若竹七海のレビュー一覧
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ネタバレ目次
・まぐさ桶の犬
・第五回・富山店長のミステリ紹介
表題作のタイトルの意味は、馬の飼料が入っているまぐさ桶に居座って、馬が近寄ると吠えたてて飼料を食べさせない犬、つまり、自分が得するわけでもないのに、他人が幸せにならないように邪魔をする人のことだそうだ。
さすが不運を呼び込み人の恨みをかうことでは人後に落ちない葉村晶。
彼女のまわりは人の話は聞かないけれど、自分の言いたいことだけ突き付けてくるような人ばかり。
このまま進めばただのいやミスになってしまうところを、彼女のキャラクターのおかげでストレスは溜まらず、すべての不運を彼女が拾ってくれるので、逆にスッキリするくらい。
でもねえ、もう50代ですよ。
普通のおばさんなんですよ。
普通のおばさんがハードボイルドな事件を扱うと、筋肉痛ですめばいい方で、脱臼とか骨折とかコロナとか…無理だって。
そうなの、コロナ下の事件だったの。
古本屋のバイトも探偵の仕事も開店休業から、ようやく5類に移行しようかという時。
高齢のご近所さんたちの雑事を引き受けたりして糊口をしのいでいたのだけど、そのうちの一人奥山香苗は、一人暮らしの老婦人。
あからさまに財産をつけ狙う親類に悩まされているので、九州にいる娘からボディガードのようなことを頼まれる。
もう私だったら絶対に、親戚づきあいをやめてやるくらい非常識な本家とか甥とかその他いろいろとか…。
でも、娘には厳しい言葉で反論するくせに、親戚にはいい顔をしたがるので、付け込まれるのだ。
娘の物言いがきついなあと思いつつ、私と母の関係性に似ているとも思ったり。
今回は奥山香苗の紹介で、有名私立校の元理事長から頼まれた人探しがメインなんだけど、創業者である彼の祖父以外の理事長は、金儲けや女遊びなど評判の悪い人たちばかりだったのに、彼が理事長だった時は悪い噂は一切なく、教師としても経営者としても最高だった、と。
カンゲン先生には悪いうわさがひとつもなくて…という話なんだけどさ、私はカンゲン先生があまり好きではなかった。
だって、やっぱり人の話を聞かずに、言いたいこと言ったら後は終わり、なんだもの。
それって、人としてはもちろんだけど、教師としてどうなの?
なんか腹を割ってないまま、いい人として話をする。
これ、『ミステリと言う勿れ』の天達先生くらい胡散臭い。 -
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5年ぶりの探偵・葉村晶シリーズ。物語とともにキャラクターも年齢を重ねる珍しい設定の本シリーズ、主人公の葉村は五十代に突入している。原因不明の歯痛に悶え、全力疾走には息も絶え絶え、文章を読むにはさりげなく老眼鏡を取り出す葉山に、少しだけ人生の後輩である私も深く共感してしまう。
今回の葉山の仕事は人探し。3年ぶりの大仕事に張り切る葉山だが、ブランクのせいか、はたまた寄る年波のせいか、やることなすこと上手く行かない。そして、本作でも作者の若竹さんは葉山に、これでもか言わんばかりに次から次へと不幸のボールを投げつけるのである。
登場人物が多く、カタカタ表記も多用されるので、なかなか頭に入ってこなかったのは、私もアラフィフだからだろうか。とりあえず、これを読んでいる途中、歯医者の検診は予約を入れたのであった。 -
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名前に7があるなど七に縁持ち作家による、七つの大罪がテーマの七つの短編集(岡崎さんは作家紹介読むまで何繋がりかわかりませんでした)。大罪ネタなだけに、スカッと爽やかな話ではありません。読みごごち重視の人には向かず。でも、どの作家さんも工夫が見られて面白かったです。殺人も強姦もエロも色々出てくるので高校以上向け。
「罪の名は傲慢」中山七里
古手川や渡瀬が最後に登場します。地位のある男が立場を利用して一服盛り、女性を犯す。しかし女性はめげずにすぐに訴えるための行動を起こす。お互いの行動や立場、発言、マスコミの報道のあり方。真実は?
「手の中の果実」(怠惰)岡崎琢磨
七歳の息子、櫂は学校に行きたがらず、行っても嘔吐して帰宅した。いじめも見られないし、何が原因かわからない。勝沼から戻ったあと名探偵を演じたのは予想外の人物だった。
「移住クライシス」(憤怒)川瀬七緒
自閉スペクトラムの息子が移住先の田舎で裏の溜池に落ちて死んだ。自分も再婚した妻も地域の人もきをつけていたのに。悲しみ、悔いる僕と妻の元に、痴呆症が疑われる老婆が怪しく敷地内に立ち入ることが続き、不安と戸惑いに襲われる。
「オセロシンドローム」(嫉妬)七尾与史
漱石の「こころ」についての会話が発展して歯科医師と恋愛していた私。しかし盲目的な独占欲でうまくいかなくなり破綻、ストーカーのような状態になりカウンセリングを受けるのだが、人の感情はもっと拗れていた。
「十五分」(強欲)三上幸四郎
動画配信者として成功していた私は殺人や放火の容疑で収監されている。動画を15分と決めて編集していた私。取材に来た記者は自分のファンだったといい、面会15分を何回か続けて何が起こったか聞き取りをした。そして明かされる真実と思いもかけないもう一つの15分。
「父親は持っているエロ本を子どもに見つからないようにしろ」(色欲)カモシダせぶん
これはタイトルから予想されるものを軽く裏切ってきます。こんな息子いないよーっていうのが一番の感想。あと、エロネタがばんばん来ますが、一番読後感よかったです。金庫に入れてあったエロ漫画雑誌を息子が読み、父に自分の感想を話すのですが…。
「最初で最高のひとくち」(暴食)若竹七海
一番胸糞悪くなったかも。気持ち悪くなるほど嫌な話を読みたい人にオススメの内容でした。息子を可愛がる母親のお話です。 -
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若竹七海作、日本が誇るハードボイルド。
葉村晶に会うたびに、上のように思います。
この語り口のうまさ、乾いていながらじわじわしみてくる毒。ああ、ハードボイルドだなあ。
しかし、事件そのものは、やはり日本を意識させる。
もしも、この事件を扱う探偵が葉村晶ではなく、どちらかというと安楽椅子探偵に近い探偵だったら、もし、頭なんか搔きむしりながら解決する探偵だったら、このじめじめしたバックボーン、いやらしい人間の悪しき本性、これぞ横溝作品、なんて言いたくなるし、現代日本の裏側をついてくるあたりは、これぞ松本清張作品と言いたくなるかもしれません。
そのじめじめを襲ってくる激痛で解決してしまうのが葉村晶なんですねえ。
終止襲ってくる痛みが口の中にあったり、生命の危機を感じさせるのが花粉症だったりと、なんとも、なんとも、気の毒。この気の毒具合がたまらなく魅力なんですよねえ。
葉村晶を襲う痛みの辛さというのは、畢竟、人間の身勝手ということになるのかな、と思いました。
そして、このまま老化が進んで活動に難渋が増えていく前に、もっともっと葉村晶の探偵報告を読みたいのです。
50代の葉村晶、短編集を3冊ぐらい、それから角田港大先生の作品を2作品くらい、ぜひぜひ読みたい。
巻末のミステリ案内、ありがたく、読書計画を立てようと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ葉村晶シリーズが好きで順番通りじゃないけど3冊目。
面白くて一気に読んじゃうんだけど、やっぱり後味が悪いというか悲しいというか…でも今回はもやもやする感じはあんまりなかった気がする。
今回は一段と不運に見舞われてた気がする。落ち着く暇がなくて、ずっとハラハラしながら気づいたら読み終わってた。次も早く読みたいな〜
他のミステリー作品も出てきたので、紹介されてた本もいつか読んでみたいと思った。
【追記】前作で長谷川探偵調査所に何があったのか気になってあとから前作を読んだけど、特に何もなくて、本当に前作を読んでなくても問題なかった。