若竹七海のレビュー一覧
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どことなく古さを感じる90年代ホラー、大好物。登場人物に切れ者が多く、進行もサクサクでストレスフリー。結構な文量なのに、気づいたら一日で読み終えていた。
「戯曲が再現されているのでは?」の展開(裏書きに記載されているのでネタバレじゃないハズ)はなんだか名探偵コナンの夏休みスペシャル的展開で、「これちょっと不気味だからホラー扱いされてるだけのミステリ寄りのやつでは?」と危惧していたところ、ちゃんと怪奇現象で人が死んでくれて安心した。
怪異のモチーフ、モチベーションも腑に落ちる内容で、作品としての完成度は高いと思う。個人的にはコレクションの扱いや怪奇現象の描写が淡白すぎる気がしていて、もう少しおど -
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現在無職の葉村晶は、かつて辞めた長谷川探偵事務所の所長から受けた依頼の手伝いを頼まれる。日給は三万円。資産家のお嬢様で、著名人でもある松島詩織の身辺警護の依頼だ。嫌がらせのストーカー被害を受けている、という。不自然な嫌がらせ行為、詮索に口を閉ざす依頼人、割に合わない依頼の行方は――「濃紺の悪魔」
友人である相場みのりの婚約者が死んだ。運転中に、トンネルの入口脇の壁に激突して。自殺だったという。「あいつがそう簡単に自殺するわけがない」とみのりは語り、葉村晶に調査をお願いする。資産家の息子であり、詩集を出版したばかりだった青年はなぜ死を選んだのか。発売された詩集の売り上げも悪くなかったそうだ -
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なんというバタフライエフェクト
因果というか応報というか
登場人物が多くて目が回りそうだったけれど
読み応えがありゾクゾクさせられた
そして相変わらず不運続きでもへこたれない中年葉村晶に会えて元気が出た!
タイトルの秀逸さにも唸る
〈まぐさ桶の犬〉とは
"自分には役に立たないが、誰かがそれでいい思いをするのは絶対にイヤだ、とその「役に立たないもの」を手放さずに意地悪や嫌がらせをし続けるひと“
のことだそう
著者の皮肉がめいっぱい込められた例えだと感じた
若竹作品らしい人間の業を突きつけられる展開に引き込まれて
寝る前に読んでたら不穏な夢を見てしまったし
巻末のミステリ紹介も嬉しく -
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『祖父の家に置きっぱなしになった母の遺骨を回収して欲しい』ただ遺骨を取りに行くだけで三十万という高額の依頼が、探偵である葉村晶のもとに持ち掛けられた。犯罪ではない、とはいうが、奇妙な依頼の詳しい内容を聞いていくと、すでに亡くなっている祖父の名前は左修二郎。有名な心霊研究家だった祖父の家には、心霊現象に遭ったという話もあるそうだ――「蠅男」
「この手紙を磯崎保様にお渡しください」と届いたファンレター。犯罪事件を中心に調査しているライターの〈私〉は、磯崎保の担当弁護士から、このファンレターの人物を調べて欲しい、と頼まれる。磯崎保は死刑囚。五人を死に追いやり、弁護士さえも極刑やむなしと語る残忍な大 -
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超★5 不運すぎる女探偵、人探しから始まる仕事が想像以上に大きな騒動に巻き込まれ… #まぐさ桶の犬
■あらすじ
古本屋の店員でありながら私立探偵でもある葉村晶、彼女はひょんなことから隣人の介護を押し付けられた。その縁で学園の元理事長、乾巌から人探しの依頼を受ける。ただし秘密厳守という条件付きだ。本人をはじめ、娘や関係者などの情報を追う葉村だったが…
■きっと読みたくなるレビュー
超★5 じっくりと楽しめる私立探偵小説、おもろい!
ジェフリー・ディーヴァーなら、どんでん返しが何回あったか数えてみたくなりますが、葉村晶の場合は、ツイてない出来事が何回あったか数えてみたくなります。最初から最後 -
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五十代になり身体の不具合をいろいろと抱えながらも、久々の探偵業に乗り出す葉村晶。人探しのはずが事態はどんどん不吉な方へ、そしていつもどおりの不運のつるべ打ち。それでも負けない彼女にひたすらエールを送りたくなる作品です。
今回も最初から殺されかかってる葉村晶。受難が次から次へと降り注ぐのはもはやお約束なのですが、それ以上に加齢による衰えが悲しいです。たぶん四十歳以上の人ならわかる、わかるよ、って言いたくなっちゃうんじゃないかな。そして今回の彼女の最大の敵はスギ花粉だったのか……それもめっちゃわかる!!!
いつもながらとんでもない目に遭わされ、それでも探偵としての矜持にすがりしっぽを撒いて逃げるよ