずだから。
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評価がわかれてる!私はすごく好き。
宮下さんの使う言葉、生み出す雰囲気、どこにでもいそうな登場人物、、、そういったものが温かく紡がれている。
先生の認知症は少しずつ、でもハッキリと進んでいて、それを認めたくない気持ちと、支えたい気持ち。佐古と隼の心理描写には、リアルなものがあると思う。
宮下さんの作品は時間の流れをゆっくり感じさせてくれる。とってもすてき。
Posted by ブクログ
未熟児として生まれ、そのせいで何かが足りないと思い生きてきた19歳の主人公。人が放つ声は語尾が濁るせいで意味を聞き取れず、人とうまく交流できない。そんな中、ヘルパーの仕事で訪れたある家では、言葉がちゃんと聞き取ることができる。そしてそこで出会う額装という仕事。足りないと思っていた自分の中には、測ることができない様々な感情があって、そこに少しずつ気づいていく。ちょっとしたきっかけで、今までなんとなしに眺めていた窓が、色んなものごとを切り取る枠である事に気づく。丁寧な心象の紡ぎ方が印象的な作品。
Posted by ブクログ
未熟児で生まれた20%前後に発達障害があるという。そんな“私”が出会った先生、あの人、隼たちとのかかわりによって様々なことに気づいていく物語。読後、サマータイムの歌詞が深く胸に刻まれる。私も毎日おかえりと応えてくれる声を願っている...。
Posted by ブクログ
額装、っていう仕事を通して、
思い出、瞬間、気持ち、に目を向ける、切り取る、っていう行為が繰り返し描かれてて素敵だなぁとおもった
しあわせな景色を切り取る。
こういう、専門的な職人さんを描くのは宮下奈都さんらしい気もする
描写が丁寧で、短編とはまたちがった良さ☺️
耳が聞こえにくいとか、未熟児とか、ばかとか、
人付き合いが難しいとか、
そういう賢さと、感じとる、っていう意味での賢さはやっぱり別だよなぁとおもう
ガーシュウィンっていうのはサマータイムの歌のことだったよ
Posted by ブクログ
とても好きな作品でした。
主人公が自分のことも周りのことも見えるまま、聞こえるまま受け取り、それ以上にもそれ以下にも膨らませない感覚が好ましかった。
独自の目線を持っており、感情を食べ物に置き換えたり、加減乗除の法則など出来事と感情を結びつける事がとても上手だなぁと感じた。
感覚が敏感だからこそ、言葉の裏は読み取れなくてもピリつく空気を感じ取ったり、言葉の音に美しさを感じ取ったり、繊細な部分で芸術的センスの持ち主なのだろう。
一つ物足りなかったのが、先生やあの人が主人公のどの部分を見て(聞いて)気に入ったのか、芸術的センスに気付いたのかを詳しく知りたかった。
出会ってすぐに気に入られていた様子だったので……。
Posted by ブクログ
未熟児なのに保育器にも入れられずに成長が遅れてしまった為に19歳で中学生の様な女の子の佐古さんは、周囲にうまく馴染めず、欠落感を抱えたまま生きて来た。そんな佐古さんがヘルパーとして勤めることになった額装屋でその独特で不思議な感性を見出され、生き場所を見つけて行く。
どことなく小川洋子さんを思わせる、でも全く独自の静かで美しい世界。
結局なんだったんだ?と考えれば、一言で表せるような結論など無く、ただ、「好き」とか「嫌い」と言ったド直球では無くて、曲がったり、落ちたり、突然浮かび上がったり、予測不能の変化をしながら進んで行く登場人物たちの感情の動きが妙に楽しくて。
弾ける様な感動では無く、ただ胸の中に静かに沈み、降り積もって行くものが有ります。
良い話ですね。
Posted by ブクログ
主人公の性格が本当に好き。
彼女自身におごりが全くないから、冷静に物事を見ることができている。
その俯瞰してみる見方が実に見事。
起こること、出会うひとをよく分析していると思う。
「私には意味がないよ。価値もないかもしれない。だけど、私が額装を手伝うことには意味があるし、価値もあるよ」
と佐古が言うところに、彼女の成長と清々しさを感じた。
Posted by ブクログ
とても良かったな。
博士の〜を思い出した。
この作者の作品をどんどん読んでみたいと思った。
良かった!
エラ・フィッツジェラルドのサマータイム、必ず聴いてみよう。
Posted by ブクログ
いつも宮下奈都の本を読むと
悲しいような、あったかいような空気感に包まれる
別にストーリーを必要としているのではない。
ただ大切なことがあるということを教えてくれる。
未熟児として足りないままに生まれてきた。
それでもいい。
それも個性として受け止めていく
足りないからこそ、優しい気持ちを持っている
他の人のことをすべて個性として受けとめる。
なかなか現代においては
そんな気持ちにならない。
どの作品を読んでも優しい気持ちになるのは作家の個性なんだろうね。
Posted by ブクログ
何かが足らない欠落感という枠に自身を閉じ込めていた佐古さん。後ろを向く理由や下を向く言い訳にしながら、自己に正直であろうとする無意識の真摯さも感じて嫌いになれない。
認めてくれる人や仕事、自分の居場所に出会って最後は枠から自由になれたんだな。
彼女も彼女を取り巻く人たちも日常の陰りを抱えている人生だけれど、それでもほんのりと胸が温もるのは誰も誰かを否定していないからなんだろう。
我が子も早産だったから、未熟児を「保育器には入れません」って選択が親にあって、それがまかり通る設定は驚きと同時に違和感があった。
Posted by ブクログ
静かな本。
本当、ずーっとコソコソコソコソと、
小さな声で話してる感じ。
よーーーく耳をすまさないと聞こえないくらいの、静かさ。
でも、ほんの少しその声に耳を傾けて世界観をのぞきたくて。
そーっとそーっとページを捲る。
大きい声だしたら、文字が逃げて行きそうな。
そんな臆病な本で。
逃げないように、静かに、ゆっくり丁寧にページをめくり。
なかなかこんなそーーーっとした気持ちで読む本。
久々だなぁ。
と、思ってしまった。
とっても臆病な本ですので、優しい気持ちで、お手柔らかに読んでもらいたい。
優しくしてほしい。
そんな一冊です。
#ガーシュウィン
#なんだろかい?
#挿絵
#優しい
#まさに
#なんとも言えない臆病な本
#文字が逃げ出しそうなくらい
#そーっと読んだ
#優しくしないと読ませてくれなさそうな
#臆病な本
#宮下奈都
Posted by ブクログ
やさしい世界
決してHappyな状況でも境遇でもないし
むしろ少し哀しみを持ち合わせているけど
それぞれが 自分自身を受けとめて
ゆっくり じんわりと
上昇しているような。。。
希望を感じるし 望みながら読んでいて
何故か藤井風のキラリが頭の中で
流れた
サマータイム。ではなく
やさしい世界であってほしい
彼らが 日々 小さな幸福を
積みあげられるような
見方を変えたら
感じることを変えたら
見える風景も 拡がるんだよね
狭い枠の中では
一方通行の見方では きっと苦しさが
目立ってしまう
私は時々 とても狭いから
この お話を読んで
あぁ、そうか…と気づいた
目まぐるしく 急ぎ気味の日々の中で
ちょっと立ち止まれる
そんな1冊だった
限りなく4に近い星3
本当は 数字は あまり
関係ないのだけど。。。
Posted by ブクログ
以前半分くらいまで読んで、読み進められなくなってそのままにしていた本。
また最初から読み直してみた。
主人公の心情が丁寧に描かれていた。
ちょっと独特な感性で。
でも、独特じゃない人なんていないと思う。
みんなちょっとずつ違っていて、感性が近い人と遠い人がいるだけではないか。
少なからずそのことはみんなわかっていると思うのだけれど、他人の気持ちを推し量れない人、うまく伝えられない人に世間は冷たい気がする。
理解できない言動をする人も、色々なことを感じたり、考えたりしているのにね。
そんな世間から気持ちを守るために感情を無意識に押し殺してきた主人公に胸が痛んだ。
最初は読みづらいな、と思って閉じてしまった本だけど、主人公が変化して行く様子に心が暖かくなるお話だった。
時間が経ったらまた読み返してみたいと思う。
Posted by ブクログ
小さな世界で大きな出来事は起きないけれども主人公は1つ1つに何故だろうと自分の答えを見つけていき、今まで何かが足りないと思っていた自分を、居場所を見つけていく。
小さな世界、繰り返される平凡な日常にあるからこそ1つの事について深く考えたり感じる事が出来少しずつ足元が固まっていく。
他の人には当たり前でも主人公には今までには自分とは関係の無い、手に入らないと思っていた事が周囲の人が彼女を受け入れてくれた事で彼女自身で考え選ぶ機会がもてるようになる。
ハッピーエンドというわけではないけれども彼女ならこの先も彼女のペースで生きていける幸せを祈りたくなるような作品でした。
Posted by ブクログ
「羊と鋼の森」があまりにも良くって、勢いで別の作品を読んだのですが、相性が合わず、じゃあ音楽モノならばと本作を読みました。
やっぱり「羊と鋼」は特別なんですかね。話がこじんまりしているんですよね。次回作に期待します。
Posted by ブクログ
人とは違う感性の中で悩みながら生きてきた主人公が額装を通して自己や家族、周囲と関わりながら生きていく話。誰もが人とは違う感性を持っているからこそ素晴らしいんだなと感じた
Posted by ブクログ
足りないもの、芽生えていくもの。失っていくもの、積み重ねていくもの。たおやかな言葉の紡ぎが印象深い。
拭えきれない挿絵の違和感は、解説に書かれた画家さんの想いと知る。
作中に出てくる『額装』ということばに引きずられ、挿絵に目が行き過ぎた感も否めず。
暫くあたためから再読したい。