東川篤哉のレビュー一覧
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デビュー作である『中途半端な密室』を含め、計五編の初期短編集。
ミステリーとしての面白さをどこに求めるかは人それぞれだと思うが、「そんなバカな」と「なるほど」とのパランスを上手く取った作品集だと思う。
安楽椅子探偵物になるので、これが間違いなく真実かどうかは分からないものもあるが、一応の納得ができる。
また東川さんらしい軽妙でトボけた会話も楽しめる。
二話目以降の敏ちゃんミキオコンビシリーズは何故岡山弁?と思ったら、東川さんは大学時代を岡山で過ごされたようで、その影響か。岡山弁の柔らかさも軽妙さを後押ししていて良い。
『中途半端な密室』
四方を金網で囲まれ、出入り口は一箇所しかない一面のみのテニスコートの真ん中で見つかった男性の刺殺体。
なぜ犯人はそんな面倒な仕掛けをしたのか。
どういう状況でそうなるのか、その様子がなかなか面白い。
『南の島の殺人』
民家の庭のパラソルの下、全裸の男性の撲殺体が見つかる。
何故犯人はわざわざ被害者の服を脱がせたのか。
南の島でバカンスを過ごしている時に事件に巻き込まれた友人が、わざわざ手紙で敏ちゃんに知らせてきたということが肝。
『竹と死体と』
古新聞に載っていた「地上十七メートルに伸びた竹の上部で見つかった老婆の首吊り死体」という事件の真相。
竹なんだから首を吊ったあとに伸びたのでは?というところまでは思いつくものの、その更に上を行く。
『十年の密室・十分の消失』
五編の中では一番長い。
十年前に起きた、密室状態の離れで見つかった首吊り死体。その離れを十年振りに訪れてみると、わずか十分の間にその離れが消えてしまった。
『南の島の殺人』の友人が再び遭遇した事件だが、この友人の能天気さと対照的な事件の結末が意外。
『有馬記念の冒険』
有馬記念レースと同時に起きた強盗事件。容疑者は事件発生時刻に離れた場所で隣人に顔を見られていてアリバイがある。
なんかこういうアリバイトリックって久しぶりに読んだ気がする。初出は2003年。当時はこういうの、最新だったんだなぁ。 -
Posted by ブクログ
架空の地方都市、烏賊川市(いかがわし)を舞台とした、シリーズの二作目です。
前作よりもやや地味な印象かもしれませんが、その分本格的な謎解きが堪能出来ます。
作品としてのまとまりも、こちらの方が良いのではないでしょうか。
また、それぞれのキャラクターの個性も確立され、コミカルなやりとりの楽しさも、パワーアップされているように感じました。
謎解きとユーモアのバランスも良く、シリーズ三作目も読むのが楽しみですし、他の作品も読んでみたくなります。
なので、解説で書かれていた「続けて読むうちに癖になるタイプの作家」という言葉にも、素直に納得しました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ懐かしい、このテンション。
ベスト版ということで、1〜3からそれぞれ一編ずつ自選で入ってますが、3の内容をお恥ずかしながらすっかり忘れていたので、新鮮な気分で読めました。
微熱で勝ち負け決められてもねという。
トリックもぶっ飛んでいて楽しいですけど(安心してください、ちゃんとミステリです)キャラの掛け合いがコントのようで楽しいんですよね。
書き下ろし新作は毒殺ネタ。
いつ毒を入れたのか推理するのが面白い一作。
これはまたトリック(?)がユニークな展開でした。
お嬢様の目の節穴っぷりは顕在だったのに懐かしさと、どこかほっとした安堵感を覚えつつ(多少は成長していたけれど詰めが甘い)
犯人、なかなかお間抜けだったなと。
そういう点も東川ミステリの面白いところだと思います。 -
Posted by ブクログ
東川作品はこれがはじめてなので、他の著作との比較ができないのですが、どちらかといえばライトなものなんですかね。短編同士のつながりはなく(登場人物はつながっていますが)、人間関係やトリック自体も複雑なものではないのであっさりと読むことができました。
ただ、文字通りの安楽椅子探偵であること、また4つの事件はトリックこそなるほどと思わせるものではあるものの、犯罪にいたる動機や人の想い、あるいは事件に関係する人たちの人生的な背景、いってみれば”業”ですかね、そういったものは特に描写の対象にはなっておらず、ちょっと物足りないなと思いました。
単純に読みながらトリックはどうなっているんだろう、と考えるだけであれば楽しめる作品ということができるかもしれません。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ作者自身が選ぶどんでん返しをテーマとする6篇の自作品。
【綾辻行人「再生」】
既読の作品だったが、言われてみれば確かにこれはどんでん返し(笑)
【有栖川有栖「書く機械(ライティング・マシン)」】
これは究極の缶詰め状態。作家としては自虐的ネタだろうか。
【西澤保彦「アリバイ・ジ・アンビバレンス」】
アリバイ崩しの作品だが、犯人の行動は今一つ腑に落ちない。
【貫井徳郎「蝶番の問題」】
探偵役による手記の解読は鮮やかだったが、どんでん返しとなる結末はどうも・・・。
【法月綸太郎「カリバリズム小論」】
『法月綸太郎の冒険』収録作とのことなので、既読のはずだが、ストーリーをまったく覚えていなかった。「私」と向き合う綸太郎の態度がどうもおかしいことの理由が最後の最後に明らかになり、なるほどそういうことかと納得するとともに、空恐ろしくなった。
【東川篤哉「藤枝邸の完全なる密室」】
言うなれば二重密室という状況になるのだが、後半の探偵と犯人のやり取りがおかしくて、笑ってしまった。でも、もう一ひねりした結末を私は予想したのだが。