太田忠司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
求む、奇談。
その新聞広告を目にした人が、''奇談蒐集家''恵美酒(えびす)を訪ね自分の体験した奇談を語る連作集。
奇談を聴き終えて恵美酒が喜んでいると、従者の氷坂が本当に不思議な話なんてそう簡単に出会えるものじゃないと事件を合理的に推理し始める。例えば、幽霊なんているはずがないんだからそれは人間だといった具合に。
どの話もこのパターンで、実は奇談だと思ったものは事件で、氷坂にトリックを教えてもらった依頼者は今まで騙されていたことに気づいて帰っていく。
不思議な話をテーマにしたミステリだと思って読んでいたら、終章の「すべては奇談のために」でひっくり返された。
氷坂の語った真相は本当に真相だったのか。悪魔で推測であって一つくらい本当の奇談があったのではないか。
依頼者が氷坂の言葉で幻想は現実だったと気づかされたのと同じように、現実だと思っていたものが実は幻想であったとしてもおかしくはない。
幻想と現実が曖昧になる不思議な感覚。
連作集だから途中の盛り上がりに欠けるけど、是非最後まで読んでほしい。 -
Posted by ブクログ
奇談
不思議な話を募り、一人ずつ語っていくという話はよくある。
よくあるからこそ、意外性が問われるわけだが、ミステリーなど、伏線を張ってあって驚く、というものを人に勧めるのは難しい。
どこが面白いかという部分がなくては引きつけられないし、説明もしづらい。
どうしたものか。
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おお、きたかね。君の到着を今か今かと待っておったんだ。
私の名前は恵美酒。エビスと読むのだよ。
さて、誰も信じぬような、しかし本当にあった話を儂は求めておる。
面白かったのが、6人の男女の話だ。
儂自身の物語を入れれば全部で七つ。
どんな話だったかって?
自分の影に刺された男、魔術師、冬薔薇の館、邪眼などだね。
しかしどれもこれも本物の話ではなかったよ。
確かに一度はこりゃすごいと思ったものだったが、私の助手、と言っておこうか、氷坂がその不思議な話の真実を解き明かしてしまったのだよ。
まあ......本当に真実かはわからんがね。
こんな稼業をいつから続けているかって?
ふふ、いつからだったかね、なあ、氷坂。
それも重要な話のポイントなのだよ。
君はただの謎解きで満足するかい?
儂はね、そんなんじゃあ満足はしないんだ。
ただ、人を驚かせたいし、自分も驚きたいね。
神出鬼没という言葉を知っているね。
儂自身もそうでありたいと思っているよ。
奇談のためなら、ね。
そうそう、この話をしてくれた六人の男女の話だがね、邪眼の物語だが、最近、厨二病、なんて言葉があるそうじゃないか。
そこでよくこの邪眼なんてものがでてくるようだが、実際にあるとはねえ。
ナイコというのが、駄洒落みたいだけれども、おもしろかったねえ。
氷坂が解決したことで、ちょっとばかり彼らの人生は違う方向に行ってしまったみたいだけれど、それも奇談の一つなのかもしれないよ。
どうした君、真っ青な顔をしているよ。
そんな時は旨い酒を飲んで心を落ち着かせるんだ。
......。