太田忠司のレビュー一覧

  • 銀河英雄伝説列伝1

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    ネタバレ

    恒久平和なんて人類の歴史上なかった。だから私はそんなもののぞみはしない。だが何十年かの平和でゆたかな時代は存在できた。吾々が次の世代になにか遺産を託さなくてはならないとするなら、やはり平和がいちばんだ。そして前の時代から手わたされた平和を維持するのは、つぎの世代の責任だ。それぞれの世代が、のちの世代への責任を忘れないでいれば、結果として長期間の平和がたもてるだろう。忘れれば先人の遺産は食いつぶされ、人類は一から再出発ということになる。まあ、それもいいけどね。

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    2025年11月23日
  • 和菓子迷宮をぐるぐると

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    理系の大学生、河合涼太が「子どもの頃に母が作ってくれたぼたもち」を自分で作ってみたくて、
    製菓学校に通うお話。

    数式やら理系の言葉やらが難しくて、そこは正直斜め読みしました。
    製菓学校で出会った子たちと交流し、学校に入学するきっかけを作ってくれた華房さんや、その弟子のティンさんたちとの交流の中から、
    「なぜ自分はぼたもちを作りたいと思ったのか」がどんどん紐解かれていく。

    理屈で考えることで、余計な感情に振り回されず、他人の価値観も入ってこないため、物事をシンプルに考えることの良さを感じる。

    いわゆる「空気を読む」「常識的に」に囚われると動けなくなる。

    登場人物のそれぞれが、環化しあって

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    2025年08月23日
  • 和菓子迷宮をぐるぐると

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    クスッと笑える、和菓子のお話。
    超理系の真面目男子が小さい頃に食べたお母さんのあんこの味を求めて餡の迷宮へ迷い込む。憧れの和菓子職人や製菓学校での日々はクスッと笑える要素ありつつ、なかなか読み応えがあってあっという間に読んでしまった。

    誰しも得意じゃない部分はあって、それはうまく捨てつつ、自分の持ち味を生かしていくというのがいいなと思った。

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    2025年08月16日
  • こわい話の時間です 部分地獄

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    児童向けホラーアンソロジー。しかし執筆陣を見てわかるように、子供向けだと侮れはしません。
    一番怖かったのは澤村伊智「靴と自転車」。ちょっと心温まる系……かと思いきや、とんでもなかったです。それでも起こってしまう悲劇は予想されたものの、まさかこんな結末だとは。
    表題作の斜線堂有紀「部分地獄」、これは子供の頃だったら一番読みたくなかった作品です。たぶん一番怖く感じたかもしれないし。ある意味「部分」の方が凄惨かも。
    井上雅彦「きれいずかん」、芦沢央「ログインボーナス」、宮部みゆき「よあるきのうた」もお気に入りです。怖さもあるけれど、そればっかりではない。どれも素敵です。

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    2025年08月07日
  • ショートショート美術館 名作絵画の光と闇

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    『ショートショート美術館 名作絵画の光と闇』太田忠司 田丸雅智

    世界の名画を題材に太田さんと田丸さんがショートショートを書いた共著。本としては共作であり、各作品は競作。互いに競う合うように、書いているのがめちゃくちゃ面白い。オール讀物で連載していたそうで、いわば相手の出方も考慮して、「最もベタ」っぽいことは外して、一歩踏み込んだ設定で書いている気がする。ハイクオリティの作品がずらりと並ぶ。人によって捉え方や着目するポイントが違うのも楽しめてよかった。

    絵自体が物語性を持っているので、自分ならどんな話にするかな〜と考えながら読めるのも面白い。題材といっても、フリにするのかオチにするのか、入り

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    2025年07月28日
  • 和菓子迷宮をぐるぐると

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    りょうたの実直さとじゅりの素直さ、花總さんとティンちゃんの厳しさ
    ちはるさんおさむさんの優しさ、
    同級生の心強さ。
    みんなみんな良かった。
    最後の終わり方、自然とふふってなってしまった。

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    2025年06月11日
  • ショートショート美術館 名作絵画の光と闇

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    美術館好きの私には大好物の企画、文藝春秋さまに感謝感謝。
    ショートショートの作者2人が、ゴッホやムンク、俵屋宗達、平山郁夫など其々の絵画にヒントを得て描く物語。競作とは言うものの、どちらも魅力的で視点の違いが面白く伝わってくる。
    絵を見て読み再び絵を観ると今迄とは違って感じる不思議感も堪能できた。

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    2025年06月09日
  • 名古屋駅西 喫茶ユトリロ 龍くんは河童と踊る

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    おもしろかった!!

    龍くんと名古屋グルメのこのシリーズ、ここまで読んできて本当によかった!! 

    5巻目にして太田忠治さんの集大成を見た! と思わず感涙にむせびそうになりましたw

    以前、太田忠治さんのインタビューで、
    「この年齢(80代)になったから、一度は、戦争について自分なりに整理しておきたいと思うようになった」
    とおっしゃっていて、今回、

    太田忠治さんなりの、これが戦争への始末か、と感無量。

    今回、龍くんは、戦後の闇市から発展してきた名古屋西口の歴史をたどる。

    一面焼け野原から復興してきた時代と、現在の名古屋駅西口の状況は、ぜんぜん違うようで似ている。
    リニア新幹線が通るのは決

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    2025年06月05日
  • 銀河英雄伝説列伝1

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    ネタバレ

    読み終えるまでに時間はかかったものの、三作くらい読むと後は毎夜日課になって直ぐ読み終えた。
    各者の銀英愛が眩しい。
    太田忠司の暖かで素直なミステリも素晴らしい。
    小川一水はビジュアル面で印象的に切り取って終わる。
    小前亮の実に正攻法な艦隊同士の大戦は銀英伝の面白みを再確認させる。
    藤井太洋の短編は「これどうなってるのかな…」などと見ていたら実に衝撃的な展開で成程!と。ある意味ニヤリともした。
    激推しは高島雄哉の「星たちの舞台」で、ヤンというキャラクターを見たまんまのパロディやコピーにせず、彼ならばこの状況ではこうもあり得るだろう、という絶妙で繊細なキャラクターに仕上げ、若き日のヤンの繊細さに惚

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    2025年05月13日
  • 和菓子迷宮をぐるぐると

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    和菓子のアン の坂木司さんがコメントを寄せていてほっこりしたい気持ちだったので手に取ってみた。

    涼太のキャラクターがとても際立っていた。
    まっすぐで細やかで、でも鈍感で。
    独特な感性をもち、人との付き合い方が苦手なように思えて、ある意味忌避されがちなタイプ?
    しかしこのお話の中では涼太を見守ってくれる修さんや千春さんがいて、涼太は人を肯定し、仲間に肯定されていく。
    千春さんが心配していたのと裏腹に、モテモテだったりして!笑
    そんな涼太の考えを聞いていると、ハッとさせられることが多く、また師匠のことばに気付かされることも多く。
    専門的な言葉も多く、学びになることもあった。

    お菓子作りって科学

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    2024年12月17日
  • ショートショート美術館 名作絵画の光と闇

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    一話一話、面白くて、次の話を読む前にまずその世界観が消えていくのを待ってから進む。
    まず扉絵を見て、作者たちの一言を読んで、どんな話が待っているんだろうと想像する。毎回、想像以上。
    作者二人の競作という形だけど、甲乙つけがたい。個人的にはわずかに太田忠司さんの話しのほうが印象に残った。

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    2024年11月14日
  • 星町の物語 奇妙で不思議な40の風景

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    1番好きな本の一冊(1番とは。)
    ちょっと不気味なんだけど、丁寧でどこかあったかい。
    星町を訪れてみたくなります。

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    2024年09月08日
  • ぐるぐる、和菓子

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     これまでに他の作家さんたちの、和菓子を扱う小説をいくつか読んできたが、また違う視点で描かれているように思いおもしろかった。
     登場人物たちの設定もバランスが良い感じ。涼太と伯父伯母との関係も気持ち良い。ロジカルシンキングは伯父さん似、まっすぐなのは最後に出てくる母親似か。
     和菓子職人の弟子が日本人でないのも違和感がなくて良い。
     やりたい事が見つけられない、定まらない寿莉には共感する人も多いのでは。コンテストの試作を女子メンバーに披露する場面、彼女たちの励ましや提案が素敵だった。

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    2024年07月07日
  • ぐるぐる、和菓子

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    ザ・理系大学生×和菓子という異色の組み合わせが面白い。主人公の涼太は、いろんなことに興味を持ち、その興味にすぐに飛びつくので、読めばかなりうんちくを知れる(ほんとどうでもいい内容が多くて頭には残らなかったけど!)。

    製菓学校の仲間たちも魅力的なキャラクターで、テンポよく読める。高校を卒業してこれからどうしていくか、将来を考え始める時期にある彼らのものの考え方や受け止め方は、懐かしくも新鮮な気持ちで読めた。

    タイトルのぐるぐるはあんこの炊き方に繋がっていた。あんなにあんこの炊き方がさまざまだとは。まさに迷宮。
    将来、人間関係、色々なことをぐるぐる考えるのが人間なのだろうな。人生も迷宮だ。

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    2024年06月27日
  • 名古屋駅西 喫茶ユトリロ 龍くんは引っ張りだこ

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    シリーズ4作目。名古屋めしに興味をひかれてシリーズを読み始めましたが、主人公が将来に悩む姿やそれを見守る周囲の人たちの温かい視線が素敵でした。名古屋にごはんを食べに行きたくなります。カフェでなく喫茶店文化、なくならないでほしいです。

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    2024年06月27日
  • 銀河英雄伝説列伝1

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    なんとも豪華な公式トリビュート。執筆者は、石持浅海、太田忠司、小川一水、小前亮、高島雄哉、藤井太洋。
    それぞれの作家の持ち味がしっかりと出ていて面白い。キャラクター重視のものと世界観重視のものがあるのも面白い。
    それら全てを飲み込めるのが銀英伝の魅力だろう。表題作の視点には驚き楽しんだ。

    勿体なくて勿体なくて、ついつい長い間眠らせていましたが、ついに読んじゃいましたよ。
    本伝も様々な作家がそれぞれの視点で書かないかしら。アニメやコミカライズがやっていることを小説でもやれれば面白いのに。三国志とかみたいに。
    なんて思ったりして。

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    2024年05月29日
  • ぐるぐる、和菓子

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    とても真面目で理屈っぽい理系大学生の涼太。
    そんな涼太が出会ったのは、華房がつくる美しい和菓子。
    その和菓子に魅せられた涼太は、和菓子職人になるべく和菓子学校へ。

    主人公の涼太が言うことは、
    とても理屈っぽいんだけど、
    正直でまっすぐで嘘がないから、
    私自身の心にも刺さることがたくさんあった。
    そして、思ったことをすぐに行動にできる涼太をうらやましくも感じた。

    和菓子学校で出会う同じ班のメンバーたちも涼太の言葉や行動に刺激され
    気持ちの変化が起きていくのも良かったし、
    仲間を応援したり、励まし合ったり、
    青春をたくさん感じることできた。

    和菓子ってとても不思議で奥深いな〜。
    餡を作るにも

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    2024年04月28日
  • 和菓子迷宮をぐるぐると

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    個性豊かな若者たちが和菓子を通して、自分と向き合っていくひたむきさや悩みが羨ましいと思うこと場面もありました。久しぶりに和菓子屋さんに行ってみようと思います。

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    2024年04月21日
  • ぐるぐる、和菓子

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    ネタバレ

    心がほんわか温かくなる読後感。
    和菓子つくりと人生観がうまく絡められているなぁ~と、定期的に読み返したくなる作品です。
    主人公が和菓子作りを追求していく中で、読者も一緒に気づくのですが…
    「人生にゴールなんてない。ましてや近道なんてものもない。常に目標を定め、それに向かって計画を立て、努力し続けることでしか、人は変化し続けられないのだ。」と。
    自分自身と常に向き合って、心も体力も削っていく。
    この作業を日々コツコツと積み重ねて生きることに意義があるのだと気づかされました。
    しんどいですね~。
    でも、そういった努力を積み重ねていく主人公たちの姿を見ていると、自然とやる気がでてくるのです。
    「自分

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    2024年04月14日
  • ぐるぐる、和菓子

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    理屈っぽい理系大学生があることをきっかけに、和菓子職人を目指す話。主人公の生真面目な性格が、周囲の人たちのその後の人生に良い影響を与えているのが読んでいてわかった。

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    2024年04月05日