あらすじ
予告状を勝手に送りつけては謎を解くと宣言し、木塚を連れ回す傲岸不遜な探偵・摩神尊。例によって木塚が無理矢理同行させられた先は、装飾から調度に至るまで全てが猫モチーフにまみれた異様な館だった――(「カタコンベの謎」)。空前絶後の予告探偵・摩神が、連綿と受け継がれる血脈に潜む五つの「謎」を解く、異色の連作短篇集。
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Posted by ブクログ
面白かった。
予告探偵という設定が気に入っていたので、
魔神尊の正体は別にどうでも良かったが、
いろいろなホームズとワトソンの組み合わせが楽しめて良かった。
でも、この展開ではシリーズ化されそうにないのが、残念。
あと、ニ、三冊書いてから、この本でも良かったのでは。
Posted by ブクログ
「予告探偵 木塚家の謎」
予告状を勝手に送りつけては謎を解くと宣言し、木塚を連れ回す探偵・摩神尊。しかし、摩神と木塚の間には、数奇な運命が存在する。
摩神尊とは如何なる人物か。まずは、傲慢不遜である。何せ、見ず知らずの人にいきなり予告状を送りつけるのだ。それも、幸福を予告するのではなく、「罪ある者は心せよ」と脅迫にもとれる不吉な謎解き予告をする、さらに、彼自身どんな謎を解くのか、分かっていないのだ。全く傲慢不遜の枠では収まらない男と言える。
しかし、次に挙げねばならないことは、頭は大層切れるということだ。探偵としては、申し分ない頭脳明晰ぶり。それに、相手を良くも悪くも引き付ける性質も相手の心理を見抜く洞察力も、精神的な図太さも兼ね備えている。もしや、名探偵と言えるかも知れない。
そんな摩神尊が、4つの事件の謎を解いていくのが、「予告探偵 木塚家の謎」です。今まで摩神尊のことについて述べてきましたが、実は摩神尊に連れ回される木塚という人物が重要なキーになっています。
摩神尊が謎を解くという推理要素、実は、謎だけではなく人間関係なるものも解くという意外な要素に加え、この木塚と摩神尊の数奇な運命も、非常に強烈な魅力になっています。
実は、ちょこちょこ摩神尊がある事柄に関する伏線を張ってくれているんですね。その伏線が「木塚家の謎」で1つに結び付くんですが、その結びつきが果たして本物か偽物か分からないw
読み終わって、「はて、本当か?」「いや、これはひっかけか?」と読者は悩んで考え想像してしまう。そんなところに主題が立ち上がってくるところもとても面白いし、やられたな、という感じですw
突き放され、唸らされ、摩神尊にビビっとさせられる。
Posted by ブクログ
罪ある者は心せよ。
すべての事件の謎は我が解く 摩神尊
予告状の文面が、死ぬほど格好いい。
久しぶりに読んだら、初めて読んだ高校生のときに、死ぬまでに一度は言ってみたいと思ったのを思い出した。
謎を解くと予告する摩神が不遜でとてもいい。
やはり探偵はこうでなくてはと思わせる謎の説得力がある。
謎を解く摩神とそれに巻き込まれる木塚を結ぶ線は何を指すのか。
病と評する彼は観測して見守ることで、事件の謎だけに向き合わなくて済むのかもしれない。
「君は木塚の家に生まれたことを、感謝するべきなんだよ」と笑う摩神が何故かとても優しく思えた。
「摩天楼の摩、神仏の神、尊重の尊、すなわち、天に届かんとするほどの徳と神のごとき英知を持った尊ぶべき人間だ」
Posted by ブクログ
まだ事件も起こっていないのに、いきなり謎を解くと予告状を送り付ける魔神尊とそのへっぽこ助手の木塚が幾つかの事件を鮮やかに解決していく。はあ、予告?なんと魔神には予言能力があるのだ。ただ、どんな謎かは分からない。とんでもミステリーのようではあるが、推理は結構まともだ。戦後すぐの話もあるし、月への移住が実現している2135年の話もあるので、あれれという感じになる。実は、魔神と木塚にはある秘密があったのだ。太田忠司は、いろいろなタイプの主人公を考えるなあ、大したものだ。
Posted by ブクログ
『すべての謎は我が解く』と予告状を送りつけては本当に謎を解いてしまう不遜な探偵、摩神尊といつも巻き込まれる木塚のコンビによるミステリー短編集。
前作で明かされた特殊な世界観。今回はその設定を最初から知っているが故に摩神という存在そのものに対する疑問を抱えながら読んだ。
短編それぞれは独立した別々の事件だが、サブタイトルの通り木塚家の謎であり、同時に摩神尊の謎でもあったと思う。