谷津矢車のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
初代燕枝が新聞に連載した原作を元にした書き下ろし
この落語は聞いたことがない。
軽井沢の脇本陣の次男理吉は空虚感を持て余し、10歳で博奕に手を染めて勘当されて高崎の居酒屋の奉公人となるが、そこの主夫婦は理吉の実の母親を殺して奪った金で店を始めていて、娘”お柳”を博奕の借金で売り飛ばそうとしたため、理吉は主とヤクザを殺し、娘を連れて逃げるが、籠かきにだまされて追い剥ぎにあい、お柳は行方不明になる。
魯心という僧に救われ、半年後に江戸の西海屋に奉公するが、やり手の番頭慶蔵の悪辣な片腕となる。主人を殺して遺児を追い出した慶蔵に憧れ、その女”お連”を寝取ったものの露顕し、理吉はお連をつれて房総に逃れ -
Posted by ブクログ
秀吉を揶揄する狂歌を歌った犯人として捕らえられた曽呂利。斬首されるかと思いきや、口八丁手八丁で生き延び、御伽衆として仕えることに。
彼が秀吉のそばに入ったのは、何が目的なのか。その行動の根っこにあるのはなんなのか。それを探りながら読み進めてゆくのが、興味をそそります。
目的と根底に流れるものが、明かされるのは最終話。その結果に驚きはなく、予想していたものでした。
一話一話それぞれに、曽呂利が裏の顔を覗かせる場面があるのですが、そこがゾクゾクします。あ、こいつやばいもの隠し持っているな、という。見てはいけないものを見せられる感覚。
獅子身中の虫となった曽呂利。そろりという響きが、権力者にす -
Posted by ブクログ
2020年、8冊目は、主に隙間用にしていたアンソロジー。
今回は、一言感想を添えて。
秋吉理香子「神様」
デビュー作『暗黒女子』を色んな意味で、ミニマムにした感じのイヤミス。「凝縮」じゃなく「ミニマム」ね。
井上真偽「青い告白」
大オチは早い段階で気付いた。どぅ、ソコにもってくのか、注目してたが、展開と伏線回収が絶妙。この中では、一番好み。
友井羊「枇杷の種」
残念なのは、この位置に配されたコト。次と逆の位置、または最後なら……。アレ⁉️と引っ掛かったトコが……。
七尾与史「それは単なる偶然」
らしいと言えば、らしい。ただ、個人的には、好みとは言えない。
八津矢車「札差用心棒・乙吉 -
Posted by ブクログ
歴史小説界に風穴をあけんとする作家集団「操觚(そうこ)の会」による
伝奇時代小説アンソロジー登場!
■朝松健「夢斬り浅右衛門 ――小伝馬町牢屋敷死罪場」
■秋山香乃「草薙剣秘匿伝 ――葛城皇子の章」
■芦辺拓「浅茅が学問吟味を受けた顚末 ――江戸少女奇譚の内――」
■彩戸ゆめ「神楽狐堂のうせもの探し」
■神野オキナ「ころりの木壺」
■蒲原二郎「江都肉球伝」
■坂井希久子「万屋馬込怪奇帖 月下美人」
■鈴木英治「熱田の大楠」
■新美健「妖しの歳三」
■早見俊「ダビデの刃傷」
■日野草「遠夜」
■誉田龍一「血抜き地蔵」
■谷津矢車「生き過ぎたりや」 -
Posted by ブクログ
『この男、正義の味方か大悪党か。』と帯にある。いや、どう考えても、単なる馬鹿でしょう。と私は思ってしまう。愛されると冠がつくが。
次郎吉は愛するお里の借金を返すために、盗みを働き御用となる。戻った時にはお里は悪徳商人の手の中に。大悪党の裏の顔を持つ七兵衛という医者に出会ったことで、次郎吉の生活は大きく変わり、やがて鼠小僧となるのだった。
次郎吉は、ただお里が好きで、お里を取り戻したいがためだけに盗みを働くのだが、その度気分良く金を振り撒いたり酒を飲んではその金が無くなってしまう。
この時点で本当何をやってんだろう?って思ってしまうんですよね。ただ一途にお里を取り戻したいという思