太田忠司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読みごたえがあった…!
のにも関わらずすらすら読めてしまうのは、太田さんの文章力!
「関係」を書く小説って、どうしても感動するほうこいうに持っていきがちだが、この太田忠司の「Jの少女たち」はその手の感動はない。感動して終わり、というのは確かに心に響くかもしれないけれど、その感動が得られた時点で終わってしまうのだ。物語の終わりとともに、共感した部分、突きつけられた自分の甘さも、同時にほとんどの部分が完結してしまうのだと思う。
「Jの少女たち」ではそうではなくて、もちろんステレオタイプ的な親子関係だったりが登場して、子どもの側から自分が親に抱く不信感や苛立ちなどに共感する場面もあるのだが、もっとこう「現代の子供たち」の問題となっている自己完結してしまうような部分が取り上げられていて、それを阿南が「何か違う」と彼の強い言葉で言われると心がずん、と重くなっていくのだ。
インターネットが普及した今、あくまで個人的な書評である、と明文化してあるのにもかかわらず、人気作家の本に批判的なコメントを書くと攻撃される、というような現象がある。匿名性云々があるのだろうが、自分の好きなものこそ絶対だ、という価値観がやはり根底に根付いていると思うのだ。もちろん昔から自分が好きなものを他の人にも好きになってもらいたい、という思いはあっただろう。だが、「あいつはけしからん」「わかっとらん」などと思っても、人を傷つけるようなことはあまりなかったと思う。だが現代はブログ炎上などというように、許せないものに対して過剰なまでに反応する人々が確かに存在するのだ。そこらへんの描写がこの本では痛いほどに書かれていて、そして自らを省みてしまうのだ。
阿南ほど強い人間はなかなかいないだろうし、いかにも「正しい」っていう感じの人は彼が自分でも感じている通り窮屈だと思う。それをな直そうともしないのだからなおさら。だから阿南は好きではないが、彼みたいな人って--人と真摯に向き合える人って、目をそらしたくなるような、でも心にずっと引っかかってしまうような強さがある。だから高校生君も彼と話したかったのだろう。
推理小説としても全く見えない状態から、断片を拾っていく様は楽しかった。すごい本だ! -
Posted by ブクログ
タイトルに甘栗とあって
しかもイラストがミギーさんならば、自分に不買の選択肢はなかった!
世界で一番好きな食べ物は甘栗です。
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ある日、交通事故で突然、唯一の肉親である父親を亡くし
天涯孤独の身となった高校生、甘栗晃。
探偵だった父の事務所の整理が一向に進まずにいるところに
その小さな依頼主が現れて……
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文章がスッキリしていて、とても読みやすかった。
ページ数も多くなく、さっくりと繰れる。
周りの同級生より、少しばかり老成している甘栗少年の
時々見える寂しさがなんとも堪え難く。
刺々しくなりきれないところがいじらしく。
独りになった彼が大人になるまで見守りたい。
そう思わせてくれる作品だった。 -
Posted by ブクログ
太田さん2冊目だが、これは面白い…!ライトノベルの軽さなのだが、そこに軽ハードボイルド(冒険小説)の要素が加わり、また雰囲気が太田さん特有のハードボイルドさを壊さずに、それが決してライトノベルへと貶めないのが絶妙だ。
ただそのこだわりのせいで達観しているとはいえ普通の高校生の一人称が「私」という一般的なハードボイルドの世界観を踏襲しているのが少し鼻についた。(<と思ったら一冊目の方にそこらへんのことが言及されていた(追記2012.4.18)ご都合主義というか、作り物めいているのも気になったが、まあ面白いから許してしまえるのだ。
「金貨とエルム」が置いていなかったためこの「甘栗」シリーズ2冊目の「戦車とシロノワール」から読んだが、もう絶対「金貨」も買わなきゃいけないくらい面白い。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ狩野俊介くんシリーズです。 これは予断のない状態で読もう。というわけで、まだこの本を読んでいない、なおかつこれから読む可能性があるという方はこの先を読まない方がいいと思います。 それと、もしこのシリーズをまだ一冊も読んでいないのでしたら、先に二冊くらいは読んでおくとさらにいいかも。ああ苦しい。 この本の感想をネタばれにならずに書くのは非常に難しいですね。無理です。
(以下、ネタバレ含む)
上巻を読み終わった瞬間、あれっと首をひねりました。その疑問は下巻の最初の数頁で解消しましたが、やられたーっと思いました。 仕掛けのある事件なのですが、その仕掛けは多分このシリーズを熟知された方により強く働くと思われます。あぁ。しまった。シリーズ順に読んでおけばよかったなあ。と、今頃になって思うわけです。
無駄な説明がないせいもありますが、上巻に比べて下巻の展開がものすごく速く感じました。いや、それも当然か…。だって、ねえ?
この作品は本格推理色が比較的少ないです。上巻では意外すぎてわかりませんでしたが、下巻の事件が起こった時点で珍しいことに犯人もわかっちゃいました。事件そのもののトリックより物語り全体に仕掛けられたトリックの方がメインだったかな、という感じ。
ただ、私は超常的なものが出てくるとちょっとうさんくさくなってしまう方なのですが、真の真相(?)は本当にアレなんでしょうか。(2001-9-29)