【感想・ネタバレ】花井沢町公民館便り(1)のレビュー

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感想 花井沢町公民館便り(1)

2017年04月04日

淡々と進む物語。
閉ざされた環境内で生きる人々を描いた作品は少なくはない。だが、大抵の作品は人間の”欲望”がメインに出され、”人間性”を問う作品となっている。
だが、この作品は違う。
派手さは無い。
欲を求める人間たちの過激な争いも無い。
”鳥籠”の日常を描いている一作品でしかないのだ。
...続きを読む
だが、他の作品によって植え付けられたイメージが”うそっぱち”である事を明確に示している。
勿論、花井沢町も”うそっぱち”である。
しかも、貧しくも、危険でもない平々凡々な世界が描かれている。(コソ泥程度はいる)ただ、自由だけが無い。
これが考えさせられる。考える程に、とても怖い作品だと分かる。
なぜなら、頭をよぎる事故があるからだ。
人間を少しだけ、知っているからだ。
時事的に考えざる得ない事が、尚、恐ろしい。


1

Posted by ブクログ 2016年12月27日

花井沢町という、とても特殊な状況におかれた町のふつうの人たちの日々の短編集。
風景の、人々の、空気のふつうさが、言葉やシンプルな絵柄によって強調されていて、それがより緊張感を誘う。

だからどうしても自分の日々を思わずにはいられない。
私の毎日は?私の大切な人の日常は?明日も同じように来るのかな?と...続きを読む

三巻完結でよかった。最後まで一気に読めて心からよかった。

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寓話的象徴的な作品

2022年07月03日

生き物が出入りできない壁で囲まれた普通の町 という舞台設定に感銘を受けた。しかもそこでの物語の題名をあえて「公民館だより」というローカルで日常的なものにすることにより、この町の人々の置かれている非日常的な環境を際立たせている。
さらに、少し淡い印象の絵柄が何の変哲もない日常性をよくあらわしていて ...続きを読む逆に異常性を強調している。
ストーリー内容は寓話的象徴的な色合いがあり、どのようにでも読むことができる。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年11月20日

設定は超常的だが、村社会、被災地域へのポジティブな差別、ネガティブな差別などが生々しい。
自警団や裁判機能のうまく機能してない感じもリアル。たまたま有能な指導者が隔離側にいればいい形で組織されるだろうが、そうでなければこういう人間的な、だらけた形になりそう。

面白かった。
まだまだ語られていない物...続きを読む語も多そうで楽しみ。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年07月02日

生きているものは誰も入れず出られない、見えない壁で囲まれてしまった小さな町が舞台の話。時系列バラバラのオムニバス。
善くも悪くもない普通の人々の優しさと悪意が満ちています。ほとんどの人がモブ顔なのが印象的。

第3号と第6号は特にショック。
田舎の付き合いは陰険で面倒とかいうけれど、ちょっと手癖が悪...続きを読むい人がいたとしてもわざわざ犯人探しなんかしない。犯人も被害者も出ていくわけにはいかないんだから、曖昧にしておいたほうが賢いわけで、村八分なんてされるのは本当に最悪のケースだけです。江戸の長屋だって同じだ。狭い社会で生きていくための知恵がある。しかし、お隣との付き合いが希薄な、都市のど真ん中だった花井沢町の住民にはそれがなかった。第3号のラストで、被害者の少年は初めて、警察も裁判所もないところで人の罪を暴くとどうなるかということに気づく。
そこから学習して小さな民主国家みたいなものができたか、あるいは村社会的な知恵が生まれたかというとそうではなく、吟味されない無秩序な「正義」がまかり通る場所になってしまっていた。数十年後の第6号では、女性が青年にしていたストーカー行為は無視され、親が子を守るための殺人は仕方なかったで済まされる。最後のシーンで青年が泣いているのは、この町への恐怖や違和感そのものと、それを誰とも共感できない寂しさからだと思う。

第2号の女子中学生の話などを見ていると、これは「被災地」のことを言っているのかなと思ったりもしますが、実はピンポイントな世界の話ではなく、花井沢町は日本社会のデフォルメとも受け取れました。
閉鎖的で、物と情報だけは外の世界と行き来できるところ。若者が学ぶこと、働くこと、生きることを大事にできないところ。普段は善人でもない普通の人間が、ひとたび何かあると「悪いことをした人間は攻撃してもいい」と当然のように行動できる残酷さ。そして、この狭い小さな世界には、そこそこ人がいて、そこだけで通じる常識があるということ。自分たちにしかわからない常識だということを、彼らは知らない。
物語では、日本のごく一部分がこうなってしまったということになっているけれど、日本という国そのものがこうなってもおかしくないと思いました。だから恐ろしく感じるんだろう。
それでも本人たちにとってはこれが日常だから、ただただ怖いだけとは思わないし、絶望もしない。1巻だけでもおなかいっぱいだけど、2巻はどんな話が描かれるんだろうか。

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Posted by ブクログ 2015年05月16日

やーーー、すばらしい。
星新一のショートショートで有ったネタ「外からの攻撃は完全に防ぐ、けれど中からも出られないバリア」を、その後もそこに生きる人々を描いたSF、なのかな。
やー、これは、おもしろい。
もうある意味結論は出ちゃってるわけで、そこまでの間をいろいろな段階で良いシチュエーションだけ抜き出...続きを読むしてる。旨い。
微妙に謎があるのも、気になる。

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Posted by ブクログ 2015年04月26日

設定が斬新だけど切ない物語ですね。
第1号の希の台詞の意味が分かったときは、悲しみで胸が打たれました。

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Posted by ブクログ 2015年04月12日

朝日新聞の書評見て即買い。アンダーザドームみたいな設定。深刻さはあまり出ない淡々とした日常的作品。2055年らしさってこのドームだけ。あとは今と少しも変わらない。短篇形式なので最初の話の女の子がどうなるのかめちゃめちゃ気になる。最後ですってどーゆーことなんやろ。二巻が早く読みたいです。

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Posted by ブクログ 2015年03月27日

久々に震えた一冊。

生物を通さない、見えない膜に囲まれた小さな町。そこに住む人たちの物語です。



全員が全員の名前を知っている世界。
そして、決して逃げられない世界。
個人的には考えただけでゾッとするのですが、花井沢町の人々はそれを日常として(一種の)明るさを持って生活しています。
しかし、狭...続きを読むい世界だからこそ蹴落としたり裏切ったり様々なことが起こります。

そして、私たちが生きている学校や職場なども、登場人物たちが生きている「とても小さな町」と同じなのかもしれません。

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Posted by ブクログ 2015年03月25日

新技術のシェルター開発実験の事故により「生物を通さない見えない膜」に覆われてしまった町の日常。精神にくるエピソードが多いですが、これも彼らにとっての日常なんだな。
「世界がもし100人の村だったら」ってやつを思い出しました。小さな町だけど、いろんな人がいて、いろんなことが起こる。表情豊かな作品でした...続きを読む。次巻も楽しみです

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年11月07日

別に住民たちは悲観的ではないのにどの話もどこか悲しい。3号が特に悲しかった。閉鎖的空間の狂気と悲しみ

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隔離された町で

2022年02月01日

舞台は花井沢という小さな町。
2055年に起きたシェルターや刑務所で使われる事前提で開発されていた生命反応のある有機体を通さないようにする技術を開発している最中の事故によって花井沢は町の外に出ることも中に入ることもできない場所となっていた。
それから15年ほど経ちシェルターの中の人達は外の人たちと連...続きを読む携してなんとか社会生活を送っている。
しかし事故前の世代と後の世代では感覚がだいぶ違う。
前の世代はちゃんと勉強してしっかりした仕事を中でやるべきだというが、後の世代は外の世界に出られるわけではないのでちゃんと勉強しても意味がないし在宅でできるネットのバイトといろんな給付金や慰謝料で暮らしていけると自分の人生に対して冷めている。
そんな中で好きなアイドルが境界線のあたりでライブをすることになりウキウキしながら準備する二人の女の子、警察がいないなか泥棒が頻発し町で捕まえようと発起する町の人たち、在宅のバイトを頑張りそのお金でおしゃれな服を買ってネットの交流を楽しむ青年などが出てくる。
閉塞感あふれるやがて死に絶える町の日常が空恐ろしい話だった。

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Posted by ブクログ 2017年03月05日

外の世界から遮断されてしまった町。一見、何気ない日常の風景のようだけど、やはりどこか歪んでいて町の住民は蝕まれていっているようだ。三巻で完結のようだけど救いはあるのだろうか

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Posted by ブクログ 2015年07月29日

はっと感じる「境界」が鋭くて息が詰まることもありました。ラブラブカップルが変わらずラブラブでありますように

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Posted by ブクログ 2015年05月24日

見えない壁によって隔てられてしまう人々の物語。全編にわたって切なさにまみれてる。
導入から引き込まれるし、読み終わって最初に戻ると、喪失感みたいなモノが押し寄せてくるみたいな?

巻数があるから、続くのだろうけど、この設定で色々な作家さんに物語を紡いでみてもらいたいなとか夢想する。 

この作者に不...続きを読む満があるではないけど、思いもしない物語とか、読めそうじゃん?
例えば、野尻抱介とか、絲山秋子とか、江國香織とか?

映画化とかされたら、少しみてみたいかな。
諏訪敦彦とか、岩井俊二とか。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年04月18日

否が応でもこの設定は震災直後の原発事故を私に想起させる。現実世界ではこの漫画とは逆に人々は町を追い出されてしまったけれど、その町の名前だけで心の中に偏見というバリアを張ってしまったという事はないだろうかなどとつらつら考えさせられたりした。これからの展開はどうなるっていくんだろう?次巻が怖いけれど早く...続きを読む読みたい。

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Posted by ブクログ 2015年03月30日

震災がなければうまれなかったのかな、このディストピアは。まだ断片、つやがっていくのが楽しみ。それともオムニバス的なのかな?

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Posted by ブクログ 2015年03月29日

また新しい世界観…!
今回は社会風刺っぽいものもあり。
1巻てことは2巻も出るのか?続きがあるような終わり方ではありません。基本1話完結。でも全て同じ町で起こっている。2巻以降は過去のこと掘り下げていくのかな。町が廃れるまでとか。

個人的にはこういった話とても好きです。
モヤモヤもするんだけど。で...続きを読むもハッピーエンドだけあってもつまらないから。やるせない日々の連続。ヤマシタトモコはこういったお話を描くのが本当に上手だなぁ。

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Posted by ブクログ 2019年05月31日

「生命体を通さない膜」で、見えながらにして外界から隔絶される
ことになってしまった町に住む人々の物語。
「隔絶された場所」でのドラマは他の人の作品にもあるけれど、
これほどまでに痛く厳しいお話はあまり見たことがない。
『WHITE NOTE PAD』での「人格入れ替わり」といい、
ヤマシタトモコさん...続きを読むの描く状況ドラマは「甘さ」を許してくれないなー。

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Posted by ブクログ 2016年12月19日

シェルター技術の開発事故により、「生き物を通さない膜」によって外界と隔てられた花井沢町。
しかし物は届くし電気もインターネットも繋がるわけで、人々は普通に生活しているし、それは別に、どうしようもない絶望ではない…のだけど。
「一生出られない小さな町で暮らす」。
それゆえに起こる…ちょっとしんどいこと...続きを読むが、町のいろいろな人々の視点で見える短編集。
うん。どうにもちょっと…最終的にしんどいことになる話ばっかりでなかなかずっしり来ます…。

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Posted by ブクログ 2016年02月05日

初期設定は理由で、そこから動けない人々のお話。

この方はショートがとてもおもしろい作家さんだと思う。不思議のなかにやたらとリアルなストーリー。この先どうなっていくのかなあと気になる。
けれどちょっとこの雰囲気に飽きてきたかもしれないな、とも思う。私が。

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Posted by ブクログ 2015年05月06日

花井沢町という世界からシャットダウンされた小さな町の住民達にも適応者と非適応者が実在しており、その途上さがどう渦中をこれから泳ぎ回るのか。あのエピローグがどう結びつくのか。色々楽しみなところ。

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Posted by ブクログ 2015年04月04日

多分海外ドラマのアンダーザドームの設定からヒントを得てるんだろうな~って感じで、でも花井沢の方は外界から隔離された設定が必要なだけで、別に町を断絶するものが見えない壁じゃなくても成り立つ。
そしてアンダーザドームの方はドームの謎を探り、脱出を目指す人々やドーム内での事件を描いててまだまだ終わりが見え...続きを読むないけど、花井沢は脱出する事や謎はどうでもよくて、そこで生きる人たちの暮らしを描いてるだけだから最終回も持っていきやすそう。

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購入済み

微妙に

2022年02月01日

この人の作品、微妙にパクリっていうか・・・
インスパイアどころではないだろうっていうのが・・・
アメドラの「アンダー・ザ・ドーム」見た人ならぴんと来ると思いますが・・・
薄っぺらくて浅いです。

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