乃南アサのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
【私が出会った八十代になる男性は,植民地の子として暮らさなければならなかった少年時代を振り返って,「懐かしくて懐かしくて,悔しくて悔しくて」と遠くを見る表情で瞳を潤ませた】(文中より引用)
その美しさから,美麗島とも称された台湾。その島と人々,そして歴史の魅力に惹かれた筆者による紀行文です。著者は,『幸福な朝食』や『凍える牙』等で知られる作家の乃南アサ。
ほとんど何も知らないところから台湾を訪れ,そこで筆者が受けた衝撃や気づきを記録しているため,台湾を考える上での第一歩としても特にオススメできる作品。作家による紀行文ということも影響してでしょうか,流麗な文体とあいまって台湾にまつわる魅力が一層引き立てられていた気がしました。
また訪れたいものです☆5つ -
Posted by ブクログ
ネタバレ「ニサッタニサッタ」の前日譚。エエ味出してたあのとわさんが主人公。
大正から戦前戦中戦後といえば、戦争で悲惨なことになったとはいえ、文明国家だと思っていたの本。俺らの祖父祖母の時代だから地続きの世界と思っていたが、北海道開拓史においてはl、こうまで俺の知らない過酷な世界だったとは。
それにしても、主人公とわ、そしてその母親のたくましさ、しぶとさが素晴らしい。物語の中で何度も何度もしつこいくらいに悲惨な目にあう、とわさんや母親。それでも彼女らは生き延びること、子供や家族をなんとしてでも養うこと、それだけを念頭に「今日を生き延びる、今日をやり過ごす」ことに集中する。そして何度も何度も地べたを這い、泥水をすするような事態にあっても、生き延びてゆく。その描写のすさまじさに眉間にしわが寄るのを止められない。そしてなぜか、とても大きな勇気をもらえる。
彼女らの境遇からすれば、俺なんてまだまだ生きていけるし食えてるし眠れてるし逃げ場もたんまりあるじゃないか。もっともっとあがけるじゃないか。
できれば、お国を運営している連中に読んでもらいたい。連中の舵の取り方、羅針盤の見方一つで、どれだけの尊い命が無駄にされていくか。しかと心に焼き付けてほしい。
とわさんのお兄さんはじめ戦争で散っていった命一つ一つをないがしろにするつもりは一切ない、だが国の舵を握った連中が間違った航路を進めば尊い命が無駄死と化すのだということを、俺たちもしかと覚えておきたい。
「お国のいうことは信じちゃなんめえ」
パヨクるつもりはないが、作中に出てくるこの言葉の重み、きっちり感じておこう。
それにしても、男連中の情けなさ…父親、義父、亭主、孫(これはニサッタニサッタの方)、まさかの三吉までもが実になさけないダメ人間。
俺もその仲間かもしれないなぁ。老い先も短い人生とはいえ、もうちょっと生きるしたたかさを持つようにしたい -
Posted by ブクログ
やっぱり乃南アサさんの長編大作は素晴らしい。
本当に読んでる時間が楽しくて、終わってしまうのが
悲しくて寂しくて。
なのに、先を読まないといられない。
殺人事件の被害者と加害者の家族たち。
その7年後が描かれている「晩鐘」
最後の下巻です。
被害者側の真裕子が新しい家族ともうまくいきだし、
「風紋」のときに出会ってた新聞記者の建部が
どうにか真裕子の支えになってくれないだろうか。と
風紋のときから思っていただけに、
こちらの展開は、もう、待ってました!とばかりに
拍手。
けれど、やっぱり加害者側の息子。
小学6年になった大輔の日々が
もう、なんとも悲しくて。
なんとも重たくて。
なんとも灰色すぎて。
どうにか、誰かこの子を救ってくれないだろうか。
と思わずにいられない。
被害者遺族へのそれから。も大事だけれど
加害者家族への、残された子どもたちに対しての
何らかのアフターケアっていうのは、本当に必要だと思った。
この小説の中からは、ケースワーカーやカウンセリングといったものが、まったく出てこなかったけれど
どちらの家族に対しても、通り一遍でなく
本気で対策していくのが、
次の事件につながらいんじゃないかとも思うし
どちらも未来に向かって生きていけるようにしなくてはいけないんじゃないかと本気で思った。
最後は、本当に悲しすぎる結末。
頭の良すぎる大輔が選んだ結論。
頭の良すぎる大輔が、「真実」を知って出した結論。
それさえも、誰か本気で話しを聞いてくれるオトナが一人。たった一人でもいれば、違う生き方が出来たんじゃないかと思うのに。
もしかしたら、大輔がやったことは
大輔の父がやったことの「動機」と、同じなのかもしれない。とも考えさせられた。
真裕子の母の気持ち。
大輔の父の気持ち。
それだけは、最後まで語られることがなかっただけに
根底にある「殺人事件」の背景は分からないままだけど・・。 -
Posted by ブクログ
三部作の完結編。下町での二人の再生と人とのふれあいをもう少し見続けていたかったな。居心地が良くてもずっと同じ場所にとどまってはいられないのかな。芭子と綾香の家族も大変な思いをして、たくさん傷ついて、大切な家族を失ってしまったんだとわかってはいても、過去と向き合いながら健気に生きる二人の姿に幸せになってと思わずにはいられなかった。被災地にボランティアに行き過酷な現実を見た綾香の、みんな人間だからすべての人たちが善良なわけではないけれど、だからってあんな死に方をしなきゃいけないなんていうことはなかった。この言葉に綾香の取り返しのつかない過去や失ってしまったものの大きさをおもって苦しくもなった。過去を変えることはできないけれど、小さくても希望を見つけて歩き続ける二人には、いつかきっと幸せになってほしい。
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Posted by ブクログ
殺人事件の被害者、加害者の家族の7年後が描かれている。
長崎の祖父母に預けられていた大輔が
東京の、「伯母ちゃん」のところで住むことになり。
24才になった真裕子は、好きでもなかった会社の同僚と、不倫に陥り。
間で、東京に戻った記者の建部が
二人を再び追っていく。
なぜか、加害者と被害者の家族は、何かで繋がれているのか。
偶然が重なる。
そのキッカケが、わりと建部。
けれど、その建部によって事件後からのことを吐き出すことで救われ、俯瞰した見方を出来るようになれた真裕子。
相変わらず、殺人者の息子であることは知らない大輔だけれど、どこか計算高い中に
どこか小学生にしては、ませすぎている女好きに
父親の血?と思わせる描写が恐ろしい。
この子は、どんな大人になっちゃうんだろう。
誰から本当のことを知らされるんだろう。
真裕子の家族との関係にも新たな変化が起きて
真裕子は今までにない感情と愛情を知ることになる。
さあ、いよいよ最後の下巻。
終わってしまうのが悲しいくらいに、夢中。