ヤマシタトモコのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
30代の明楽さんの戸惑い、20代の鳥原くんの熱情の駆け引きに参った…。風呂の中でふと考える。ヤマシタ先生はBL畑に戻ってくるんだろうかねぇ。未だに「くいもの処」の牧さんのスピンアウト描いて欲しい、って願ってんだけど。『おれ、牧祐介は今、若い男に尻を追いかけ回されている」とか言うモノローグで始まってくれんかなあ、と。
年下「攻」の鳥原くんが
恋する相手の、三十路越え・あほの明楽さんに欲情する
その息遣いまでが、発情するエネルギーまでが紙面から
感じられる漫画だった。
付随して、バイト先と言う狭い日常の世界の中で、毎日の様に見る「身近な人間」に恋する様が、リアルなのだ。その部分では、BL作品の枠内に止まってない。毎日々々、自分にない部分を持つ人間を見ている内に、相手が同性だとかなんだとか言う部分を突き破って恋してしまった鳥原くんの心理動向が、リアルなんだと思うのだ。まるで、小説を読んでいるかの様に。
(作者自身、小説も書くみたいなので) -
ネタバレ 購入済み
孤独の砂漠だったり、違う国の言語でしゃべるかのように難解なマキオの言葉だったり、重要なピースをひとつひとつ丁寧にすくい取って歌にして描いたTOMOOさんの腕前をひしひしと感じる巻。ただ、マキオに「物語なんて嘘なんだから」ってセリフを言わせちゃうのは全編にわたって心震える身にはちょっとシュール過ぎるな。
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Posted by ブクログ
この物語は朝と槙生さんの自己受容、他者理解、孤独感、他者からの受容感を描いた作品だと思っています。
朝は両親を事故で亡くしてから槙生さんと暮らし始めますが、過去の記憶から本当に自分が両親に愛されていたのかが分からなくなります。
愛されていたのかが分からないこと、は自己が受容されているかが分からないに言い換えることができます。
人が自己を受容できるためには、他者から受容されているという経験が重要となります。また基本的信頼は母子関係により培われ、これが他者からの受容感と生きることへの積極的関与に繋がります。
朝は他者からの受容感が低く、孤独感をもっており、槙生さんも同様です。
この作品は朝と槙生さんがお互いを受容し合い、他者からの受容感と感謝・安らぎ感を持つことで自己の存在価値意識を獲得する物語だと言えます。
自己の存在価値意識は自己受容の一部分です。
朝と槙生さんの自己受容は不完全であり、作品内でも度々でてきますが内的世界の奥底に孤独感や疎外感を感じています。そして、孤独感や疎外感を感じながら生きている人は、他者に対しても閉鎖的・防衛的な姿勢をとり、自尊感情も持てず、自己の存在価値や人生における自分なりの意味や目標を見出せないまま、日々の生活に空虚感を感じながら生きています。
そして、朝と槙生さんが物語を通してどのように自己を受容し、他者からの受容感や獲得していくのかについてです。
朝と槙生さんは共同生活を通じて、対話を行います。朝は記憶と記録から両親に愛されていたのかを探ります。
槙生さんも朝との対話を通じて姉の記憶や記録から過去と向き合います。
自分と他者が別の人間であること、つまり姉と朝が別の人間であることを徐々に受容していきます。
対話によって朝と槙生さんはお互いを1人の人間であると認識し、受容していきます。と、同時に他者感情の「わかりにくさ」を受け入れることで他者理解を深めます。
やがて自分1人だけのものだと思っていた孤独感は他者からの受容によって共有され、地続きであるということを認識します。
朝と槙生さんは共同生活によって自己と他者を理解し、受容する機会を得たことで弱さや欠点を持ったありのままの自分が他者に受け入れられているという実感、自分にとって重要な他者から受容された経験、他者からのゆるぎない受容感によって自己の内的世界に自己の存在意義のベースが築かれ、そのことによってその後の人生を自己や他者、世界への信頼感と共に、困難に立ち向かっていく勇気も得られたのです。
それがラストの「言葉が足りない」に全て内包されていました。
「あの日、あの人は群をはぐれた狼のような目でわたしの天涯孤独の運命を退けた。」
にて、孤独を抱えたわたしたちを包みこんだのです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ違国日記 3
三度書いて三度消えてしまった。
消えてもいいようにWで下書き。
さてなんでこの漫画が気に入って感想やあらすじを残そうと思ったのか。無駄につらつら考えてみた。
そうだなんか槙生さんがわかる。親近感が半端ない。朝ちゃんの境遇の普通の女の子の気持ちと、ちょっと言葉足らずな槙生さんとの気持ちのずれがおかしくもいたいたしい。
だれかと話していて私もなぜここまで話すかなといつも思う。わかったふりをするのは面倒だ。
私は人とずれていても、言葉がずれようと気持ちが伝わらなかったとしても気にしなければ困らない。そんな言葉が命がけのような重大なシーンはあまりない。どうしても必要なら重ねてその説明をきく。
それでもこの年まで生きているし友人ともつながっている。時々迷路に入り込むことはあるけれど。自分なりの迷路で回りには理解されないが気にしていない。
自分なりにがんばって精いっぱいでこれだから。
朝ちゃんが高校のクラブをどうしようか話かけるが、話をしても槙生さんは「へー」というばかりで物足りない。お母さんならいいとか悪いとか、役に立つとか立たないとか言ってくれた。
朝ちゃんは寂しい。
そこで自分名義の通帳から30万出してパソコンを買った。入る予定の軽音クラブの役に立つと思ったが、無断で出金して買い物をしたことを知った槙生さんは驚いた。
聞いてみるとクラブ関係の話だが、それがどうした、黙ってパソコンを買うのとどこがつながる。と理解に苦しむ。
そして朝ちゃんのいる暮らしが、いままでと少し形が違ってきていることに気が付く。「へー」だけでは済まない。もう一言がいることに気が付く。
あーそうなのか。話さないと伝わらない、家族でも友人でも。と何か身に染みた話だった。 -
Posted by ブクログ
違国日記(2)
空き家になった家の整理がある。朝のこの家は槙生さんが育った家。
片づけるということ、朝は過去を切り捨てるのではなくて(過去完了ではなく)まだ継続中、つながっているそれがingの形、、、過去完了進行形だと教える、これは朝だけの形で、槙生さんは過去はすべて過去完了だと話す。
過去のしがらみを絶ったつもりが、朝がいれば、いやでもこので暮らした過去とつながる部分がある。
朝が見つけた姉が漬けたピクルス「持って帰っていい?」「いいよ」という風に。
朝のお気に入りのカップも、クローゼットにある朝に似合いそうなコートなども持って帰ることにする。槙生さんが気づいていない心の底の揺れが微妙に伝わって響いてくる。作者、この辺りいいな。絵もあれば表情が見えていいし。
窓からの風景も槙生さんには馴染がある、でももう見ることがない、槙生さんの感傷もなるほど、捨てきれないものもあるということかも。
ねじ伏せて何気ない風にさよならとつぶやく。
突如、朝が思い出す。
「明日卒業式だった」
槙生さん仰天!「制服捨ててない?」「捨てる袋に入れた」攻める言葉を飲み込む。まだ家族未満だ。
さて卒業式事件。友人が朝の両親が亡くなったことを母親に話す。その母親が知り合いに話す。職員室に呼ばれてなにも届けてないことを叱責される。もうすぐ離れる学校、卒業生にかまうなと朝は思う。そういうわけにはという大人の意見。
「私はかわいそうな、両親が死んだ子になっているのか。最悪」朝は飛び出し、昔の家に帰ってくる。あ!!ここじゃなかった。
槙生さんは朝の帰りが遅いので気が気でない。朝がまだだ。
凍えて帰ってきた朝の足を温める。卒業式は出ても出なくても朝の問題だと槙生さんは言った。
さて毎日の弁当問題やら槙生さんの旧友付き合いやら。朝のことを広めたことの友達やその母の謝罪やら、人見知り槙生さん、朝の子育ても楽ではないが、慣れていくのか。
過去の訳ありの男性も今ではいい友人?朝を養子にしないで後見人になる件、後を引くかも。
これ以上長くは書けないけれど、細部の話が染みる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ気が付くとキーボードの横にこの本がデンと積んであった。長らくマンガを読んでなかったから。取りあえず縦から横から斜めから。
裏表紙から。
【少女小説家の高代槙生マキオ(35)は姉夫婦の葬式で遺児の朝アサ(15)が親戚間をたらい回しにされているのを見過ごせず、勢いで引き取ることにした。しかし姪を連れ帰ったものの、翌日には我に返り、持ち前の人見知りが発動。槙生は、誰かと暮らすのには不向きな自分の性格を忘れていた・・・・・・。対する朝は、人見知りもなく“大人らしくない大人”槙生との暮らしをもの珍しくも素直に受け止めていく】
と上手く纏めて紹介してくれている。
そういうことで面白いかも。
取りあえず(1)読んでみた。
二人のキャラがいい。絵も美しい、槙生さんが今まで自由に人見知りをしてきた心地よい暮らしが、朝が来たのでその混沌ぶりが。
おかげで自分はちょっと世間離れしていることを(気がついてはいたようだが)目の当たりにして、今陥っているこの、いささか?(とても)居心地の悪さが傍目にはおかしい。その抜けっぷりがいい。
ただそこにどこまでも逆らわない、というか抵抗感を持たない朝がいて、槙生の暮らしも変わって生きにくいのか生きやすいのか。掃除洗濯家事育児。
いつの間にか槙生さんも抵抗しながら少しづつ人並になっていくような、だが今のところ日常では私の暮らしはそうじゃない!とよじれたり悶えたりする様子がほほえましい。
ただ人並みでいられない強度の人見知りの、自分流自由人の槙生の人柄が、強制的に矯正しなくてはいられなくなった暮らし。何かにつけて驚き、どこかおかしいという自問自答しながら嬉し哀しの葛藤が、若い天海祐希風の、並みでないビジュアルにも関わらず髪振り乱して悶える様子が気の毒でおかしい。
身の回りなどかまわず、作家らしい苦しみも詰っている日常が、朝を育てる覚悟と向き合ってみた槙生には今のところ割り切れない。
始まりはこう。
朝は時々は一人で泣いたり、槙生は闖入者メと思いながら朝と生きようとする気合が尊い。
ここから始まる暮らし。
その一。
その二に行こう。