太田忠司のレビュー一覧
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ネタバレ二人の作家さんが一枚の絵画からショートショートを出し合う競作企画。絵画もショートショートも好きな私には2度美味しい企画でした。楽しかったー!!
以下お気に入りの感想、ネタバレあり
「スフィ女」合コンに参加したら相手の女子がみんなスフィンクスみたいな格好している話。スフィ女と呼ばれる流行りがあって、スフィンクスみたいに家庭を守るよっていうアピールらしい。なにそれ最高だな!(笑)オチもいい。
「世紀の一戦」風神と雷神のプロレス中継で、解説者がなかなか話聞いてもらえないのが面白いなーと思って読んでたら、まさかの伏線やった!!上手い!
「くるよ」ぞわりとくるサスペンス、面白いー!ラストが怖い。人外の力なんだね。
「戦の始末」綺麗にまとめたなー!って感じ。絵画まんまで面白かった。オチもいいな。
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普段アンソロジーは手にとらないのですが、銀英伝トリビュートとくれば話は別です。
ファン必読の書と言えるでしょう。
列伝1とあるので、今後2、3と続いてほしいです。
では、簡単なエピソード紹介を。
①竜神滝の皇帝陛下(小川一水さん)
ラインハルトの新婚旅行中の数日が描かれます。
僕は最後の作者自身による注釈を見るまで気づきませんでしたが、原案はあの超有名な漫画の1エピソードらしいです。
冒頭のエピグラフに続いて、史書あるいは史家の論文と思しき記述があってから本編に入るという銀英伝らしさ溢れる構成に、一話目から胸が熱くなります。ラストに年表形式で語られるエピローグもいい。
②士官学校生の恋(石持浅海さん)
正伝でのお気に入りキャラの一人であるアレックス・キャゼルヌが主人公の、なんと安楽椅子探偵もの。
といっても、キャゼルヌの役回りはワトソンで、安楽椅子探偵は彼に縁のある一人の女性キャラなんですけどね。
ヤン・ウェンリーはまだ士官学校生で、ロベール・ラップやジェシカ・エドワーズも登場します。
③ティエリー・ボナール最後の戦い(小前亮さん)
宇宙歴791年、帝国歴482年。銀河史に燦然と輝く二人の英雄が姿を現す少し前の、とある艦隊戦が描かれます。
ルビンスキーも、まだフェザーンの自治領主補佐官として登場し、彼らしい暗躍ぶりを示します。
④レナーテは語る(太田忠司さん)
ほんの短い間、オーベルシュタインの部下だった女性レナーテの回想によって語られる、彼女の同僚の死をめぐるミステリー。
鋭すぎる切れ物オーベルシュタインの意外な一面も窺える良編です。
⑤星たちの舞台(高島雄哉さん)
士官学校卒業の直前、音楽学校の女子学生との二人芝居の舞台に立つヤンが描かれます。
とっても青春してるエピソードです。
⑥晴れあがる銀河(藤井太洋さん)
皇帝ルドルフの治政下、正伝には名前も出てこない数名の人々が、ルドルフの命令によって航路図を作る様が描かれます。
合わせて帝国の優生思想政策の萌芽も描かれており、帝国内の一般人にとっての暗い未来を容易に予想させる一編でもあります。
ラスト一行はニヤリですね。 -
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銀河英雄伝説公式トリビュート作品集の一巻。
六名の作家による六編の短編が収められている。
それぞれに、作家が本編に出てきた一文に着想を得ていたり、好きな人物をこうだったらと掘り下げてみたり、本編には過去の史実として書かれていることがリアルに知れるシーンが描かれていたり、自由で夢がある一冊。書き手から銀河英雄伝説への愛情が伝わってくる。
士官学校に通ってた頃のヤンが女装して舞台に立っていたり、オーベルシュタインに女性の部下がいたり、ラインハルトが良き父親として振る舞おうとしつつ釣りをしていたり・・・。
あれだけドラマチックな物語の中にいた人たちの何気ない日常が描かれていて、読んでいて楽しかった。
それぞれのキャラクターの個性が、ブレていない点も良かった。
1巻だから続くだろうし、続きも猛烈に楽しみ! -
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ネタバレカテゴリは合ってます(歴史だもんね)
作者に太田忠司先生がいるだけで「買います」だが他の作者さんも銀英伝好きが溢れてるお
作者公認の二次創作を嫌う人は多い、イメージが異なるからだと思うが40年も付き合っている作品ともなると別な一面を見る機会を逃す筈がありません
そもそも歴史はそんな一面だけで理解したつもりになってはいけないのです
太田先生の「レナーテは語る」
あのオーベルシュタインが這い上がる基礎を築いた事件です(ネタバレ)突然オーベルシュタインから遺産が当るとなれば人類なら等しく恐怖を覚えるだろう、そんな状況になったレナーテが情報処理課にいた頃「上司で名探偵」でもあったオーベルシュタインとの思い出話
事件の犯人こそ分かったが名探偵のチェスのような緻密な手腕に感心し、ラストのしゃれた話は気持ち良い
「星たちの舞台」ヤンの女優デビューですww
士官学校戦史研究科廃止阻止署名活動をした行動力を買われ、音楽学校学生寮敗死を阻止すべく立ち上がるヤン・ウェンリー(笑)演劇に使われる謎技術は感心したが、ヤンの性格を高島雄哉先生は見誤っていないか(爆)
目的を達成したか全然読み取れない読者ですまぬ
「晴れあがる銀河」は本編500年以上前で、銀河航路開発に監視&優性保護で我が身が危なく、避難する展開へ(鬼滅の刃の隠し村)を航路上で生み出した蔭にはフェザーン初代自治領主ラープ商会があるという禁断の歴史
「士官学校の恋」ある士官候補生の恋の裏にはとてつもないゴールデンバウム朝銀河帝国の陰謀があった
石持浅海先生、噂にたがわぬ力量の推理小説です
ミスマープルを彷彿させる作中の人物、恋バナを延々読まされたと思いきや!ヤンの先輩キャゼルヌが付き合いだしたオルタンス(本編ではただの良き妻)が紐解く
スパイってこういう陰謀をするものではないのですが、アガサクリスティ作品としてなら満点です -
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ネタバレ今回の謎解きはいつにも増してキレッキレだったと思う。
結構センシティブな内容を扱った話もあったので、攻めてるなあと。
その分、旦那様の推理も冴え渡って面白かった。
犯人が最初から分かっているパターンもあって、多種多様な事件を味わえたと思う。
また景子さんに憧れている新人女性刑事さんも登場。
彼女視点で警察側の話が進むので、視点はより読者に近づいた気がする(第三者視点よりも感情移入しやすい)
彼女の頑張りを見守るのもまた楽しみの一つ。
各話の冒頭にある紅茶と音楽の話も本当に素敵で、紅茶好きとしては堪らない仕様。
その話も無論最後に一つの大きなミステリとして読者の前に立ちはだかるのもお見事。
その謎解きも旦那様が華麗に解き明かしてくれる。
最後まで余すことなく楽しめる一冊だった。
これまでのシリーズの中で最高のクオリティではなかろうか。
惜しむらくは、景子さんが旦那様を押し倒す恒例シーンがなかったことくらいか。
大人になったな、景子さん……いや、元から大人なんだけど。
それが嬉しくもあり、寂しくもあり。 -
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ネタバレ【あらすじ】
オルゴール修復師・雪永鋼のもとに、遺産相続の話が舞い込む。いちど修理を引き受けたことはあるものの、直接会ったこともない洋服量販店の創業者が、所有しているオルゴールすべてを遺贈する、というのだ。理由がわからず、戸惑う鋼のもとに、相続放棄を唆す脅迫状が届く――。壊れたオルゴールが、鋼の手によって失われた音楽を取り戻したとき、奏でられた真実とは? 清廉な筆致で静かな感動を呼ぶ、傑作本格推理。
【感想】
オルゴールの修復師のお話。主人公に自分と似ているところがあったのがまず驚いたし、少し親近感がわいた。そして、オルゴールにまつわるいろんなストーリーがとっても楽しくて不思議でほんわかするお話ばかりだった。夢中になって読んだ。しばらくしたらまた読みたいなあと思うくらい良かった。 -
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怪獣映画はガチのリアリズムがないとだめだ。非現実としかいいようのない怪獣を召喚するにはまわりからリアルに固めていかねばならない。某ゴジラ映画には夢オチのが一本あって子供心にもあれは腹が立ったな。しかしまた、映画においてはとにもかくにも怪獣が出てきて、それが「絵」としてよくできていたら、放射能で巨大化したとかいうしょぼい設定であっても、それだけで説得力を持つ。何しろ人間は視覚をもっとも信じるのだから。
だから視覚を欠く怪獣小説は最初からハンディを負っているのだと思う。
本書は『怪獣文藝』の続編。続編といってもそもそもアンソロジーだから、話がつながっているわけではなくて、第2弾ということである。『怪獣文藝』のほうは読んでないのだが。
で、その夢オチというか、最初から主人公が繰り返し見る怪獣の夢の話で押していくのが有栖川有栖。こういうのもありか。
怪獣小説でリアリズムを追求すると、怪獣対策の行政組織ができて、というようになるだろうが、それは山本弘の『MM9』シリーズ。大倉崇裕は同工異曲の設定で、しかし怪獣の至近距離で迫力ある写真を撮って売る人々「怪獣チェイサー」を登場させたのが目新しい。
その山本弘は別種のリアリズムを、かつてあった冒険物語──映画にもあったような、少年雑誌にもあったような──を復興させることで得ようとする。20世紀半ばの密林、怪しい宗教団体、生け贄にされる半裸の少年、そこに現れる巨大生物。ほらなんだか懐かしい。
冒頭にはいまや特技監督の第一人者である樋口眞嗣が若いころに書いた怪獣映画の企画書が掲載されている。題して「怪獣二十六号」。土木機械で怪獣に立ち向かうのである。
美しかった母親は50歳を過ぎたころから急激に老婆のように老け込み、山に捨ててくれと言い出すようになった。梶尾真治「ブリラが来た夜」。「ブリラ」の名の由来が面白い。
怪獣とは少年の破壊衝動の具現化である。そしてそれが現実化したら世界は破滅する。ということを太田忠司はよくわかっているようだ。黒い虹を出す怪獣というのは『ガメラ対バルゴン』を踏まえているのだろうが、作品の暗い雰囲気に禍々しさを添えていて秀逸。
今度怪獣映画を公開する園子温監督は自主映画時代のエッセイだかフィクションだかわからないものを寄せている。怪獣が登場するのは「怪獣映画を撮った」とほらを吹いているところのみ。
脚本家小中千昭は東京地下の巨大ミミズをカルトに描くが、ちょっとシノプシス調。
もと角川書店社長の井上伸一郎の処女作は、時代劇というか元寇の時代が舞台で、『ガメラ』シリーズへのオマージュとなっている。これだけが二大怪獣対戦である。
以上8編。私は結構楽しんだ。
怪獣というと、破壊される大都会、応戦する自衛隊がステレオタイプでもあり期待されるところでもあるのだが、それは最初に述べたように周囲をリアルで固めていくことである。ここでも多くの作品がありきたりな現代生活に怪獣を登場させているのは、怪獣にリアリズムを持たせる方策かもしれない。だから遠未来を舞台にしたものとか、スペースオペラ+怪獣といった趣向がないのだろう。
ただ、「怪獣文藝」の場合、特撮映画とはやはり違う線を追求せざるを得ないのであろうから、私は本書では第一に太田忠司「黒い虹」、次に園子温「孤独な怪獣」が面白かったとしておこう。