大山誠一郎のレビュー一覧
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ネタバレ【収録作品】道尾秀介「眠らない刑事と犬」/大山誠一郎「カラマーゾフの毒」/芦沢央「アイランドキッチン」/方丈貴恵「影を喰うもの」/浅倉秋成「糸の人を探して」/森川智喜「フーダニット・リセプション」
「眠らない刑事と犬」『N』所収。ペット探偵に犯行現場からいなくなった犬探しを依頼する刑事。母親の気持ちがよくわかる。
「カラマーゾフの毒」 悪役俳優鹿養大介の安楽椅子探偵もの。『カラマーゾフの兄弟』に出てくるような一族で発生した毒殺事件。家政婦が見ている前で、どうやって犯人は被害者に毒を盛ったのか。解説によると、シリーズが完結したので、来年単行本になるそうだ。
「アイランドキッチン」 引退後家を買おうと思いついた元刑事。不動産屋で紹介された物件に過去の事件現場があったことで、当時を思い出す。いやいや妻に相談もせず思いつきで家を買おうとは。それで妻孝行する気分になっているところが情けない。このおじさん本気かよ、へたすると離婚案件になっちゃうな、と別のところで気が揉める。まあ伏線なんだけど。もう一組の勘違い夫に妻はいつまで我慢できるかな。それにしても過去の事件がつらく、後味は良くない。大きな声で自信ありげに繰り返されると信じてしまう。コマーシャルならまだいいけれど、誹謗中傷はきついな。ないことを証明するのは無理だもの。「いい」人ほど生きづらいわけだ。この元刑事を主人公とする連作のアイディアがあるそうだ。
「影を喰うもの」 生き物の影を喰い、その生命を奪う影魚。それに喰いつかれたのは友人か愛犬かをロジックで解き明かす。特殊設定ものながらロジカル。そしてオチは予想がつくがやはりシュール。
「糸の人を探して」 自分を見初めたという相手を合コン相手から探す恋愛経験ゼロの主人公。コミカル。
「フーダニット・リセプション」 犯人当て推理小説の解決編にコーヒーをこぼして読めなくした高校生が、虫食いになった原稿を穴埋めする。論理パズルだと思えば面白いが、コーヒーをこぼした女子高生のキャラが苦手というか不快で斜め読みしてしまった。 -
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未解決事件の捜査書類や証拠品を保管する警視庁付属犯罪資料館、通称「赤い博物館」。
ミスにより刑事の花形・捜査一課から左遷された寺田聡の毎日は時効を迎えた事件の捜査資料を警察署から引き取り、QRコードを貼ってデータベースと紐付けるという単調なもの。
だが稀に、館長・緋色冴子警視が『再捜査をする』の一声で当時の関係者に聞き込みをすることもある。法律上は時効が成立しているので犯人が分かったところで逮捕とはならないのだが『真実を暴く最後の砦』として出来る限り解決しようとしているらしい。
前作同様、今回も様々な事件の構図のある部分が引っ繰り返る瞬間が楽しい。
人物、事象、理由、原因、時系列…今回の事件は何がどう引っ繰り返るのかという興味で読んだ。
パターンとしては序盤に犯人視点の描写がチラッと入る。だがそれが真実とどう結びつくのかはまだ分からない。その後捜査資料にて事件の詳細が分かってくるのだが、疑問点があらわになるだけで主人公・寺田には事件の真相は全く分からない。だが『事件を再捜査する』と言った時点で緋色の頭にはある程度の真相が見えているようだ。
前作と違うのは、緋色が『赤い資料館』を出て寺田と共に聞き込みに出向いていること。コミュニケーション能力に難のある緋色は、前作では聞き込みは寺田に任せて自身はその結果を聞いて真相を明かすというパターンだった。緋色自身、何か思うところがあったのだろうか。
だが彼女の聞き込みは前作同様、一見不可解で寺田同様戸惑ってしまう。それが事件の真相とどう結びつくのかも楽しいところだろう。
捜査資料を読んだだけでなぜそれが分かるのか、緋色の頭の中がどうなっているのかこそ一番の謎だが、緋色はよくある名探偵キャラのように真実が分かるまでは考えを明かさない。緋色が『雪女』と寺田がこっそり呼ぶ沈黙キャラな分、守衛の大塚や清掃員の中川が補ってくれるから良いのだろう。
前作を読んで気になっていた、緋色が『赤い博物館』の館長となった理由、寺田が刑事に復帰する兆しなどは全くなかった。逆に言えばシリーズはまだ続くということだろうか。
※シリーズ作品
①「赤い博物館」レビュー投稿あり -
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ネタバレ【収録作品】 夕暮れの屋上で/連火/死を十で割る/孤独な容疑者/記憶の中の誘拐
「夕暮れの屋上で」 卒業式のリハーサルが行われた日の放課後、校舎の屋上で一人の少女が「先輩」に募る思いを伝えていた。そこで少女の遺体が見つかる。
「連火」 標的にした住宅を燃やすが、火をつけてすぐ電話を掛けることで死者は出さない放火魔。八百屋お七を彷彿とさせるが、ある日を境に犯行を止めた。
「死を十で割る」 十個の部位にバラバラにされていた被害者男性の死体。同じころ、DVを受けていたその妻は列車に飛びこみ、自殺を図った。
「孤独な容疑者」 借金の返済を迫られて、同僚を殺害した犯人。倒叙の形で語られる。
「記憶の中の誘拐」 26年前に起きた奇妙な誘拐事件。被害者の少年は、寺田の友人。
時効を迎えた事件の真相を暴くことの意味を思う。 -
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赤い博物館シリーズ第2弾。
雪女のようなルックス、コミュニケーションに難ありだけど抜群の推理力をもつ、訳ありのキャリア警視緋色冴子がお蔵入りになった5つの事件を解く連作短編。
過去の捜査資料を読むだけで事件の真相を探り当てる冴子の慧眼が今回も冴える。
彼女の手足となって調査する寺田聡とのコンビも板についてきた。
今回の事件もそれぞれ工夫に満ちていて、相変わらず動機とかに無理筋なところもあるけれどそれも許容範囲、全体としてサラリと読んで楽しめるミステリに仕上がっている。
軽く頭を働かす程度の安楽椅子探偵ものとしてこれからも追っかけたいシリーズです。 -
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2021/07/28 08:10
よく読んでたベスト本格ミステリーの2019年の文庫版なんだな。
前のノベルズはもっと収録されてる本数が多かったから、面白いのに当たる可能性も高いし、逆に趣味に合わないものに会う確率も高いのだけれど、これは文庫版になって6篇だけになったから、さてどうかなと思ったが、とびきりのものはひとつもなかったけれど、5篇はそこそこ、ちびまんとジャンボという話だけ、ミステリとしては多分面白いのだろうけど、カメムシを食うだのゲロだの、読んでて気分悪くなる話だったので残念だった。
中で1篇、時代劇のミステリがあるが、宮部みゆきも、まぁ、あれはミステリとは言わないのかもだが、書いてるように、割と合うんだな。 -
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結城真一郎「惨者面談」★★★☆☆
凡そ結末の予想はついたけれど、文体が好き。
伊吹亜門「囚われ師光」★★★☆☆
「刀と傘」「雨と短銃」に続いて。
この方の作品、個人的にとても好きなのだが、短編だと淡々とした印象がより強いかも。ただ母校の新島襄を出してくるところが強いな。
中島京子「ベンジャミン」★★★☆☆
お母さんのセリフと動物園であらかた予想はついたけれど最後まで読めた。
アメリカの小説を読んでる印象があった。
櫛木理宇「夜に落ちる」★★★☆☆
掲示板のまとめを読んだときに感じる胸糞感があって、とりあえず私は外食しているときに隣のテーブルにこのご家庭が座ったら、脳内早食い選手権を開催しそう。
短編を読んだという印象より、本を読んだ、という印象。 -
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警視庁付属犯罪資料館・通称「赤い博物館」は、ロンドン警視庁犯罪博物館・通称「黒い博物館」を模して設立された。そこでは、警視庁管内で起きた過去の事件の証拠品や捜査書類を所轄署から受け取って保存し、今後の捜査に役立てる役目を果たしている。
その資料館の館長・緋色冴子警視はコミュニケーション能力皆無だが、ずば抜けた推理力を持つ美人キャリア。そこに配属されたのは、警視庁捜査一課で失態をやらかし飛ばされてきた元刑事・寺田聡巡査部長。
冴子のアンテナに触れた既に過去のものとなっている事件を、寺田が手足となって捜査し、資料と遺留品を元に冴子の卓越した推理力で解決に導くという5つの連作短編。
癖のあるキャラクターの冴子と、捜査に未練を残しながら資料整理と冴子のパシリに勤しむ聡のコンビが妙に笑える。冴子の指示で聡が事件を再捜査するという流れで、事件の情報は読者にもフェアに示されるという本格ミステリ仕立てにワクワク。
古い捜査資料と聡が足で集めてきた新たな情報を元に、冴子は頭で事件を解決し、ラストで切れ味よく論理を展開する。ちょっと無理筋なケースがあるのも否めないけど、推理ゲームの楽しさを十分に味わえる短編集でした。シリーズになりそうで楽しみ! -
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いつ買ったか忘れるほど前から積んでいました。浜田青年、こんなところにイタンスカ。不可能犯罪ばかりが起こる蝦蟇倉市を舞台にした短編集で、伊坂幸太郎の『ジャイロスコープ』に収録されていた「浜田青年ホントスカ」を改めて読む。
複数の作家による連作というわけでもないから、この短編集に臨む作家5人の姿勢いろいろ。前の作家の話をまるで気にせずに書いている人もいれば、小ネタ程度に話題に出す人もいる。その点で、道尾秀介から伊坂幸太郎への流れは連作風の楽しさを味わわせてもらえました。蝦蟇倉市地図の掲載もオツ。
異なる作家陣による2作目もあるとはつゆ知らず。次も是非というほどにはこの1作目全部が全部は面白くなかったのですけれど、一応2作目も行っとくかな程度には。