乃南アサのレビュー一覧
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欖李花(ランリーファ)
マングローブ樹種の一種である欖李は、海水と淡水が混じる場所にしか育たない。
台湾の北部の海岸近くにたくさん植わっている。
雪を見たことのない台湾の人たちからまるで雪が降り積もっているかのように小さな白い小花がたくさん咲く。
ストーリーは、けがで入院した主人公の祖母が、幼少期にすごした台湾の思い出の場所を写真に撮って見せようとひとりで旅立つ。
50年も日本人が住んでいて、たくさんの建造物やサトウキビ工場を建て、豊かになった時代があり、日本が戦争に負け蒋介石率いる中華民国がやってきて、日本語・台湾語を禁止され、たくさんの虐殺もあった。
今まで知らなかった台湾の歴史に触 -
Posted by ブクログ
乃南アサの長編小説。僕がこの作品に出会ったのは、筆者を知り、どうやらこの作品が面白いと言われている様なので手に取ったという経緯だ。なのでシリーズかしている事も知っていたが、「風紋」や「晩鐘」程では無いだろうと軽い気持ちだった。
冒頭からファミレスの焼死体、牙の後、という不穏空気に一気に引き込まれる。
貴子と滝沢のコンビも魅力的で、滝沢の皮肉な親父感(皇帝ペンギンはピッタリ)は、男社会の嫌な部分を凝縮している。それに負けない貴子の強さ、また素の部分はギャップを感じ魅力的におもう。
彼女はバイクを愛用しており、カーチェイスならぬバイクチェイスはまるで映像を見ているかの様な描写力だ。女性刑事 -
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ネタバレ風紋から7年後、加害者と被害者の家族のその後を描いた名作。
母を殺された真裕子。新聞記者・建部。父が殺人者となった大輔。それぞれの人生は途方もない道筋を辿っていく。
レビューをわけていない為、3冊通した後の感想をわけて掲載する。
自身の作品で、衝撃的な殺人事件を加害者、被害者の立場から表現した作者が、同じ舞台、続編という形で、それぞれの家族がどの様に生きているのかを描いた作品。
それぞれの救済は。
被害者の家族、母親、祖父母がいたたまれない。母親についても鼻につく描写が前作から多かったが、事人の息子が妹を殺害してしまう程の罰を与えた筆者に恐怖を感じる。
最後まで読み進め、読者ごとに心 -
ネタバレ 購入済み
イヤミス全開
映画「シャボン玉」から、久々に乃南アサさん作品を読みたくなり、コツコツ読み始めました。こちらの短編は、イヤミス全開ですね。ラストの話、お局様の迷走ばなしですが、掃除のおばさんに高圧的な態度を取ってたら実は、、、などんでん返しが待ってましたね。やはり人によって態度を使い分ける人って、後でしっぺ返しが来ますね。ちょっとザマァと思ってしまった。こなけりゃいいのにもインパクト大でした。そういう仕掛けだったんですね。この話、好きだなあ。
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ネタバレ 購入済み
ほっこり
以前等々力に住んでいたので、この地のほどよい心地よさを思い出しました。新米警官の聖大くんと、わけありのお年寄りチームのとどろきセブンの交流が微笑ましいです。ラストのお話に出て来るガンさんも、いぶし銀のようないい味を出していました。