北方謙三のレビュー一覧
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自分を壊したいと思って、壊し続ける男の物語。
青井正志。40歳。離婚した弁護士。
どうして、壊したいのかが、よくわからないが、
それが 男の 美学であり 悲劇の主人公 なのだろう。
あらゆるものを 失おうとする 意志。
法を武器とすることで、一人で反乱しようとする。
駐車禁止を取り締まりにたいする 婦警への追求 が
なんともいえず 悲しいような気もする。
子供が飛び出てきて、それにぶつかった男を弁護する。
子供を被害者でなく 加害者として訴えるという。
無過失責任とはなにか?
車は 急に止まれない。
なぜ 制限速度が決まっているのに、それ以上走れる車を生産するのか?
サラ金の法定外利子 -
Posted by ブクログ
時代小説は好きなんだけどほとんど読まない。なんでだろうなあ。好きなのに。
てことで、結構久しぶりに手にした本格的な時代小説。著者は、昔テレビで実物を見たことがあって、「なんだかあやしいおじさん」という印象を抱いたことをよく覚えている。
本業の小説よりも、テレビで自分のキャラを売ることを得意としている人、というイメージを、勝手に持っていたんだよね。
イメージは完全に間違い。いやはや、もう頭を垂れるしかない。めちゃくちゃ文章がうまい。簡潔でシャープで、スピード感あふれる文体。すげえ。
そしてめちゃくちゃ小説もうまい。特にキャラクターの設定。登場人物の誰もが、見事に魅力的な個性を持っている。誰が -
Posted by ブクログ
今までの話と並行して、敵方である国側にも結構なページ数が割かれて書かれていますが、腐敗した政治だとばかり思っていた国の中枢に近い部分が、それなりに国を憂いていることに驚き。
虐げられている民を憂いて発った叛乱軍。
腐敗しているのが分かっていても、外敵に攻め込まれない強い国を維持するために、ある程度の不正には目を瞑りながら、身を粉にして国のためにと自らの利は顧みず動く中枢部。
どちらの気持ちも分かるだけに、叛乱軍が最終的には勝つのだろうと思いつつ、その後の宋という国の行く先を考えずにはいられない。
そして最後に思いもしなかった展開。
今後どうなるのか! -
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10世紀後半、北漢に仕えながらも、併合されたために、宋の将軍となった楊業とその息子たちの活躍と悲劇を描く。北方謙三は「君よ、憤怒の河を渡れ」といったハードボイルドものは読んだことがあるが、歴史小説を読むのは初めて。なるほど、いわゆる「漢」が男らしく描かれている。特に楊業の人物設定は素晴らしく、武人として、父親として、あるいは人間としての葛藤が手に取るようにわかる。また、各兄弟の位置づけもよい。小説が描くのは、主に燕雲十六州をめぐる宋と遼の紛争。敵方である契丹蕭太后の厳格さ、一度は左遷された耶律休哥のかっこよさもよい。続編が気になる。
今回はiPhone版のキンドルで読んだが、ブックマーク機能が -
Posted by ブクログ
ネタバレ同じ著者の「三国志」全13巻、「水滸伝」全19巻、「楊令伝」全15巻を読んだ後だったので、あっという間に読み終えた。著者にとっては、水滸伝を書くためのウォーミングアップに当たる作品だったようだ。
それだけに、水滸伝に通じるおもしろさがすでにここにあるように思った。
楊業という人物は実際に強い武将で、遼との戦いにおいて息子たちとともに奮戦した。しかし戦場で讒言にあい、圧倒的な不利な状況にも関わらず出撃し、大敗して敵に捕縛され、最後は食を断って死んだという。
作品の結末は史実とは若干違うが、実在の人物に関する史実を下敷きに、武人の戦いとその生き様を描いた作品として、北方謙三のこの著書も読み応え