太田忠司のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
理系の大学生、河合涼太が「子どもの頃に母が作ってくれたぼたもち」を自分で作ってみたくて、
製菓学校に通うお話。
数式やら理系の言葉やらが難しくて、そこは正直斜め読みしました。
製菓学校で出会った子たちと交流し、学校に入学するきっかけを作ってくれた華房さんや、その弟子のティンさんたちとの交流の中から、
「なぜ自分はぼたもちを作りたいと思ったのか」がどんどん紐解かれていく。
理屈で考えることで、余計な感情に振り回されず、他人の価値観も入ってこないため、物事をシンプルに考えることの良さを感じる。
いわゆる「空気を読む」「常識的に」に囚われると動けなくなる。
登場人物のそれぞれが、環化しあって -
Posted by ブクログ
児童向けホラーアンソロジー。しかし執筆陣を見てわかるように、子供向けだと侮れはしません。
一番怖かったのは澤村伊智「靴と自転車」。ちょっと心温まる系……かと思いきや、とんでもなかったです。それでも起こってしまう悲劇は予想されたものの、まさかこんな結末だとは。
表題作の斜線堂有紀「部分地獄」、これは子供の頃だったら一番読みたくなかった作品です。たぶん一番怖く感じたかもしれないし。ある意味「部分」の方が凄惨かも。
井上雅彦「きれいずかん」、芦沢央「ログインボーナス」、宮部みゆき「よあるきのうた」もお気に入りです。怖さもあるけれど、そればっかりではない。どれも素敵です。 -
Posted by ブクログ
『ショートショート美術館 名作絵画の光と闇』太田忠司 田丸雅智
世界の名画を題材に太田さんと田丸さんがショートショートを書いた共著。本としては共作であり、各作品は競作。互いに競う合うように、書いているのがめちゃくちゃ面白い。オール讀物で連載していたそうで、いわば相手の出方も考慮して、「最もベタ」っぽいことは外して、一歩踏み込んだ設定で書いている気がする。ハイクオリティの作品がずらりと並ぶ。人によって捉え方や着目するポイントが違うのも楽しめてよかった。
絵自体が物語性を持っているので、自分ならどんな話にするかな〜と考えながら読めるのも面白い。題材といっても、フリにするのかオチにするのか、入り -
Posted by ブクログ
おもしろかった!!
龍くんと名古屋グルメのこのシリーズ、ここまで読んできて本当によかった!!
5巻目にして太田忠治さんの集大成を見た! と思わず感涙にむせびそうになりましたw
以前、太田忠治さんのインタビューで、
「この年齢(80代)になったから、一度は、戦争について自分なりに整理しておきたいと思うようになった」
とおっしゃっていて、今回、
太田忠治さんなりの、これが戦争への始末か、と感無量。
今回、龍くんは、戦後の闇市から発展してきた名古屋西口の歴史をたどる。
一面焼け野原から復興してきた時代と、現在の名古屋駅西口の状況は、ぜんぜん違うようで似ている。
リニア新幹線が通るのは決 -
Posted by ブクログ
ネタバレ読み終えるまでに時間はかかったものの、三作くらい読むと後は毎夜日課になって直ぐ読み終えた。
各者の銀英愛が眩しい。
太田忠司の暖かで素直なミステリも素晴らしい。
小川一水はビジュアル面で印象的に切り取って終わる。
小前亮の実に正攻法な艦隊同士の大戦は銀英伝の面白みを再確認させる。
藤井太洋の短編は「これどうなってるのかな…」などと見ていたら実に衝撃的な展開で成程!と。ある意味ニヤリともした。
激推しは高島雄哉の「星たちの舞台」で、ヤンというキャラクターを見たまんまのパロディやコピーにせず、彼ならばこの状況ではこうもあり得るだろう、という絶妙で繊細なキャラクターに仕上げ、若き日のヤンの繊細さに惚 -
Posted by ブクログ
和菓子のアン の坂木司さんがコメントを寄せていてほっこりしたい気持ちだったので手に取ってみた。
涼太のキャラクターがとても際立っていた。
まっすぐで細やかで、でも鈍感で。
独特な感性をもち、人との付き合い方が苦手なように思えて、ある意味忌避されがちなタイプ?
しかしこのお話の中では涼太を見守ってくれる修さんや千春さんがいて、涼太は人を肯定し、仲間に肯定されていく。
千春さんが心配していたのと裏腹に、モテモテだったりして!笑
そんな涼太の考えを聞いていると、ハッとさせられることが多く、また師匠のことばに気付かされることも多く。
専門的な言葉も多く、学びになることもあった。
お菓子作りって科学 -
Posted by ブクログ
ザ・理系大学生×和菓子という異色の組み合わせが面白い。主人公の涼太は、いろんなことに興味を持ち、その興味にすぐに飛びつくので、読めばかなりうんちくを知れる(ほんとどうでもいい内容が多くて頭には残らなかったけど!)。
製菓学校の仲間たちも魅力的なキャラクターで、テンポよく読める。高校を卒業してこれからどうしていくか、将来を考え始める時期にある彼らのものの考え方や受け止め方は、懐かしくも新鮮な気持ちで読めた。
タイトルのぐるぐるはあんこの炊き方に繋がっていた。あんなにあんこの炊き方がさまざまだとは。まさに迷宮。
将来、人間関係、色々なことをぐるぐる考えるのが人間なのだろうな。人生も迷宮だ。
-
Posted by ブクログ
とても真面目で理屈っぽい理系大学生の涼太。
そんな涼太が出会ったのは、華房がつくる美しい和菓子。
その和菓子に魅せられた涼太は、和菓子職人になるべく和菓子学校へ。
主人公の涼太が言うことは、
とても理屈っぽいんだけど、
正直でまっすぐで嘘がないから、
私自身の心にも刺さることがたくさんあった。
そして、思ったことをすぐに行動にできる涼太をうらやましくも感じた。
和菓子学校で出会う同じ班のメンバーたちも涼太の言葉や行動に刺激され
気持ちの変化が起きていくのも良かったし、
仲間を応援したり、励まし合ったり、
青春をたくさん感じることできた。
和菓子ってとても不思議で奥深いな〜。
餡を作るにも -
Posted by ブクログ
ネタバレ心がほんわか温かくなる読後感。
和菓子つくりと人生観がうまく絡められているなぁ~と、定期的に読み返したくなる作品です。
主人公が和菓子作りを追求していく中で、読者も一緒に気づくのですが…
「人生にゴールなんてない。ましてや近道なんてものもない。常に目標を定め、それに向かって計画を立て、努力し続けることでしか、人は変化し続けられないのだ。」と。
自分自身と常に向き合って、心も体力も削っていく。
この作業を日々コツコツと積み重ねて生きることに意義があるのだと気づかされました。
しんどいですね~。
でも、そういった努力を積み重ねていく主人公たちの姿を見ていると、自然とやる気がでてくるのです。
「自分