乃南アサのレビュー一覧
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乃南アサさん著『風の墓碑銘』下巻の概要と感想になります。
概要です。
貴子はすべてに怒り、呆れていた。
工事現場から発見された白骨死体の真相を巡り、かつての相棒である滝沢刑事とコンビを復活するものの、事件の真相は未だに地底から顔を出さず、暑さに痺れる中で今日も各地を歩き回る。
果たして事件は蝉が泣き止むまでに決着を迎えるのか?
感想です。
今作は人間の奥深くに巣食う闇を様々な視点で照らすような、なかなかに重たい展開だったかなと思います。結末にスッキリしない読者もいるでしょうが、私は音道貴子シリーズらしい余韻かなと満足しています。
次回作は是非、滝沢刑事とのコンビをデフォルトに難 -
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結城充考さんのクロハシリーズで、女性刑事が主役の作品にハマり、乃南アサさんの音道貴子シリーズを知って、もうすぐ三年。
あえて一気読みをせず、たまに読む音道貴子シリーズは、空いた時間の長さだけ貴子と滝沢の再会に懐かしさを感じ、色んな感情を引き連れて楽しんだ作品です。
そんな音道貴子シリーズも2025年時点の既刊作で最後となる『風の墓碑銘』を読み始めました。
概要です。
都内の小さな工事現場から顔を出したのは、日常で目にすることは珍しい数体の白骨死体であった。
所轄署を転々としていた音道貴子と滝沢保は不可解な事件の謎を解くため、またバディとなって都内を歩く。そこで出会った奇異な過去を持つ男 -
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子供の頃に読んで、大人になって子供がいる今、再読した。
当時は知らない村で「いずみ」が村の人達と関わり、様々な体験や心に触れて再生していくサクセスストーリー、って感じてた。
ちょっとした冒険譚を読んでいるようで、ワクワクした。
でも、今はちょっと違う。
「いずみ」はこどものまま、誰かに認めてもらいたくて、自分のままを受け入れてほしくて、安心がほしくて、ずっと彷徨っていた。
端々に寂しさと遣る瀬無さが混じり、時に子供のように感激し、本当に純粋な子供のまま、どうしていいか分からず体だけ大人になってしまったんだね。
読み進めながら、自分の子に安定と安心をあげられているか、突き付けられる場面が沢山 -
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ネタバレ明治時代、北海道十勝地方帯広を開拓に入った「晩成社」、没落士族一家の娘「カネ」は女学校を卒業するような、当時としては最高の教育を受けたにもかかわらず、晩成社の幹部を兄に持ち、もう一人の幹部と結婚して、開拓団として北海道後に立つ。
襲い掛かる自然の驚異、夏は暑く、冬は凍え、イナゴが襲い掛かり、霜が降りる。その度ごとに生育しかけた作物はヤラれる。それでもたくましく生きる開拓団。
「地の果てから」を描いた作者、北海道を描かせると抜群の筆の冴えでさすが。開拓団同士の団結、アイヌとの交流や、時折見せる自然の美しさ…それでもずっと最後まで開拓できた実りの美しさは描かれず、苦悩のままで終わったのは、息詰