谷津矢車のレビュー一覧
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ネタバレ蔦屋
著者:谷津矢車
発行:2024年10月10日
文春文庫
初出:2014年4月、単行本(学研パブリッシング刊)
NHKの大河ドラマ、来年は江戸の版元(出版社)の蔦屋重三郎の話ということで、蔦屋関連の書籍が随分出ているらしい。しかし、本書は外せないと思う。10年前に出た小説で、今年、文庫化された。文庫化にあたって追加された著者あとがきによると、10年前に出た「蔦屋」のお陰で、常に「蔦屋」の谷津矢車と紹介されてきて、その呪縛から逃れたかったらしい。だから、蔦屋が嫌いだったという。とはいえ、今は好きなようである。最初は連作短編にするつもりだったが、小兵衛のキャラに惹かれて長編になったらしい。 -
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いいね!(≧∇≦)b
良かった!
江戸時代の五編の物語。
・だらだら祭りの頃に
打ち首獄門に処される女が最後に脳裏に描いた光景。
・雲州下屋敷の幽霊
虐待殿といいなり女
・女の顔
恐い女
・落合宿の仇討
殺しを請け負う男
・夢の浮橋
見世物小屋の女の過去
こういうのでいい。
説教臭くもなく、押しつけ思想もない。
ただのお話。ちょい無惨。
江戸時代に起きた事件をモチーフにしているらしい。
「だらだら祭りの頃に」が地味だけど一番好きかな。後を引く。
なんかシーラッハの短編くさい。
あそこまで硬くもないが、投げっぱなし感が心地良い。
例えるなら大きな鐘を突い -
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ネタバレ憧(あくが)れ写楽
著者:谷津矢車
発行:2024年11月10日
文藝春秋
(書き下ろし)
来年の大河ドラマは江戸の出版元である耕書堂を営む蔦屋重三郎の話。NHKは特に原作をあげておらず脚本家の森下佳子の作としているが、谷津矢車著の小説「蔦屋」が原作だと思われているふしがあり、結構、読まれているようでもある。間もなく始まる予習というわけである。同じ著者の手になる本書「憧れ写楽」は、蔦屋と同業者であり、蔦屋の才気を認めている仙鶴堂主人・鶴屋喜右衛門(きえもん)が主人公。もちろん、両者とも実在の人物。この話も予習になる。
アイデアや行動力で伸してきた蔦屋に対し、先代から引き継いだ大手の鶴屋と -
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いよいよ6月の合同サイン会のサイン本の最後の一人,谷津矢車氏の作品。サイン本はもう一冊あるのだがそれは芦沢央さんのサインを2冊頂いたため。
本作は名前だけなら日本人で知らぬ人はいないであろう服部半蔵を描いた作品。とはいえ,服部半蔵の名前は当主が引き継ぐものだったようだが。服部半蔵といえば忍者のイメージだが,本作では伊賀の出の忍びの一族服部家に生まれた主人公が忍びとして生きていくことを拒み,武士として生きていこうとして家を飛び出すというところから始まるお話である。しかし名前だけ知っていてどういう人物なのか何も知らなかったことを知った。本作では絶妙にフィクションを交えて語られているので,これだけ読 -
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タイトルの通り、「陰陽師(夢枕獏著)」の基軸に、夢枕先生をはじめとするさまざまな作家の短編がまとまったトリビュート小説集。
過去作もありつつも、話や時系列が整っていて、初めて「陰陽師」の世界を読む人でも入りやすい内容になっている。
各作家の作品が、平安時代を飛び出したり、メインの晴明や博雅が出つつも、第三者の視点であったり、出なかったりと、意外な新鮮さがあって面白かった。
5作家・6作品の中では「遠輪廻(武川佑著)」が印象的かつ好きな内容だった。
「陰陽師」の世界の時間軸より時を経た舞台であるにもかかわらず、「陰陽師」の世界としっかり結びついており、作品内の美しい儚い描写に読み入ってしまう -
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江戸末期に活躍した天才棋士天野宗歩のエキセントリックな人生を小説に。
とはいってもこの方が実在の人物ということすら知らなかったのでどの程度がフィクションとして描かれてるのかさっぱりなんですが。
宗歩本人ではなく、没後に彼について周りが語るというインタビューのようなつくり。それはそれで面白かったですけどね。一遍が短いのでテンポよく読めましたし。
ただ、なんだろうな?最初から「宗歩は誰に殺されたのか?」みたいなテーマも根底にあったように思いますが・・・そっちはちょっと拍子抜けかな。それまで出てこなかった人物が急に出てきて、いわば実行犯であったような話をされても・・・まあそういうミステリ的な楽しみを -
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数ヶ月前に この著書の
芳藤の作品を読みましたので
読みやすい本だろうと思って 読んでみました。
読みすすめて
あれ?? 安土城って 残ってなかったよね。。。確か・・・・
(旅行で 城跡は 見た記憶がある)
となると こんなに 命がけで描いた絵が 燃えちゃうの?!
と 思うと 悲しくなりました。
でも、唐獅子の絵は どっかで見たことがある。
まさか 城が燃える前に 持ち出せたのかしら??
などと 自分が 見た場所や 見た事のある 絵だと 読んでいて とても 身近に感じて 面白かったです。
若冲もそうだけど
昔の絵師さん達は 全てを投げ打って
絵に没頭していったのですね~~
凄い気迫 -
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著名作家のアンソロジー『足利の血脈』ですが、副題で、さくら一族の聖戦と付け加えたい。鎌倉公方〜古河公方・堀川公方の興亡と支える忍者の物語。読後としては足利の歴史よりさくら一族の伝奇。面白い企画かと思いますが、個人的には各作品の波が合わず、一人の作家の連作の方が読みやすかったのでは思います。しかし第七話は最終話にふさわしく感動しました。本作は二度目の方が良いかもしれません。
足利義輝弑逆から織田信長謀殺はもっと盛り上げて欲しいところです。しかし敵城に大胆に忍びこめる信長の忍びは、どうして光秀の京洛進入を安々と許したのか?疑問のままです。某歴史の専門家は本能寺の変に即応した秀吉は忍びを信長の