乃南アサのレビュー一覧

  • すれ違う背中を

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    「マエ持ち女二人組」シリーズ第2作

    ホストに入れあげたあげく昏睡強盗に走った芭子
    夫の暴力に耐えかねて殺人を犯した綾香

    刑務所で出会ったふたりが、下町でひっそりと
    生きてゆくお話し

    前作より光が見えてきた感じ。
    芭子も天職がみつかったし、綾香はパン職人への道へと努力し続けているし。
    着実に前へ進み始めたふたりのこの先は・・・

    次作も楽しみ

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    2016年09月10日
  • 涙(下)

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     年の瀬、萄子(とうこ)の家に、結婚して家を出た娘の真希がひょっこり帰って来ます。軽い調子で話していますが、夫に浮気され、実は相当傷ついているようです。結局、真希は3ヶ月後に離婚しますが、友達に誘われていった沖縄から、立ち直りを示唆する明るい便りが届き、萄子はほっとします。
     ただ、安堵する一方で、萄子は昔のことを思い出してしまいます。人との別れ、沖縄、これらは萄子には、できれば封印しておきたい凄絶な経験と結びついていました。

     「ごめん、もう、会えない」

     東京オリンピックの前日、婚約者であり、刑事の奥田勝は電話でそう告げて失踪。その後、奥田の先輩刑事の娘が惨殺死体で発見されます。萄子は

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    2016年08月19日
  • いちばん長い夜に

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    ネタバレ

    震災のことが書かれていることは事前にネタバレしていたが、ここまでリアルとは思わなかった。
    それは、作者自身が2011年の3月11日、取材のために仙台に足を運んでいたことからくるもので、あそこで芭子が経験したことは、ほぼ作者の体験談だという。
    あの日、東京で地震に遭った自分ですらそれなりには大変な目に遭い、辛い思いや多少のトラウマもあったが、仙台で被災して、でも向こうに生活の拠点があるわけではない作者と、そして芭子はどれほどのものを抱えているのだろうか。
    あの地震が、全ての人々の人生を大きく変えてしまったと書かれていたが、人生だけではなく、この小説の結末さえもあの地震が変えてしまったような気がし

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    2016年07月02日
  • いちばん長い夜に

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    前作とは雰囲気が打って変わって、今まで通りだと思って読んでいたらびっくり。かなり衝撃のラスト。
    やっぱりわたしは、ふたりにはずっとこの距離感を保って、お互いに足りないところを補い合って生きていってほしかった。けど、今までもチラホラと芭子の綾香に対する意識と、綾香の芭子に対する意識の違いっていうものが見え隠れしてきたし、その違いがついにここまで来てしまったのも不思議じゃない。このラストを迎えるための伏線はあったんだよなあ。
    芭子が東日本大震災を被災するシーンが生々しく、被災経験のないわたしが言うのもおかしいが、なんというか本物の、3.11の空気感があったように思えた。目の前で起きてるのになんだか

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    2016年04月29日
  • 美麗島紀行

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    台湾についての旅行記かと思った。
    それだけではない。台湾の歴史がけっこう垣間見ることができる。
    知らないことが多すぎる。
    まず、一国家として存在していることがないこと。
    次に世代で通じる言語が異なること。
    1987年まで世界でも類をみないほどの厳しい戒厳令があること。
    また行きたいなあ。今度は深く見ることができるかも。

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    2016年04月17日
  • 最後の花束―乃南アサ短編傑作選―

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     ぶっちゃけた話、売れている作家とは言い難い乃南アサさんだが、知る人ぞ知る短編の名手なのである。しかも、後味が悪い…。本書は、過去の単行本から傑作短編を選りすぐった再編集版であり、男女関係のもつれを描いた作品で統一されている。

     唯一の初収録作品「くらわんか」。最初はお互い、割り切った関係のつもりが、徐々に深入りし…という話は、現実にも掃いて捨てるほどありそうだ。こんな器用な二重生活は、僕には無理だな…。初読時に怖えぇぇぇぇぇ! と思った「祝辞」は、再読してもやっぱり怖えぇぇぇぇぇ! この後、2人はどうなったんでしょうかねえ…。

     「留守番電話」。固定電話を引かない人も多い現在、時代を感じ

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    2015年11月18日
  • 晩鐘〈下〉 新装版

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    まさにたった今読み終わりました。今はただ呆然としているのみ。風紋の続編とは知らずに手に取りましたが、またすごい小説に出会ってしまいました。最も可哀想な運命だったのは怖しげな子どもだったとは。最後の3つのありがとうがあまりに悲しすぎる。もう一方の明るい兆しも全て吹き飛ばし、凍りつかせてしまうようなこの結末。しばらくは呆然としているしかない感じです。

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    2015年10月20日
  • 地のはてから(下)

    購入済み

    最後まで

    北海道の開拓者たちの苦労をほんの少しでも知る機会ができて良かった。一気に最後まで読んでしまった。

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    2015年07月09日
  • すれ違う背中を

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    シリーズ第二弾。今回も色々なことに巻き込まれるけど健気に頑張ってる姿に応援したくなります。次の巻でラストとのこと。ふたりとも幸せになってほしいです。

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    2015年06月29日
  • あなた(下)

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    再読。
    何回となく読んだ作品だが、細部は忘れているものだ。
    謎の生き物の正体はある程度のところでわかってくるが、それでも予想外の展開もある。
    とても面白かった。

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    2015年05月03日
  • あなた(上)

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    再読。何回となく読んだ話。
    携帯小説だったとのこと、一文は短めでメールでのやりとりが随所に。
    謎の生き物の視点で「あなた」が語られる構成。
    「あなた」は、ちょっとお気楽な2浪中の秀明、女子大生の彼女もいて無駄なメールをやりとりしている。
    そんな中、急激な身体の不調など不思議なことが起き始める。
    謎の生き物が、秀明を常に見つめ、独り言のような語り口がとても面白く、上手いなと思う。

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    2015年05月02日
  • ボクの町

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    シリーズあるなら読みたい!読んでると途中で「これって坂本司だったっけ?」って思うことしばしばだったけど。良い世界でした!

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    2015年04月26日
  • 火のみち(下)

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    ネタバレ

    戦後を必死に生き抜いてきた兄妹が晩年が描かれている。

    取り付かれたように汝窯の研究に没頭する兄と、経済的にも大きな負担を背負わざるを得なかった妹。
    痛々しいくらい展開だったが、決して消えることにない罪と向かい合いながらも、お互いを支え合ってきた兄妹であることの見えない力を感じる最後でした。

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    2015年03月08日
  • 火のみち(上)

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    ネタバレ

    大きく変わっていく戦後の昭和を舞台に、過酷な人生を強いられた兄妹の話がすすんでいく。
    殺人という重い罪を背負ったのは兄だけではなく妹も同じだった。赦しを請うが如く陶芸に命を注ぎ込む兄。兄と世間に公表できなくても、陰ながら支える妹。
    兄妹同士、時には理不尽なことがあっても、やっぱり大切な存在であり生きる支えであることが伝わってくる。

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    2015年03月08日
  • 団欒

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    乃南アサの作品の中では、とてもユーモアがあり、
    ブラックでありながら、軽快で読みやすい。

    家族の奇妙さ、危うさをテーマとしていて、
    「え、こんな家族いる?」と思うような、
    ちょっと変わった家族を描いている。

    解説にあるように、
    夫婦はお互いに好意を持ち、結婚して家族になることを選んでいるけど、
    子どもは生まれた瞬間から家族の一員になる。
    気づけば親や兄弟に囲まれている。
    血の繋がりがあるというだけで。

    家族は不思議な関係だと改めて思わされる作品。

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    2014年09月05日
  • 駆けこみ交番

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    聖大、偉い!大人になってる!
    真面目に真っ正面から町の人々の人生を考える大人になってるじゃないか!
    それもこれも「とどろきセブン」のような、人生の先輩がいるからかもしれない。

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    2014年07月16日
  • 女刑事音道貴子 鎖(上)

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    ネタバレ

    音道貴子刑事シリーズ
    読んだのは文庫じゃなくて、大きい版。
    ぶ厚さに、躊躇したけど、一気に読めました。
    ラストの方で、タイトルの「鎖」ってこういう使われかた?
    と一人笑う。突入の時の合言葉にも。

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    2014年07月09日
  • ウツボカズラの夢

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    ウツボカズラは誰なのか?という問いに色々と考えさせられてしまったお話。やはり主人公のミフユが上手くやったなーと思った。面白かった!

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    2014年06月08日
  • 結婚詐欺師(下)

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    人が(ほぼ)死なないサスペンス。
    騙される女性には申し訳ないけど、騙し方…騙されてく過程も面白いし、逮捕劇も面白かった。

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    2014年03月07日
  • 結婚詐欺師(上)

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    面白い~!結婚詐欺師という自分的には新しいタイプのミステリー。年齢層もタイプも異なる女性たちが騙されていく。
    相変わらず描写が上手いから?なんだかリアルでハマるんだよね。
    続きが気になって、読む手止まらず一気読み。
    急いで下巻へ行きますー。

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    2014年02月22日