太田忠司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
求む、奇談。
その新聞広告を目にした人が、''奇談蒐集家''恵美酒(えびす)を訪ね自分の体験した奇談を語る連作集。
奇談を聴き終えて恵美酒が喜んでいると、従者の氷坂が本当に不思議な話なんてそう簡単に出会えるものじゃないと事件を合理的に推理し始める。例えば、幽霊なんているはずがないんだからそれは人間だといった具合に。
どの話もこのパターンで、実は奇談だと思ったものは事件で、氷坂にトリックを教えてもらった依頼者は今まで騙されていたことに気づいて帰っていく。
不思議な話をテーマにしたミステリだと思って読んでいたら、終章の「すべては奇談のために」でひっくり返された。
氷坂の語った真相は本当に真相だったのか。悪魔で推測であって一つくらい本当の奇談があったのではないか。
依頼者が氷坂の言葉で幻想は現実だったと気づかされたのと同じように、現実だと思っていたものが実は幻想であったとしてもおかしくはない。
幻想と現実が曖昧になる不思議な感覚。
連作集だから途中の盛り上がりに欠けるけど、是非最後まで読んでほしい。