あらすじ
ミステリ作家やミステリファンに熱い支持を受ける“葉村晶”が帰ってきた──!
タフで不運すぎる女探偵・葉村晶。
吉祥寺のミステリ専門書店〈MURDER BEAR BOOKSHOP〉でアルバイトとして働きながら、〈白熊探偵社〉のただ一人の調査員として働いている。
「さよならの手口」(2014年4位)、「静かな炎天」(2016年2位)、「錆びた滑車」(2019年3位)、「不穏な眠り」(2021年10位)と「このミス」上位常連の人気シリーズ、5年ぶりの書き下ろし長編が文庫で登場です。
「鼻からポタポタと血を垂らしながら考えた。いったいどこのどいつだ、わたしを殺そうとしているのは……。
心当たりは、ありすぎるほどあった」(本文より)
葉村晶も五十代に突入し、老眼に悩まされるお年頃。
魁皇学園の元理事長でミステリのエッセイストとしても名を馳せた乾巌、通称カンゲン先生に、<秘密厳守>で「稲本和子」という女性の行方を捜してほしいと頼まれた晶。
彼女の一人娘は学園の理事だったが、本屋で万引きしたとして留置中に急死していた……。
高級別荘地の<介護と学園地区構想>など、さまざまな思惑が絡み合い、
やがて誰もが予想のしない結末へ!
前回の書き下ろし長編「静かな炎天」は「このミス」2位、「読書芸人」のカズレーザーさんや、のんさんも絶賛、2020年には、NHK総合で「ハムラアキラ~世界で最も不運な探偵~」として連続ドラマ化もされています。
クールでドライでシニカルで、唯一無二の強烈な魅力を放つ葉村晶が、緑の古い小型車“毒ガエル”を駆って真実に迫ります。
感情タグBEST3
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なんというバタフライエフェクト
因果というか応報というか
登場人物が多くて目が回りそうだったけれど
読み応えがありゾクゾクさせられた
そして相変わらず不運続きでもへこたれない中年葉村晶に会えて元気が出た!
タイトルの秀逸さにも唸る
〈まぐさ桶の犬〉とは
"自分には役に立たないが、誰かがそれでいい思いをするのは絶対にイヤだ、とその「役に立たないもの」を手放さずに意地悪や嫌がらせをし続けるひと“
のことだそう
著者の皮肉がめいっぱい込められた例えだと感じた
若竹作品らしい人間の業を突きつけられる展開に引き込まれて
寝る前に読んでたら不穏な夢を見てしまったし
巻末のミステリ紹介も嬉しくて
お店のイベントをスケジュールに書き込みそうになってた笑
私も死の味の犯人が思い出せない…
Posted by ブクログ
久しぶりの羽村昌シリーズ。相変わらず文句たらたら、有能なのにどんどん事件に巻き込まれる。
そもそも地の文に毒をはらんでいるのがこの作者の好きな所なのだが、やはり長編は読みごたえがある。
ただ登場人物が複雑で途中にある簡易的なヤツでなく、稲本家側も含めちゃんたした家系図があればもっとわかりやすかったかと
Posted by ブクログ
超★5 不運すぎる女探偵、人探しから始まる仕事が想像以上に大きな騒動に巻き込まれ… #まぐさ桶の犬
■あらすじ
古本屋の店員でありながら私立探偵でもある葉村晶、彼女はひょんなことから隣人の介護を押し付けられた。その縁で学園の元理事長、乾巌から人探しの依頼を受ける。ただし秘密厳守という条件付きだ。本人をはじめ、娘や関係者などの情報を追う葉村だったが…
■きっと読みたくなるレビュー
超★5 じっくりと楽しめる私立探偵小説、おもろい!
ジェフリー・ディーヴァーなら、どんでん返しが何回あったか数えてみたくなりますが、葉村晶の場合は、ツイてない出来事が何回あったか数えてみたくなります。最初から最後まで七転八倒、楽しませていただきました。
冒頭いきなり危機一髪なシーンから始まり、そして数ページで紹介を挟んで、すぐに隣人に望まない仕事を押し付けられるという。その仕事では法事会場に赴くことになるのですが、そこでもまたとんでもないことが起こっちゃうという。不平不満はあるんでしょうが、少なくとも怒り狂わず粛々と生きてるだけで、もう惚れちゃいますよね~
こういう人って、イヤな奴ばっかり集まってくるんですよ。しかも自然に。まったく優しく手を差し伸べてくれる仲間がいないというところもカワイソすぎる。でもでも東都総合リサーチの桜井との絡みはホッとするね。
さてストーリーですが、これが鬼熱なんですよ~。単なる人探しから始まるお仕事なんだけど、想像以上の大きな犯罪や騒動に巻き込まれていく。序盤から中盤は人間関係を追うのがメインなんですが、魅力のあるキャラで丁寧にプロットを綴ってるし、ここだけでも十分に面白い。
さらに中盤以降、エレベータであるものを見つけるシーンあたりからは、どんどんストーリーがうねってくるんです。過去にあった学園の出来事、不動産事業など、徐々に背景が明るみになっていくのですが… 後半は不運すぎる女探偵の本領発揮です(爆笑
個人的には一番気になってたのは『まぐさ桶の犬』のタイトルですね、どういった意味が込められているのか。意味合いは比較劇序盤に明かされるのですが、これが物語にどう絡んでくるのかが良くわからなかったです。もちろんしっかりと最後まで読めば明かされるのですが… その意味を知った時、これまで読んできたストーリーを身体全体で感じることができましたね。
また本作はコロナ禍の描写も描かれてます。薄暗い出来事でもしっかりとしたためてくれるところはさすが。そして葉村としては探偵業がさらに流行らなくなり、苦労が倍々ゲームになっているようです。つらたんですね。
葉村晶シリーズの最新作、高品質で読み味抜群の私立探偵小説でした。今年読み逃せない一冊ですよ!
■ぜっさん推しポイント
若竹先生のナチュラルな筆致が素敵すぎるんすよね、42度適温の温泉につかってるような感覚です。謎解きとしても、人間関係をじっくりと紐解きながらスケールを大きく見せていく。
大技やアクションもあるんだけど派手ではなく、決してうるさくないんです。全く誤魔化しがない筆力で素晴らしい。ずっと読んでいたくなる、そんな読書体験でした~
Posted by ブクログ
五十代になり身体の不具合をいろいろと抱えながらも、久々の探偵業に乗り出す葉村晶。人探しのはずが事態はどんどん不吉な方へ、そしていつもどおりの不運のつるべ打ち。それでも負けない彼女にひたすらエールを送りたくなる作品です。
今回も最初から殺されかかってる葉村晶。受難が次から次へと降り注ぐのはもはやお約束なのですが、それ以上に加齢による衰えが悲しいです。たぶん四十歳以上の人ならわかる、わかるよ、って言いたくなっちゃうんじゃないかな。そして今回の彼女の最大の敵はスギ花粉だったのか……それもめっちゃわかる!!!
いつもながらとんでもない目に遭わされ、それでも探偵としての矜持にすがりしっぽを撒いて逃げるような真似はしない、そんな彼女がカッコいいったら。数々の危険もさることながら、これだけ癖のある人物ばっかりの相手をするだけでも大変すぎますし。富山店長の酷さにも磨きがかかっていますし。これだけ大変な思いをしたんだから、報酬くらい余分にもらっても罰が当たることはないのになあ。でもまあそれもまた彼女の魅力の一つかも。
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不運すぎる女探偵、葉村晶の最新作。
相変わらずの多重構造犯罪への巻き込まれ方は「待ってました!」と、言わずにいられない。今回も目を剥くような依頼が舞い込む。
冒頭のシーンから早速引き込まれる。
だけど彼女も不死身じゃないし、更年期だし、奥歯は痛むし、老眼にもなるし。
人間味溢れてるけれどしたたかで、お人好しじゃない。魅力爆発の最新作でした。
また、気を長く持って次回作、楽しみにしてます。
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5年ぶりの探偵・葉村晶シリーズ。物語とともにキャラクターも年齢を重ねる珍しい設定の本シリーズ、主人公の葉村は五十代に突入している。原因不明の歯痛に悶え、全力疾走には息も絶え絶え、文章を読むにはさりげなく老眼鏡を取り出す葉山に、少しだけ人生の後輩である私も深く共感してしまう。
今回の葉山の仕事は人探し。3年ぶりの大仕事に張り切る葉山だが、ブランクのせいか、はたまた寄る年波のせいか、やることなすこと上手く行かない。そして、本作でも作者の若竹さんは葉山に、これでもか言わんばかりに次から次へと不幸のボールを投げつけるのである。
登場人物が多く、カタカタ表記も多用されるので、なかなか頭に入ってこなかったのは、私もアラフィフだからだろうか。とりあえず、これを読んでいる途中、歯医者の検診は予約を入れたのであった。
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葉村晶シリーズ、わらしべ長者的に関わりになっていく人や事象で困難とピンチに陥って行くのに年齢の割にタフに奮闘する姿が読み進めてて応援したくなって来ます。ストーリーの中で過去からの人間関係的な部分も出てくるので単体でも楽しめるけど可能なら順を追って読めるとより楽しめるのかなぁって思います。今回も楽しめました♪(^_^)
Posted by ブクログ
若竹七海作、日本が誇るハードボイルド。
葉村晶に会うたびに、上のように思います。
この語り口のうまさ、乾いていながらじわじわしみてくる毒。ああ、ハードボイルドだなあ。
しかし、事件そのものは、やはり日本を意識させる。
もしも、この事件を扱う探偵が葉村晶ではなく、どちらかというと安楽椅子探偵に近い探偵だったら、もし、頭なんか搔きむしりながら解決する探偵だったら、このじめじめしたバックボーン、いやらしい人間の悪しき本性、これぞ横溝作品、なんて言いたくなるし、現代日本の裏側をついてくるあたりは、これぞ松本清張作品と言いたくなるかもしれません。
そのじめじめを襲ってくる激痛で解決してしまうのが葉村晶なんですねえ。
終止襲ってくる痛みが口の中にあったり、生命の危機を感じさせるのが花粉症だったりと、なんとも、なんとも、気の毒。この気の毒具合がたまらなく魅力なんですよねえ。
葉村晶を襲う痛みの辛さというのは、畢竟、人間の身勝手ということになるのかな、と思いました。
そして、このまま老化が進んで活動に難渋が増えていく前に、もっともっと葉村晶の探偵報告を読みたいのです。
50代の葉村晶、短編集を3冊ぐらい、それから角田港大先生の作品を2作品くらい、ぜひぜひ読みたい。
巻末のミステリ案内、ありがたく、読書計画を立てようと思います。
Posted by ブクログ
5年ぶりの葉村晶シリーズ。
葉村も50代に突入して、体力気力に衰えが見えてきているものの、不運さはかわらずに満身創痍となります。
メインの事件は人探しから大きな事件に発展してしまい、途中下車もできたのに探偵の業ともいえる探求心のためとんでもない目にあいます。
サブストーリーでも複雑な家族関係に振り回され、さらには近所のトラブルにも巻き込まれ、最後はコロナにかかるという常時天中殺状態です。
地の文でのハードボイルドっぽい葉村の毒のある言葉が好きで、そのおかげでこんなに不幸な目にあっても元気をもらえます。
60代に入る前に短編と長編をもう一つづつ出してほしいな。
Posted by ブクログ
まぐさ桶の犬?
冒頭に、「自分に不必要なものは他人にも使わせない」という意味が紹介されていました。
「仕事はできるが、不運すぎる女探偵・葉村晶も老眼に悩まされるお年頃。」という紹介を見て、なんだか他人事と放っておけず(?)読んで見ることにした。
初めて読んだのだけど、実は何冊も出ているシリーズものらしい。
手元に届いた時は450ページというボリュームに少々ビビりながらも、読み始めると一気読み。
うん、トシ重ねると身体にいろいろガタが来るけど、まだまだなんとかがんばろう(苦笑)。
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『葉村晶シリーズ』の七作目ですね。
五年ぶりに、葉村晶が帰ってきた!
久し振りに若竹七海さんを読みたくなっている時に、ピシャリと出てきてくれてワクワクしながら読ませてもらいました。
葉村晶も、五十を越えて多少の不自由はあるものの、まだまだ活力に溢れているのに、安心しました。
ミステリ専門書店のアルバイト店員にして、〈白熊探偵社〉も兼業でただひとりの調査員で働く葉村にご近所さんから依頼がくる。それを契機に、秘密の人探しをするようになるのだが…………?
相変わらず、複雑な人間関係のゴタゴタに巻き込まれて事件が少しずつおおごとになっていく。
若竹七海さんの、ユーモアとウェットが的確に導いてくれる文章に惹かれながら愉快に楽しみました♪
嬉しいことにミステリの名作が物語に盛り込まれていて、巻末に本の紹介が記されています。
ミステリの醍醐味をとことん味わえる至福の本と言えますね(=^ェ^=)
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久しぶりの葉村シリーズ長編
年をとった主人公は、相変わらずの巻き込まれ体質でズタボロに
今作は登場人物が多く、その相関関係も複雑に絡み合って、誰が重要人物なのか翻弄されました
「隠されていたもの」は予想通りで、ちょっと・・・
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葉村晶シリーズ最新作
しかしこのシリーズ、きっちり年を取りますね・・
私、もしかして同い年じゃない??
すごい親近感。
それにしても本当に賢いよね。
私だったら絶対にすぐ死んでると思う。
登場人物が多くて、誰が誰と親戚なんだっけ・・??と、家系図と照らし合わせながら読みました。
葉村晶 優しいなぁ・・私だったら、と、すぐ自分と結びつけて考えてしまうのも、同級生だからでしょうか。
次回作も期待しています。
Posted by ブクログ
久しぶりの葉村晶。
あの葉村もとうとう五十路だなんて。葉村の二十代の頃から知っているだけに感慨深い。あんなに尖っていてクールだった葉村も今や老眼や歯の衰え、体力の消耗等などに悩まされるなんて。
五十路の葉村はすっかり角が取れて常識的になった気がする。富山を始めとしてマイペースなご近所さんからも使われ放題で、ますます損な役を背負わされている感じ。お人好しにもほどがある。そして不運続きは相変わらず。
今回は秘密厳守の人探しの依頼を受けた葉村。次々に登場する一癖も二癖もある何やら訳アリの人たちに翻弄されながらも、老体に鞭打って必死に食らいつく葉村の姿を見ると、やっぱり葉村はこうでないと、と思う。
次、葉村に逢う時は六十代?この先六十代七十代と年を重ねても、相変わらず周囲の人たちに翻弄されながら探偵を続けていてほしいと願ってやまない。
Posted by ブクログ
★4.5
文章内の情報量てんこ盛りで、ぼんやり読んでると、ん?どこの誰が何をしたと戻って見たり。なんてことない地の文に次の展開に繋がる伏線が潜んでいることもあるので一文たりとも気が抜けない。
全てが一点に向かって収束する長編タイプではなく、細々と繋がって完結する短編タイプの長編に感じた。
なぜ人物説明がと思いきや、洋書ばりのややこしい登場人物に納得。
ラストは実在の人物を思い憤懣やる方なし。人間の醜悪さをこれでもかと書く天才!
葉村晶の今後の活躍にも超期待!
Posted by ブクログ
葉村晶シリーズの最新作
今回も色々なトラブルを巻き込まれてケガするといったいつもの感じでおもしろかった
今作は、短編集ではなく久々の長編であったが、登場人物が複雑で途中からこんがらがって読み進めるのに大変でした
事件としては、大した話ではなかったが
物語の葉村が我々と一緒に年齢を重ねていてクスっと笑えてこちらも歳を重ねたなと思うの事のほうが嬉しかった「コロナのくだりやケガが治りづらいとか」
この先も、また読みたい作品ですね♪
Posted by ブクログ
”不運という名の基礎疾患”
コロナ禍に事故にあって病院で手当てを受けた葉村晶の自分への評価。
今回も葉村は大変だったなあ、そして面白かった。
癖のある登場人物、過去シリーズの関係者の再登場、次々に降りかかる不運とそれにもめげずに謎解明に取組む50歳になった葉村。好きなシリーズものの最新作を読むのは読書の楽しみです。
巻末の「富山店長のミステリ紹介」はいつも興味深く読みますが、文藝春秋さんの特設サイトも必見。シリーズ一覧・葉村語録は楽しめます。
Posted by ブクログ
☺️やっぱりこのシリーズ好きだわ。
葉山晶は相変わらず踏んたり蹴ったりで
更に更年期突入して体調も不良、筋力体力もかつてとは比べるべくもなく…だけど
好奇心と行動力は健在で、しっかり結果出してるしね。
また次の活躍(?)も期待します。
それにしても「MURDER BEAR BOOKSHOP」はいつもながらミステリーファンには魅力的なお店で、行ってみたくなる。できれば働きたいくらい。
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葉村晶は50代に突入して身体の不調も増えている。あちこち悪いながらもその都度対処しながら日々を過ごす描写のリアルさが好き。でもいくらタフとはいえ、このままハードな仕事をやっていけるのか。葉村には、いずれ静かに暮らす老後というのは訪れないのだろうかと余計な心配をしてしまう。
ややこしい一族経営や投資詐欺が絡み、事件は思わぬ複雑さを見せたけれど、話がひとつに繋がっていきスッと腑に落ちるタイミングがあった。外から見ただけでは分からない複雑な人間関係や、それぞれの抱える事情を知るにつれ、同情的な感情が芽生えた。
それにしても葉村はお人好しすぎる。そこがいいところでもあるんだけれど……。
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6年ぶりの新作、若竹七海の女探偵・葉村晶シリーズ。
待ってました!
あいかわらず満身創痍になりながら活躍中。
といってもコロナ以降ひさしぶりの探偵業だったようす。
コロナ明けわりとすぐの頃を舞台にしているので、マスク着用とかすでに懐かしい感じも。
登場人物が多くてややこしくて、性格の悪い男性たちにイライラするけど、
面白くて、ゆっくり読もうと思ってたのにあっという間に読んでしまいました。
出来たら日本を舞台にしたこういう面白い女探偵シリーズってほかになにかあるかな?
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〈葉村晶シリーズ〉の9冊目。
私がこのシリーズを読み始めた時に既に40歳を超えていた主人公は、いまや老眼鏡もあわなくなってきた50代に突入。
コロナ禍が始まり、生き延びること丸3年。変わらず「ミステリ専門書店のアルバイト店員」にして「客の来ない探偵社で調査活動休止を余儀なくされている調査員」という立場のまま。
プロローグみたいな話でいきなり殺されかけて、のっけから“世界で最も不幸な探偵”の面目躍如。
とある学園の元理事長から“秘密厳守”の人探しの依頼を受けるが、その学園の創業者の一族がなかなかに面倒で、改めて冒頭の場面に行きつく399頁までの間に、いつもの通りに、関係あるのかないのか色んな人が出てきて色んなことが起こり色んな思惑が絡み合う。
『推理ははずしまくり、調査は中途半端、ことの落着も見ないままクビ』になってしまっても『入り組んだ人間関係に勝手に飛び込ん』で行くのは、いくつになっても変わらずで、50代になっても満身創痍。
ま、このシリーズ、謎解きもだが、彼女のそういう生態を読んで楽しむ本ですからね。角田港大先生もお元気そうで何より。
99頁に家系図があったが、終わってみれば「誰か、あれをもう一度整理してくれない」と言いたくなる乱痴気加減には、いささかげんなりではあった。
Posted by ブクログ
葉村晶シリーズ。
年と共に体の不調が増えていく晶に共感しかない。
それなのに周囲の人がみんな自分勝手すぎてあまりに酷いので正直読むのが辛かった。(他の人のレビューにもあったけどほんとそう)それがこのシリーズの持ち味なのかもしれませんが。内容も誰も救われない感じでしたが晶が早く健康を取り戻してほしい。
Posted by ブクログ
このシリーズ好きなんです。
久しぶりですね。
探偵ってなんか惹かれるものがありますよね。
何年か前にNHKでやっていた浅野忠信さんのロンググッドバイかっこよかったし、永瀬さんの濱マイクも好きです。
本作と全く関係ないありませんね。
次回作も楽しみにしています。
Posted by ブクログ
タフで不運すぎる探偵・葉村晶シリーズ。
テイストは変わらないのだけれど、こちらが年をとったせいか、読むのが辛い。
ふつう、事件の関係者がどんなにひどくても、仲間や味方がいてなんとか一息つけるものだが、このシリーズは周囲もひどい。晶に自分の都合ばかりを押しつけてくる連中ばかりなので、ほっとするところがない。
そんな中で孤軍奮闘する晶の姿というのは、現実的ではあるものの、寂しい。それでも誰のせいにするでもなく、自分で引き受けて立っていく晶には、客観的にはどうあろうとも我を通す意地の見事さがある。
Posted by ブクログ
『仕事はできるが、不運すぎる女探偵・葉村晶』シリーズ最新作。
初登場の作品では20代だった彼女も今は50代。体のあちこちに不調を抱え、無理は出来ないお年頃になったのだが、やはり今回の依頼もハードな展開になっていく。
まぐさ桶の犬:『自分には役に立たないが、誰かがそれでいい思いをするのは絶対にイヤだ、とその「役に立たないもの」を手放さずに意地悪や嫌がらせをし続けるひと』
正直、葉村晶シリーズに登場する人物たちって、みんなこの「まぐさ桶の犬」ばかりな気がする。
身勝手で、相手の気持ちや都合などお構いなしで、自分の感情や都合ばかりを押し付ける。おまけに誰もかれもが信用ならない。
そこに振り回され抱え込みながらも自分を保ちやるべきことをやる晶の精神力がすごいと毎回感心する。
このシリーズを読むたびに同じ感想になってしまうのだけれど。
今回の依頼人もターゲットも、その周囲の人たちも、富山店長も自宅周辺の人々もみんなそんな感じで安定していると言えばいえるのだが、読んでいる私が段々しんどくなる年頃になってきた。
特に人間関係が、横溝正史先生の作品に出てきそうなくらい爛れていて複雑で、表向きの関係と実は…の関係が多すぎてちょっと辟易してしまった。
さすがの晶も今回は途中しゃくりあげながら夜道を歩くシーンもある。そりゃ泣きたくもなるだろう。
クロちゃんが今後は晶の癒やしであり良きパートナーになってくれたら良いのだが、それまでの飼い主の元では吼えてるだけの印象なのでどうだろうか。
本作は書下ろしということだが、コロナの影響がいまだ根強い内容になっている。あんなに大変だった時期が遠い昔のように感じるのは良いのか悪いのか。
取りあえず、歯の治療ができて良かった。
私はこんな嫌な宿題を誰かに残すような死に方はしないように、シンプルに生きて、不必要なものはどんどん手放していきたいと改めて思った。
自分が「まぐさ桶の犬」なんて言われないように。
葉村晶シリーズ(「悪いうさぎ」以外はレビュー登録あり)
①依頼人は死んだ
②悪いうさぎ
③さよならの手口
④静かな炎天
⑤錆びた滑車
⑥不穏な眠り
⑦まぐさ桶の犬(本作)
他に「プレゼント」にも晶の登場作品が収録されています。