太田忠司のレビュー一覧
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とても真面目で理屈っぽい理系大学生の涼太。
そんな涼太が出会ったのは、華房がつくる美しい和菓子。
その和菓子に魅せられた涼太は、和菓子職人になるべく和菓子学校へ。
主人公の涼太が言うことは、
とても理屈っぽいんだけど、
正直でまっすぐで嘘がないから、
私自身の心にも刺さることがたくさんあった。
そして、思ったことをすぐに行動にできる涼太をうらやましくも感じた。
和菓子学校で出会う同じ班のメンバーたちも涼太の言葉や行動に刺激され
気持ちの変化が起きていくのも良かったし、
仲間を応援したり、励まし合ったり、
青春をたくさん感じることできた。
和菓子ってとても不思議で奥深いな〜。
餡を作るにもいろんな方法があり、
どれが正解でも間違いでもない。
人生の選択に通ずるものがあるかもしれない。
そしてその人生の選択に対し、師匠が伝えた言葉が好き。 -
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ネタバレ心がほんわか温かくなる読後感。
和菓子つくりと人生観がうまく絡められているなぁ~と、定期的に読み返したくなる作品です。
主人公が和菓子作りを追求していく中で、読者も一緒に気づくのですが…
「人生にゴールなんてない。ましてや近道なんてものもない。常に目標を定め、それに向かって計画を立て、努力し続けることでしか、人は変化し続けられないのだ。」と。
自分自身と常に向き合って、心も体力も削っていく。
この作業を日々コツコツと積み重ねて生きることに意義があるのだと気づかされました。
しんどいですね~。
でも、そういった努力を積み重ねていく主人公たちの姿を見ていると、自然とやる気がでてくるのです。
「自分も頑張ろう」
「自分もこれなら少しずつ変われる。頑張れるかも」
ごちゃごちゃ考えていたものが吹っ切れて、前向きになれるのがいいですね。
『和菓子のアン』とは違った面白さがあるので、ぜひ『和菓子のアン』シリーズのファンの人も読んでほしいです。 -
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太田忠司『猿神』幻冬舎文庫。
古き良き時代を背景にしたホラー小説。
かつて隈笹が生い茂る『猿神』と呼ばれた土地が工業団地に開発される過程で何かしらの禁忌に触れ、何者かが解放されてしまう。
物語の舞台となる巨大自動車会社の部品製造を下請けする飯野電気もこの工業団地に立地していた。バブル末期、飯野電気で続発した奇妙な事件。果たして……
飯野電気は自動車会社の要求に応えるために連日のように深夜残業と休日出勤で社員は疲弊し、苛立ち、ついには暴行事件が発生する。さらには自殺、変死、品質問題までが起きて、飯野電気の工場は大混乱の渦に飲み込まれていく。
工場内に居る何者かの存在と次々と頭がおかしくなっていく人びと……
今野晴貴による解説が面白い。日本経済が発展する原動力となったトヨタ生産方式を引き合いに出し、本作には下請工場の闇の部分が色濃く描かれていることを主張する。しかし、これには全てではないが、おかしな誤解があるようだ。
戦後の日本の高度経済成長期。誰もが残業はおろか、休日を返上し、死に物狂いで働いた。当時、三種の神器と呼ばれた電化製品を買い求め、マイホーム、マイカーを手に入れることが皆の夢だった。1億総中流と呼ばれるこの時代は働けば働くほど対価が得られた。
やがて、実体を伴わないバブル経済が全盛を迎えるや、労働と対価のバランスは崩れる。一度、楽をして莫大な利益を手にした企業はそれが永遠に続くものと誤解する。
バブルが崩壊するや、安価な労働力を求め、多くの企業が海外に進出する。国内でも間違った政策により派遣法なる愚法が作られ、日本の労働者は搾取されるばかりで、安価に労働力を提供せざるを得なくなる。さらには時間外労働時間に規制が掛かり、労働力に応じた対価が得られぬ事態となり、ついには1億総貧乏時代を迎えることになった。
本体価格710円
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ネタバレある日、大学院に進む予定だった涼太が、和菓子の魅力に取り憑かれ和菓子職人を目指すところから始まる青春物語。
《個人的なみどころ》
主人公の涼太がすごく真の強い子で、後半でかなりハードないじめを受けていた事が露見するエピソードで、
「傷つく人間と傷つける人間では、傷つく方が悪いですから」という所があって、、めちゃくちゃ切なくなりました。しかも、前半では母親が死別みたいに扱われてたのに、後半では母親が自分を捨てて、愛に走ったやら、そもそも母親が不貞の中できた子とか無茶苦茶ハードなんですよ、この子、、。
しかも、パートナーが亡くなってひょうひょうと仕事のついでに、会いたいって、、あったら会ったで、あわよくば息子と暮らしたいみたいな、ふざけんなー!
いなぁよっぽど親代わりの叔父叔母が愛を注いだんだなぁって。てか
しかし、理系の道をまっしぐらに進んでいる中、大学では友達に恵まれていて、方向転換して大学院にいく道を和菓子に出会って、製菓の専門学校へとシフトチェンジした先での仲間に恵まれて、、良かったなぁって思う。理詰めで屁理屈野郎だけど、真っ直ぐで愚直な主人公に好感しかなかった。
個人的に泣けたのは川島さんが専門学校に入った理由、、。大好きな和菓子屋さんとのエピソード。
受け継いだレシピ、、食べてもらう事ができなかった自分が作った和菓子、、。切なすぎる。
ラスト、メンバーの未来が唐突に描かれてちょい端折りすぎ!と思ったけども、しんどいけど、自分で未来を決めた寿莉、留学する事に決めた、田城さん、、川島さんがお店を作るぞー!みたいなシーンもありほっこりした。
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ネタバレ銀英伝のトリビュート短編集。ラインハルトがルアーフィッシングをするなら、ヤンは2人劇で女装で役者をする。キャゼルヌ婦人の名探偵っぷりは堂に入ってるし、フェザーンと地球教はなるほどなるほど…
田中芳樹のすごいところは、あれだけ売れてあれだけ続編を書きやすそうな「銀英伝」を正伝10巻、外伝5巻できちっとけじめをつけたところだと思う。これは真逆の方向性だが、死ぬ間際までグインサーガを描き続けた栗本薫と同じくらいスゲーことだと、俺は思っている。
だからこそ、銀英伝の2次創作は枚挙にいとまがない。世の中にあふれたくっているのだが…、深い愛とそれを表現できる技術をもった一流の小説家たちが創る二次創作作品は、レベルが違う。
何事につけても、深い愛情と卓越した技術によって生まれ出たものは、それだけで傑出しているということやね。
次回作はあるのだろうか?ポプラン、シェーンコップ、メルカッツ、ムライ…同盟側の愛すべき連中の物語と、愛せないトリューニヒトの銀河の1ページをぜひとも読んでみたいぞ! -
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6人の作家による銀河英雄伝説公式トリビュート・アンソロジー。
原作が完結してから何年?1989年の完結?30年近く経て、トリビュートされるのは衰えない人気の証明。
嬉しい。
タイトルに列伝1とあるからには、今後も刊行の予定があるという含みと思います。銀英伝の世界が、銀河の歴史が1ページ、また1ページと増えてゆくわけです。これは嬉しい。
「竜神滝の皇帝陛下」
エミールのラインハルトへの心酔っぷりを評して、釣りをしている時も宇宙を釣り上げているようでした、という一文があったことを思い出す。そこからふくまらせた作品。日常生活というか余暇を楽しむことができないラインハルト。彼の数少ない日常の光景を垣間見える、と言いたいところだが、そう上手くはいかない。違う作家の文言ではあるが、彼に『目指せ一般市民』はできないのである。
エミールがラインハルトとの約束を果たしている将来も伺えてニヤリとする。帝国一の信頼と忠節を持ち合わせる医師であったのでしょう。
「士官学校生の恋」
魔法使いは、いつでも魔法使いだった。ヤン艦隊に欠かすことのできない重要人物アレックス・キャゼルヌ。彼が風邪をひいたらイゼルローンが風邪をひく、そう言わしめたキャゼルヌ。その彼が頭が上がらない人物であるオルタンス夫人。彼女なくしては、ヤン艦隊は成り立たない。
女は何でも知っているのよ、とウインクされたら、ホールドアップ。探偵オルタンスの続編希望。
「ティエリー・ボナール最後の戦い」
題名のボナール少将の活躍と引き際の良さもいいのだが、在りし日のウランフと、未だ何者でもないルビンスキーの存在に、目を引かれてしまう。
ボナール少将の軍人としての終わり方は、ひょっとするとヤンが描いていた理想系なのでは。過不足なく職務を勤め、悠々自適な年金生活を送るという。二人の天才を筆頭に紡がれた、激動の時代が始まる寸前にリタイアするという、この時代で最も幸福な人生を送った人物の一人か、ティエリー・ボナール。
「レナーテは語る」
あのオーベルシュタインが犬を飼っているだと!あのオーベルシュタインがか。
その遠因になったであろう事件の物語。登場した最初から退場の最後まで憎まれ役を担い続けたオーベルシュタイン。人間臭さというものを感じるエピソードがほとんどなかった彼に、唯一あるのがあの犬。
また、彼を偲んで語り合うという構成がいい。これをロイエンタールあたりが見かけたら、なんと思ったことか。皮肉の一つでもいうのだろうけど、きっと無表情で受け流されてしまうのだろう。ヴァルハラでも、相変わらずの相容れない関係。
「星たちの舞台」
ちょっと入り込めなかった作品。個人的には、悪巧みに奔走するアッテンボローを見たかった。ヤンとヒュパティアの掛け合いに、何を見出すか読み取るか、が自分の中にあれば違った感想になっていたはず。
小さなものでも、誰かにとって大事な存在であれば蔑ろにしない、というヤンの主義、というほど大上段ではないが、はこの頃から変わらないのだと嬉しくなる。それを表現できるから、同盟と共にあったのだから。
「晴れあがる銀河」
ルドルフ登極直後の銀河帝国。晴れあがるというタイトルとは裏腹に、作品通じて感じるのは不透明な空気。新しい時代が始まったはずなのに、新たな時代の夜明けに立ち会っているはずなのに、闇が押し寄せてくるような不安。
その違和感を感じている少数の人間が、避難するべく選んだのが後の、という作品。
晴れあがってゆく世界に残った微かな影。その存在は、どぎつい光で宇宙を照らそうとしたルドルフの帝国に何をもたらすのか。その影の中には、深い闇が潜んでいるとは、知るはずもないこと。おもしろい。
ポプランを主人公にした作品がなかったのは意外。本伝後のポプランだと、宇宙海賊サーガになってしまいそうではある。
早く2巻を読みたい。さらなる銀河の歴史のページをめくりたい。