太田忠司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ確かに麻倉玲一の言動は作中一貫して信頼できないけれども(ホームズとモリアーティを足して2で割った感じがある、聞き手は無能なワトソンな感じ)タイトルにある『信頼できない語り手』というイメージが、作中と読み終えてからではがらりと変わるのが凄かった。
こうも印象変わるのだなと。
特殊な環境ではあるが密室で彼が過去に行ってきた殺人事件を語るという、言ってしまえば地味で停滞しそうなシチュエーションではある。
しかし、その語られる話が彼視点ではない視点での話になるので、作中にいくつも雰囲気の違う事件が出てきて飽きが来ない。
1作品ながら多数のミステリーを読めるのは贅沢感がある。
語り手が信頼できないという点だけが問題だが。
(要はそれは真実なのか?という疑問がつきまとう)
終盤近くでまさかの急展開からの、まさかのホラーか?
と思わせてからの種明かし的展開。
前述のタイトルの雰囲気ががらりと変わることにも関わるが、目的のための大掛かりすぎる仕掛けが凄まじかった。
そこまで手をかけるかと。
詳しく語ると興ざめするので割愛するが、色々な意味で驚くと思う。
これは聞き手の人間不信が加速しそうな気がする…… -
Posted by ブクログ
なるほど、小説にはこういうアプローチもあるのか、と唸らされながら、高いリーダビリティでワクワクしながら読めるショートショート集。
ゴッホやムンク、俵屋宗達らの名画を題材として、その名画から浮かぶインスピレーションを元にした自由なショートショートというだけでも面白いのだが、2人の作家が同じ名画を題材として競い合うという図式が見事。
例えば、平山郁夫がシルクロードを旅する一団を描いた「月明の砂漠」を、一人は砂漠に巣食う化物に襲われるホラーとして、もう一人は宇宙の神秘を描くSFという、全く違った作品に結実させている。
この工夫によって、名画を題材とする読み手のイマジネーションが広がっていく。ぜひ、美術館のパンフレットなんかでこの意匠が取られると面白いんじゃなかろうか。