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戦後を必死に生き抜いてきた兄妹が晩年が描かれている。
取り付かれたように汝窯の研究に没頭する兄と、経済的にも大きな負担を背負わざるを得なかった妹。
痛々しいくらい展開だったが、決して消えることにない罪と向かい合いながらも、お互いを支え合ってきた兄妹であることの見えない力を感じる最後でした。
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下巻
次郎、君子それぞれに手にした、いびつではありながらも安住を手にしながら次郎は汝窯に魅せられてしまい歪んでいく周囲との関係。
青磁や汝窯に関する専門的な記述は上巻の入り込み易さからするとへこたれそうになったが、全ては最後への助走。
途中読んでいて次郎は何を求めているのか分からず、日本が敗戦から顔を上げわき目もふらずがむしゃらに復興していく様やそこからくる歪みなどの時代背景と君子の生き方が重なってそこから物語に入っている方がずっと読みやすかった。
しかし最後に家族を守るために殺人まで犯した次郎が逃れられなかった孤独を救ったのは次郎を狂わせさらに孤独に追い込んだと思っていた汝窯。
しばらく余韻に浸るほどよかった。
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下巻では、中国の汝窯に取り付かれてしまった
主人公の兄の話しを中心に展開される。
中国の陶器の歴史も詳しく描かれ、中国の
青磁を実際に見に行きたくなった。
また、終わり方も、納得のいくカタチで終わって
乃南アサらしかった。
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いや、これはすごい。「戦後の混乱期に犯罪を犯した主人公がその後どうやって生きていくか」みたいなのは、幾多の作家さんが書き綴っているテーマだよなぁ。と思っていたら、話の主筋はそこにあらず。戦後の社会的事件を織り交ぜ、それとシンクロさせながら主人公の人生は大胆に変わって行く。下巻になると「混乱期に犯した犯罪…」の話はすっかり置き去りにされているかのようだが、通奏低音のようにその事件は最後まで引きずっていく。スゴイスゴイスゴイ
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主人公の南部次郎は、鳥取に移り住み、弟夫婦も引き取り、備前焼作家として世に認められ始め、やっと落ち着いた生活を手に入れることができた。が、その矢先、上京の折に、ふとデパートの展覧会で目にした青磁、そのなかでも最高傑作といわれる汝官窯に惹かれ、のめり込み、生活も顧みず研究とそのための費用を妹の君子に依存していく。
家族や仕事、家計を顧みず、歯車が狂い始めた次郎は、果たして………。
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汝窯に命をかけ、多くのものを捨てた次郎は果てしなく孤独であるが、求道者はこれぐらいできなければいけないのかもと思う。社会的には最低な人間だが。
殺人についてはあまり出てこなくて拍子抜けしたけど、場面場面で心の傷となっていることが出てくるのがリアル。
しかし、写真しか見ていないからかもしれないが、汝窯の魅力はよくわからない。比べるのもおかしいのだろうが、備前焼のほうが温かみが感じられて好ましく感じる。次郎は汝窯の冷たいわけではないが、寄せ付けない感じがよかったのかな。
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内容(「BOOK」データベースより)
妹は女優として成長し、刑期を終えた次郎も独立して窯を開く。暗い過去ゆえに兄妹を名乗れないながらも家族の絆が深まる中、次郎は中国宋代の青磁・汝窯に魅入られる。「雨上がりの空の色」と称される幻の器を自らの手で蘇らせたいという激情はどこへ向かうのか。戦後昭和という時代を描ききった意欲的長編。
平成29年1月6日~10日
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戦後、満州から引き揚げてきた次郎一家。父も兄も戦死、残されたのは病気の母と子どもだけという境遇。以前読んだ「秋好英明事件」を思出だしました。
貧しく無学である故、次郎は殺人を犯してしまいます。塀の中ではじめて、次郎は自らの人生を注ぐべき対象となる陶器作りに出会い、目標をもって生きていくことになります。
そんな次郎とは対照的に、塀の外では戦後復興で著しく経済成長していく日本と、それに並走するように妹の君子が女優として活躍していきます。昭和の移り変わりが随所に描かれ、実体験はなくとも懐かしいと感じられました。
出所後、次郎は自分をとりこにした汝窯を追い求め、苦しみ、最後に彼なりに昇華して亡くなっていくのですが、その執念に息苦しくなりました。芸術の追及に完全はないのでしょう。
気がかりだったのは、出稼ぎに出た姉の行方が最後までわからなかったことです。戦後間もなく、若い女性が家族に仕送りできるような仕事と言えば、米兵相手のものだったでしょう。
戦後史の影の部分ですが、当時は姉のような境遇の女性も多かったことと思われます。姉の人生についても触れてほしかったです。
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最近よく読んでいた「芝木 好子」という人の本とよく似ていた。
(この人の本はほとんど絶版になっているらしい)
戦争の話、焼き物の話、流れまでよく似ていて不思議な気持ち。
それでも、先が読めないドキドキ感もあり、ああやっぱりかという脱力感もあり。
気が付くと感情移入して読みふけってしまっていた。
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殺人をおかした南部次郎は、10年の刑期を終えて出所。
器の魅力にとりつかれ
女優となった妹が、名前が売れるにつれ
兄弟で、ひっそり会う場所は、妹がとても豪華な場所を用意する
すると、次郎の目にふれた器の美しさに
今まで備前しか知らなかった次郎に衝撃的な出会いが訪れる・・・
備前の作家としても、有名になりつつあり
仕事も順調だったのに。
中国の青磁、汝窯に魅せられてしまった次郎は、
「研究」を始めてしまう・・・・
これが、周囲の輪から、じょじょに距離をおくことに。。。
最後、どうなるのかと興味深々だったんだけど、
「精神世界」みたいな話になっていった・・
真の芸術家だった次郎。
どの世界も、極めるって、大変なんだなと。
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上巻は次郎の怒り、葛藤、更生でテンポ良く読めたんだけど、下巻はだれちゃった感じがする。結局次郎は好き勝手生きられて、割をくったのは妹の君子。次郎は最後は汝窯に夢中になりすぎちゃって、償いとか関係なくなってる。
汝窯ってそんなにすごいもんなのかなー。一回ホンモノを見てみたくなった。
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戦後満州から引き揚げてきて、貧しく苦しい生活の中で、妹を守ろうと罪を犯した南部次郎。
前半は、次郎が刑務所の中で初めて勉強をしたり、備前焼に打ち込んでいく場面が特に引き込まれた。
だが後半は、中国の青磁・汝窯に魅入られのめり込んでいく次郎と、それを周りで支える人たちが、読んでいて苦しい。
苦しくてやめたいのだが、次郎がどうなるのか気になってやめられない。
そして、最後の最後で次郎がたどり着いた思いは、胸に訴えるものがあったと思う。
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父のお薦め
書かれている時代が父の生きた時代とだぶる。主人公の次郎が汝窯に憑かれ、全てを注ぎ込む凄まじさに圧倒される。
焼き物に関してかなりの調査が必要であったと思う。その内容も素晴らしかった。
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幻の器といわれる中国宋代の青磁・汝窯に魅せられ、そして孤独になった次郎。波乱万丈の人生を送りながらも懸命に兄を支える君子。
兄妹の絆と芸術家の孤独感が、戦後昭和史と重ねて描かれる。幸福とか不幸ではなく、どう生きてきたのかを問う乃南アサさんの意欲作である。
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陶芸に魅せられ、家族との時間さえも惜しんだ次郎。しかし、志し半ばで…
結局、彼が求めていたのは、わかりあえたのは家族ではなかった。家族とともに過ごしていても、常に一人で生き続けてきた彼の人生には自分の意思を貫くという潔さがあった。
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前半が、罪と罰の物語だったとしたら、後半は焼き物に取りつかれていく男の破滅とロマンの物語。骨太な空気が包み込む。上とはまた一味違う。しかし、焼き物の世界をこんなに綿密にかつ、無知なものでもその場にいるような想像をさせるのは、作家の力量として相当なものがある。量産作家なのに凄いなー。
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◆あらすじ◆
妹は女優として成長し、刑期を終えた次郎も独立して窯を開く。
暗い過去ゆえに兄妹を名乗れないながらも家族の絆が深まる中、次郎は中国宋代の青磁・汝窯に魅入られる。
「雨上がりの空の色」と称される幻の器を自らの手で甦らせたいという激情はどこへ向かうのか。
戦後昭和という時代を描ききった意欲的長編。