あらすじ
100年前、大量の国債を発行し続けたドイツ。通貨安による好況を味わったのも束の間、やがて深刻な物価高騰が庶民の生活を襲う。失業と破産が増え、モラルが失われ、ありとあらゆる対立が噴出するなかで、ひとびとはどう行動し、社会がどう崩壊していったのか。破綻の前触れから末路までを生々しく描き出した迫真のドキュメント。(解説・池上彰)
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Posted by ブクログ
「国を打ち倒したかったら、まずは通貨を破壊せよ」
想像を絶するハイパーインフレの実態。。。というか、ほとんどどのページを見てもパンが一日で30%値上がりした、とかそういう話ばかりで逆に眠たくなるくらいだ。
1914年に50%程度だったドイツのエンゲル係数は、1919年には75%になっていたという。1913年から1923年までに、丸くは実に1兆分の1の価値にまで暴落(というか微小すぎて無視していいレベル)
WW1:軍部:戦争したい→政府:戦費調達→インフレ
(兵士の戦意をある程度くじくくらいのインフレだったようだ)
ベルサイユ条約(フランスがありったけの恨みを込めて創り上げた条約)
マルク安にして重工業の国際競争力をあげるため(ウォン安みたい)、見た目の賃金をあげるため(実際はすごいインフレで銀行員の年収で4人家族を1ヶ月食べさせられるのがどうにかってくらいだったらしい。。。死ぬしかないやん)
「ドル・物価が上がる」との認識。マルクが下がる、との認識はなく、より多くのマルクを求める。
貯金などの資産価値は激減
とにかく通貨をモノに変えようとして、老人が子供服を買ったりするくらい
「パニックがあらゆる法を無視せよと言っている」
インフレ→外国人にとっては旅行が激安(日本人もカメラ買いに行ってたらしい)→困窮する自分、豪遊する外国人→外国人嫌い
インフレ→金融=ユダヤ人の陰謀説(なるほど!)→反ユダヤ主義
ブルーカラーの給料がホワイトカラーの給料を凌駕。「頭脳にはもはや市場価値はない」と大学教授が嘆いたほど。(なるほど!知識階級に多かったユダヤ人がアメリカに行ってもいいやと思えただろうな。後から考えたら馬鹿としか思えないけど、これなら納得。)
農民(=減少しない価値有るモノを持った人)のほうがいい生活。グランドピアノを小麦少しで手に入れるなど。
中産階級の崩壊、反ユダヤ主義→ヒトラー台頭の温床に
Posted by ブクログ
第一次世界大戦後のドイツ。お金を大量にばらまきインフレを起こした。インフレは人々の生活を貧しくし、結果としてドイツがヒトラーによって戦争に進む要因になった。お金のばらまきという観点では、今の日本によく似ている。お金のばらまくことによって、お金の価値が減少し物価が高くなる。つまりインフレが起こる。ドイツの歴史をたどると今後の日本が朧気ながら見えてくる。もしかするとインフレによってハイパーインフレが起こり、日銀はなくなり、新しい円が生まれるのかもしれない。
Posted by ブクログ
極まったインフレが起こると何が起こるか、人、国がどうなるのかを知れる本。
需要と供給、為替相場における通貨安/通貨高など経済の基本的な考え方を知った上で読むと、より実感を持って読めると思う。
Posted by ブクログ
第一次世界大戦後にドイツが体験したハイパーインフレについて書かれた本。デフレ慣れした現代では想像できないが、インフレの恐ろしさが理解できる。初期の頃は、個人消費は活発になり、失業率は低下して株高になるなど見せかけの繁栄となるが、最後は社会がガタガタに崩壊し、あらゆる悪が助長され、病気や貧困がはびこる状況となる。時間が経過するたびに、インフレが猛烈な勢いで進んでいくので、読んでいるこちらも麻痺してしまう。終戦時に5000億個の卵が買えた値段で、その5年後には卵1個しか買えなくなったと表現されている。しかし、不平等が拡大した大混乱の社会を、うまく乗り切った人々も存在し、将来のインフレ時にとるべき行動のヒントになると思われる。
Posted by ブクログ
円高とインフレが現実味を帯びてきた今だからこそ読みたい。
ハイパーインフレの最中には、銀器よりも1キロのじゃがいものほうが、グランドピアノより豚の脇腹肉のほうが一部の人にとっては価値があった。