大山誠一郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
昨今は「ここのここだけ食べたい!」みたいな商品をちらほら見かけるようになった。この作品も「ミステリーのここだけを読みたい!」という願望を叶えてくれるような作品と言える。看板に偽りなしでこの作品はとにかく「アリバイを崩すこと」に特化しており、犯人は誰なのか?その動機は?みたいな味付けは皆無に等しい。個人的にはその味付けを楽しむタイプではあるので物足りなさは感じるところだが、この調理法を目的としている人をターゲットにした作品なのだから、私の物足りなさは当然でありお門違いでもある。ミステリーを初めて読む人向けと言うよりはやはりもう自身の好みの味付けを知っている人向けの作品。
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Posted by ブクログ
大山誠一郎の長篇ミステリ作品『仮面幻双曲』を読みました。
大山誠一郎の作品は2月に読んだ『密室蒐集家』以来ですね。
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この町の誰が”顔を変えた殺人者”なのか?
時は、戦後間もない昭和22年。
東京で亡き父の事務所を継いだ私立探偵の川宮兄妹は、依頼を受けて滋賀県の双竜町に赴く。
依頼主は、地元随一の製糸会社を営む占部家の先代社長夫人。
専務の武彦が双子の兄である現社長の文彦に恨みを抱き、殺害を目論んでいるのだという。
武彦は女子工員の小夜子に恋をしていたが、彼女は町中に中傷の手紙がばらまかれたことを苦に自殺。
兄の仕業だと思い込んだ武彦は姿をくら