【感想・ネタバレ】猿神のレビュー

あらすじ

バブル末期、巨大自動車会社の最新モデルの部品製造を下請けした飯野電気。工場の全員が連日の深夜残業と休日出勤で心身疲弊の極限に達し、暴行事件が発生。そして聞こえる奇怪な音。事故の連鎖、自殺、突然死さらに殺人。出没する正体不明の影。だが最優先される納期、無言の勤務。気づけばいたるところ隈笹が不気味に繁茂し......。傑作ホラー。

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Posted by ブクログ

太田忠司『猿神』幻冬舎文庫。

古き良き時代を背景にしたホラー小説。

かつて隈笹が生い茂る『猿神』と呼ばれた土地が工業団地に開発される過程で何かしらの禁忌に触れ、何者かが解放されてしまう。

物語の舞台となる巨大自動車会社の部品製造を下請けする飯野電気もこの工業団地に立地していた。バブル末期、飯野電気で続発した奇妙な事件。果たして……

飯野電気は自動車会社の要求に応えるために連日のように深夜残業と休日出勤で社員は疲弊し、苛立ち、ついには暴行事件が発生する。さらには自殺、変死、品質問題までが起きて、飯野電気の工場は大混乱の渦に飲み込まれていく。

工場内に居る何者かの存在と次々と頭がおかしくなっていく人びと……

今野晴貴による解説が面白い。日本経済が発展する原動力となったトヨタ生産方式を引き合いに出し、本作には下請工場の闇の部分が色濃く描かれていることを主張する。しかし、これには全てではないが、おかしな誤解があるようだ。

戦後の日本の高度経済成長期。誰もが残業はおろか、休日を返上し、死に物狂いで働いた。当時、三種の神器と呼ばれた電化製品を買い求め、マイホーム、マイカーを手に入れることが皆の夢だった。1億総中流と呼ばれるこの時代は働けば働くほど対価が得られた。

やがて、実体を伴わないバブル経済が全盛を迎えるや、労働と対価のバランスは崩れる。一度、楽をして莫大な利益を手にした企業はそれが永遠に続くものと誤解する。

バブルが崩壊するや、安価な労働力を求め、多くの企業が海外に進出する。国内でも間違った政策により派遣法なる愚法が作られ、日本の労働者は搾取されるばかりで、安価に労働力を提供せざるを得なくなる。さらには時間外労働時間に規制が掛かり、労働力に応じた対価が得られぬ事態となり、ついには1億総貧乏時代を迎えることになった。

本体価格710円
★★★★★

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2022年10月10日

Posted by ブクログ

現実味があるようで無いような話し。実際バブルの頃TOYOTAで働いていたが、毎日残業続きだった。
さすがに休日出勤は無かったが、あった部署もかなりあったのは事実だ。あの頃はそれが当たり前でなんとも思わなかったのが実感である。

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2024年08月18日

Posted by ブクログ

読み易い文章で先が気になりサクサク読めましたが、結局何にも分からずに読み終わりました。結果、この作品のジャンルもホラーなのかミステリーなのか、それともプロレタリア文学なのか分からずじまいで、なんかモヤモヤします。解説を読んでも何の解説をしてるんだろうって感じでした。

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2022年12月13日

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