あらすじ
この町の誰が“顔を変えた殺人者”なのか?
時は、戦後間もない昭和22年。東京で亡き父の事務所を継いだ私立探偵の川宮兄妹は、依頼を受けて滋賀県の双竜町に赴く。
依頼主は、地元随一の製糸会社を営む占部家の先代社長夫人。専務の武彦が双子の兄である現社長の文彦に恨みを抱き、殺害を目論んでいるのだという。武彦は女子工員の小夜子に恋をしていたが、彼女は町中に中傷の手紙がばらまかれたことを苦に自殺。兄の仕業だと思い込んだ武彦は姿をくらまし、整形手術を受けて顔を変え、別人になりすまして双竜町に戻っている。
「なぜ顔を変えたかわかるか? お前の近くにいる」
川宮兄妹の使命は、武彦を探し出し、文彦の命を守ること。
しかし、琵琶湖のほとりに建つ巨大な洋館に招かれ、寝ずの番にあたった矢先、文彦は惨殺されてしまう――
果たして誰が“武彦”なのか。
本格ミステリの名手による傑作が、待望の文庫化!
※この作品は 『書き下ろしミステリー第2弾! 双竜町事件-仮面幻双曲』として配信されていた作品の文庫版です。
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Posted by ブクログ
大山誠一郎の長篇ミステリ作品『仮面幻双曲』を読みました。
大山誠一郎の作品は2月に読んだ『密室蒐集家』以来ですね。
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この町の誰が”顔を変えた殺人者”なのか?
時は、戦後間もない昭和22年。
東京で亡き父の事務所を継いだ私立探偵の川宮兄妹は、依頼を受けて滋賀県の双竜町に赴く。
依頼主は、地元随一の製糸会社を営む占部家の先代社長夫人。
専務の武彦が双子の兄である現社長の文彦に恨みを抱き、殺害を目論んでいるのだという。
武彦は女子工員の小夜子に恋をしていたが、彼女は町中に中傷の手紙がばらまかれたことを苦に自殺。
兄の仕業だと思い込んだ武彦は姿をくらまし、整形手術を受けて顔を変え、別人になりすまして双竜町に戻っている。
「なぜ顔を変えたかわかるか? お前の近くにいる」
川宮兄妹の使命は、武彦を探し出し、文彦の命を守ること。
しかし、琵琶湖のほとりに建つ巨大な洋館に招かれ、寝ずの番にあたった矢先、文彦は惨殺されてしまう――
果たして誰が”武彦”なのか。
本格ミステリの名手による傑作が、待望の文庫化!
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2006年(平成18年)に『書き下ろしミステリー第2弾! 双竜町事件-仮面幻双曲』というタイトルで刊行された作品……大幅に加筆改稿した文庫版で読みました。
■プロローグ 昭和21年・冬
■一の奏 隠された顔
■二の奏 湖岸の館
■三の奏 当主の死
■四の奏 通夜の夜
■五の奏 捜索の朝
■六の奏 湖中の男
■七の奏 復興の街
■八の奏 暴かれた顔
■エピローグ 昭和22年・冬
■解説 香気溢れる、意想外のパズラー ~白い仮面はいかに改訂されたか~ 阿津川辰海
昭和22年、私立探偵の川宮兄妹は依頼を受けて琵琶湖畔の町・双竜町へ赴く……この町にある製糸会社の社長・占部文彦に双子の弟の武彦から殺害を仄めかす脅迫状が届いたのだ、、、
武彦は恋人の死で兄に恨みを抱き1年前に出奔していたが、東京で整形手術を受けて顔を変え町に戻ってきたらしい……別人に成りすましている武彦を探し出し、文彦を守ること、それが川宮兄妹への依頼だった。
しかし警護の甲斐もなく、文彦は湖岸の館で殺害される……この町の誰が武彦なのか? 大胆なトリックで読者に挑戦する傑作本格ミステリが、全面改稿された文庫版で登場。
昭和22年という時代背景、琵琶湖岸の大きな館という舞台、町の名家に伝わる双子伝説、整形手術で顔を変えて別人になりすまして町に戻ったと思われる犯人、近親憎悪から引き起こされる怪事件……横溝正史作品っぽい雰囲気を持った作品でしたね、、、
双子を使ったトリックは、古今東西、多くのバリエーションがあると思うのですが、このパターンは初めて読みました……整形した双子の設定を巧みに利用した、複雑かつ巧妙な犯行計画が愉しめました。
大山誠一郎作品って、短篇でキレの良いイメージでしたが……長篇も良いですね! もっと長篇を描いてほしいですね。
Posted by ブクログ
かなり真剣に推理してみたのだが、かすりもしなかった。しかしながら、この完敗は気持ちがいい。いやあ楽しい。パズルに振りきってる感があって、キャラ立ちとかギミックは抑え気味なので、そういうものを望む人には食い足りないかも。ただ時代の雰囲気みたいなものは充分あって、巻末解説で阿津川辰海氏がいろんな作家さんの名前を挙げられていますが、個人的には横溝正史、殊に「犬神家の一族」を連想しました。パズラー好きにはマスト。