乃南アサのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ*一つになれない家族を猫だけが見つめ続けた――「すずの爪あと」。不倫に倦んで故郷に帰った女が癒やしを求めたのは――「秋旱」。幼時の事故で嗅覚を失った男が、ある女と出会って――「向日葵」。かつての恋人に書き続けたメールの思わぬ行方――「Eメール」。すれ違い、交錯する男女や家族の想いを、美しい風物とともに丁寧に描き出した11篇。最新作を含む珠玉のベスト短編集、第三弾*
さすが傑作集!どの作品も本当に読ませてくれます。
今回のテーマは「狂気の男たち」。
どの主人公たちも、一見普通で、目立たず、控えめで、自己主張がないように見えるものの、実は人一倍プライドが高かったり、こだわりが強かったりで、一筋 -
Posted by ブクログ
ネタバレ*美容に狂う前妻と彼女を奪っていった男、なぜ二人は俺に会いに来るのか?なぜこんなに友人の母親が気になるのか?隣室で虚ろで奇妙な音を出し続けるのは何者か?どうしてあんなに不出来な部下に惹かれるのか?なぜ暗闇で出会って顔も見えない彼女がこんなにも愛おしいのか?なぜ、なぜ…。愛とも恋とも言えない、不思議な感情―。心理描写の洗練を極めた珠玉の短編九編を収録*
巧いなあ…
臨場感、緻密な心情、後に残る甘やかな余韻。文句なしに読ませる短編集。
お話の長さや内容がバラエティに富んでいて、その作品たちの配置もいい。
中でも特に良かったのは、掌編たち。たった5頁ほどの作品なのに、その場の空気感が見事に伝わっ -
Posted by ブクログ
まず、こんな史実があったことに衝撃を受けた。
戦争は1945年の玉音放送で終わったが、そこからが本当の戦いだったことは誰も教えてくれない。
どころか、当時も隠蔽していた事実がたくさんあったからこそ後世に知られることもない。
それだけでなく、当時の女性に対する、貞淑な妻であるべき、とか、男に3歩後ろを歩け、とか、そんな思想に疑問を感じつつも自分を殺していた人達も多かったことだろう。鈴子の母はそんなタイプだったわけだ。
変わってしまった時代背景を糧に、今までの国作りをしたすべてに恨みを晴らすべく強く生きる母と、そんな母に戸惑う鈴子。
リアルに時代を描写しており、とても考えさせられた。この本を -
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戦争は戦争中はもとより戦後も国民に多大な苦しみを与え続けた。戦後、残された女、子供は様々な生き方を選ばなければならなかった。鈴子の母つたゑは自分と娘が生き抜いていくために今までとはがらりと違うしたたかに生きていく道を選ぶ。つたゑにはそんな才能も強さもあった。14歳という多感な時期であった鈴子はそんな母に反感を覚えながら次第に母を理解し、一人で強く生きていくことを教える母に感謝するようになる。
鈴子の友人勝子の母は焼け野原となった東京にとどまり、爆発で腕を失った勝子を看ながら貧乏な苦しい生活を送るが鈴子との出会いをきっかけに熱海に行きまもなく事故で亡くなる。
まだ自立していない子供の人生は親の考 -
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涙の真相
突然、目の前から消えた婚約者を探し求め各地を訪れ、ついに「地の果て」にたどり着いた女性。そこには、変わり果てた姿と昔から変わらない姿の両面を持った婚約者が暮らしていた。この「地の果て」でようやく愛する男性と再会することができた女性の「涙」を感じる瞬間。乃南アサさんの「地の果て」を表現する情景は透明感と寂寥感が目の前に広がり、さらに読みたくなります。
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人生の幸せを追い求める姿とは
突然、目の前から消えた婚約者。その理由と真相を追い求める女性。この女性のひたむきな姿に心打たれます。しかし、その前途には、追っても追っても、追いつくことができない現実があり、女性から逃れようとする男性の姿が見え隠れします。一体、この真相はどこにあるのか。さまざまな人物が交錯する物語が展開し、巧みな時代背景とともに追い求める女性の心を深く表現した作品。
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「あなた」の実体は愛?
上巻から続いて、少し鳥肌を立てながら一気に読破。「あなた」の実体は愛っだのか?それとも人を愛するばかりに狂ってしまった魂なのか?人を愛することに対して正直でありたいと思うと同時に人を愛する心を持つことは難しいと感じる作品。最後は少しホラーの要素も感じられましたが、あっという間に作品に没頭していました。今回も乃南アサさんに感謝。