太田忠司のレビュー一覧
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京堂景子と新太郎夫婦による安楽椅子探偵モノのミステリ第2弾。今回は40ページ程度の作品8本からなる連作ミステリとなっている。
文章のノリが肌に合わないのは1作目と変わらず。京堂景子の描写も,「こんなやついるか?」と思えるキャラクターなのも変わらない。そういった欠点はあるが,8つの短編はエンターテイメントとして十分楽しめるデキ。
ミステリとしてのデキは1作目の方が上だったように思うが,「熊犬はなにを見たのか?」など,トリックらしいトリックはないが,軽いエンターテイメントとして楽しめ,読後感も非常によかった。
1作目同様,寝る前に読んだり,出勤途中に電車で読むには最適な作品。★3で。 -
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ネタバレ2015年に名古屋テレビでテレビドラマ化された太田忠司の連作ミステリ。現在はTVK(テレビ神奈川)で放送されており,関東圏でも見ることができる。ドラマの方はさておき,ミステリの方は,軽いエンターテイメントとしてなら十分楽しめるデキ。
愛知県警捜査一課の刑事京堂景子は,どんな凶悪犯も必ずあげる敏腕刑事だが,夫の新太郎の前では普通の女になってしまうというアリガチな設定。1作あたり30ページ程度の軽いミステリながら,作者の太田忠司が星新一ショートショートコンテスト出身ということもあり,短編として安定したデキの作品が続く。
文章は,やや軽く,ユーモアミステリ風にしたいのだと思われるが,肌に合わなかった -
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2013年に刊行された「怪獣文藝」の続編として、怪獣と怪獣が跋扈する世界をこよなく愛する映像作家(監督)と小説家による持ち前のセンスを生かして書き上げた怪獣短編小説で構成したアンソロジー集の第二弾。
前作が怪異な世界観をメインテーマに据えて構成したミステリー、ホラー色の強い怪奇小説作品集としての仕上がりは≪怪獣小説≫を期待した読者の評価が二分した結果を踏まえ、今回はより具体的に怪獣の暴れまわる事件に焦点を当てたビジュアル的なストーリー展開の作品で構成されている。映像でストーリーを読ませる映画監督による文章表現と、文章を用いてビジュアルをイメージさせる小説家の双方が「怪獣」をテーマにした競作は≪ -
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こっちが眠る竪琴よりも先だったらしい。サブタイトルじゃなくて、番号を振ってくれないものか……。
短編? 三つ?
話によって物語の中心人物が異なる。
中心人物は必ず事件を発端にした謎の中にあり、その謎を解く為に行動を始める。そこに助言者(多分シリーズ主人公)が現れ、助言を与える。
最終的に謎解きは、シリーズ主人公が勤めることになる。が、このシリーズ主人公は明らかにNOT人間である。要するに人外。
これまで読んだ感じによると、どうにも被害者的立場にある中心人物もまた、罪を抱えて事件の発端を担う、という感じになっているらしい。完璧な被害者はだから存在はしない?
だから……あれかな? 物語的に -
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面白くはあったが……。
ミステリ的な観点で言うなら、これもまた「良くあるタイプ」であり、反面ファンタジー要素が織り交ぜられているので「例を見ない」ものになるのかもしれない。
探偵役がいて(しかし本物の探偵ではない)それに助言する人物達と、彼らが構えている店(本拠)があり。
謎が存在し、それを説き――というのがミステリ要素で、しかしながら最終的な謎解きが人外によって行われる――ところがファンタジー?
良く判らないな……。
が、読みやすい。それ程文章も難しいものではないし、横文字名がそれ程多くはないので、名前が覚えられなくて困る、ということもなかった。
短編? 三話――だったかな? 収録。
眠る -
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分類が良く判らないが……。
奇談を収集する収集家の出した広告に、応募して話をする人達の、その奇妙な実体験の話?
――は長い前振りで、実はその奇談収集家の方が……というラストどんでん返しの話。
この物語の面白いのは、広告には多額の報酬が着いてくるのだが、話をしに来る人間の殆どが、その報酬を求めていない、ということだろう。
奇談の内容そのものは、じっくり読んでみるとあまり奇談とは思えないことが判る。話の最後に必ず謎解きがあるのだが、解かれる前に大体予測が出来る。最初から疑ってかかれば。
問題は、最後の奇談。
盛大な前振りとも言って良い奇談達のラストに、本当の奇談があったんだよ、と。
短編のよ -
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奇談を集める金満家・恵美酒一と性別不明の従者らしき人物・氷坂のもとへ数多の人が奇談をもち、それを売りに来る。
新聞広告の「求む奇談」の文字にひかれ、集まる奇談を不可思議な二人組(主に氷坂)が、「奇談でもなんでもない」と説明して現実に戻してしまう話。
この2人の方が不思議だろ、と思っていたら、結末、案の定2人は奇談として完成されてしまった。
大枠の仕掛けは面白いし、結末も解説通り現実と幻想の世界を地続きにしてくれたので満足。
ただ、一個一個の短編の後味が昔の少女ホラーコミックのようだし、安楽椅子探偵ものだと仕方ないのかもだけど、氷坂の説明だけでは少し強引に感じられる部分もあった。(そのために結末