太田忠司のレビュー一覧
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日常の謎のお仕事、ご当地グルメ、青春ミステリーですね。
名古屋に特化した人情成長物語です。
「喫茶ユトリロ」シリーズ四作目です。
主人公の鏡味龍は、医大生だが、自分は医者に向いていないのではとのトラウマに悩み、休学中。祖父母の経営する「喫茶ユトリロ」を手伝いながら模索する。
食べ物への興味が尽きなく、喫茶店経営に関心持つが、にえきれない。そんな龍のもとに様々な依頼が寄せられる。
五話の短篇連作物語です。
太田さんの本の主人公は、自分にたいしての蟠りをかかえて苦悩しながら、謎解きをして、人々のふれあいの中で、自分を見いだしていく手法が多いですね。
有る意味で、悩みが共感できる部分もあります。 -
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ネタバレ何が起こっているのか、どういうシチュエーションなのか、冒頭に説明がなく、少しずつ明らかにしていくタイプの作品。視点人物である熊沢克也の目から、事実が少しずつ明かされる。
熊沢は、木菟鳴島という島で終身刑務所を訪れる。死刑が廃止された後、完全な終身刑の受刑者を受け入れるために作られた民間経営の刑務所。その刑務所にいる最後の死刑囚、朝倉玲一に、海外でずっと生活していた熊沢が取材をする、という設定だ。
熊沢は裕福で、自分を蔑む父を見返すためにこの仕事を受けた。
朝倉が過去の殺人を告白する展開になる。最初は、鶴田瑞枝という教師の話だ。これは、父が殺人者であると、登場人物である鶴田と読者に誤解さ -
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ネタバレバリバリ理系男子で考え方も理詰めな涼太。それでいて、自分以外はみんな女性のグループで仲良くやれてる(というよりモテてる)のは、嫌味がなくさっぱりした性格だからなんだろうな。
涼太の、一歩間違えれば屁理屈になってしまう考え方が私も読んでて面白かった。
周りの人に恵まれてるというのもあるのかも。
伯父さん夫婦も「はなふさ」の師匠も、製菓専門学校のクラスメイトもみんな涼太の言葉を尊重してくれる。そんな環境で餡作りに挑む姿が青春ぽくて爽やかでした。
(最後、いつの間にか「はなふさ」で働いているぞ?(^_^;))
零点か百点かの考え方はまだ健在なのかな。
あと、「傷つけるより傷つく方が悪い」という言葉 -
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ネタバレ死刑が廃止された日本で唯一生存している死刑囚・麻倉玲一。海外生活の長さから彼への知識、先入観を持たないフリーライターの熊沢克也に彼の伝記を残す白羽の矢が立つ。麻倉の収容されている民間経営の刑務所は絶海の孤島にありレーザーの檻など最新の警備システムを用いて最低限の人員で管理されていた。しかし、そこの管理に携わる面々はどうやら麻倉と因縁があるようで・・・。
まずタイトルのインパクトに目を引くだろう、信頼できない語り手という物語の外側のメタフィクション的な用語が使われている。これは読者と視点を同じくし地の文も一人称視点の作品等で主人公の発言や思想がどこまで信用できるかといった考えなのだが本作に