あらすじ
黒い革ジャンにジーンズ、そしてフルフェイスのヘルメットを身につけた男は、ナイフを突き出して言った。「金を出せ」。だが、その声はまだ幼い。――午前二時過ぎ、コンビニの店番をつとめていた元警官・阿南は、店に押し入った若い男に自分の蓄えから五十万円を用立ててやることで、強盗を思いとどまらせた。しかし数日後、阿南は他所のコンビニで起きた強盗傷害事件のことを知り、男の行方を追うため、またも私立探偵まがいの行動をとることになる。その中で出会う孤独な人々との交流、そして意外な真実。著者のライフワーク・シリーズ、第3弾。解説=村上貴史
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
シリーズ3作目。石川県に流れ、コンビニでアルバイトをする阿南ももう37歳。深夜勤務の際、ナイフを持った強盗が現れた。まだ若い犯人に阿南は提案する。「このまま帰ってくれたら警察に通報せず、50万を渡す」数日後、他のコンビニに入った強盗は「他所では50万くれた」と言った。責任を感じた阿南は、遺留品の免許証を頼りに自宅に訪ねると2週間前に亡くなっていた…関わる少年少女のすえが気になり一気読み!相変わらずガチガチに堅い阿南。だか、前2作ほどの暗さは感じなかった。ラストのマナどの関係は驚かされたが、それだけ阿南が人間らしくなったということか…
Posted by ブクログ
阿南シリーズ3作目。
今作の舞台は石川県。阿南の仕事はコンビニ店員に変わっている。自分の勤務先のコンビニに強盗が押し入り、その犯人を諭して自分の金を貸したことから、再び探偵まがいの失踪人調査の依頼を受けることになる。
相変わらずの、自分をとことんまで律した孤独な生き方の主人公。でも、コンビニの同僚と会話したり、事件で関わった女の子のことが気になってみたりと、前作よりちょっと社会性が出てきたかな。女の子に振り回されている阿南が可愛く思えてきたり。
最後まで読んで、再び最初のページを読むと、ああ、なるほどと思います。シリーズの中では今作が一番好き。
Posted by ブクログ
阿南シリーズ第三弾。バイト先のコンビニに押し入ってきた強盗を見逃した阿南だが、後日同一犯と思われる人物による強盗事件が起こったことに責任を感じた彼は犯人の調査を行う。主人公が同じだけで事件の概要が毎度異なることが新鮮で面白いです。この巻では阿南が新聞を読み始めたり、スポーツジムに通うようになったりと社会との距離の取り方を変えたことに安心しました。まだ罪の意識は消えていないけれども、最後の心地よい温かさが積み重なって自分を許せる日が来ることを願っています。次巻も楽しみにしています。