あらすじ
失業中の学芸員のわたしに、金沢のホテルの仕事が舞い込んだ。伝説的女優にして作家の曾根繭子が最後の時を過ごし、自殺した場所。彼女のパトロンだったホテルの創業者は、繭子にまつわる膨大なコレクションを遺していた。その整理を進めるわたしは、彼の歪んだ情熱に狂気じみたものを感じていく。やがて起こる数々の怪異。繭子の呪い? それとも……。ひたひたと忍び寄る恐怖に次第に侵食されていく日常。絡み合う謎の正体は?! ドラマチックな長編ホラー。
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Posted by ブクログ
どことなく古さを感じる90年代ホラー、大好物。登場人物に切れ者が多く、進行もサクサクでストレスフリー。結構な文量なのに、気づいたら一日で読み終えていた。
「戯曲が再現されているのでは?」の展開(裏書きに記載されているのでネタバレじゃないハズ)はなんだか名探偵コナンの夏休みスペシャル的展開で、「これちょっと不気味だからホラー扱いされてるだけのミステリ寄りのやつでは?」と危惧していたところ、ちゃんと怪奇現象で人が死んでくれて安心した。
怪異のモチーフ、モチベーションも腑に落ちる内容で、作品としての完成度は高いと思う。個人的にはコレクションの扱いや怪奇現象の描写が淡白すぎる気がしていて、もう少しおどろおどろしいほうが好みではあるんだけど。
Posted by ブクログ
エピローグにどうも違和感ありで...どうしてかなと考えてたんだけど。たぶんずっと読んできた中で想像していた繭子のイメージとギャップがあった事、主人公はどうしてあそこに居続ける事にしたのか?
っていう所だと思う。うーん。
でも久しぶりに好きになりそうな作家さんかも!
12/18追記
あれから考え続けたところ、
主人公は繭子に近づきすぎてしまったのかな、と。
だとしたら、エピローグで主人公が居続ける事にした理由も、2人が笑い合う意味も、分かる。主人公の名前が出てこないのも、そのため?
完全に繭子ではない事と、タケルに出会ってしまった事が、悲しいなぁと思った。
あぁ、若竹七海ってすごい人だ...。
Posted by ブクログ
亡くなった女優にまつわるコレクションを公開する為に作業をすすめる主人公。次々と出てくる偏執的な品々。そして幽霊・・・。
ホラーと言っても違った怖さがありました。使用済みのティッシュをも集めるコレクター・・・恐ろしいですね。
そして人間の情念・・これも怖かったです。
そして迎えるラスト これは切ない!切なすぎる!
Posted by ブクログ
金沢市郊外に建つ銀鱗荘ホテル。そこに眠っていたのは今は亡き女優・曾根繭子にまつわる膨大なコレクションだった。五十三にものぼる木箱から次々と姿を現すコレクションは大林一郎の繭子に対する異様までの執着を物語っていた。
コレクション公開の為にその封印を解き放った瞬間から次々と奇怪な現象がホテルを襲う。
それはまるで、繭子が書き残した戯曲を実演するかのように……そしてその結末は?
さらっとしたライトホラーという感じですね。散布する奇怪な(ささいな)出来事は、ホラーという前提があるので、スパイス感覚として読めて楽しい。
主人公にも感情移入がしやすいし……というか、これを書くためにあらすじを追ってて、初めて気が付いて、そして驚いたっ!!
この主人公……名前が無い……。凄いですよこれは……なんの違和感も無く、最後まで読んじゃってたし……参りました。天晴れです。やられました。
初めてこの瞬間に判りました。この物語に何故主人公の名前が必要が無いのかに……くぅ。
主人公に名前をつけなくてここまで話が書けるんですねぇ……凄い力量です。
そこはかとなくホラー感が漂ってる。という感じだけで、それほど怖くはないのだが、なかなか面白い。こっそり、主人公とタケルの恋の進展を期待してしまうしぃ(笑)
ホラーですから、ラストはちょっと現実味が無く、個人的にちょっぴり悲しい思いもするが、物凄くまとまった話だと感じたなぁ。
Posted by ブクログ
美術館が閉館して失業中の学芸員に、大学の先輩・大林から、彼の祖父・大林一郎による、女優兼作家である曽根繭子の収集品の整理と展示の仕事が舞い込む。
Posted by ブクログ
2016.12.01
ホラー?かな。という印象。
ストーリー的に後半は特に強引だが、
主人公とタケルの会話も面白いし、素敵だった。
著者のホラー作品以外も読んでみたくなりました。
Posted by ブクログ
若竹さんらしく一癖も二癖もあるキャラクターが次々現れ飽きない。
ホラーなのでこの世ならざるものの存在が感じられたり不可思議な現象が起こったりするけど、あまり怖くはない。
若竹さんの毒って逆にオカルトをマイルドにしてしまうのかもしれない。
Posted by ブクログ
葉崎市の美術館で孤軍奮闘で働いていたのだが、市長が変わり美術館が閉館された。職を失いどうしようか考えてると大林国際観光グループの部長の大林孝雄から電話が掛かって来た。大学時代の先輩で、特に親しかった訳ではないのに・・・。彼からの話は、昔の女優・作家だった今は亡き曾根繭子のコレクションを整理して、資料室を作りたいと言う事だった。承諾して金沢市郊外にある銀鱗荘ホテルに・・・。
そこには、創始者が集めた曾根繭子の膨大なコレクションが眠っていた。コレクションは、舞台衣装から繭子が使った割り箸・下着・・・など異様なまでの執着が・・・。
そして、一つのフイルムと戯曲の本が見つかった。そこに書かれた事が実演するかのように奇怪な出来事が次々と起こる。人や猫の失踪。人体発火・・・。人々が目にすることとは?終焉はどこにあるのか?
若竹七海のホラーです。この本は、再読であります。前に読んだ時は、新津きよみの「女友達」今邑彩「ルームメイト」を読んだ頃だったので印象が薄かったのでもう一度読もうと手に取ったのですが・・・。やっぱり、上げた二冊の本の方が面白かったです。若竹さんは、ミステリーの方が面白いと改めて思いました。ん〜でも、女性が読むと怖いのかな?女性の方がジワリジワリと恐怖が伝わるかもです。