池上彰のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「先生!」というテーマで作家、映画監督、研究者、教師など27名が書くエッセイ集。
稲泉連(ノンフィクション作家)が紹介しているスギセンはとっても魅力的。とくにテストに点数をつけず、丸か花丸のみ。保護者からの抗議には「子どもたちは花丸が大好きなんです!」と言い放つ。「小学校を卒業すれば、ずっと厳しい競争の中を生きていくことになります。せめて今のうちだけでも、そうではない世界に触れさせてあげるべきだと僕は思います(p.23)」というスギセンはかっこいい。
増田ユリア(ジャーナリスト)の体験談も興味深い。いじめられているA子を会議で話題に出しても「自分の指導力がないことを公にしていることだ」と一蹴されてしまう。ある日、A子と修学旅行に行きたくない生徒がA子を囲んでいた。著者はA子の「修学旅行に行きたい」という思いに次のようなこという。「だったら絶対に行かなきゃダメ!あなたたちも軽井沢じゃなくて一緒に行かなきゃダメ!みんなで行かなきゃ日本史の単位出さないからね!(p.62)」
安田菜津子(フォトジャーナリスト)は高校生の時にストリートチルドレンやトラフィックチルドレン(人身売買さられた子ども)に取材しに行く派遣プログラムの経験を語る。その経験から学んだことを次のように記す。
カンボジアで学んだことの一つ。それは「無知」が人を傷つけるということだった。相手の抱える問題を知らないが故に、言葉で、行動で、その人のトラウマに触れてしまう。また知らない人がたくさんいるが故に大きな問題が黙殺される(p.106)。
乙武洋匡(作家)は教員時代子どもたちに「みんなちがってみんないいんだ」ということを伝えていた。教師の仕事は成果が見えにくい。勉強面はテストで結果がわかる。だが道徳や生徒指導などは効果がわからない。「みんなちがってみんないい」も後者に値するだろう。ある日著者のクラスで文集をつくるという話になった。そのタイトルは「色えんぴつ」だという。理由を聞くと「色えんぴつって何十色もあるのに、全部ちがう色でしょ。このクラスもいろんな人がいて面白いから、『色えんぴつ』がいいかなと思って……(p.191)」.。こういうときに「やっててよかったなー」と思うんだろうなー。
(まっちー) -
Posted by ブクログ
ネタバレ二日前に、女性ジャーナリスト山本美香さんがシリアで戦争に巻き込まれ死んだ。この本でちょうど学んだ日のことだ。残念で仕方がない。シリアで起こっているのは、独裁者(大統領)側と反政府側での対立。ここ1、2年の間に『アラブの春』(独裁者滅亡)が各国で起こり、現在シリアで紛争している。その独裁者側の兵士に撃たれたのだ。
この本は、朝鮮戦争のことがかかれていた。日本が支配していた朝鮮半島があったが、1948年に戦争で分かれた。ソ連がこのままでは行けないと反戦、するとまずいと思ったアメリカが南から攻めてきた。そして、今は休戦中。アメリカが半分にわけようと提案し今に至るまで。
他にも東日本大震災、原発など、何度も読み返しい本である。 -
Posted by ブクログ
『学べるニュース』が終了している現在では池上彰さんの鋭い視点での解説は貴重になっている
今回も前作『先送りできない日本』に続き知っておくべき話題として10章あります
まさに『学べるニュース』が10週収録されているような内容
※実際のテレビは1週にいくつかのトピックがあるが
決して著者の考えを押し付けるのではなく豊富な情報から中立的な切り口で語られているから素直に耳を傾けるのでしょう
「あらゆる問題も本質はここにある…さてあなたはどう考え選択しますか?」
池上さんからこう問われているようだ
まるでサンデル教授の講義にも似たような世界観だし池上さんは日本人最高のジャーナリストとしてカリスマ的存在だと再認識 -
Posted by ブクログ
印象に残った言葉。
【TPPでどうなる日本の農家】
産業に関しては、過保護の子どもは育たない。温室育ちはひ弱ということです。
農業家の意欲をかきたてるような農政の転換を図ることができれば、結果として強い農家が生き延び、大きくなれます。
【国が変わるということ】
延命のために税金を使ってもいいのか、自由経済市場の原理に任せてつぶれるところは仕方ないとするのか。こと大原則を考えなければなりません。
【世界が知恵を絞る巨龍との付き合い方】
中国の国家としての挙動に違和感を覚え、中国人のモラルに驚くことがあったとしても、その歴史を知っていれば「中国人はけしからん」という発言にはならず、批判は中国の社会体制へと向かうはずです。
【今か、未来か?明日を決めるのはあなた】
日本の借金は900兆円。日本人は赤ちゃんから高齢者まで、まんべんなくならすと一人約700万円もの借金をしている計算になります。
実は、消費税の10%引き上げを前提にして、現在の日本の年金制度は設計されています。
若い政治家は逃げ切れません。自分が若い頃に取り組んだ政策がどうなったから、まだ、政治家である間に結果が出るからです。これでは先送りはしにくくなります。これが大事なのだと私は思います。
でて来るのは政局報道だけ。政治報道にはなっていないのです。
【あとがき】
「いい質問」とは、その欠落部分を埋めようとして尋ねている場合が多いのです。
大切なのは正解を出すことではない。考えることです。
国や行政が何をしてくれるのか考えるのではなく、自分たちに何ができるのか、自分に対して、「いい質問」を考えてみましょう。
事象Aを単なる感想Aで終わらせるのではなく、足りないジグソーパズルのピースを見つけ、いい質問ができる人であってほしいと思います。
池上さんは何事に対しても非常に分かりやすく説明できる人だけど、裏をかえせば本当に物事の本質を理解し、自分の意見をもっている人だとおもう。他の著書も読んでみよう。まずはそうだったのか!中国かな♪