太田忠司のレビュー一覧
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とある場所にひっそりと佇む“五つの鍵の博物館”。
収蔵されているのは、曰くありげな鍵が描かれた5枚の絵。
見るものを選ぶその不思議な絵が語りはじめる―。
幻のルイ十六世の鍵を求めて訪れた館で出会う意外な鍵(『十七世の鍵』)。
「眠り男が、やってくる。そのときまで保管されたし」。
不思議な手紙と同封されていた銀色に光る小さな鍵(『眠りの鍵』)。
ほか全五編の鍵をめぐる物語。美麗イラストと珠玉の短編のコラボレーション。
(「BOOK」データベースより)
五つの鍵をベースに、扉の存在などから、ゾクっとくるような怪異譚集。
しかし、ホラー色はそれほど強くはない、と感じた。
全体的に心理的な恐怖が多い。グロいのは「眠りの鍵」くらいかな?
独特の雰囲気を醸しだす、幻想風味の物語… 好きなんです(゚▽^*)☆
また一作ごとに飾られた、フジワラヨウコウ氏の“カラー表紙”が…
作品の不思議な雰囲気を更に増幅させていて、うっとり♡ アハハ
「絵が語る、鍵の物語・・・・・」 いざ!
「プロローグ」
「17世紀の鍵」
「黒曜の鍵」
「非在の鍵」
「夜獣の鍵」
「眠りの鍵」
「エピローグ」
最初は、純粋に過去の幻想だと思い、
歴史の史実から同情に似た感情を抱きつつ読んでいた…
すると過去の亡霊に憑かれた、現代の悲劇をも描かれていた「17世紀の鍵」。
記憶をなくした八人の男女が、それぞれ持たされた六桁の番号を頼りに
閉ざされた空間から抜け出そうと、出口を彷徨い求める「黒曜の鍵」。
『CUBE』と同様の恐怖を味わえた。 この作品が一番好きです。
“素因数分解”を用いた数学的なテーマ、見処です。流石ですね。
十一年前、
犯した罪を自ら罰するために、“姫”によって終結させられたネット仲間たち。
そして、“姫”が破獄したと連絡が届く…。
目的のための手段、内と外、表裏一体の「非在の鍵」。
瀬田の家が代々命脈を保ってきたものとは…。
当主に託された鍵が明かす、伝承される運命を、
必然的に受け入れる主人公の残酷な運命物語「夜獣の鍵」。
突然届けられた手紙と、不思議な鍵とがもたらす、恐怖を描いた「眠りの鍵」。
従兄弟は本当に心不全なのか?何故突然死んでしまったのか?
残された者が見つけた一通の手紙。そして同じ手紙が自分の下へ届く…。
毎夜繰り返される、追いかけられる夢に悩まされ…。
ラストからは、様々なイメージが膨らんで、実に面白い。
短編ながら、5つの物語一つ一つが非常に完成度の高い作品なので、
恐怖もあっさりしていて、素敵な余韻が残るものばかりだった。
プロローグとエピローグで、幻想的な世界へ導き、たっぷりと奇怪な余韻を
楽しませてくれる作品だった。
お気に入りです。 -
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短いもので30ページ弱、長いものでも50ページちょっとの連作短編集なので、読みやすい。書き下ろしの第10話目を除く全ての物語は、事件の捜査に行き詰った景子が夫の新太郎に相談、その新太郎が名推理をする、という同じような流れです。
描き方に工夫があるので、どれも似たり寄ったりという印象はそれほど強く受けませんが、続けて読むと途中で飽きて来るかも知れません。一気に読むよりは空いた時間にちょこちょこと読むのがオススメです。
しかし、キャラが良いです。主人公の京堂夫婦の遣り取りが楽しくて好き。料理に洗濯、掃除と家事一般をこなしてくれて、しかも美男で優しくて8歳年下。さらには仕事(事件)へのヒントまで与えてくれるなんて、景子さんってば本当に素敵な旦那さまを見つけましたね。羨まし過ぎるっ!そして、その景子さん、職場と家庭でのギャップが激しくて面白いです。 -
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ネタバレ【目次】
プロローグ
第一章 オムレツのにおいは流れるのか
第二章 思ってもいなかった人生の始まり
第三章 少しだけずるいスパニッシュオムレツ
第四章 チョッちゃんの不思議なオムレツ
第五章 スフレオムレツ改造計画
第六章 指を軽く、ちょん
第七章 レベル1に戻る
第八章 お節介のお返し
エピローグ
『ぐるぐる、和菓子』(『和菓子迷宮をぐるぐると』改題)の姉妹編。
突然イップスになってしまった新進気鋭のパティシエ・田城陶子。直前に出会ったインタビュアー・小瀬に誘われて、彼女の取材に付き合い、いろいろな人に出会うことを通して、さまざまことに気づく。
病気は深刻なのだが、出会う人たちがみな苦労人で悪い人がいないので、読み心地がいい。オムレツもおいしそう。巻末に2つレシピが載っているのもうれしい。 -
Posted by ブクログ
前作『ぐるぐる、和菓子「和菓子迷宮をぐるぐると」改題』の姉妹編。
前作は製菓専門学校を舞台にした青春小説でしたが、本作はその後の社会人になってからのお仕事小説であり、再生の物語でもありました。
主人公は変わり者の男子学生から成績優秀な陶子へ。
ある日突然、これまで出来たことが出来なくなる。
そんな大きな壁にぶつかってしまった陶子の苦しみや不安とともに、再び歩き始めるまでの日々が描かれていました。
生きてると誰でもいつかはぶつかる「壁」。
「どうして私が」「これからどうなるのか」頭のなかは「なんで?」でいっぱい。
そんなとき、押し付けがましくない近すぎない距離から気にかけてくれる人がいるのはありがたい。
しんどい場所やグルグルする思考から一旦離れることで、新たに出会える世界も見えてくるモノもあるのかなと思います。
一度つまづいても、また歩き出せるし、道は他にもいっぱいある。まわり道をしたって大丈夫。どこにいても、またそこから始めればいい。
つまづく度に強くなるし、そうやって心の痛みを経験することで人の痛みや気持ちに寄り添えるようにもなっていく──。
そんなふうに思えました。
あえて苦労したいとは思わないけど、きっとどんな体験もその人をつくっていく財産になる。
新たな一歩を踏みだした陶子にエールを送りたい!
ところどころ昔の価値観のままの日本社会の現状が描かれていて、でもそれを変えようとしている人がいるのが良かった。
表題にあるように、作中に美味しそうなオムレツがいくつも出てくるので、食べたくなりました。
ホテルで食べたフワフワオムレツを思い浮かべながらの読書。巻末のレシピも嬉しい。
前作が未読でも問題なく読める内容でした。
『いろいろやってみて続けられるものを続ける。駄目だったらやめる。それでいいと思っています』
『頑張って何もしないということが必要なときもある』
『どうしようもない壁にぶち当たることもあるかもしれない。そんなとき、ただ壁を乗り越えようとか打ち壊そうとかするだけじゃなくて、回り道をしたり他の道に行ったりしてもいいってことを知っていてほしいんです。そのことを心の片隅でいいから覚えておいてください。』