乃南アサのレビュー一覧

  • 暗鬼

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    「ウツボカズラ…」と真逆なシチュエーション。
    家族ってかなり閉鎖的なもので、その中で何が起きてるなんて本当分からないものだ。
    日本での殺人事件の大半は家族内で起きてるっていうし。拗れたら拗れ切れてしまうのだろう。
    だから
    志藤家は呪われた家族というよりは、大ばばちゃん率いるカルト集団て感じ。
    振り返れば公恵の言葉…結構ヒントくれてたんだな。

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    2021年07月01日
  • 六月の雪

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    76日本人の知らない台湾の近代史。とってもフレンドリーで温かい人たちの国で起こっていた様々な出来事に心打たれます。おばあちゃんが長生きして主人公が幸せになりますよう、祈るような作品でした。

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    2021年06月14日
  • ウツボカズラの夢

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    幸薄い未芙由は特に悪いことはしてないのだけど、結果、なんだか怖い女の子に思う。
    生きる場所を確保するのには、こんな貪欲さが必要なんだろうな。

    誰しも弱みはあるもので、そこにすっぽりハマったら相手にに気付かれずに浸食出来る。ウツボカズラにハマった虫も恐怖を抱かずに食されてしまうように。

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    2021年06月11日
  • ビジュアル年表 台湾統治五十年

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    小説家が書く歴史書とあって、非常に読みやすく興味深い内容にグングンと読み進んだ。
    台湾統治をつぶさに、というよりも50年をざっくりと資料を交えての解説といった内容だが、資料や文体の面白みもあってとてもわかりやすい。
    歴史に翻弄され、武力や暴力に支配され、言葉を次々に変えられ、未だ独立さえ曖昧な台湾。

    今は叶わずとも是非とも訪ねてみたい。

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    2021年05月25日
  • 禁猟区

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    監察の話。
    最近、冤罪やでっち上げみたいな話が続いていただけに、この「禁猟区」は私の中で救いになった。
    警察官だから、犯罪を犯す側になってしまう場面も多いのかもしれない。

    短編最後の「見つめないで」では、いつみも、ストーカーもそれぞれが追い詰められていく緊迫感が良かった。

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    2021年05月17日
  • ニサッタ、ニサッタ(下)

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    心理描写が上手なので、感情移入されてしまう。同じような場面で同じように考えてしまう気がして余計に落ち込む。だからこその、最後の清々しさがとても良かった。いろんな経験をしたからこそ見つけられた大切なものは、意外と身近にあるし、そんな大層なものでなくて良いのだ、と気付かされる。

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    2021年05月12日
  • すずの爪あと―乃南アサ短編傑作選―

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    ネタバレ

    *一つになれない家族を猫だけが見つめ続けた――「すずの爪あと」。不倫に倦んで故郷に帰った女が癒やしを求めたのは――「秋旱」。幼時の事故で嗅覚を失った男が、ある女と出会って――「向日葵」。かつての恋人に書き続けたメールの思わぬ行方――「Eメール」。すれ違い、交錯する男女や家族の想いを、美しい風物とともに丁寧に描き出した11篇。最新作を含む珠玉のベスト短編集、第三弾*

    さすが傑作集!どの作品も本当に読ませてくれます。

    今回のテーマは「狂気の男たち」。
    どの主人公たちも、一見普通で、目立たず、控えめで、自己主張がないように見えるものの、実は人一倍プライドが高かったり、こだわりが強かったりで、一筋

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    2021年05月06日
  • それは秘密の(新潮文庫)

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    ネタバレ

    *美容に狂う前妻と彼女を奪っていった男、なぜ二人は俺に会いに来るのか?なぜこんなに友人の母親が気になるのか?隣室で虚ろで奇妙な音を出し続けるのは何者か?どうしてあんなに不出来な部下に惹かれるのか?なぜ暗闇で出会って顔も見えない彼女がこんなにも愛おしいのか?なぜ、なぜ…。愛とも恋とも言えない、不思議な感情―。心理描写の洗練を極めた珠玉の短編九編を収録*

    巧いなあ…
    臨場感、緻密な心情、後に残る甘やかな余韻。文句なしに読ませる短編集。
    お話の長さや内容がバラエティに富んでいて、その作品たちの配置もいい。

    中でも特に良かったのは、掌編たち。たった5頁ほどの作品なのに、その場の空気感が見事に伝わっ

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    2021年05月06日
  • 水曜日の凱歌(新潮文庫)

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    まず、こんな史実があったことに衝撃を受けた。
    戦争は1945年の玉音放送で終わったが、そこからが本当の戦いだったことは誰も教えてくれない。
    どころか、当時も隠蔽していた事実がたくさんあったからこそ後世に知られることもない。

    それだけでなく、当時の女性に対する、貞淑な妻であるべき、とか、男に3歩後ろを歩け、とか、そんな思想に疑問を感じつつも自分を殺していた人達も多かったことだろう。鈴子の母はそんなタイプだったわけだ。

    変わってしまった時代背景を糧に、今までの国作りをしたすべてに恨みを晴らすべく強く生きる母と、そんな母に戸惑う鈴子。

    リアルに時代を描写しており、とても考えさせられた。この本を

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    2021年05月04日
  • 水曜日の凱歌(新潮文庫)

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    元々は素直で優しい鈴子が母の変化によってどんどん卑屈になって行きますが空襲で右腕を失った幼馴染の勝子ちゃんと再会した時のやり取りは心が和みました。

    戦争と言う特殊な状況の中で生きていかねばならない女性たちがストーリー全体を通して圧倒的なリアルで描かれています。

    戦後70年となり徐々に戦争を語る人達が少なくなる中でたくさんの事を教えてくれる作品でした。

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    2021年02月18日
  • 氷雨心中

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    白抜きみたいな小説。
    そのものは描かれない。
    輪郭だけ見えて、目鼻立ちは分からない。

    こんな表現の仕方があるのか…!と新鮮で面白かった。
    目鼻立ちの部分を想像して、語り合えたら楽しそうだな。

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    2021年02月01日
  • 女刑事音道貴子 嗤う闇

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    人間関係の複雑さ、人の愚かさなどの短編集。
    過去にペアを組んだ滝沢刑事との話もあって、面白かった。

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    2021年01月02日
  • 結婚詐欺師(下)

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    阿久津刑事の学生時代の元カノ・江口美和子が詐欺師の松川/橋口に引っかかってしまうことで話が大展開。上巻では気になった30年間の世の中の変化は全く気にならなくなるほどの面白さ。カツラの詐欺師の松川はスジが通った遊びっぷり。根っからの犯罪者が更生するはずがないまま牢屋送りに。主人公の阿久津は元カノとの距離感に悩んで酒に溺れてグダグダだけど、実は良い女房に支えられているというシチュエーションが上手に書かれていた。

    オーディブルで通勤途上のチャリ、夜の散歩をしながら聴了。

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    2020年12月20日
  • 不発弾

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    ミステリー短編集。
    どの話もすき。どんどん吸い込まれていく。

    『かくし味』
    『夜明け前の道』
    何年経っても忘れられない。

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    2020年12月13日
  • ボクの町

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    この本が本当に大好きで何回も読んでいます。
    主人公の心境が鮮やかに描かれていて、心地よいというか、引き込まれてしまいます。
    読み終わった後は登場人物ロスになります。

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    2020年08月30日
  • 晩鐘〈下〉 新装版

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    ネタバレ

    被害者遺族だった真裕子が少しずつ幸せへと向かう中、
    加害者の家族はどんどん不幸の方へと向かっていく。
    結果、主婦殺しの高校教師は、
    その息子の姿を持って己の罪深さを、心底悔いるのだが、
    それは何ともつらい結末でした。

    加害者家族も、被害者家族も、
    どちらの家族もある意味、事件の被害者であり、
    それはどこまでも、どこまでも、死ぬまで苦しめるという事を、
    改めて感じた作品でした。

    心の繊細な動きの描写は、
    さすが乃南アサさんと言う感じでした。

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    2020年08月11日
  • 水曜日の凱歌(新潮文庫)

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    戦争は戦争中はもとより戦後も国民に多大な苦しみを与え続けた。戦後、残された女、子供は様々な生き方を選ばなければならなかった。鈴子の母つたゑは自分と娘が生き抜いていくために今までとはがらりと違うしたたかに生きていく道を選ぶ。つたゑにはそんな才能も強さもあった。14歳という多感な時期であった鈴子はそんな母に反感を覚えながら次第に母を理解し、一人で強く生きていくことを教える母に感謝するようになる。
    鈴子の友人勝子の母は焼け野原となった東京にとどまり、爆発で腕を失った勝子を看ながら貧乏な苦しい生活を送るが鈴子との出会いをきっかけに熱海に行きまもなく事故で亡くなる。
    まだ自立していない子供の人生は親の考

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    2020年05月21日
  • 涙(下)

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    涙の真相

    突然、目の前から消えた婚約者を探し求め各地を訪れ、ついに「地の果て」にたどり着いた女性。そこには、変わり果てた姿と昔から変わらない姿の両面を持った婚約者が暮らしていた。この「地の果て」でようやく愛する男性と再会することができた女性の「涙」を感じる瞬間。乃南アサさんの「地の果て」を表現する情景は透明感と寂寥感が目の前に広がり、さらに読みたくなります。

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    2020年04月28日
  • 涙(上)

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    人生の幸せを追い求める姿とは

    突然、目の前から消えた婚約者。その理由と真相を追い求める女性。この女性のひたむきな姿に心打たれます。しかし、その前途には、追っても追っても、追いつくことができない現実があり、女性から逃れようとする男性の姿が見え隠れします。一体、この真相はどこにあるのか。さまざまな人物が交錯する物語が展開し、巧みな時代背景とともに追い求める女性の心を深く表現した作品。

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    2020年04月28日
  • あなた(下)

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    「あなた」の実体は愛?

    上巻から続いて、少し鳥肌を立てながら一気に読破。「あなた」の実体は愛っだのか?それとも人を愛するばかりに狂ってしまった魂なのか?人を愛することに対して正直でありたいと思うと同時に人を愛する心を持つことは難しいと感じる作品。最後は少しホラーの要素も感じられましたが、あっという間に作品に没頭していました。今回も乃南アサさんに感謝。

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    2020年04月19日