あらすじ
失業中の学芸員のわたしに、金沢のホテルの仕事が舞い込んだ。伝説的女優にして作家の曾根繭子が最後の時を過ごし、自殺した場所。彼女のパトロンだったホテルの創業者は、繭子にまつわる膨大なコレクションを遺していた。その整理を進めるわたしは、彼の歪んだ情熱に狂気じみたものを感じていく。やがて起こる数々の怪異。繭子の呪い? それとも……。ひたひたと忍び寄る恐怖に次第に侵食されていく日常。絡み合う謎の正体は?! ドラマチックな長編ホラー。
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Posted by ブクログ
エピローグにどうも違和感ありで...どうしてかなと考えてたんだけど。たぶんずっと読んできた中で想像していた繭子のイメージとギャップがあった事、主人公はどうしてあそこに居続ける事にしたのか?
っていう所だと思う。うーん。
でも久しぶりに好きになりそうな作家さんかも!
12/18追記
あれから考え続けたところ、
主人公は繭子に近づきすぎてしまったのかな、と。
だとしたら、エピローグで主人公が居続ける事にした理由も、2人が笑い合う意味も、分かる。主人公の名前が出てこないのも、そのため?
完全に繭子ではない事と、タケルに出会ってしまった事が、悲しいなぁと思った。
あぁ、若竹七海ってすごい人だ...。
Posted by ブクログ
金沢市郊外に建つ銀鱗荘ホテル。そこに眠っていたのは今は亡き女優・曾根繭子にまつわる膨大なコレクションだった。五十三にものぼる木箱から次々と姿を現すコレクションは大林一郎の繭子に対する異様までの執着を物語っていた。
コレクション公開の為にその封印を解き放った瞬間から次々と奇怪な現象がホテルを襲う。
それはまるで、繭子が書き残した戯曲を実演するかのように……そしてその結末は?
さらっとしたライトホラーという感じですね。散布する奇怪な(ささいな)出来事は、ホラーという前提があるので、スパイス感覚として読めて楽しい。
主人公にも感情移入がしやすいし……というか、これを書くためにあらすじを追ってて、初めて気が付いて、そして驚いたっ!!
この主人公……名前が無い……。凄いですよこれは……なんの違和感も無く、最後まで読んじゃってたし……参りました。天晴れです。やられました。
初めてこの瞬間に判りました。この物語に何故主人公の名前が必要が無いのかに……くぅ。
主人公に名前をつけなくてここまで話が書けるんですねぇ……凄い力量です。
そこはかとなくホラー感が漂ってる。という感じだけで、それほど怖くはないのだが、なかなか面白い。こっそり、主人公とタケルの恋の進展を期待してしまうしぃ(笑)
ホラーですから、ラストはちょっと現実味が無く、個人的にちょっぴり悲しい思いもするが、物凄くまとまった話だと感じたなぁ。