大山誠一郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ「夕暮れの屋上で」:高校2年生の美術部の由里子が屋上で頭を打って死んだ。死ぬ前に下の教室で清掃をした業者が「先輩のことが好きなんです」と告白するのを聞いた。先輩とは誰なのか。甘酸っぱい青春を感じるが、犯人がわかった後の懺悔の仕方がクセ強。懺悔の愛し方が独特すぎる。
「連火」:放火前に住んでる人を避難させる連絡を入れる連続放火と床下から30年前に死んだ人骨発見の関連性は。放火の動機がかなり極端だが追い詰められたらこんなことしちゃうのかな。
「死を十で割る」:死体をバラバラにした謎。死後硬直で死体の姿勢がバレるからバラバラにした。それだけならまぁそんなもんかと思うが、死後硬直が解けるまで待てない理由までつけるのが秀逸。死者への愛を還元する犯人の優しさか。
「記憶の中の誘拐」:幼少期実の母に誘拐された尚人は高校時代の友達の寺田に事件のことを相談する。寺田は誘拐事件に不審点を抱き館長の緋色冴子に再調査を依頼。五歳の尚人の記憶を上書きする誘拐とはふむふむ。キレイなオチで良きですな。 -
Posted by ブクログ
昨今は「ここのここだけ食べたい!」みたいな商品をちらほら見かけるようになった。この作品も「ミステリーのここだけを読みたい!」という願望を叶えてくれるような作品と言える。看板に偽りなしでこの作品はとにかく「アリバイを崩すこと」に特化しており、犯人は誰なのか?その動機は?みたいな味付けは皆無に等しい。個人的にはその味付けを楽しむタイプではあるので物足りなさは感じるところだが、この調理法を目的としている人をターゲットにした作品なのだから、私の物足りなさは当然でありお門違いでもある。ミステリーを初めて読む人向けと言うよりはやはりもう自身の好みの味付けを知っている人向けの作品。
-
Posted by ブクログ
大山誠一郎の長篇ミステリ作品『仮面幻双曲』を読みました。
大山誠一郎の作品は2月に読んだ『密室蒐集家』以来ですね。
-----story-------------
この町の誰が”顔を変えた殺人者”なのか?
時は、戦後間もない昭和22年。
東京で亡き父の事務所を継いだ私立探偵の川宮兄妹は、依頼を受けて滋賀県の双竜町に赴く。
依頼主は、地元随一の製糸会社を営む占部家の先代社長夫人。
専務の武彦が双子の兄である現社長の文彦に恨みを抱き、殺害を目論んでいるのだという。
武彦は女子工員の小夜子に恋をしていたが、彼女は町中に中傷の手紙がばらまかれたことを苦に自殺。
兄の仕業だと思い込んだ武彦は姿をくらまし、整形手術を受けて顔を変え、別人になりすまして双竜町に戻っている。
「なぜ顔を変えたかわかるか? お前の近くにいる」
川宮兄妹の使命は、武彦を探し出し、文彦の命を守ること。
しかし、琵琶湖のほとりに建つ巨大な洋館に招かれ、寝ずの番にあたった矢先、文彦は惨殺されてしまう――
果たして誰が”武彦”なのか。
本格ミステリの名手による傑作が、待望の文庫化!
-----------------------
2006年(平成18年)に『書き下ろしミステリー第2弾! 双竜町事件-仮面幻双曲』というタイトルで刊行された作品……大幅に加筆改稿した文庫版で読みました。
■プロローグ 昭和21年・冬
■一の奏 隠された顔
■二の奏 湖岸の館
■三の奏 当主の死
■四の奏 通夜の夜
■五の奏 捜索の朝
■六の奏 湖中の男
■七の奏 復興の街
■八の奏 暴かれた顔
■エピローグ 昭和22年・冬
■解説 香気溢れる、意想外のパズラー ~白い仮面はいかに改訂されたか~ 阿津川辰海
昭和22年、私立探偵の川宮兄妹は依頼を受けて琵琶湖畔の町・双竜町へ赴く……この町にある製糸会社の社長・占部文彦に双子の弟の武彦から殺害を仄めかす脅迫状が届いたのだ、、、
武彦は恋人の死で兄に恨みを抱き1年前に出奔していたが、東京で整形手術を受けて顔を変え町に戻ってきたらしい……別人に成りすましている武彦を探し出し、文彦を守ること、それが川宮兄妹への依頼だった。
しかし警護の甲斐もなく、文彦は湖岸の館で殺害される……この町の誰が武彦なのか? 大胆なトリックで読者に挑戦する傑作本格ミステリが、全面改稿された文庫版で登場。
昭和22年という時代背景、琵琶湖岸の大きな館という舞台、町の名家に伝わる双子伝説、整形手術で顔を変えて別人になりすまして町に戻ったと思われる犯人、近親憎悪から引き起こされる怪事件……横溝正史作品っぽい雰囲気を持った作品でしたね、、、
双子を使ったトリックは、古今東西、多くのバリエーションがあると思うのですが、このパターンは初めて読みました……整形した双子の設定を巧みに利用した、複雑かつ巧妙な犯行計画が愉しめました。
大山誠一郎作品って、短篇でキレの良いイメージでしたが……長篇も良いですね! もっと長篇を描いてほしいですね。