乃南アサのレビュー一覧

  • 女刑事音道貴子 鎖(上)

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     乃南アサ「鎖(上)」、音道貴子シリーズ、2003.12発行、文庫。今回の音道貴子巡査長の相方は星野警部補32歳。どうしようもない男。貴子に言い寄り、結婚を断られると急に態度を変え、逆恨みを。別行動を強要され、一人で捜査の核心に迫る貴子。以前ひったくりの被害者で面識のある女性に眠り薬を飲まされ、殺人グループに拉致される。皇帝ペンギン滝沢警部補は救出できるのか! 下巻にまいります。

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    2022年06月12日
  • 涙(上)

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    ネタバレ

    最後まで、真相がわからず。途中、こんなことで逃げないだろうというモヤモヤ感を、見事に消化してくれた。

    読み始めた時は、こんな展開になるなんて思いもよらなかった。ミステリーだったのか!

    萄子の気持ちは、この立場にならなきゃわからないけど、うまく入り込めました。

    人との繋がりがテーマなんだろうけど、偶然が多すぎて、いなくなった婚約者を広い日本で、こんなにうまく見つけられるか?という疑問はあったにせよ、面白かった。

    最後、勝が死んでるとは思わなかったなあ。

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    2022年05月23日
  • 岬にて―乃南アサ短編傑作選―

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    *かつての恋人の故郷でその不在を想うキャリア・ウーマン。寒い土地への転居を境に狂い出す「じゃぱゆきさん」。整形して若い男と結婚し、離別した娘を従妹として引き取ろうとする母。夫の子を産むと決めた女を尋ねる女。次々と夫が死ぬ魔性の女。彼女たちはさまざまに熟れていく。女性の心理描写の名手による短編を精選し、単行本未収録作品を追加したベスト・オブ・ベスト第二弾*

    これは…ホラー?ホラーなの?!
    と言うくらい、怖い。出て来る女性陣が強者過ぎる…

    どの作品も、バラエティ豊かに女の業をまざまざと見せ付けてくれます。
    そして、一見淡々とした情景が、次の瞬間にくるりと変わる様が本当にお見事!

    後味はよろし

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    2022年04月18日
  • 女刑事音道貴子 嗤う闇

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    音道が更に成長してベテランぽくなってるのが嬉しい。
    機動から所轄に移って女性ならではの悩みや女性だから出来る案件が増えている。
    「木綿の部屋」で父親としての滝沢が今までのイメージと違い、音道を(まあまあ?)対等に認めて娘のことを相談してる姿や留守電のコメントをみると、音道さんがんばって良かったね。という気持ちになった。

    また次が楽しみです。

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    2022年04月07日
  • 最後の花束―乃南アサ短編傑作選―

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    *色恋をめぐる狂気は、その女たちを少しずつ蝕み、少しずつ壊していった……。ある女は大阪に引っ越してまで愛人を追いかけ、またある女は親友の婚約者を欲しがる。職人の夫の浮気を疑った妻は夫の作る提灯に火を仕込み、OLは見る間に垢抜けた同僚への嫉妬に狂う……。サスペンス・ミステリーの名手の短編を、単行本未収録作品を加えて精選したベスト・オブ・ベスト第一弾!*

    巧い。巧過ぎる。

    今回のテーマは「若い女性の狂気」編だそうですが、欲望・妬み・焦燥・略奪・復讐等々、女性の性や業がこれでもかと詰め込まれています。そのリアルな描写、一瞬で反転する物語たち・・・お見事としか言えません。
    読むごとに背筋がぞわぞわ

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    2022年02月10日
  • 女刑事音道貴子 未練

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    音道シリーズ4冊目。相変わらず読みやすい乃南アサさん。短編だと音道貴子が妙に身近に感じる。

    回数を重ねるにつれ音道が成長してベテランになり、周囲に認められ受け入れられている所がなんだか嬉しい。
    前巻からのPTSDからも立ち直って復職したおっちゃんの活躍がまた楽しみだ。

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    2022年02月04日
  • 躯 KARADA

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    タイトルなどから
    フェチ的な物を想像してましたが、
    マニアックなものではなく、
    誰もがコンプレックスに思うような題材でした。
    美容整形、薄毛治療、拒食症、ボクサーを目指す少年、血を見ると興奮する男の
    短編集。
    どれも面白かった。

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    2021年12月29日
  • 水曜日の凱歌(新潮文庫)

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    鈴子の心の声が良かった!東京大空襲からの終戦、大森海岸の進駐軍相手の施設等、知らないことばかりでした。鈴子の母の生き様、様々な時代に翻弄された女性達の事、鈴子の気持ちの変化等凄く感動しました。乃南アサさんの作品まだまだ読みたいです。

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    2021年12月08日
  • 女刑事音道貴子 鎖(下)

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    最後までドキドキした。
    上下通して殆ど音道は監禁中。

    音道だけでなく、犯人達も、音道を救出したい警察も鎖に雁字搦めになってるみたいで、身動きが取れない。ギシギシしながら話は進む。

    能天気な星野はちゃんと最後までクソなセリフを言い放ってくれるし、警察を辞めるなんて選択肢1ミリも考えず、「え?なんで僕が辞めなきゃなの?」なんて言いそうだ。

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    2021年12月06日
  • 女刑事音道貴子 花散る頃の殺人

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    女性であることで何かと理不尽な事が多い音道貴子。今回は理解ある仲間に恵まれている感じで短編6篇、スルスル読めた。

    おっちゃんの活躍、今後も期待です!

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    2021年12月02日
  • いつか陽のあたる場所で

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    傷ついた人、傷つけた人、見守る人、裏切る人。
    いろいろな人間の心の中。でも自分の心の傷と妙に共鳴してしまう。読みながら、自分の生き方を見直させてもらいました。

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    2021年11月18日
  • いちばん長い夜に

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    ものすごく良かった。まさに完結編だった。
    途中で休むとかあり得ない一気読みだった。

    芭子と南くんが、仙台からの脱出する所を読んでると、体の中から重い気持ちの悪さがせり上がってきた。また震災の事を色々思い出した。やっぱり未だに私の中にドッカリと重く居座ってるんだな。と思う。

    震災を通して芭子も綾香もそれぞれが変わったから、二人の関わり方も変わってしまう。綾香の胸の内を語る場面…綾香が切なくてウルッときた。
    どうか芭子と綾香と南くんと…幸せになりますように。

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    2021年09月01日
  • すれ違う背中を

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    図太く陽気な綾香のイメージが、この本では随分変わった。辛いとかキツいとか声に出して愚痴ったり態度に表さずに、ぐっと堪えて辛い時こそ陽気に過ごす綾香。理想的ではあるけど、こんな風にはなれないなあ。
    マエ持ちゆえに、周囲に対して敏感で用心深くて、なんとも切ないけれど、だからこそ起きる勘違いにもちょっと笑えた。

    芭子と綾香に明るい未来が見えかかってきたけど…次はどうなるのだろう。このまま明るい未来へとつながります様に。

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    2021年08月30日
  • いつか陽のあたる場所で

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    中学生だか高校生だかで読んだ時もそれなりに泣いたような記憶があるけど、改めて、芭子ちゃんが道を違えた時の年齢になって読み返すと、嗚咽するほど泣いた。

    家族にも縁を切られ、唯一の社会との繋がりであった仕事も辞めた芭子も、「独り」ではなくて。

    お向かいのおじいちゃん、おばあちゃんが仕事を辞めたことに気がつき、気にかけてくれていたこと。
    絶縁を申し出された弟から、これからの芭子の人生を想う手紙が送られたこと。
    もちろんずっと支え合ってきた綾香の存在も、全てが温かくて、苦しくて。

    ひとりでは生きられないことが、時に苦しくもあるけれど、やっぱり救いなんだなあと改めて感じた。


    こんなにも芭子に共

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    2021年08月30日
  • いつか陽のあたる場所で

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    芭子と綾香という大人の女性のほのぼのしたやりとりに、親近感がもてた。
    一方で実刑を受けた過去を持つことが、こんなにも生きる場所に影を落とし、生きるための自身の行動すら冷たくかたくしてしまう事に、なるほどと思いつつ、可哀想な仕方ない様な気持ちになった。
    これでは更生なんて生半可な覚悟では出来るはずもないだろう。

    あと2冊…いつか陽の当たる場所で 2人が明るく生活出来ている事を希望して読み進めたい。

    それにしても…聖大のイメージが変わった笑

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    2021年08月29日
  • 駆けこみ交番

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    「ボクの町」続編。
    本当のお巡りさんになった聖大が、大活躍?
    元々の心根の優しさから とどろきセブン と上手に付き合ってお手柄をあげる。

    心の声はヤンチャなままだけど、社会人として、優しい気遣いもあって聖大、頑張って!と、とどろきセブンの面々と同じく、応援したくなる。
    しかしながら
    途中 とどろきセブン発足の件では 聖大を単に可愛がって応援してるだけではない、したたかさも感じられて、伊達に年を重ねてる訳じゃないんだなと笑えた。

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    2021年08月25日
  • ボクの町

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    新人、見習いの頃って聖大みたいな事、よくあったなぁ〜と思う。
    若さ故の、根拠のない自信やらプライドやらで聖大がジタバタもがいているところが面白くもなんだか切なかった。

    カッコいい警察ものは違って、いい事ばかりではないお巡りさんの地味でハードな仕事も改めて分かって…身近なお巡りさん、ありがとうございます。という気持ちになった。

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    2021年08月22日
  • 来なけりゃいいのに

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    女性だけにスポットを当てた短編集は珍しかったため、興味を持ったがとても面白かった。
    特に「来なけりゃいいのに」は最後の最後で形勢逆転!という感じでまさに衝撃の展開だった。
    個人的に「バラ色マニュアル」の話も好きかも。

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    2021年08月17日
  • 水曜日の凱歌(新潮文庫)

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    ネタバレ

    乃南アサ 7作品目。

    太平洋戦争末期から終戦後1年、RAAに纏わるお母様・つたゑの娘・鈴子から見た忘備録。

    「もう懲り懲りなの」お母さま・つたゑの怨念が、したたかに響く。時代に従い、親に従い、夫に従い、国に従ってきた。その結果、手にしたものは、失ったものは、あまりにも残酷だ。それは、日本中のすべての女性も同じ。ぶつける先のない怒りと悲しみと絶望。
    倖いにも、変われるチャンスがあったお母さまは、その時代を切り抜けていく。
    「日本に無くてアメリカにあったもの」「男にあって、女にないもの」それに拘って、強く生き変わってゆくお母さまの姿は、逞しい。娘の目を除いて。

    「戦争なんか、するからだよ」「

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    2021年07月23日
  • 六月の雪

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    文庫本であるが、比較的厚く最初は少しためらわれたが作者乃南アサの文の読みやすさに助けられ、スラスラ読めました。

    近くて遠い国、台湾。私などはその実体や歴史的事実を殆ど分かっていないが、これを読んだら前よりはそれなりに分かってきました。

    台湾の複雑さ、そこに住む人たちの心情描写は、流石に上手。

    私も台湾を旅行する機会があればなあ、と思いました。

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    2021年07月05日