太田忠司のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「予告探偵 木塚家の謎」
予告状を勝手に送りつけては謎を解くと宣言し、木塚を連れ回す探偵・摩神尊。しかし、摩神と木塚の間には、数奇な運命が存在する。
摩神尊とは如何なる人物か。まずは、傲慢不遜である。何せ、見ず知らずの人にいきなり予告状を送りつけるのだ。それも、幸福を予告するのではなく、「罪ある者は心せよ」と脅迫にもとれる不吉な謎解き予告をする、さらに、彼自身どんな謎を解くのか、分かっていないのだ。全く傲慢不遜の枠では収まらない男と言える。
しかし、次に挙げねばならないことは、頭は大層切れるということだ。探偵としては、申し分ない頭脳明晰ぶり。それに、相手を良くも悪くも引き付ける性質も相手の心理を見抜く洞察力も、精神的な図太さも兼ね備えている。もしや、名探偵と言えるかも知れない。
そんな摩神尊が、4つの事件の謎を解いていくのが、「予告探偵 木塚家の謎」です。今まで摩神尊のことについて述べてきましたが、実は摩神尊に連れ回される木塚という人物が重要なキーになっています。
摩神尊が謎を解くという推理要素、実は、謎だけではなく人間関係なるものも解くという意外な要素に加え、この木塚と摩神尊の数奇な運命も、非常に強烈な魅力になっています。
実は、ちょこちょこ摩神尊がある事柄に関する伏線を張ってくれているんですね。その伏線が「木塚家の謎」で1つに結び付くんですが、その結びつきが果たして本物か偽物か分からないw
読み終わって、「はて、本当か?」「いや、これはひっかけか?」と読者は悩んで考え想像してしまう。そんなところに主題が立ち上がってくるところもとても面白いし、やられたな、という感じですw
突き放され、唸らされ、摩神尊にビビっとさせられる。