北方謙三のレビュー一覧
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三たびの謙三です。
32年前の作品で初期北方謙三の一里塚とも言える物語です。
15年くらい前に読んだのであまり覚えてなかったのですが、こんなにもバイオレンスな話だったんですね。記憶なんてあてにならないものです。
滝野は小さなスーパーを経営している。商売はそこそこ上手くいき、美しい妻もいる。ある日階上の妻の喫茶店へチンピラが因縁をつけてくる。滝野は小金をせびって来た男を完膚なきまでに叩きのめす。
「あの日からあなた変わったわ」妻は言う。
眠らせていた暴力的な血が目を覚まし始めるのであった。
滝野は元ヤクザ。武闘派の弱小の組に居たのですが、兄貴分の桜井の死を切っ掛けに遺言通りに堅気の生活を手に -
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かつて夢枕獏が読んだ歌に「立てば立松、座れば椎名、歩く姿は北方謙三」というものがあります。
全くもって意味不明なのですがとても印象深く頭の中にこびりついて離れないのです。
彼はその存在感からしてステロタイプのハードボイルダー(造語)。マセラッティを乗り回し葉巻をくわえる。
そのディフォルメされた姿が与える印象を、自ら面白がっているのであろうと思う次第です。
北方謙三好きと言いながら指折り数えると片手位しか読んでいない現状を反省し、これからちょぼちょぼ読んで行きたいなと思っております。
本作は純文学出身の筆者が、初めて書いたハードボイルド小説で、編集者から売れないと烙印を押され一度お蔵入りにな -
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ネタバレ2015年の26冊目です。
江戸末期の大阪で起きた大塩平八郎の乱を軸にした物語です。
この本の続編として「独り群せず」という作品があります。
大塩平八郎の養子、大塩格之助と江戸から来た剣豪、光武利之の友情と大阪のコメ流通に絡む大塩平八郎の乱を軸に描かれています。
この物語では、大塩の乱の背後には、江戸幕府の大老派と老中派の争いが関係していることになっています。
この本は、主人公光武利之が武士を捨て、料理人として生き直すところで終わります。
続編の「独り群せず」の中に、光武利之の異母弟が、「兄上は自由で羨ましい」「自由とはなんだ?」「自らをもって由とすることです」とい会話がなされます。
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