若竹七海のレビュー一覧
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若竹七海の連作ミステリ短篇集『プレゼント』を読みました。
若竹七海の作品は、先月に読んだ『殺人鬼がもう一人』以来ですね。
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ルーム・クリーナー、電話相談、興信所。
トラブルメイカーのフリーター・葉村晶と、娘に借りたピンクの子供用自転車で現場に駆けつける小林警部補。
二人が巻き込まれたハードボイルドで悲しい八つの事件とは――。
間抜けだが悪気のない隣人たちがひき起こす騒動はいつも危険すぎる!
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1996年(平成8年)に刊行された短篇集……葉村晶が初めて登場する作品で、当初は単発の予定だったが葉村晶のキャラクターが予想外の好評を博したことからシリーズ化されたようですね。
■海の底
■冬物語
■ロバの穴
■殺人工作
■あんたのせいよ
■プレゼント
■再生
■トラブル・メイカー
トラブルメイカーのフリーターとピンクの子供用自転車で現場に駆けつける警部補……間抜けで罪のない隣人たちが起こす事件はいつも危険すぎる!
葉村晶が活躍する事件と、小林警部補と部下の御子柴のバディが活躍する事件が交互に描かれ、最後話の『トラブル・メイカー』で初めて両者が顔を合わせるという構成の連作ミステリでした。
本格ミステリ要素が強くて愉しめたのは、
幼馴染の吉本惇に裏切られ破滅した主人公が、吉本を別荘に呼び出して殺害……計画は完璧のはずだったが、小林警部補の鋭い追及により完全犯罪が綻ぶ『冬物語』、
三杉若葉は、親友・塩川春美の遺体を雇い主である大学助教授・片倉忠の家に運び、2人が心中したように見せかける……工作を終えた後、若葉の前に小林警部補が現れ真相を推理することで見えていた景色が反転する『殺人工作』、
の2篇かな……刑事コロンボっぽさを感じさせる倒叙ミステリでしたね。
葉村晶シリーズらしさが感じられたのは、
編集者の井坂敏雄から依頼されたハードボイルド作家・赤月武市が残したホテルの一室に付いた染み(血痕)を取る仕事……葉村が、染みを取るだけでなく、失踪した赤月の謎を解く重く切ない展開の『海の底』、
葉村のもとに知人女性の南佳代子から、恐喝絡みのトラブルに巻き込まれたので助けてほしいと連絡が入る……以前、佳代子と三角関係で揉めたことのある葉村は連絡を無視するのだが、葉村は事件に巻き込まれていく『あんたのせいよ』、
2篇かな……スッキリしなくて後味の悪いダークな結末なんだけど、それが面白いんですよね。
それ以外では、
1年前、誕生日パーティ当日に殺された佐伯里梨を偲ぶため関係者らが再び集まり、誰が里梨を殺したのか? 真相を探るため事件について語り合う……その場にいきなり刑事を名乗る男が現れ 巧い叙述ミステリの『プレゼント』、
葉村、小林警部補、御子柴刑事が揃って登場、葉村晶シリーズの続篇『依頼人は死んだ』に繋がるエピソードが満載でファンには嬉しい作品……葉村の実姉・珠洲の非人道的な行為が強く印象に残る『トラブル・メイカー』、
が印象的でした……若竹七海らしさ満載で愉しめました! 面白かったです。 -
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若竹七海の連作ミステリ短篇集『殺人鬼がもう一人』を読みました。
若竹七海の作品は、先月読んだ『暗い越流』以来ですね。
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都心まで一時間半の寂れたベッドタウン・辛夷ヶ丘。
二十年ほど前に連続殺人事件があったきりののどかな町だが、二週間前の放火殺人以来、不穏な 気配が。
そんななか、町いちばんの名家の当主・箕作ハツエがひったくりにあった。
辛夷ヶ丘警察署生活安全課の砂井三琴は相棒と共に捜査に向かうが……。
悪人ばかりの 町を舞台にした毒気たっぷりの連作ミステリー!
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光文社が発行する『宝石ザミステリー』等に連作された5篇に書き下ろし1篇を加えて、2019年(平成31年)に刊行された、東京郊外の架空の寂れたベッドタウン・辛夷ヶ丘(こぶしがおか)を舞台とした連作ミステリです。
■ゴブリンシャークの目
■丘の上の死神(『母さん助けて』を大幅改稿の上改題 )
■黒い袖
■きれいごとじゃない
■葬儀の裏で
■殺人鬼がもう一人
■解説 千街晶之
都心まで1時間半の寂れたベッドタウン・辛夷ヶ丘……20年ほど前に"ハッピーデー・キラー"と呼ばれた連続殺人事件があったきり、事件らしい事件もないのどかな町だ、、、
それがどうしたことか2週間前に放火殺人が発生、空き巣被害の訴えも続いて、辛夷ヶ丘署はてんてこまい……そんななか町で一番の名家・箕作一族の最後の生き残り・箕作ハツエがひったくりにあうという町にとっての大事件が起き、生活安全課の捜査員・砂井三琴が捜査を命じられたのだが……。(『ゴブリンシャークの目』)
アクの強い住人たちが暮らす町を舞台にした連作ミステリ……著者の真骨頂!!
東京都の外れにある辛夷ヶ丘市という架空の町を舞台とした物語……高度経済成長期に急ごしらえで誕生したこのベッドタウンは、時の流れとともに住民も歳を取り、家も老朽化が進み、人口流出が止まらない状況にある、、、
そんな息苦しいコミュニティ、調子の良いエゴイスト、空き家が増え寂れゆく町を舞台に展開される、ダーク・コメディ・ミステリでしたね……全6篇、愉しませてもらいました。
この連作で重要な役割を務めるのは、人材の吹き溜まりと揶揄される辛夷ヶ丘警察署生活安全課の警察官2人……不倫の噂が原因で左遷された身長180cmに届きそうな大女・砂井三琴と冴えない男・田中盛のダークなコンビも印象的でした、、、
資産家の老婦人が巻き込まれた引ったくり事件を描いた『ゴブリンシャークの目』、
市長選を巡って巻き起こる大騒動を描いた『丘の上の死神』、
で徐々にブラックでダークな展開に慣れてきて、
トラブルが押し寄せる結婚式の内幕を描いた『黒い袖』のコメディタッチのユーモア溢れる展開でひと安心できたのですが、次から再びブラックでダークな展開に戻ります。
ホームクリーニング社社員が見た悲劇を描いた『きれいごとじゃない』、
葬儀の裏で繰り広げられる陰謀を描いた『葬儀の裏で』、
で、さらにブラックでダークな味わいが深く濃くなり、
20年前に起きた"ハッピーデー・キラー"と呼ばれた連続殺人事件の真相を探るためフリーの殺し屋を続ける女・マリを描いた『殺人鬼がもう一人』で、物語の暗さは最高潮に! もう悪徳警官を通り越してますねー そして、救いのない家族の物語でもありました。
人間関係の距離が近く、家族や親戚といった家をめぐる事柄が発端や経緯に絡んでいるんですよね……それって、ついつい目を逸らしがちなのですが、現実にも当たり前に存在していていることなんですよねー 社会批判、社会風刺でもある作品なのかなと感じました、、、
イチバン怖いのは人間なのかもしれませんね……そんな苦みのある読後感の作品なのですが、伏線回収の巧さやポップで柔らかな語り口の影響なのか、嫌な感じは全然なくて、面白く読めました。
ぜひ、続篇を描いて欲しいなぁ……悪い奴等が蠢く辛夷ヶ丘ワールドに嵌っちゃいました。 -
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ネタバレ猫好きだし、好きな作者が含まれいたので。
好きな作者、若竹七海の「神様のウインク」は
文字通り沈みつつある公団に住む中学生の話。
幼い頃の火傷の痕が顔にある少年は、
母親はいるが顔を合わせてもらえず、
母親に代わって祖母の面倒をみるヤングケアラー。
その相方は、
そんな火傷の痕なんて大したことないと言って、
父親によるたばこの痕で水玉模様になった尻を見せた同級生。
相変わらずひりりとした話で、かつミステリー仕立てで面白かった。
他の作者は全くチェックしておらず期待もしていなかったが、
「オロロ畑でつかまえて」の作者はYouTubeでバズった猫の秘密、
「ある日、あひるバス」の作者は四代に渡って会社にいる猫たちの社史の話を描いていて、
どちらも面白かった。
猫がいる会社、うらやましい。
さらには、見合いをしたら猫飼い同士だった話や、
夜のコインランドリーで黒猫と会う濱氏も良かった。
とにかく粒ぞろいの猫アンソロジー、
いやそこはニャンソロジーか。 -
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若竹七海のミステリ短篇集『暗い越流』を読みました。
若竹七海の作品は、昨年の6月に読んだ『古書店アゼリアの死体』以来ですね。
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凶悪な死刑囚に届いたファンレター。
差出人は何者かを調べ始めた「私」だが、その女性は五年前に失踪していた!(表題作)
女探偵の葉村晶は、母親の遺骨を運んでほしいという奇妙な依頼を受ける。悪い予感は当たり……。(「蠅男」)
先の読めない展開と思いがけない結末――短編ミステリの精華を味わえる全五編を収録。
表題作で第66回日本推理作家協会賞短編部門受賞。
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2014年(平成26年)に刊行された短篇集……『蝿男』と『道楽者の金庫』の2篇は葉村晶シリーズの作品です。
■蝿男
■暗い越流
■幸せの家
■狂酔
■道楽者の金庫
■単行本あとがき
■解説 近藤史恵
5年前、通りかかった犬に吠えられ飼い主と口論になった末に逆上し車で暴走、死者5名、重軽傷者23名という事件を引き起こした最低の死刑囚・磯崎保にファンレターが届いた……その差出人・山本優子の素性を調べるよう依頼された「私」は、彼女が5年前の嵐の晩に失踪し、行方が知れないことをつきとめる、、、
優子の家を訪ねた「私」は、山本家と磯崎家が目と鼻の先であることに気づいた……折しも超大型台風の上陸が迫っていた…(「暗い越流」)。
第66回日本推理作家協会賞“短編部門”受賞作『暗い越流』を収録……短篇ミステリの醍醐味と、著者らしいビターな読み味を堪能できる傑作集!!
葉村晶シリーズ2篇にショッキングでダークなオチが用意されたノンシリーズ3篇を挟んだ構成でした。
イチバン印象に残ったのは……ひとりの男性の自己紹介から始まり、そこから一人称で少しずつ情報が開示され、過去の状況、現在の状況、そしてこれから何が起こるのかが徐々に判明する展開の『狂酔』、、、
教会らしき建物に立て籠り、人質らしきシスターらしき人物に話し続けている中で、読み手は時間を遡り恐るべき事件を知る……その中である事件に隠されたゾッとする事実が判明する結末、ママは戻りたいところに戻れたんでしょうねー 最後の1行が強烈な印象を残す作品でした。
その他では、、、
死刑囚にファンレターが届き、ある編集者が死刑囚の弁護士から差出人についての調査を依頼されるという展開の序盤からぐいぐい惹き込まれ、思いがけない結末まで一気に連れていかれ、叙述トリックに心地良く騙されてしまった『暗い越流』、
ある生活雑誌の編集長が行方不明になり、部下の編集者が編集長の行方を捜す……丁寧な暮らしを提唱する生活雑誌の裏にひそむ闇を描き、日々の暮らしの中でのうんざりさや、重要さ、欺瞞のバランスが絶妙に混ざり合っている『幸せの家』、
この2篇は、似たような印象……事件が解決した後に起きることの方が衝撃的で、いやーな、暗い感じの結末が印象的でした。
葉村晶シリーズの2篇は安定の面白さ、、、
本宮波留という女性から亡くなった祖父の家に置きっぱなしの母親の骨壷を取ってきてほしいと依頼され、群馬の伊香保温泉の奥にある建っている崩れかけた洋館に行った葉村晶がトラブルに巻き込まれながらも真相を明らかにする『蝿男』、
こけし収集家で資産家だった後宇多啓介が亡くなり、遺品整理業者と一緒に残された本の選別を任された葉村晶が、貴重品を入れた金庫を開く手がかりのこけしがあるという福島のにある故人の別荘まで探しに行くことを依頼されトラブルに巻き込まれながらも真相を明らかにする『道楽者の金庫』、
似たような展開でしたが……葉村晶が、相も変わらず災難に巻き込まれ、タフで不運な女探偵ぶりを発揮していて愉しめました。
スッキリしなくて後味の悪い結末なんだけど、それが面白いんですよねー 若竹七海らしい巧くて毒のある作風の5篇を愉しめました。 -
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ネタバレ葉崎FMに届く人気のコーナー、「みんなの不幸」。このコーナーに届くお便りの中でも、ラジオネーム「ココロちゃんのぺんぺん草」こと17歳の高校生からのお便りがメイン。
バイト先で出会ったココロちゃんの不幸っぷりが語られるのだった。
ココロちゃん不幸すぎて面白い!笑
書き下ろしでは、ついに葉崎FMの収録スタジオにココロちゃんが!!笑
次から次へと事件が発生していく感じが著者っぽいなあ、この感じが好きなんだよなあ、と実感。
葉村シリーズの葉村のツイてなさがココロちゃんに全振りした感じ?
不幸だな〜かわいそう…と思いつつ次はどんな不幸が起きるんだろうか…とわくわくしてしまう。そんな一冊でした。
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暑い。猫も杓子も炎暑に焼かれ熱いブリキの上の猫状態。で、ふと気がついた。
かつて私は年間10冊は若竹七海を読もう、と誓いを立てた。ファンを任ずるには、そのペースではないとダメだと思ったからである。ところが、気がつけば2年間ご無沙汰。葉村晶シリーズはあと1冊残っているし、葉崎市シリーズは4冊しか読んでない(あと4冊)。せめてシリーズモンだけでも踏破しておかないと猫の恩返しもできない。
で、手に取った(電子書籍だけど)。葉崎市シリーズの私的に5冊目。舞台と若干人物が被るだけで、完全に独立しているミステリ。
うーむ、なく猫はネズミを捕らぬ。せめて7月27日から8月5日にかけてのお話なので、それまでにレビューしようと思ったのだけど、全く進まなかった。
湘南江の島のようなところが、猫天国の観光地になっているのだけど、そこで連続殺人事件が起きるという話。語り口こそは明るくやさしいけど、若竹七海さんなので、かなり複雑、かつダーク。私には猫に小判、理解が追いつかない。
猫が肥えれば鰹節が痩せる、上手の猫が爪を隠す。犯人もトリックも、わたしには見つけられない。誰が猫の首に鈴をつけて、解決に導くのか、さっぱりわからないまま、台風のクライマックスを迎えて大団円した。もちろん、1番最後のページには、とっくの昔に藪入りしたと思われていた大金の行方の謎解きを、ポリス猫DCくんがしてくれている。迷猫入りである。
※猫格言は、本書の目次から採りました(^^;)。