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Posted by ブクログ 2023年10月03日
待望の葉村シリーズ!前作からはや13年…
葉村晶も40代になりましたが、相変わらず巻き込まれて大変なことになってます。
探偵の職を失い、ミステリ専門書店で働いていたら事件に巻き込まれ、運ばれた病院で新たな依頼を受けることになる。
巻末にはミステリ専門書店の店長による本作品内で登場したミステリ解説...続きを読むつき。
こちらも読み応えたっぷりなので、ミステリ好きは読んでて楽しい作品だと思います。
Posted by ブクログ 2023年08月11日
ここまで真面目に行動するのに、お愛想を言わないせいか色んな人の反感を買い、何度も何度も大怪我をして、それにも負けずに一生懸命に進み続けて真相に辿り着く葉山さんがすごい!
Posted by ブクログ 2023年02月13日
再読。
当時、文春のミステリ年間ランキングで上位に入ったのを見て、おもしろそうだったので読んでみたんだった。
それから若竹作品を遡って読んだ。
今回久々に読んだが、岩郷元刑事の失踪原因以外はほぼ忘れていたので、楽しく読めた。
Posted by ブクログ 2022年02月28日
「人探しを頼まれる」という探偵ものミステリにありがちな導入からは、予想だにしない結末が待っていた!
今作だけで、葉村晶は何度も病院に入院したり、大怪我したり。40でこれはつらい。しかも、何度も頭打ってるし。
ここまでくると、葉村晶が今後穏やかに過ごせることを願うばかりです。読者としては葉村晶シリー...続きを読むズに続いてもらいたいものの、かわいそうすぎて。
でも、一番かわいそうだったのは、怪我した時よりも、気が合うと思っていた舞美と、晶が病室で言い争いをしたとき。
いつも心の中で毒づいたりツッコミ入れたりしてる晶が、舞美に感情的になって言い返して、そのあと泣いた時。不死身の葉村晶の哀しみを感じた。
事件は、二重、三重に仕掛けられていて。
母親が娘を殺したつもりになっていて、でも実は娘は死んでおらず、母のマネージャーが娘を逃して匿っていた…というところは、白雪姫を思い出させた。
マネージャーの妹が殺された事件についても、結局はっきりと解決しないまま…。もしかしたら、マネージャーが実の妹を?という疑問も生まれた。
最後の岩郷のおばあさんの涙には、もらい泣きしてしまった。
ノンストップで葉村晶と共に事件を追ってきた(つもりになってる)私にとって、岩郷のおばあさんの涙は、ふっと力と圧が抜ける瞬間だった。
タイトル「さよならの手口」は、警察官に別れを告げる方法はない、という、本の一節からきているようだ。
何か後ろ暗いことがある限り、警察官とは別れられない、ということだろう。
晶は舞美に対して、警察官と別れることはできないぞ!と忠告したあと、警察を使って脅かしてしまったことを後悔する。
晶は良い人だと思った。
舞美がどう受け取るかということも気がかりだったのかもしれないが、晶の中には彼女なりの筋があって、自らそれに反してしまうことを後悔したのではないかな、と私は思った。
Posted by ブクログ 2022年02月18日
葉村晶の長編、堪能した。
これでもかってほど複雑に絡み合った人間関係も、真相が分かればスッキリ。探偵モノでは当たり前なのかもしれないけれど、女探偵がここまで言葉通り身体張って楽しませてくれる作品、まだ出会っていない。
次巻は入手済み、でもあえて時間をあけて、再会の喜びを倍増させる手をつかおう。
Posted by ブクログ 2022年01月09日
葉村晶シリーズ3冊目、だけど、作中の時間軸はこちら方が古いようだ。
長編は初だったのだけれど、テンポや面白さは変わらずで、
短編を読むようにずっと物語に引き込まれていた。
Posted by ブクログ 2020年01月02日
葉村晶シリーズ四作目。長編。
初っ端から病院送りにされる葉村晶。40歳を越えてるのに相変わらず相当な酷い目に遭わされる主人公にさすがに同情します。
癖のある登場人物が多く、その度に発揮される葉村晶の心の中での毒っぷりがやっぱり面白い。
後半に登場する、芦原吹雪の元マネージャー山本博喜がバケモノじみて...続きを読むる。なんか怖かった。60半ばの小柄な優男には到底思えないほどに暴れまわってた印象が残ってて、それがこの事件の恐怖部門に一役買っているのではないかと思う。
それを含め後半の盛り上がりが凄まじく、夢中になって読んでた。最後の最後でこの本の題名を回収してるのも、事件の後味の悪さとのバランスがとれてて読後感も良い。
面白かったです。
Posted by ブクログ 2020年01月12日
葉村シリーズの新刊!
書店で見つけてうわーっってなりました。うれしい!
もったいなくて今まで読めませんでした笑
それにしてもやっぱりこのシリーズは面白い。40過ぎても葉村は相変わらずですけど、ちょっと不運すぎやしませんかね!?笑
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久しぶりに再読。やっぱり長編はいいなあ。
ここまで病院に担ぎ...続きを読む込まれているとは思わなかったですけど。(笑)
Posted by ブクログ 2023年10月31日
読んだことあったのかなぁと思いながらいたけど、なかったやつ。登場人物が多く、混乱しそうと思いつつ、でも意外とそうでもなく。登場キャラがたってるからだろうかね。
さよならの手口というタイトルの回収は十分ではない気もするけど、ミステリーらしく人のつながりが重要で、どこかで誰かが裏切るのでは?と思いなが...続きを読むら、実際裏切りがいくつか出てきて、あぁなるほどなーと思いつつ、それ以上にこの人がそっち側に心変わりかよ!みたいなことの方が、小さいながらもインパクトがある。
ボリュームの割に展開が早いのでどんどん読み進めてしまう。秋の夜長にちょうどいい。
Posted by ブクログ 2023年03月19日
葉村晶は怪我をし過ぎでこちらが心配になる。あと本の中なのであまり歳を取らせたくない。
登場人物で一人だけそれはないだろという行動をした者がいたのがマイナス。
Posted by ブクログ 2022年12月29日
刊行当時13年ぶりの葉村晶(その間短編は2本ほど発表されているらしいが)。
なんと四十歳の坂を越え、職業も長谷川探偵社が廃業したことにより、ミステリ専門古書店"MURDER BEAR BOOKSHOP"でアルバイトをしていた。
なんか探偵じゃない葉村を見るのって『プレゼント』の頃...続きを読むを思い出す。
13年ぶりかぁ。
リアルタイムで待っていたら待ちくたびれる、というか完全にそれまでの過程を忘れてしまうだろうから、ある程度出そろったところから月日を物ともせず、ずんずんと読んでいく今の読み方ができて幸運。
さて、今回は葉村が古書店で働いているということもあり、ほんのりビブリオ風味。
書店での倒述フェアではF・W・クロフツとか、骨フェアではレジナルド・ヒルとか語られるとそっちも気になってしまうのがミステリ好きの性。
事件の方は、とあるアパートの店子の遺品整理で大量の蔵書が見つかり、掘り出し物がないか探っていたところ、押し入れの床が抜け白骨死体の待つ床下へ頭から落下するという葉村の災難に始まる。
白骨死体の謎は元探偵葉村の推理が冴え渡り、事情聴取に来た刑事に口添えすることでスピード解決。
その能力を見初められ依頼されたのが、往年の大女優・芦原吹雪の失踪した娘の捜索。
それと並行して巻き込まれる"MURDER BEAR BOOKSHOP"の常連客・倉嶋舞美とのどたばた。
切れ味良い物言いや、物事の見極めの鋭さは健在であるが、前作までと比べてとにかく災難に見舞われるし、ところどころで冷静さを失い、感情を抑え切れない場面も。
今回特に印象的だったのは人と人が懇意になることの脆さ。
前々から滲んではいた葉村の優しさにつけ込んでかき回すサイコパスしかり、そのサイコパスにすっかり洗脳されてしまう”スタインベック荘”の大家しかり、ちょっとした手抜かりから微妙な関係となってしまった東都総合リサーチの桜井しかり。
それを終盤、「慢心」という言葉や「わたしは何を間違えたのだろう」と自省する葉村の心に共振し、とても胸が痛んだ。
それとは別に『依頼人は死んだ』で出てきた濃紺の悪魔や、前作ですったもんだあった相場みのりの行く末など、未来への振りかと感じていたところが全く回収されず、意外と放置系なのか!?(まぁ、別に支障ないけど)という点も多々。
全体的にイヤミス感溢れていたけれど、最後のオチだけはとっても爽やか。
次は『静かな炎天』。
また短編になるようだ。
Posted by ブクログ 2022年10月02日
葉村晶、13年ぶりの長編。 信じられない。ずっと読んでいる気持ちだったのに。短編とかだったのか… 杉田比呂美さんのイラストが大好きで、若竹作品が大好きで、葉村晶が大好きだけど、盛りだくさんすぎて、窒息しそうだった。 何回スマホが壊れて、何回死にかけるんだ。なのに生きてるし、自分から面倒に飛び込んでい...続きを読むく晶はタフ過ぎる。女優の娘を探すだけだったはずなのに。変な女にくっつかれたり、消えた探偵を気にかける羽目になったり、警察に目をつけられたり。絶対300万もらってても足りない。とにかく、ただただ面白い。
Posted by ブクログ 2022年05月31日
すごく面白かった。今までの葉村晶シリーズで1番の面白さ。
本のタイトルが、最終的に「あ、ここに掛かってるのね。そこをタイトルにしたのね」とクスッと笑えるのも良い。手口と書いてあるから、犯罪に関わることかと思いきや、そこかーい!って。笑
メインの話もすごく面白い。
Posted by ブクログ 2022年04月23日
葉村晶の乾いた言葉選びが本当に好き。
仕事柄ハードボイルドでも、日常で心地のよいものを好みで選んでいるところが、私にとって好感の持てるポイント。華美ではないがそういう穏やかな生活が、きちんと後ろに控えているところがいい。
でも今回初っ端から満身創痍で笑ってしまった。トラブルの方が葉村晶を離さないとい...続きを読むった様子だ。
葉村晶の仕事ぶりを見て回るのは楽しい。最低でも、社交性があって身体が強くて口がうまくて勘が強くないと務まらない。
幾重にも折り重なった事件の苦い後味がこのシリーズらしいなと思う。
Posted by ブクログ 2022年02月19日
シリーズものが読みたくなって、この作品の次(静かな炎天)をずいぶん前に読んでそのままになっていた葉村晶シリーズを読んだ。
満身創痍というか、話が進むにつれ(葉村の推理が進むにつれ)、身体と心を痛めつけられる。次も読みたいと思わせてくれるのは葉村晶の不屈さと優しさかな。
和製ハードボイルド。最後の一文...続きを読むも、”ロンググッドバイ“。
Posted by ブクログ 2021年12月23日
最初は軽いタッチというか独特な主人公だなと読み進めていたら、
途中からあれよあれよと話が大きくなっていきました。
前作を読んでいないのですが、
葉村探偵の思考や倉嶋舞美のうざさなど楽しく読めました。
Posted by ブクログ 2021年10月18日
本筋(ミステリー)以外の話で恐縮だが、主人公・葉村晶が非常に魅力的。
物語の始まりは廃屋でカビ臭い蔵書の取り出し、遺品整理。
晶が押入れの多量の蔵書を運び出そうとした瞬間、腐食した床を踏み抜き、下水まみれの床下に落下し、骸骨に頭をぷつけながら気絶し骨と肺をやられてしまう。
意識を取り戻すとそこ...続きを読むは病院で、結局、同室の患者から調査依頼を受けるハメに。
満身創痍で始まり、周りの人や警察から雑多な扱いを受けたり疎んじられたりする。
踏んだり蹴ったり、そして厄介ごとが重なってくる毎日なのに、晶はめげない。
晶の魅力は、肉体、精神の強さというより、ひたすら愚直に、時々は間違いもしながら、前に進む力。それも孤独であるのに。
愚痴りながら、感情を時には爆発させながら、時にはギリギリで踏み止まりながら、というのも非常に共感を覚えて楽しい。
僕が、伏線や推理を理解、堪能するにはあと2回くらい読み返す必要があると感じる。
まーちゃんさんの本棚で「依頼人は死んだ」と本作を知り、今回は推理というか、晶の遭遇する事件や、心理を見ていくことで非常に堪能できました。
今後も本棚と感想、参考にさせていただきます。
ありがとうございました。
Posted by ブクログ 2020年11月16日
【腹減り度】
なし
【1番美味しそうだったもの】
スナックなつこのおでん
*感想*
なんと葉村晶が四十路に!びっくり。
相変わらずの巻き込まれ不幸体質で冒頭からラストまでボロボロ(笑)
周りの顔ぶれも変わってちょっと寂しさもただよいつつ、新しい出会いもあり。
今回は女性が怖い怖い!ゾッとしちゃうよ...続きを読むうなキャラクターがうようよしてた。古書店勤務になったこともあり、ミステリの小ネタや作品がわらわら出てきて面白い。出てきたものも読破したいわ(稀覯本は無理だけど‥)。その辺含めて過去3作だと今作が1番好きかな。次回作早く読まねば。
Posted by ブクログ 2020年09月12日
葉村晶の4作目。
あまりにストイックで、
あまりに孤独で、
あまりにハードボイルドな葉村晶の生活をまたは人生を
うらやましいと思ったことはなかったが、
初めてうらやましいと思った。
好きなミステリの本のことを語り合える友人ができたとは。
そして、良かったなと。
が、しかし世の中はそれほど甘くない...続きを読む。
探偵業を休み、ミステリ専門の本屋でバイトをしていたはずが、
探偵を頼まれて、行方不明の娘を探すことに。
新宿の古いビルから仙川のテラスハウスに居を移し、
しかし相変わらず怪我をし、相変わらずひどい目に遭う。
探偵だから、当然か。
銭湯の番台のお婆さんに聞き込みするシーンは面白かったが、
夫を待ち続けたおばあさんは可哀想だった。
Posted by ブクログ 2020年08月27日
葉村晶シリーズ第3弾
前作から続けて読んだらだいぶ年下だった葉村晶が同世代になっていてびっくりした
でも相変わらずの痛々しい日々
何もそこまで キズだらけの満身創痍
フットワークの軽さや頭の良さもしっかり冴えてはいたが 至らなさ不甲斐なさも真摯に受け止める
それが出来る人は信頼ができる
ちゃんと探偵...続きを読むに向いている
もっと読んでいたいと言う事ね
ところで元同居人の彼女とはその後どうなったの?
一晩ぐらい泊めてくれる友達…には入らなかったのよねぇ
切ない
Posted by ブクログ 2020年06月20日
冒頭のエピソードから、葉村晶が気の毒。でも小さな事実から鋭い分析を見せるなと思ったら、それが本編でも発揮された。そうなのか!と、うならされた。
20年前の女優の娘の失踪事件、調べていた探偵が行方不明なこと、娘のはとこが殺された事件。事実が少しずつ明らかになりつつ、新たな謎も出て来て、どんどん読み進め...続きを読むてしまった。途中スタインベック荘の新住民や警察との取引など、要素はてんこもり。ところどころにシニカルな物の見方や、銭湯の番台のおばあちゃんを「世界征服を狙っている」など、クスッと笑わせてくれるところもあり、緩急つけるのがうまい。
でも葉村晶はとことんかわいそう。タフでなければ探偵でないってやつかしら。それでも一番不幸なのは岩郷のおばちゃんかな。
Posted by ブクログ 2020年05月27日
冒頭、葉村晶はこのように呟く。
「この世には数かぎりない不幸が存在している。誰もが不幸と無縁に暮らしたいと願い、不幸の臭いが漂ってくると身を翻して距離を置く。それがうまくいく場合もあるが、飛び離れた結果、かえって不幸に足を突っ込んでしまうこともある‥‥」
こういう呟きが、和製ハードボイルドと言われる...続きを読む所以である。
彼女は、これから起こる事件の説明をしている気持ちなんだろうけど、実は彼女の人生そのものを語っているのである。しかし、彼女の人生はこの作品のテーマではない。
不思議なことに、冒頭こそ不運に見舞われるけど長編の途中まで、目星が次々と当たったりして葉村晶の調査はツキまくる。ツキのあとには、不運が来ると決まっている。しかも最大級の不運がやってくる。葉村晶は「痛い目」に遭う。この「痛い」というのは、身体的にも「かなり」痛かったが、精神的にも「かなり」痛かったのである。
396pの彼女の呟き。精神的に参って、食欲のない葉村晶が、美味しくないファーストフードを途中で残す。残したって誰が責めようか、と私は思うのだが、彼女はこう呟くのである。
‥‥ふと握りしめていた紙袋に気がついた。捨てようと思っていた工業製品。でもこれも、誰かの手を経て生まれてきた食べ物だ。人の手のぬくもりは感じられなくても、わたしよりましな誰かが作った食べ物だ。もう一度ベンチに座り、ゴミとして丸めたハンバーガーを最後まで食べた。
事件とは関係ないけど、これが彼女の真骨頂なんだろうな。優秀なのに、一見クールなのに、あまりにも優しい。そして、自己肯定感が低い。
ここまで読んできた方々は、気がついているとは思うが、私は本書の事件について一言も語っていない。いや、葉村晶シリーズに関して言えば、ほとんど事件については語らずに長々とレビューを書いてきていたのに、恥ずかしながら今気がついた。少しは〈あらすじ〉を書くのは「礼儀」というものかもしれない。なんか、書き損ねるんだよね。
彼女の人生が面白すぎる。
私は一生懸命頑張っている女の子が好きなのだ。彼女は既に女の子ではないけれども、私には女の子にしか見えない。
申し訳ないので(←誰に?)、ハードボイルドっぽい文を以下にメモする。
・(週刊誌記事は)どれもいわゆるオヤジ媒体で、強烈な煽り文句やえげつない惹句の裏に、ありとあらゆるものに対するねたみや反感が見え隠れしていた。そしてこの時、叩きがいのある「水に落ちた犬」は、芦原吹雪だった。(91p)
・ようやく脱げたときには、またひとつ賢くなっていた。「人間四十をすぎたら着られない服がある。見た目や若作りというレベルではなく、生物学的に」‥‥。このまま順調に年を重ねれば、わたしはいずれ賢人と呼ばれるようになるかもしれない。(111p)
・おまけに、だ。仮に彼女が裏カジノに関わり、警察内部から捜査情報を聞き出しては警察を小バカにする役割を担っていたとして、それがどうした。犯罪には違いないが、人の世の生き血をすすっているというほどでも、不埒な悪行三昧というほどでもない。警察が捜査するのは当然だとしても、退治てくれよう、なんて気分にはなれない。(224p)
・この人工的な街にくるたびに思うだが、関東ローム層の上で育った多摩の土着民からすると、湾岸地帯なんかで暮らす人間の気が知れない。ところが住民たちは、なんだかやたら幸せそうに住んでいる。(233p)
・着信があった。画面を見てうんざりした。調布東警察署の渋沢漣治だった。警官にさよならを言う方法は、二十一世紀になった現在も、いまだ発見されていない。(249p)
・通った幼稚園がカソリック系だったためか、わたしはシスターにすこぶる弱い。まして佐久間は園長先生に瓜二つだった。膝にすがりついて泣かないように気をつけなくては。(299p)←ハードボイルド文章ではないが、葉村晶の背景を知るためには極めて重要な一文。
次いでにもう一つメモ。巻末にミステリ専門書店〈MUDER BEAR BOOKSHOP〉店長富山泰之のミステリ紹介がおまけとして載っている。いつか読みたいと思った作品。
・「警部銭形」原作モンキー・パンチ 作画岡田鯛
・「殺意」フランシス・アイルズ 三大倒叙ミステリの一つ。
‥‥いかん。こんなの読んで行ったらドツボにハマってしまう。紹介中断。
Posted by ブクログ 2020年04月23日
葉村晶シリーズの長編作品。主人公の葉村晶同様、読み手も疲れ果てたり、興が乗って一気に読み進めたりと、気ままに読む結果となった。主人公が何度も入院する結果となったりして、おいおいストーリーが重すぎはしないかと呆れたり、でも面白く読み終えた。
Posted by ブクログ 2020年04月05日
生活環境が変わっても、相変わらず頼まれごとを断れない主人公
またまた、人捜しを頼まれるのは従来通りです
作者は古い設定はどんどん捨てて、葉村にもどんどん年をとらせるようです
複数の事案が同時進行するので、登場人物も多いです
結局、どれも報われない結末
しかも今回は、年のこともあるのか何度もボロボ...続きを読むロになり、最終的には体のみならず、心までボロボロです
最後にちょこっと救われるというオチ
今後も探偵業は続けるのでしょう
Posted by ブクログ 2020年03月04日
ハムラアキラシリーズ。
ハムラアキラへの依頼人は何かを知っていて、その人たちの回りには、精神的に追い詰められる人たちが多くないか?
不運な探偵ではなく、満身創痍の状態でもどうしてここまで彼女は事件を調べるのか…。
好奇心からなのか…クールと言われながらも、どこか情が厚い人。そんな不思議な感じがす...続きを読むる。
前作より、年数もたち、住まいも所属ももちろん、年齢も重ねている。スマホも登場する。
ハムラアキラシリーズ第2章という感じだろうか。
Posted by ブクログ 2017年10月03日
再読。
まずタイトルが良い。チャンドラー作品に出てくる有名な言葉『警官にさよならを言う方法はまだみつかっていない』から来ているのだが、『さよならの方法』でも『さよならの手法』でもなく『さよならの手口』としたところに葉村晶シリーズらしさを感じる。
親が子に、子が親に、夫が妻に、妻が夫に、友達が友達に...続きを読む、過去の傷に…様々な『さよならの手口』が出てくるが、いずれも最悪な形で晶に突き付けてくる。
女性でありながらこれほど痛め付けられ傷を負うという設定の探偵も珍しいが、彼女はそこを諦めつつも受け入れ探偵としてやり遂げていく。
だが結末はあまりにもハード。晶自身が振り返るように、彼女は誠実に働いたが、何かが違っていたのだろう。
クールで手抜きをしない探偵だが、感情がないわけではなく、時折熱くなりお人好しにもなる。そこが彼女の魅力であり弱点でもある。
脇役としては厭な警察官だが当麻警部は結構好きだった。また晶のバイト先である古本屋の富山店長の理不尽さも健在で好き。
彼のお陰で警官にさよならを言う方法は見つかっていたというオチも笑える。
四十代に入ってますますハードな葉村晶探偵の活躍を今後も期待。
Posted by ブクログ 2020年11月25日
ちょっと前に読んだ『悪いうさぎ』の続編
『悪いうさぎ』から13年も経っての刊行だったんですね
女探偵葉村晶シリーズです
・
『悪いうさぎ』では学生時代、同クラだったら葉村さんとはお友達にはなれない…と思ったけど、13年経ち、葉村さんも大人の分別を身に付けており、今だったら図...続きを読む書委員くらいなら一緒にできるかもと思いました
・
葉村さん…相変わらず、怪我ばっかしてます
冒頭では探偵は辞め、古本屋のバイトをしてるのに事件に巻き込まれます
しかも、二つも!
40代の身体に鞭打って頑張ってます
・
本作を渡してくれる時の母の反応は微妙でしたが、私は『悪いうさぎ』より面白かったです
Posted by ブクログ 2020年08月09日
葉村晶シリーズ3冊め。ハードボイルドなミステリを勝手にイメージしてたのですがちょっとコミカル?でしたね。いろんな事件が絡み合う系のストーリー展開で面白かったです。最後の最後の最後まで、という感じ。でもボリューム的にしんどかったので次は短編を読みたいと思います。
Posted by ブクログ 2020年05月17日
葉村晶シリーズ、文庫書き下ろし長編!
本シリーズはNHKでドラマ化されているが、本作はドラマ化されていない。
そんな原作本について、ドラマを見たことのない人、初めて読む人には短編から読むことをいつもお勧めしているが(慣れないと人は飽きてしまう)読書の楽しみを知っている人にはもちろん本作からでも。
...続きを読むエピグラムには『ロング・グッドバイ』(長いお別れ)の一文。
さて、過去の名作を下敷きにしすぎてミルフィーユになっているところはミステリファンにとってはたまらない。
読んだことのない作品名も出てくるので、またまた読みたい本が増えていく。
本作はかつての大女優、芦原吹雪の隠し子を探す依頼がメインになるのだが、葉村をつけ狙う妖しげな影、薬物パーティーの噂のある女の登場、隠し子の父の行方、警察からの内部リーク。
ミステリ要素を詰め込みすぎて、大丈夫か、ちゃんと仕舞までいけるのか?!
結論から言うと、お見事ツツツ(『刃牙』に出てきそうなセリフを吐きたくなる)。
本シリーズの他作品も読み切らなければ!
葉村晶のこの華麗なる、そして不幸っぷり、もう少し見なければ!