あらすじ
【電子限定!雑誌掲載時のカラー原画&35話のネーム特別収録!】「『おれの酒が飲めないのか』みたいなの、大嫌いで」偶然にも食事に行くことになった笠町と弁護士・塔野。そこで話題に上がったのは、「男社会の洗礼」。男なら、男らしく、男として――。塔野は、空気が読めない性質ゆえに、それらと距離をとれたが、笠町は、かつて追い込まれ苦しんだ過去があった。今、その土俵から降りた彼は――。「なっていい自分」はいくらでもある。変化にふみ出す第7巻!
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人間はいつから「大人」になるのだろう?
両親の死によって、独身の叔母・槙生に引き取られた中学生・朝。
家にこもりきりの小説家である槙生は、独特な感性の女性。
一方で、朝は両親が死んだことに対して現実感を持てない、大人びた少女。
似ているようで正反対の二人が、日々の暮らしの中でやがて心の距離を近づけていく作品。
槙生が仕事に熱中するのを、さりげなくサポートするしっかり者の朝。その姿はお互いの年齢を鑑みると、ちぐはぐな風景でちょっとおもしろい。
けれど、家の外側や、人間関係のこととなると、槙生は迷いながらも、母性というよりは理性によって、的確な言葉で朝を導く。
15歳の朝にとって、それらの言葉はすぐに理解できないこともある。けれど、現実と照らし合わせながらじわじわと納得していく健気な姿がとても印象的。
では30歳を手前にした自分は槙生と朝、どちらに近い地点にいるのだろう?と考える。
「自分はまだまだ子供」だと思う。けれど、朝が戸惑っている幼い姿を見ると「こうしたらいいよ」と言ってあげたくなることが多々あった。
どんなに大人びていても15歳の朝が大人ではないように、アラサーの私も着実に大人になっているのか、と気づかされる。
槙生を「違国」と感じながらも、朝も確実に「大人」へ近づいている様子を、そっと見守っていきたい。
感情タグBEST3
読み続けたいし、きっと読み返す
ずっと好きで、最初から読んでいます。
宝物のように何度も読み返します。救われた、というのが適切な言葉かどうかわかりませんが、いつも読むと新しい発見があり、それは生きる元気をくれます。
今回も名言続出
「誰のために何をしたって人の心も行動も決して動かせるものではないと思っておくといい」という槙生さんの言葉に
「そうそう!!!」と心の中で膝を打っていた。
私は、スポーツ選手とかが「見てくれる人を感動させたいと思います」という度に違和感を持つ。
本当はそうじゃない理由があるんだろうけど、「人を感動させる」目的を正義とする風潮が私はキライ。
それこそそういう「感動させる爽やかキャラ」であることを求められるのが今のスポーツ選手とかなんだろうけど
「トップになりたいから」「自分が楽しいから」、と言える世の中になって欲しい、
なんてことを思い出しながら読んだ。
そうは言いつつ、千世ちゃんの行動に、医大入試の女子受験者減点のニュースを知りもしなかった男の子が
心動かされ、SNSにそれを書き込んだり、
朝ちゃんの歌う姿が千世ちゃんの心の何かに少しでも触れる。
動き続ける世界が、美しい7巻でした。
だれのために?
自分が世界を変えられるとは思っていないけれど、そういう行動って尊いですよね。
何かに強く憤ったり、迷ったり、若いって素晴らしいと俯瞰的に思うけれど、歳をとってもあんまり変わっていないかもしれない。
胸が苦しくなります
若い頃のモヤモヤを思い出します。
その苦しみを抜けた、魅力的な大人たちの言葉が刺さって、グッときます。
表からではわからない苦しみや、生きづらさを抱えている人たちに想いを馳せて、色々と考えさせられます。
若さの美しさと、大人の楽しさと、両方味わえます。
Posted by ブクログ
男性社会のプレッシャーから降りる。なかなか難しそうである。一度降りても、周囲の目を気にして、また気づかず土俵に登ってしまいそう。
女子医学部問題、自分も、ちょっと違うけど似たような問題で遠ざけられそうになったことがあるので、当事者の苛立ち、怒り、絶望感は、想像できた。周囲の無理解無関心に、更に絶望したりする。
年月を経て、結果を出して、思い出す時、その時の自分と語らい、慰め、励まし、褒めてやりたくなる。
Posted by ブクログ
そうだよ…「目立っていいんだよ」
目立って飛び抜けていけばいいんだよ!
戦い闘い抜いていけばいいだけだ!
自分が負けを認めないかぎり勝ち抜けばいいのだ!
朝ちゃん私も闘いを見届けたよ!
ぜひ〜
Posted by ブクログ
笠町と塔野がたまたま会って一緒にご飯を食べるシーンが
変な下心や駆け引きなど一切なくてなんだか好きだ。
男社会の洗礼から降りてやっと人間になれた、と話す
笠町くんが印象に残る。
愛されることに屈託は無いのに、長所を褒められると座りが悪い朝。
人がものづくりに手を出そうとしていると嬉しくなるという慎生ちゃんが可愛い。
姉に傷つけられてきて嫌いだという感情とは分けて
朝をここまで育てたことを「姉さんは立派だ」と言えるのが慎生ちゃんらしい。
自分だったら母親の残した日記なんて読みたくないなと思う。重すぎる。
それを残そうという発想自体がまず重い。
読みたいと思える朝はやっぱり愛されてきて、お母さんが好きという感情の方が他の感情より大きいのだろう。
朝にひどいこときいていい?と訊く千世ちゃんは、
自分の人生終わったと思ったのだろう。
自分より酷い境遇で悩んでいるだろう朝が、
「終わってない、生きてるから」と答える強さ。
すごくさりげないやり取りだからこそきらきら光って目映い。
落ち込んでる友達に来てもらいたい、というのは
来たら元気になる自分の歌でという気持ちがある訳で
やっぱり朝は強いと思うのだ。
だから、自分の行動が世界を変えうると信じていられる。
誰のために何をしたって人の心も行動も決して動かせるものではない、
そうわかっていてなおすることが尊い
と、気持ちをくじくために言うんじゃないという前置きをして言ってくれる慎生ちゃんは誠実な人だなと思う。
ある意味、正しくありたいと行動していた実里と似ているのかもしれない。
千世ちゃんが目の前じゃなく廊下の前から見て、
おつかれ、I witness youと声をかけるのも
それを見てかっこいい、なんかずるいと朝が思うのも可愛い。
優斗がツイートする描き下ろしになんだか泣きそうになった。
結果なにも変わらなくても、多分これだって世界を変える行動だと思うのだ。
Posted by ブクログ
キャラ…これ中高生あるあるだと思う!本当に厄介。キャラのせいでしたい事出来なかったし、出来たこともある。〇〇はいい子だから、頭いいから、運動神経悪いから、優しいから、怖いから、結局呪縛は自分で解くしかない…かな…?あの時の自分は出来なかったけれど
Posted by ブクログ
子どもも大人も窮屈な偏見や価値観に傷つき闘いながら生きている。大人になって自分で自分を守れるようになってもひょっこりそのころの自分が顔を出したり苦い想いをしながら。そのへんの難しさや生きづらさを『違国日記』はみせてくれる。それぞれ違国。それ認め合う。朝の歌う姿がかっこいい。
Posted by ブクログ
読み進めていると、なぜかわからないうちにじわじわと泣きそうになった。でも別に泣くような話ではないはずなのに…と思って、自分でも不思議だった。
今までの巻とは違って、性別に関するネタがたくさん盛り込まれている?気がして、私はそれらを許さないと思っているけれど、そう表明してくれるキャラクターに何か少し救われたなと思った。
34話後半から胸がぎゅっとなって、そこから35話終わりまでの爽快感がすごくよかった。
一巻の帯に「人生の本棚に入れたい本」という言葉があったことを思い出した。
Posted by ブクログ
〉わたしの父はいったい「誰」だったのだろう
〉「男社会の洗礼」
〉おれはそこから降りる。もうその土俵には乗らないと決めたら急にいろんなことが楽になった。
〉「母の日記には真実だけが書いてあると思うか」と彼女はきっと答えないと知っていても訊きたかったがそうできなかった。
なんでもないことのように訊けばよかったができなかった。
〉でも生きている私にはどんなにくだらないことでも悩む権利があった。
〉わたしたちにはどんなにくだらないことでも生きている限り悩む権利があった。
〉たとえば10年後に誰かが
「そういや朝、コンコースのところで歌ったよね、あれいつだっけ?」
きっとそれだけでもわたしは世界を変えたのだ。
>「I witness you」
亡き母の日記を読み進めていく朝。
思春期らしい悩みと戦いながらも季節はめぐり、大人たちを置き去りにして成長していく、第7巻。
朝の周囲は皆、「世界」と戦っている。
男社会の洗礼だったり、受験の女性差別だったり、父の呪縛だったり、社会と関わることだったり。
朝もまだそうとは知らないまま両親の呪縛に囚われているが、今は自分の内面だけを見つめている。
ただ、朝のクラスメイトや部活の先輩など出てきて、少し描写される世界が広がったように見える。朝の視点が広がったのだろうか。
Posted by ブクログ
自分でも気付かぬうちに開いていた心のきずに
そっと塗り薬を塗布してくれてるみたいな
どうしてこうも泣けるんでしょうかと思いながら
毎話読んでいます
出てくる言葉をもっと知りたくて
朝みたいに辞書で検索しながら
ゆっくり読んでいます
こんなに読み終わるのに時間をかける漫画は
違国日記だけだなあ
Posted by ブクログ
・なんかあの人って誰?だったのかなって。
・より危ないことをしたやつが勝ち より女の子をモノ扱いできるやつが勝ち より楽をしていい目を見たやつが勝ち
・もう全世界から謝って欲しい この世はクソ
・はぇーーーキャラ‼︎ どーーでもよくなーーい‼︎?
・「なにを書くか」より「なにを書かないか」なんじゃない?
・するすると 大人になっていくな
・世界中で自分に関係のないことなんてない
さあーて。
今巻も珠玉の名言がてんこ盛りでしたぞ。
森元JOC会長の女性差別発言騒動もあり、医学部不正入試をここで持ってくるたぁイイね!を100回押したいくらい。
男も自分たちで決めつけている男らしさから降りたらもっと楽になれるんじゃないかな。下駄を履かせてもらって、2分の1の確率でたまたま持ち得ただけの性をもって女性を踏みつけて生き続けるのもしんどいでしょ?弱音も吐けない、先輩に腹バンされても部活をやめられない、男に二言はない、男たるもの……すべてが呪い。
というのを笠町くんは悟ったわけです。
そしたら「人間らしくなれた」
この笠町くんのエピソードと、朝の父親(存在感のない)の話と、医学部不正入試で絶望に心が折れてる女の子の話は、実はつながっているのだよ。
違国日記。
本当に内容が深いなぁ。
Posted by ブクログ
ひらひらと舞い散る言葉を、落とさないように、丁寧に掬おうとする自分がいます。
言葉を掬うと、過去の自分、今の自分が、透けて見える気がします。
たくさんの後悔を思い出しながら、掬った言葉を口に放り込んでは、丁寧に生きよう、そう思います。
この漫画は、私にとっての解毒剤です。
救われる。
自分の中の霧が晴れました。
色々制限して勝手に我慢していたのは、私。
誰が決める事でもないんです。まきおさんのお友達の一言に救われました。
Posted by ブクログ
東京五輪組織委員長の女性差別発言が物議を醸す昨今、タイムリーな7巻でした。
男女平等とは男の既得権益が損なわれることと思っている男性諸氏の皆さまにも、ぜひ読んでいただきたい。
女性が『女はこうあるべき』と言う呪いに縛られているのと同じくらい、実は男性も『男ならこうあるべき』と言う呪いにガチガチに縛られて自由な生き方が出来ずにいるということに、案外気付いていない人が多いように思います。
男社会の土俵を降りて、『人間』になった笠町くん、『キャラ』なんて気にしてたら自分の本当の気持ちがわからなくなるよと自らを振り返って言うもつ。
主人公、朝の周りの大人たちは魅力的な人が多くて、こういう大人たちに囲まれた10代を過ごしてみたかったな〜と羨ましいです。
不器用だけど真摯な槙生のセリフも、毎回胸に刺さります。
主人公達が魅力的
両親を事故で亡くすというハードな環境の主人公を取り巻く、ハードで魅力的な人達。人生楽しい事ばかりではない事が、苦しい事ばかりではない事が、綴られている。今後の主人公達の生き方が楽しみです。
Posted by ブクログ
だんだん槙生と朝の会話が複雑というか、朝の成長に伴って会話も難しくなっていく感じがする。
あと、父親とか、男性パートも増えてきていて、面白いんだけど難しいというか考える作品。
Posted by ブクログ
表に出ている部分と裏に抱えている問題、どうして丁寧にここまで描けるのだろう…。
槙生の相手を尊重する在り方がいい。
朝の感情の変化も。
何回も読み返して考えたい。
Posted by ブクログ
自分は特別って思いたい気持ち、何者かであることを証明したい気持ちわかるーー!特に中高生のときは考えていた気がする。。親がどうとか、周りがどうとかではなく、自分を磨いていくしかないんだよなー
自分はどうだったか
数年前に父を看取ったが、父がどんな人だったかなんて思った事はなかった。
後からわかった事は幾つかあって、一面を顧みたりしたけど。
早くに急に失うと想うのかな?
朝 の心情が苦しくなる。
Posted by ブクログ
呪縛。女らしさ、男らしさ、母親像、父親像、自分のキャラ、あの子のキャラ、立ち位置、目立つとか、目立たないとか。自分を縛る理不尽に腹が立っても、しかし誰に怒っていいか、わからない。
「降りた」という笠町。教室で吠えた千世。朝は歌うことにする。自分のしたいときにだけ、したいことをする。人のためでなく、人がどう思うとも関係なく、誰かを変えるためではなく。それが、誰かの心に響くなら、誰かが覚えていてくれたなら、誰かを変えたなら。それはあくまで結果でしかなく。
自分の本当になりたいものは何だろう。世間や社会に求められている姿ではなく。朝のいう「なりたい自分になりたい」とは。朝は少しずつ、自分の姿を捉えようと考えを進めている。槇生から受け取る言葉、友人の何気ない言葉、聞けなかった母や父の言葉。槇生ちゃんはなりたい自分になれているのかな。100%なりたい自分ではないのかもしれない。諦めているのか、手放しているのか、制限しているのか、わからないけれど、満足しているようには見えない、でも足掻いているのを朝には見せないようにしている?
ゆっくりでいいから、自分のしたいことを、したい時にできるようになりたい。世界はいきなり変えられないけど、それで、自分は生きていけるように。もしそれが誰かに届いたらまたとない僥倖だけど、最初からそこは願わずに。
BUTTERにも誰かにやいやい言われることより、他人の評価を気にするより、自分の心のままに動こう、というメッセージがあったと思う。作者の伝えたいことが変奏曲となってここでも描かれているのかな。自分のために生きる人にエールを。
Posted by ブクログ
あー刺さるー
随所でグサグサと刺さってくるー
この感覚が苦しくもあり楽しくもあるからどんどん読んじゃう
最近は朝が少しずつ大人になっていってるのを槙生ちゃんみたいな気持ちで見てる