【感想・ネタバレ】ヴィラ・マグノリアの殺人のレビュー

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ネタバレ

好きな著者だったので。

車が無ければ暮らせないにもかかわらず、
駐車場は坂の下、
街に向かうには渋滞必至、
買い物にも通勤にも通学にも充分不便な
ヴィラ・マグノリア。
それでも海は近く、眺めは良く、
白い壁に青い屋根が美しいヴィラ・マグノリア。

読み始めてすぐ、ここに住みたくなるのはなぜだろう。
欠点ばかりをあげつらっているように見えるのに、
それらを補って余りある何かがあることを、
天邪鬼的に期待してしまうのだろうか。
それとも、
個性豊かな住人たちのせいだろうか。

ある日突然、
空き家の3号棟で死体が見つかったとしても。

当然のように面白かった。
特定の登場人物に感情移入しないように読んでいるせいか、
シリーズものより軽妙な感じだった。

個人的には、
死体発見時に入院したいた嫌われ者の男が犯人、
という仮説が気に入っていた。

そして、本屋の店員が葉村? 葉村!と思った読者が、
山ほどいるに違いない。

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2021年10月28日

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ヴィラ・マグノリアの住民たち。いつのまにかご近所さんのような感覚になりながら読んでいました。
それぞれの家庭にそれぞれの人生、事情があり、すっかり解決した後も、まだ知らなかった事実も出てきて、小さな引っかかりまできっちり回収されるあたりが、さすが若竹七海ワールド。
黄金のスープ亭のパンプキンスープ、いつか味わってみたいなぁ。

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2021年10月10日

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途中で探偵役から「それがわかれば、事件の謎もすべて解けたようなもんだ」というセリフが出されます。これはいわゆる「読者への挑戦状」というものだろうと、とても嬉しくなりました。古典的な推理小説を読んでいる気分。「どれどれ、それでは読者としての推理を組み立ててみようか」としばし時間をとりましたが、作者の張り巡らした伏線を読みこなせず、最後には「やられたなぁ」と嬉しいため息(深呼吸でしょうか)をついたところです。
途中で、ちらりと登場した古書店のアルバイトが気になりました。こちらまで出向いてアルバイトしていたのか、どうなのだろう、ととても気になります。
なにはともあれ、そして今後がどうであれ、南海荘で食事したい気持ちはどんどん強くなります。ただし、この一画で暮らしたいとは思いません。たまに訪れて、しばらく見えませんでしたね、などと言われながら食事がしたいという気分です。
だんだん登場人物が多い小説が面倒になってきたので、冒頭から怒涛のように出てくる登場人物に迷いましたが、〈登場人物〉欄に助けられて読み進めるうちに、ページを繰るスピードがどんどん上がっていきました。それほどおもしろい。
このあと、双子がどのように成長していくのかが最も興味を感じるところです。
さすが、この作者、という読み応えでした。

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2021年02月24日

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海が望める小山にあるヴィラ・マグノリアの住宅地。そこの住人は、一癖ある個性豊かな面々が住んでいた。そして、空き家になってた一軒の住宅から死体が発見された。駒時警部補は、聞き込みを開始する。が、聞き込みするにも一苦労。捜査が手間取ってるうちにヴィラの住人が殺されてしまう。この二つの事件の真相は?住人達の素顔とは?笑いに驚きで送るミステリーです。
これは、もの凄く面白い。この本を読んで若竹七海を買いあさりましたからね!
お薦めの一作です。

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2009年10月07日

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葉崎市にあるヴィラマグノリア。
嘗ての前田家の敷地に建てられた住宅10軒。街に遠くて使い勝手は悪いが海には近い個性的な住宅地。
空家で身元不明の死体が発見される。犯人は住人か。個性的な住人たちへの捜査が進む中、住人の一人が殺害される。
連続殺人事件。犯人は同じか?
それぞれに理由がある殺人。
謎解きを楽しむ物語ではなく、住人たちの個性が楽しめる。コーシーミステリー。
恥ずかしながら面白さを初めて知りました。

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2024年03月13日

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海辺の街にある〈ヴィラ・葉埼マグノリア〉という、全部で十軒からなる建売住宅の空き家になった三号棟で、死体が発見される。
外からは鍵がかかっていて、被害者の顔は完全につぶされていた。

登場人物がやたらに多くて、どの人物も個性が強く、みんながそれぞれの秘密を抱えていて裏がありそうで、誰もが犯人のように思えてくる。

ヴィラの住人に加えて、警部補と巡査部長の名コンビの掛け合いと、粘り強い聞き込み捜査も面白く見事なものだった。
そして、死体の身元もわからないまま、第二の殺人が起きて…。

ユーモアたっぷりのミステリーで、怖がりの私でも楽しく読むことができました。
見事な推理、住人たちの生活も落ち着いて何とかスッキリ片付いたと思っていたら、結末が二転三転としていって、まるで洒落た映画を観ていたような気分です。
葉埼シリーズ、他の作品も読んでみたいです。

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2022年07月31日

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若竹七海〈葉先市シリーズ〉第一作。

今までコージーミステリというものはあまり意識して読んでこなかったけれど、イメージにあった「お茶とお菓子を食べながら謎解き談義」というものとは全然違っていて(どこでそんなイメージを得たのかは定かではないが)殺人は起こるしけっこうドロドロとした人間関係の中で事件は進むしで、とても面白かった。

因みに、コージーミステリの特徴(wikiからの引用)。

“特徴としては

探偵役が警察官、私立探偵などの職業的捜査官ではなく素人であること
容疑者が極めて狭い範囲のコミュニティに属している
暴力表現を極力排除していること
などがあげられる。”

とのことである。なるほどね。

文体というかお話としては、同じ若竹七海の大人気シリーズ〈葉村晶〉よりもコミカルな表現が多く、登場人物は多いもののキャラが立っていて覚えやすく、読みやすい。
詳しくは書かないけれど葉村シリーズ読者にも嬉しい部分があって、サービス満点、という感じ。

シリーズ読み進めようと思います。

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2022年05月13日

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若竹七海の葉崎市シリーズ第一弾。ジャンルとしては「コージーミステリ」というものらしい。でもこれホントにコージーなの?喫茶店や古書店を舞台に、悩みを抱えた客の謎を、店主のお婆ちゃんや若い女性が解いていくものではなかったの?

作者本人がカッパノベルズの初版でコージーミステリを説明しているらしい(「解説」より)。
‥‥小さな町を舞台とし、主として誰が犯人かという謎をメインにした、暴力行為の比較的少ない、後味の良いミステリ‥‥これが「コージー」らしい。更にこの作品を説明して「重苦しい情念の世界も、鬼面人を驚かす類の大トリックもありません」と断ったうえで「舞台は海沿いの閑静な住宅地」で、「それぞれ一癖ありそうな住民たちが、ご近所に降って湧いた謎の死体に右往左往する、犯人さがしのミステリ」と説いている。

この定義は若竹七海さんの視点で語っているので、眉唾です。殺人死体は2体登場するし、決して後味の良い感動作でもない。ラストエピソードまで読むと、なかなか「黒い情念」もある。しかも私はこのトリックに辿り着けなかった。もっとも、ほとんどのミステリでは辿り着けないんだけど‥‥。因みに「深夜の散歩」をして午前三時まで読みきれなかったからと言って、ラストの種明かしを先に読むようなことは私はしません。

それでも、
10軒の住宅の住民の、特に女性から発せられる辛辣な言葉の数々
双子の麻矢と亜矢が無邪気に悪意を持って2人交互に喋りながら重要証言をする、見事な仕掛け
刑事の聴き取り、レストランで住人同士の会話、密かに行われる密謀、共犯者?アリバイ?被害者の正体?そして意外な犯人‥‥

やはり徹夜してでも一気に読むべきだった。
諦めて睡眠は取ったのだけど、
時々仕事に支障をきたしてしまった。

葉村晶シリーズにちょくちょく出てくる作家・角田港大が重要な役割を持って登場していた。更には葉村らしき人物がたった1行だけ登場する(台詞も作品への影響もなし)。よってレビュー界隈ではその話題で持ちきりという、まぁありがちなサービスもある。

10月初めの台風の日から始まる3日間を中心にしたミステリ。決して季節を狙ったわけではありません。年間10冊は若竹七海を読もうシリーズの7冊目。

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2021年10月26日

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みんな秘密があり、みんな隠し事があり、錯綜するする…。
登場人物が多くて、最初は誰やったっけ? と何度も登場人物ページに戻りましたが、キャラが全員こゆいので。
男性にしては小柄、が集う場所。

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2021年10月16日

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登場人物が全員濃い目のキャラクターで、住民同士の会話が面白い。
いろんな事件が重なり、捜査中の流れは頭がこんがらがったが、その分それが収束していくところは気持ちよかった。
最後に独特の後味の悪さを残すところは作者らしいと思った。

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2020年01月02日

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ネタバレ

ラスト、どうしてこんな余計なことをしたのだろう。どんでん返しに見えるけど、よくよく考えてみると……理由がない。
という不満はあるものの基本的に面白い。
人の不幸は蜜の味。嘘でも本当でも周囲を振り回すために変な情報を流しまわる朱美。しっかりもののように見えてぷーたな男に振り回される典子。おませで小学生とは思えない異様な存在の双子一家。などなど、おえぇ、と言いたくなるような悪臭を放ちそうなヴィラに棲む一行たち。さてさてあなたたち一体、何処へ行くの?と聞きたくなるような。フーダニットとしては微妙にも感じられるが、かなり微妙なキャラクターたちが織り成す人間模様が、この先、どうなってしまうのだろうか? と引きつけて離さない。

田舎って怖いわぁ、を地でいく住人たちの巻き起こす喜劇にも似た悲劇。どう書いたらいいのか解らない魅力ある作品。金曜サスペンス劇場とかで放映されていそうな。

とにかく、読んで損はしない。って感じだけど、ラストだけがちょっと気に食わない。ので星四つ。

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2013年07月03日

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物語としてよくできていて楽しめました。何度か吹き出しましたし、全く犯人は読めなかったです。あと料理が本当に美味しそうでした。

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2011年05月05日

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登場人物がみんな怪しくて、
これはちゃんと収拾できるんかなと思ったけど、
それはさすが若竹さん。上手にまとまりました。
最後にバタバタといろんな事実が出てくるとこなんか
パズルのピースが埋まっていく感じで、好みです。
久々に「犯人誰やろ?」と純粋に楽しめたな。

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2010年07月06日

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物語は、世間話噂話によって前進する。
その会話のテンポがいい。
とても殺人事件が目下起こっている現場の人々だとは思えない暢気さ。
10世帯+αの人々のキャラクタが面白くて、過去に何か秘密を持つ人たち、今現在秘密のある人たち、性格がもう既に被害者向きの人たち。。。様々いて、けっこう「みんなアヤシイ!」のだ。

謎を解くのは警察やなんかじゃなくて、何しろ噂話だから、
後半容疑者が絞れてくるかと思いきや、
なんだか範囲広がってるような・・・??
とにかく楽しめます。

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2010年01月03日

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海に臨むヴィラ・マグノリア。

その空き家となった一棟で変死体が発見された。

ヴィラの住人は一癖も二癖もある人物ばかりで、聞き込みで手間取る間に、住人が殺される第二の殺人が?!


氏の作品は伏線が巧く使われるのですが、この作品も秀逸。

結末に心が涙する一冊ですw

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2009年10月04日

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軽く読めるミステリー本。よくコージー本と書いてあるが、コージー本とは何なのかしら?こういう本のことらしいが。ま、とにかくあっさりと面白く読みたいときはお勧めの作家さんです。

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2009年10月04日

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ひと月ほど前、新聞広告で『「葉崎市シリーズ」最新作が、10年ぶりに書下ろしで登場!』というのを見て、そういうシリーズがあったのかと、最初から読んでみることにした。

それにしても、長編で登場人物は多そうだしうまく頭に入るかちょっとビビりながら読み始めたが、悪くなってきた頭では苗字で呼ばれたり名前で呼ばれたりに混乱し、典子と圭子はどっちがどうだったか、巻頭の<登場人物>に戻ることもしばし。
それでも、まったりとした警察の捜査とかまびすしい住人たちの言動を読み進めれば、それぞれの事情や人間関係もだんだん頭に入ってくる。
ヴィラの空き家の一室で死体が発見された最初の事件の捜査に手間取る内にヴィラの住人が殺される第二の事件が起こり、みんなが怪しくみえる中、全く犯人を読めなかったが、残りの少ない頁で巧みに収束。
コージー・ミステリーと呼ばれるテイストのようでドタバタとした群像劇にこの作者らしいおかしみあり。
ラストのママさんの独白にはもうひと捻りにこの作者らしいほろ苦さもあって、最後までまずまず楽しめた。

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2021年10月03日

Posted by ブクログ

若竹さんの本でコージー・ミステリーというジャンルを知った。
コージーとは居心地のよい、くつろいだ親しみやすいという意味だそう。

小さな町を舞台として、登場人物のキャラクターを書き込み、あまり暴力的でない凄くない殺人が起こり、誰が犯人かという謎解きを楽しむ、後味のよいミステリー。

そのコージー・ミステリーである。

始めのページに登場人物、23人。次ページに「葉崎」という架空の市の説明。3ページ目に「ヴィラ・葉崎マグノリア」の見取り図。

おーお、相変わらずきちっとしている若竹さん、安心して読みに取り掛かれる。
なるほど、なるほどキャラクターが面白い。本関係がとくによい。

海の見えるひな壇の瀟洒な建売住宅の住人たち。

姉妹編の「古書店アゼリアの死体」の前田紅子を思わせる、翻訳家である入江菖子。
古本屋「鬼頭堂」の経営者、鬼頭典子。

そしてその上なる丘に建つ元「前田家」の別荘を、すてきな邸宅にして住んでいるハードボイルド作家で、かっこいい角田港大。

前田家!葉崎市一帯を所有していた大地主。この前田家が「古書店アゼリアの死体」に繋がっているのも興がある。

その建売住宅「ヴィラ・葉崎マグノリア」全棟10軒。
1軒空家、そこに死体が転がっていたのだのだから、静かな海の見えるのどかな住宅地の住人は大騒ぎとなる。

死体もミステリーなのだが、普通の人である住人の過去の謎がおかしくも哀しい。人間性は様々、過去も様々。アガサクリスティーのように深層心理までは暴いていないが、そのさらっとした描写がコージー(cozy)なのだろう。

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2021年09月14日

Posted by ブクログ

とある建売住宅(通称ヴィラ)の空き部屋で顔と指を潰された死体が発見されたことから、ヴィラの住人たちを巻き込む事件に発展する。
一癖ある登場人物たちが楽しい。
軽快なタッチで読みやすく、途中のおいかけっこは映像がありありと思い浮かぶほど活き活きと書かれている。

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2020年10月24日

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湘南の景観がいいけど住むには不便な建売住宅の空き家に死体が転がっていた。またもやクセの強い住人が多数登場する。捜査が進むうちに住人達の触れられたくない過去が次々暴かれ、二組の夫婦が破綻する。どちらも一見奥さんのほうに問題がありそうだけど旦那のほうも身勝手で結果に納得させられる。
一方最後に二組のカップルが誕生する。この辺のバランスはいい。

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2018年01月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

〇 評価 
 サプライズ ★★★☆☆
 熱中度   ★★☆☆☆
 インパクト ★★☆☆☆
 キャラクター★★★☆☆
 読後感   ★★☆☆☆
 希少価値  ★☆☆☆☆
 総合評価  ★★★☆☆

 架空の町,葉崎町を舞台としたシリーズ。ヴィラ・マグノリアという住宅地区で,連続して殺人事件騒ぎが起こる。コージーミステリという体裁をとっている。登場人物が非常に多い。その上,若竹七海の文体は,説明不足というか,無駄な描写がないので,誰が何をしているのか分かりにくい。そのため,冒頭からしばらくは物語に入り込みにくかった。
 最初の事件の謎は魅力的。空き家であるヴィラ・マグノリア三号棟の中で,顔と指を潰された身元不明の死体が密室状態で見つかる。この死体の身元がなかなか分からない。密室のトリックは連鎖的なもの。不動産会社がカギを掛け忘れていたこと,死体を運んだロバートが三号棟と八号棟を間違えたこと,三島が裏口のカギを閉めてしまったこと,という三つの出来事が起こったから密室になった。
 真相解明のシーンでは伏線が一気に回収される。牧野セリナの夫の自殺が偽装でロバートが夫(南春太)だった。三島芙由の夫は三年前に事故死しており,その死体が南春太の死体として引き取られていた。そして,謎の死体となった陽飛沖が,真相を知って恐喝しに来たと誤解し,隠蔽工作をしたというもの。ミスディレクションとして,鬼頭典子の元彼氏である笹間寿彦を出し,笹間と中里とのトラブルなどを絡める。ここに,松村朱美殺害が加わる。
 この作品の魅力は,ヴィラ・マグノリアに住むゆかいな人々,住人と警察の動向だろう。若竹七海特有のユーモアのある文体で,各個人が好き勝手に動くさまはそれなりに楽しい。
 それだけでなく,ミステリとしての骨格もしっかりしている。丁寧な伏線とその回収。ただし,トリックはしょぼい。プロットもそれほど凝っていない。
 雰囲気を楽しむミステリなのだが,若竹七海らしいシニカルな要素はある。それぞれの登場人物は,双子の子どもも含めて,単なるいい人ではない。無邪気な子どもですらない。最後の南小百合のモノローグもえぐい。実は事故ではなく,殺人でしたと明かさなくても…。単なるコージーミステリとして読むとここでガツンとくる。
 もう少し,内容を把握しやすいような文体だったらよかった。このあたりは相性だろう。トリック,プロットがしょぼいこともあって評価としては★3どまり。

 冒頭の書き出し部分がイマイチ。いきなり多数の固有名詞などの情報が多数登場し,物語に入り込めない。

〇 メモ
三島芙由
 一号棟の住人。公務員。双子の娘(亜矢・麻矢)がいる。裏口のカギを掛け,三号棟を密室にしてしまう。
五代四郎・フジ
 二号棟の住人。四郎は引退した中学校校長。四郎は,入院している。五代四郎が倒れて救急車が呼ばれた騒ぎが,三号棟の密室の原因の一つ。
岩崎晃・中里澤哉
 四号棟の住人。二人で塾を経営している。
松村健・朱美
 五号棟の住人。朱美はトラブルメーカー。松村健は朱美殺しの犯人
入江菖子
 六号棟の住人。翻訳家
鬼頭時子・典子
 七号棟の親子。典子は鬼頭堂という古本屋経営をしている。典子はミスディレクション。
牧野セリナ
 八号棟の住人。謎の死体に隠蔽工作をし,謎を深めてしまう。
伊能渉・圭子夫妻
 九号棟の住人。夫は中古自動車の販売会社の社長。圭子にはかつて,不倫が原因で飛行機事故を起こしたという過去がある。渉は花岡みずえと不倫。二人そろってミスディレクション
十勝川レツ
 十号棟の住人。猛烈老人
角田港大・弥生
 ハードボイルド作家とその妻。実は妻がゴーストライター
南小百合
 セリナの元姑。黄金のスープ亭のシェフ。陽飛沖殺害の真犯人
ロバート・サワダ(南春太)
 菓子職人。二重国籍を持ち,牧野セリナの夫でもある。南小百合の息子
笹間寿彦
 鬼頭典子の元恋人。
三笠六郎,駒時時久,一ツ橋
 警察官
児玉剛造・礼子
 小島不動産の社長夫婦。婦人は死体を発見する。
花岡みずえ
 児玉不動産屋の従業員
陽飛沖
 謎の死体の正体。謎の中国人
 謎の遺体(陽飛沖)殺害
 真犯人は南小百合。南春太(ロバート)と牧野セリナが偽装工作をしたこと,三島が裏口のカギを掛けたことなどが原因で密室殺人になった。
 松島朱美殺害
 犯人は松島健。母親からの電話などを使ったアリバイ工作

 ヴィラ・マグノリアに夫婦を案内した児玉礼子が死体を発見する。十勝川が警察に通報。三笠は3年前の中国人の密航騒ぎを思いだす。死体は顔を潰され,指も潰されていた。
 警察による聞き込み。その後,黄金のスープ亭に,ヴィラ・マグノリアの住人が集まる。住人による会話と推理。松村朱美は裏の道である人物を見掛けたといい,現場は密室状態だったので不動産屋が怪しいという話題が出る。
 警察による捜査会議。容疑は不動産屋に傾く。
 各住民による夜のシーン。
 翌日の捜査。警察は児玉剛造の話を聞き,剛造が伊能圭子を脅迫しようとして九号棟を訪れていたことなどを聞く。朱美が盗み聞きしたので,トラブルになる。
 警察は伊能圭子に聞き込み。脅迫のことも聞く。三島家の双子が学校でトラブルを起こす。
 警察が,黄金のスープ亭とホテルを調査。事件があった夜に東京の出版社の人間(進藤カイ)が急に泊まったことが分かる。
 伊能圭子に送られてきた脅迫状,進藤カイという謎の人物など,謎が増える。 
 警察が角田港大への聞き込み中に,松村朱美が殺害されているとの情報が入る。松村朱美の死体を発見した現場で,警察は十津川レツから,伊能渉が不倫をしていることを知る。
 三島芙由への聞き込み。警察の一ツ橋と三島が,高校時代の同級生であることが分かる。三島家の双子の娘から,鬼頭典子が昔付き合っていた男の話を聞く。その男の容貌は最初の被害者に似ていた。
 角田港大の妻,弥生への聞き込み。「進藤カイ」という名前が,角田の小説の登場人物の名前であることを知る。
 伊能渉は,花岡みずえと不倫をしていた。
 鬼頭典子への聞き込み。松村朱美が死亡した時間に,いたずら電話があり,もう少しでアリバイがなくなるところだったという。
 一ツ橋が三島芙由と食事をしながら夫のことを聞く。夫は3年前から行方不明。
 捜査が続く。松村健は妻の追悼パーティをしようとするし,伊能圭子は行方をくらます。捜査の中で,伊能圭子に脅迫状を出したのが伊能渉だったことが分かる。
 警察の捜査で,三島家の双子の子どもが,三号館の裏門のカギの在りかを知っていたことが分かる。
 殺人があった日,児玉剛造は,三号館のカギを掛け忘れていた。伊能圭子と昔不倫をしていた機長は既にしんでおり,中里は笹間を台風の日に殴っていた。
 松村家のお通夜。角田港大が松村健に推理を披露する。疑われていることに気付いた松村健は角田港大を殴り逃走。最後は車にひかれて捕まる。
 三島芙由は,双子が三号館のカギを隠していたことを知っていた。そして,事件のあった日,裏口に鍵を掛けたことを認めた。
 三島芙由が警察から疑われていたとき,牧野セリナが最初の殺人の犯人が自分であることを認めた。
 真相。松村朱美を殺害したのは松村健。もともと妻を殺害したいと思っていた松村健は,ヴィラ・マグノリアで起こった死体発見騒ぎに乗じて松村朱美を殺害した。母親からの電話や,松村朱美が魚を買おうと玄関にいたことなどを利用してアリバイ工作をした。角田港大の駐車場に車を止めたことなどが原因で発覚
 三号館で発見された死体は不法入国の中国人揚飛沖だった。犯人は牧野セリナ。牧野セリナは3年前,夫の自殺を偽装し,保険金をせしめた。実は,ロバート・サワダが牧野セリナの夫である南春太。二重国籍を持っていた。ロバートは,揚が自分を恐喝しに来たと誤解し,事故で頭を打ったロバートをセリナの住む8番館と間違えて3番館に運ぶ。進藤カイと名乗る男がホテルに来たりするなどして,その日は死体を動かせなかった。翌日は五代四郎の心臓発作騒ぎ。セリナは死体の顔と指を潰すなどして騒ぎに加わる。その後,三島芙由が裏口のカギを閉めてしまったので入れなくなる。
 3年前,セリナが南春太の死体として引き取った死体は,三島芙由の夫の死体だった。
 後日談。三島芙由と警察の一ツ橋はいい感じ。角田弥生は角田港大のゴーストライターだった。中里と鬼頭典子は八号館を買おうとする。
 そして,揚殺害の真犯人とこの事件の黒幕は南小百合だったことが最後に分かる。 

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2017年12月07日

Posted by ブクログ

本当は、★3.5。

なるほど。
通り一遍のコーズィ小説だと思ったら、
最後の最後、意外な結末・犯人でしたね。
これにはびっくりです。

意外に読み応えの有る推理小説でした。

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2013年11月19日

Posted by ブクログ

若竹七海のコージー・ミステリ、10年振りの再読。
今読み返すと・・・ちょっと不思議な世界観に感じました。
初読時の年齢でしょうか・・・その時はかなり楽しく読んだのですが、今は違和感がありますね・・・
ってか、謎解きが“横溝正史風”過ぎる感が否めませんでした。
いや、横溝正史自体は好きなのですが・・・

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2013年10月14日

Posted by ブクログ

割とベタなミステリ小説ですね。でもなかなかにおもしろかった。ミスリードや伏線がいい感じの量で読んでいていらいらしないというか。ユーモアミステリ風でありながら毒も結構あるし。
なんかシリーズ化されてるみたいだし次も読んでみようと思います。

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2012年02月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ヴィラ・マグノリアという全部で十件からなる建売住宅でおきた殺人事件の話。というか、その殺人事件に巻き込まれる住民たちの話。厳密にはその上にある大豪邸も巻き込まれているけれど。

コージー・ミステリーの定義がわからなくなってきた。死んでもコージーなんですか?

とにかく、登場人物が皆クセのある人物。出てこなかった人までクセがある。これは第二弾も書けそう…と思うくらいキャラが立っています。(事実、これ以上人がここで死ぬわけにもいかないが)人間、裏のない人なんて、いないんだよ。人間、他からみた評価なんてあてにならないんだよ。

殺人事件!と構えずに、気楽に読みましょう。

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2011年12月21日

Posted by ブクログ

海に面した半島に建つヴィラ・葉崎マグノリア---10棟が立ち並ぶコテージの空家で変死体が発見された。遺体の身元が確認できないような状況の中、刑事達が聞き込みを開始するが、ヴィラの住人達は皆個性的で証言を取るのも一苦労する有り様。おまけにトラブルメーカーの住人までが殺されてしまう。連続殺人の様相を呈してきたかに思われたが…。葉崎を舞台にした若竹印のコージー・ミステリ。ピリ辛ユーモアが随所に盛り込まれ、中でも一番興味を惹いたのは、ハードボイルド作家の角田港大。トレンチコートにサングラス、料理自慢のレストランでいきなり「テキーラ、オン・ザ・ロックで」と注文するような、作品を体現した胡散臭い男で笑える。角田に関しては最後に楽しいオチ(作家は○○だった)も用意されていて、風刺が効いているのがいい。謎解きのカギは後半に集中していて、そこまでは住人達の噂話、秘密の暴露、勝手な解釈に振り回されるドタバタした展開。極めつけは、角田が犯人に鋭い指摘をした後でカッコよく退場した際に見せた大失態(笑)と、これに続く追いかけっこ。真相はちょっとこじつけ&偶然に頼りすぎている感もあるが、これまた最後まで裏の裏を用意してあるところが、ミステリ好きな作家らしい。惜しいな〜と生意気にも思ったのは、登場する女性陣が皆強気な性格で、何らかの形で連れ合い(夫・彼氏)を失い、たくましく生きているという状況が似ており、個々の区別がしにくかったということ。若竹作品の定番ともいえる女性像で、このしたたかさは好きなのだが、今回はキャラ同士がかぶっているように思えてちょっと残念。

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2011年07月22日

Posted by ブクログ

海に面したリゾート外れにある10棟ある建売住宅の1軒の空き家で死体が発見されたことから始まるミステリ。

表紙の絵がポップなせいか、軽い気持ちで読めるんだが、内容としては昼ドラまっつぁおなドロドロ具合(笑)
それでも澱んだ気持ちにならずに読み進むのは若竹ワールドなんだろうな。

登場人物は多いし、舞台は飛びまくるし、一人称が転化していくので、ストーリーを追っかけるので精一杯。

隠し扉がたくさんあるお屋敷の中でドアを開けるたびに新しい人や話が飛び出してくるような、そんな感覚で、それを楽しめる人にはオススメしたい。
 

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

初めて読んだ「若竹七海」作品。さらっとしたミステリーたっちが気に入った。過去の犯罪と動機、そして驚愕の真犯人と真相にびっくりさせられます。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

若竹七海の「コージー・ミステリ」第1彈。

11月に讀んだ「古書店アゼリアの死體」が面白かつたので、東京出張の暇つぶしに購入した。
解説によれば、「古書店アゼリアの死體」が「コージー・ミステリ」第2彈なのださうな。

本書は、登場人物達のキャラクタ設定が面白い。
それぞれに抱へてゐる祕密や過去の事情が、事件そのものを複雜に見せてゐる。
被害者の顏が何故つぶされてゐたのか、といふ謎。
第一の殺人と第二の殺人の關係。
此の二つが解決の鍵となるのだが・・・

ミステリとしての要素よりもユーモア小説的な要素のはうが強いやうな印象を受けた。

2004年1月16日讀了。

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2009年10月04日

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