谷津矢車のレビュー一覧
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江戸時代の出版プロデューサー、蔦屋重三郎の型破りな生涯を描いた作品です。
彼の革新的なアイデアや行動力には感嘆しました。
ただ、主人公が蔦屋自身ではなく、彼に雇われた小兵衛の視点で物語が進むため、蔦屋の内面に深く迫る描写が少なく、物足りなさを感じました。
史実を元にしているとはいえ、もう少しドラマチックな要素があれば、さらに引き込まれたかもしれないなと思いました。
喜多川歌麿や山東京伝など、歴史上の人物との交流が描かれている点は興味深かったです。
そして、江戸の文化や人々の息遣いが生き生きと描かれており、当時の雰囲気を存分に味わえました。
江戸の出版業界の裏側を知ることができ、歴史好きにはたまらない作品だと思います。
2025年大河ドラマ楽しく拝見していますが、今後の展開も楽しみです。 -
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大河ドラマ『べらぼう』ロスのため、写楽の謎を追う小説を読みました。
耕書堂ではなく仙鶴堂の鶴屋さんが主人公で写楽が一体誰なのか、調べ回るミステリーです。斎藤十郎兵衛も存在していて、斎藤様が自分のものではない作品が何枚かあるというところからの話。
べらぼうを引きずりながら、べらぼうキャストを脳内で再生しつつ読みました。
が、細かく人物描写されてて、
斎藤十郎兵衛は生田斗真には合わないし、
鶴屋さんももうちょい若い設定らしい。
歌麿は染谷さんのままいけるな。
読んでるうちに違う世界線でのストーリーを受け入れてちょっとずつロス解消できたかも!
そうか、そうきたか!という種明かしもあり。
楽しめました。
べらぼう観たからこそ、今、読んで良かった〜 -
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兄と慕う人物を軍に殺された林逸平は、謂わば復讐のために入隊、憲兵隊の軍曹となる。精神的な病で一年休職後、二.二六事件の首謀者の1人と見做されている山口一太郎大尉の取調べをするという任務に就く。初回の取調べで山口一太郎大尉は黙秘を宣言。そこで、過去に関わりのある人物を調べて、その人々の証言を集め、外堀から攻める方針がとられた。
林軍曹の任務遂行の日常と、証人たちの告白が交互に語られる形式の物語だ。
昭和史のターニングポイントともなる大きな事件だが、私自身詳しいことはよく知らない。史実とフィクション、虚実織り交ぜた内容であろうと想像する。
憲兵隊という仕事に誇りを持ち、真実を突き止めようとする熱意と、都合のいい筋書き通りに事件を落着させようとする陸軍上層部がぶつかり合う。戒厳令という特殊な情勢、戦争前夜(いやもう満州事変とかは起こっているから戦中?)、職業軍人、軍閥、陸軍の精神主義とか、なんだか苦手な分野なのだけれど、それなりに面白く読み終えることができた。が、結局のところ、大きな犠牲を払っても、闇の中?という印象のまま。山口一太郎、何がしたかった?? -
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ネタバレ3.5くらい。
面白いと聞いたのと、二・二六事件には興味があったので期待して読んだけど、自分には合わなかった。
肌が合わない。
山口一太郎を取り調べる憲兵の目線と、山口を知る人間からの証言や思い出話から二・二六で山口が何を思ったのか探る話。
また、主人公を狙う統制派からの横やりや石原莞爾の思惑など、ミステリー小説さや歴史小説の醍醐味等はあるけれど、あまり楽しめなかった。
山口が何を考えていたのか迫るという視点は面白いけれど、その大儀さを大事に思えなかった。
それでも、と思う、足掻くカタルシスさが自分には物足りなかったんだと思う。
山口がどんな結末を迎えたのかなど歴史的事実を曲げずに、真摯に事実を積み上げつつ、実際に残されている証言や逸話を混ぜつつ、エンタメ小説としての面白さを両立させる手技は良かった。
そうかもね、と思わせてくれるところが楽しいけれど、ちょっと人間浅いなと思ったところもいくつかあった。
憲兵の勘で嘘をついていない判断したりとか、殺されそうになるけど石原莞爾に取りなされて生かされたり、みんなちゃんと喋ってくれたり。
嘘をついたり、真実を伏せている人ももちろんいるけど、ミステリーの作法として都合良くみんな喋ってくれるので、だるい。
喋りすぎなのかも。喋ってくれないと情報を得られないので仕方無いが。会話だけではなく、その人間の行動や振る舞いで読み取らせてくれるところがもっとあったら楽しかったかもなと思った。
あったのかもしれないが、自分には響かなかった。
二・二六事件に至るまでどんな出来事があり、どんな動きがあり、どう爆発して事件に至ったか。そして、事件中はどんな動きがあったか。そういった臨場感は良かったし、楽しかった。
歴史上の人物がじゃんじゃん出て来るし、使われるエピソードはだいたい事実に即し、その上で作者に喋らされているので、いい感じの二次創作感。まあまあ原典に忠実。 -
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商売の基本(いろは)は『神速を尊ぶ』だ。
重三郎は金儲けがしたいわけじゃない。新しいものを作りたい。吉原から江戸を驚かせたい。金は、その結果としてついてくるものだと考えている。この男にかかれば、今を保つことすらも後退を意味するのだ。ただ、新しいものは、頭の固い向きには塵芥だ。そういうものを先物買いするお客さんもいるにはいるけども、それじゃあ大売れとはいかない。十歩先に行ったものじゃあ新しすぎる。かといって、一歩二歩先じゃあ誰も驚かない。五歩くらい先を走るものを作りたいと思ったのだ。世の進歩は、一歩一歩、着実な積み重ねの上に成り立っている。浮草稼業の本屋や絵師や作者の界隈とて同じである。五歩先など、そうそう出せるものではなかった。
世の中には色んな人がいる。時代の流れに器用に乗れる人もいる。一方で、自分の生き方を自分では変えられない人もいる。生まれついた瞬間から、道を選ぶことすら出来ない人もいる。それを、重三郎は吉原で知った。だから、重三郎は、そういう人たちの側に立つと決めたのだ。 -
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今年の大河ドラマに取り上げられている蔦屋重三郎の話をいくつか読んでみようということで、借りた本。
以前読んだ、泉ゆたかさんの『蔦屋の息子』では豪快で猪突猛進な重三郎が描かれていたが、こちらでは重三郎が買い取った日本橋の元地本問屋の元店主・丸屋小兵衛を番頭に据えるという荒業で商売を行うバディものとして描かれている。
物語の山は老中・松平定信との闘い。
戯作者の山東京伝や恋川春町らと追い詰められていく様子などはこの時代ならではとは言え、理不尽な思いでいっぱいになった。
歌麿の立ち位置がこれまで読んできた作品とは違っていて新鮮だった。
歌麿こそ重三郎のバディなのかと思いきや、意外にも途中で喧嘩別れしている。その発端も松平定信の改革なのだから、松平は罪深い。
小兵衛が渋いキャラクターで、重三郎に戸惑いつつも一緒に奔走し、時に彼を引き留めるブレーキにもなり、じっと見守ったりちょっとお小言をいったり父親のような立ち位置にもなり、面白い。
あとがきによると、「蔦屋重三郎は『どういう風にも書ける』懐の深さがある」そうだ。
作家さんの初期の作品であるらしいので、掘り下げとしては物足りない部分があった。写楽との出会いや彼の短い制作期間についてはもっと知りたかったし、歌麿との交流ももっと知りたかった。
そして何よりも松平老中との闘いの行く末について描いて欲しかった。
そこは大河ドラマではどう描かれるのかも楽しみにしたいし、他にも彼を取り上げた作品があれば読んでみたい。 -
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ネタバレ蔦屋
著者:谷津矢車
発行:2024年10月10日
文春文庫
初出:2014年4月、単行本(学研パブリッシング刊)
NHKの大河ドラマ、来年は江戸の版元(出版社)の蔦屋重三郎の話ということで、蔦屋関連の書籍が随分出ているらしい。しかし、本書は外せないと思う。10年前に出た小説で、今年、文庫化された。文庫化にあたって追加された著者あとがきによると、10年前に出た「蔦屋」のお陰で、常に「蔦屋」の谷津矢車と紹介されてきて、その呪縛から逃れたかったらしい。だから、蔦屋が嫌いだったという。とはいえ、今は好きなようである。最初は連作短編にするつもりだったが、小兵衛のキャラに惹かれて長編になったらしい。
物語は、日本橋で豊仙堂を営む丸屋小兵衛が、廃業を決めて店を売りに出していたところ、蔦屋重三郎が訪ねてきて、信じられないような条件で買いたいと言ってきたところからはじまる。
重三郎と小兵衛のキャラの違いを鮮明に出し、ドラマにも小説にもぴったりというつくりになっている。今年出た同じ著者の「憧れ写楽」と2冊、ドラマを見るには必読、きっと、ぐっと面白く見ることができるはず。
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(読書メモ。ネタ割れ注意。全ストーリー)
第1章
廃業を決めた豊仙堂を訪ねた蔦屋重三郎。店の買収を申し出る。二本を表示。
200両?日本橋の一等地でそれは足許見すぎだろ、と小兵衛。違う違う、20両だと。20両ずつ払う、と。何回払う?(15回で300両なら相場だなあと心の中で思う小兵衛)。ずっと払う、あんたが生きているうちは、と提案する蔦屋。つまり、あんたを雇いたい、という。
取引成立したが、この日本橋の店でどんな本を売るか決めかねている蔦重は、毎日、店がある吉原の引手茶屋で小兵衛を誘って酒宴を張るばかり。そこに、蔦重の知り合いのただ酒大好き男たちが集まる。実はその正体は、狂歌師の宿屋飯盛、文人の大田南畝(四方赤良)、戯作者の朋誠堂喜三二など、名だたるメンバーだった。驚く小兵衛。
ところで、小兵衛のところには、絵師の卵である北川勇助が雇ってくれと言ってくる。給金はなし、飯と墨と紙だけくれれば、炊事洗濯などなんでもするという。かれは、蔦重の遠縁であり、後に喜多川歌麿となる人物。
ついにひらめいた、重三郎。彼らをつかって狂歌本を出す、勇助の絵で惹きつける。
第2章
耕書堂日本橋店が開店した。1年ぶりに開く日本橋の店。初日から客が列をなし、新編狂歌集は売れまくった。重三郎の妻のお春も店に出る。もともと日本橋の呉服屋の娘だけに、客あしらいもうまい。しかし、重三郎は出版までしかせず、奥から出てこない。小兵衛は大福帳つけに忙しい。狂歌本は売り切れ、増刷に。どうしてこう売れるのか、みんなどこで知ってきたのか、小兵衛には不思議だった。普通の版元は、じわじわと1年かけて売り切るのに、重三郎のやり方は違う、わっと売って、増刷する、を繰り返す。
お春が、重三郎が浮気をしているのではないかと心配する。頼まれた小兵は、歌麿を巻き込んで調べる。すると、重三郎は最近、一軒の女郎屋に通っていることが分かった。ついに現場を押さえた小兵衛。しかし、そこは地味な部屋で、それなりの年の地味な女がいただけだった。お雅という遣り手で、狂歌集の宣伝チラシを山東京伝の絵で豪華につくり、吉原で撒きたいとお雅に相談していたのだった。お雅は、重三郎が子供のころからお世話になった人だった。吉原はいろんな人が来るから、幅広い層に宣伝できる場だったのである。
第3章
前年の天明6年に将軍徳川家治が死に、べったりだった田沼意次が老中をくびに。その後釜に面倒な人物がついた。白河の殿様・松平定信。田安家の出身で、吉宗公の孫にあたる。徳川家係累の血筋と譜代大名家の家柄を両刀にし、堅物ぶりを発揮。吉宗公に倣って質素倹約を公言した。
次の展開を車座になって会議するも、アイデアが出ない。耕書堂は次々と狂歌本を出し、売れている。他の版元も追従してきたが、吉原耕書堂の「吉原細見」と日本橋耕書堂の狂歌本は二枚看板となった。こんなにヒットしているのに、どうして3本目の柱が欲しいのか、小兵衛は小首をかしげる。「金儲けがしたいのではない、新しいものを作りたい、吉原から江戸を驚かせたい」と重三郎。
棒手振りの助八が現れた。助八は落語や講談は好きで聞くが、本は読まないという。庶民が喜ぶような本。これが次の柱になりそうだ。重三郎は、三人の戯作者を引手茶屋に招いた。喜三郎、不埒、京伝。そして、驚天動地の案を提案した。黄表紙を書いて欲しいとの提案。恋川春町自画自作の「近々先生栄花夢」が大当たりして黄表紙が認知された。提案を受けたのは喜三郎だった。
天明8年正月、十丁の草双紙に黒山の人だかり。喜三郎が書いた「文武二道万石通(ぶんぶにどうまんごくどおし)」。それは、平和になって源頼朝が武士を箱根に集めて文に優れる武士、武に秀でた武士を選別し、どちらにも秀でていない「のらくら武士」に対して叱りつける。これは、松平定信がしている文武に優れた武士を顕彰し、過去に不届きのやったお武士を叱っている「文武奨励策」を揶揄したもの。
増刷を重ねて1万部以上も売れる大ヒットとなった。しかし、喜三郎は冴えなかった。彼が留守居役を務める家中から注意を受けた。これ以上書くと、守りたいが守れない、と。公儀から圧力がかかっている。まさか松平定信が読んでいる?読みかねない。そういう結論に達して、続編の依頼は受けなかった。
続編にあたる黄表紙は、不埒が恋川春町として書いた。「鸚鵡返(おうむがえし)文武二道」。翌年の正月作品。前年をしのぐ、1万5千部を売り切る空前の流行を見た。
第4章
寛政元(1789)年、恋川春町が公儀に二度にわたって召還を受けた。家名断絶か切腹かの選択を迫られた。春町は最後まで戯作の矜持を保ち、墨に毒を混ぜ、それを舐めることによる服毒自殺を図った。
この年は、怒濤の一年になった。売れっ子作家だった喜三二、春町、南畝が離脱し、草双紙や狂歌集に大きな穴が。
翌年の正月の売り出しは新刊の数冊を減らして挑むことに。かつての活気はなかったが、京伝の草双紙は売れ、一番の売れっ子となった。二位は歌麿に。
寛政2年5月、老中による本の取締りが本格的に。触書を出し、時事を扱う戯作類や浮世絵の禁止、卑猥な内容を含む新規創作と昔に刊行された好色物も絶版、過去に材を取りながら今を揶揄する内容の禁止、さらには、「本を新たに仕立てる必要はない。もし作るのならば奉行所の指図を受けること」の一条があり、小兵衛を苛立たせた。しかし、重三郎は突っ走る。
山東京伝が戯作をやめたが、重三郎は通って頼み、引き受けさせる。寛政3年、京伝の戯作が数点発表され、客が買いに走る。3月、ついに強制捜査となり、重三郎も京伝もひっぱられる。結局、重三郎は罰金、京伝は手鎖50日。
第五章
寛政3年秋、小兵衛が倒れた。
それから2年たった小兵衛の話。
寛政4年、歌麿は美人画「当時三美人」を当てている。その歌麿が見舞いに来た。廊下には吉蔵が立っている。後日、一緒に散歩する。
山東京伝が来た。重三郎のところで戯作を出したいという相談だった。手の疼きがあり、手鎖の痛手に勝ってきたという。
重三郎が来た。絵師を見つけたという。つい2ヶ月前に勝川春朗(北斎)という若手絵師を見つけて絵を見せに来たが、速くも見放している。師匠の勝川春章風が抜けきれず、伸びしろがないと判断した。それにかわって、クセのある團十郎の大首絵を描く絵師を発見したという。猿楽役者、東洲斎写楽だった。
写楽の絵を見せに来た。最初に見たのとは少しタッチが違うのが小兵衛には不思議だった。しかし、外を歩けば派手派手しくその絵がまちを賑わせている。重三郎が吉原から売ったに違いない。大田南畝も絶賛している。
小兵衛には、妻と息子がいたが、宝暦(天明の前)時代に流行病でなくしてしまった。墓参りをしていると、お春がまちでみかけたとつけてきていた。小兵衛は仕事ばかりで妻子をほったらかしにしていたことを後悔していた。
正月に出した写楽の絵と、3月に出す予定だという写楽の絵があるが、全然だめになっていた。重三郎は、自分がだめにしたと言っている。
寛政8年12月、重三郎が倒れた。
売り物変更で、草双紙を書いていた戯作者や、挿絵を描いていた絵師に、実学本や子供向け儒学本などの仕事を頼むようになった。反発もあった。説明会で毎日のように宴会をくりかえし、碌に眠らないまま店頭に立っていた。
重三郎とも喧嘩別れをしていた歌麿が、病床を訪ねてきた。
第6章
歌麿は重三郎の病床を覗いたが、動かない。危篤だった。そこで、歌麿は小兵衛に昔話を始めた。重三郎は吉原大門の茶屋などを経営する北川の養子だった。その茶屋は、本当に茶や菓子を出す茶屋だった。歌麿(勇助)は職が長く続かず、くびになるたびに重三郎を便りにして職探しをしてもらった。そんな重三郎が逆に歌麿(勇助)を頼りにしに来た。義父から縁談が来たが、自分は日本橋の呉服商の娘、お春といい仲だという。しかし、お春の父親から反対されている。
勇助はブツブツいいながらも、お春の父親を説得しようとするが、だめだった。そこで弱みを握り、強請った。うまくいった。そんな話の中で、重三郎がどうして仕事をしているのか、それは吉原の埒を壊したかったということがわかる。そして、ずっと日本橋丸屋をずっとひいきしていたことも。
小兵衛も歌麿とは喧嘩別れしていたが、そんな話を聞いていたら、もう一度耕書堂に戻って仕事をしてくれないかと頭を下げた。歌麿は戻ることにした。
実は、重三郎は危篤ではなかった。歌麿が訪ねてくるだろうと思い、小兵衛と仲直りさせるチャンスだと考えて危篤のふりをしたのだった。
エピローグ
二年後、日本橋耕書堂は活気に満ちていた。18歳になった吉蔵も父親譲りの口調で歌麿に接する。お春も商人になっていた。重三郎は2年前に死亡。
そして、小兵衛もなくなる。
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丸屋小兵衞:日本橋の地本問屋・豊仙堂の店主、51歳、店をたたむ決意
蔦屋重三郎:吉原の地本問屋・耕書堂の店主、豊仙堂を買い取り小兵衛の雇い主になる
伍作:丸屋の刷師
与六:丸屋の紙すき
北川勇助:重三郎の遠縁、喜多川歌麿、北川豊章
お春:重三郎内儀
吉蔵:息子
六樹:町人風、狂歌師の宿屋飯盛、家業の公事宿が繁盛
寝惚:武家髷、大田南畝、四方赤良、無役だが御家人当主
喜の字:戯作者の朋誠堂喜三二、40代後半、武家髷、さる家中の江戸留守居役
伝蔵:煙草数寄「京屋」、売り出し中の戯作者、山東京伝
酒上不埒:武家で狂歌師、ベストセラー戯作者の恋川春町、さる家中で役職につく(江戸詰年寄本役)、
○有名絵師
鳥山石燕:歌麿の師匠、妖怪画で有名、狩野派で学ぶ
鳥居清長:美人画の浮世絵師
勝川春朗:重三郎が売ろうとしている若手絵師、勝川春章の弟子
○狂歌三名人
唐衣橘洲(からごろもきっしゅう)
朱楽菅江(あけらかんこう)
四方赤良(よものあから)=大田南畝
鶴屋喜右衛門:大版元・鱗形屋と覇を競いあった老舗、江戸の地本問屋の顔役 -
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いいね!(≧∇≦)b
良かった!
江戸時代の五編の物語。
・だらだら祭りの頃に
打ち首獄門に処される女が最後に脳裏に描いた光景。
・雲州下屋敷の幽霊
虐待殿といいなり女
・女の顔
恐い女
・落合宿の仇討
殺しを請け負う男
・夢の浮橋
見世物小屋の女の過去
こういうのでいい。
説教臭くもなく、押しつけ思想もない。
ただのお話。ちょい無惨。
江戸時代に起きた事件をモチーフにしているらしい。
「だらだら祭りの頃に」が地味だけど一番好きかな。後を引く。
なんかシーラッハの短編くさい。
あそこまで硬くもないが、投げっぱなし感が心地良い。
例えるなら大きな鐘を突いて、ゴーンと鳴る音や振動から何を感じようが聞いたものの勝手、みたいな。
残念だったのが幕間の話が余計だったこと。おそらく無理矢理に連作短編集にしようとしたためだろう。
いらん。
それが足を引っ張って減点。
そんなのより書き下ろしであと一編か二編でも追加してくれた方が嬉しい。
そうなら★4もあり得たかな〜。
ちなみに単行本でのタイトルは「奇説無惨絵条々」だったそうだ。
どんな表紙かと調べてみて驚いた。
京極夏彦さんが帯書いとるやん。
「戯作、斯くあるべし」と。
まったくその通りでございます!!
フォローをし合う関係ではないが、ブグログである方のレビューを読んで気になった作品でした。
ここをご覧にならないと思いますが、なーさんさん、ロカさん、ありがとうございました(_ _)